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2022年6月28日火曜日

河南省の村鎮銀行の預金封鎖事件について

 なんか友人と今度中国のゲームカフェで懐ゲー語るイベントやろうって話になり、何語ろうかで一人盛り上がってます。友人には簡単なコンセプトとして、最近のゲームは操作が複雑になり過ぎてて、殴るか蹴るかしかできないくらいシンプルな昔のゲームが復刻しつつある、特に同人ゲームとかでその動きが活発だという見立てを伝えました。
 何気に、以前大ヒットした「天穂のサクナヒメ」も、この前リメイクが出た「アクトレイザー」のオマージュだったそうで、上の見立ては自分の適当な憶測じゃない気がします。


 上の記事は福島さんの記事ですが、なんか得意分野なのかネタ的に好きなのか読んでて筆がノリノリな感じします。にしても「習近平も驚く」って、なんか「インド人もびっくり」みたいな見出しだな。

 この記事で取り上げられている中国河南省鄭州市の事件ですが、自分の方から簡単に解説すると、鄭州市にある4つの村鎮銀行、日本風に言えば県民共済的な地方銀行が高利率(年利9%)な定期預金商品を中国全土で販売していたのですが、今年4月から預けた預金が引き出せなくなりました。普通、中国のこの手の金融商品はスマホで申し込み(預入)、リアルタイムで利ざや収益など運用情報が見られるはずなのですが、預金封鎖とほぼ同時期にそうした運用情報もみられなくなるという、怪しさ満点な状態となったそうです。

 これはおかしいし金返せ的に地元の人が銀行に押し寄せたところ、預金者の健康コードが外出禁止の赤となり、警察らもこれを盾にして預金者を追い返したそうです。
 健康コードについては福島さんの記事にも詳しく説明されていますが、これはコロナ対策用のアプリで、なにもなければアプリコードが緑に表示されますが、PCR検査で引っかかったり、濃厚接触者となったりするとコードが赤く表示され、公共交通機関の利用はおろか、自宅や隔離施設からの外出も基本禁止となります。

 上記の鄭州市の一件では、そもそも鄭州市では新規感染者が全く出ていなかったにもかかわらず、市内から出ずにすっといた預金者が突然赤になったり、鄭州市外から文句言いに鄭州市に来た人も、鄭州市内に入るや赤になったそうです。誰がどう見たってこんなこと起こるわけない出来事だっただけに、この不可解なアプリ騒動からこの預金封鎖事件に対する全国的注目度が一気に高まった気がします。ぶっちゃけ自分も知ったの、6月入ってからだし。

 さすがに大事となったこともあり、中国国家政府もこの事件に対する捜査を始め、アプリの不正利用、つまり被害に遭った預金者を追い返すために恣意的に使われたことを認め、関係者を処分すると発表しています。ただ断言しますが、現時点ではトカゲのしっぽきりに過ぎないでしょう。

 この健康アプリはまさしく中国のコロナ対策の要中の要となる手段で、その開発や管理は国が深く係っています。普段の管理は各地方自治体が行っていますが、文字通りに中国在住者のほぼすべての行動記録とプライバシーを監視しているものです。それだけに取り扱いは非常に機微なものに当たるのですが、よりによって特定の集団を排除するためだけに、感染とは関係なしに恣意的にステータスを弄るという行為は言語道断ところではありません。
 先ほども書いた通り、国家の威信をかけたアプリであるだけに、もし本当に恣意的な使われ方がされたのならば、中国なら即刻死刑にしてもおかしくない犯罪だと自分は思います。しかし現時点の発表だとそれほど重い処分内容は発表されておらず、それどころか、処分の事実自体をどこか隠したがっているような報道の仕方です。

 それ以前に、この健康アプリを恣意的に操作できる人間となると、かなり限られた行政側の人間しかいません。アプリが銀行に押し寄せた預金者集団に限定して不正操作されたことを考えると、その行政側の人間は確実に預金詐欺を起こした銀行側と人間と見て間違いないでしょう。
 その上で、4月に騒動が発生していながらなかなか対応が遅かったこと、アプリ不正発覚後もなんか態度が曖昧というか及び腰な姿勢から見て、中国共産党のかなり中枢にいる幹部がこの事件に絡んでいるのではないかと私は見ています。でなきゃこの状況は説明できません。

 あとこの事件、これからかなり後を引くと思います。というの健康アプリに対する信頼が、明確に地に堕ちたからです。

 これまで中国人は健康アプリについて、公共衛生のためだから仕方ないとして、商業施設に出入りするたびに提示したり、PCR検査受けるのにも提示したりと、利用に対して一切抵抗しませんでした。まぁ抵抗したらどこにも入れないってのもありますが。
 それが今回、恣意的に特定集団を排除するためだけに使用されたわけです。それこそ気に入らない人間、政府に逆らう人間なんかをこのアプリを恣意的に操作して、片っ端から社会から排除できるっていうのを、みんな痛感したと思います。
 まぁぶっちゃけ、見えないだけでこれまでにもそういう使われ方はとっくにされてたかもしれませんが。

 もう話題にすらならない日本のCOCOAもいろいろ不具合が多い代物でしたが、中国の健康アプリは行動の自由に直結するものなだけに、その判定は重たいものがあります。自分の予測ですが今後、「いわれもないのに突然赤になったりした」という声が徐々に出てくる気がします。いわば、これまで見えなかったものがこの事件をきっかけに見えてくるかもしれません。
 そういう意味では社会の疑念を晴らすためにも、中国政府はガチでこの事件の関係者を見せしめ的に取り締まって処分する必要があるでしょう。冗談抜きで不正に関わった人間みんな死刑にでもしないと、ただでさえ上海封鎖で高まっている中国のコロナ対策への不満が全国規模でさらに強大化すると思います。それだけに今後のこの事件の発展、そして中国政府の対応は注目です。

2 件のコメント:

上海熊 さんのコメント...

もし中国政府がこの事件を解決出来なくてただ社会統制を強める一方なら未来は暗いですね。
中国を離れた外資の新たな行く先はインド?でしょうか。

花園祐 さんのコメント...

 やっぱ今まで中国住んでて、今年の上海の都市封鎖以降、市民の政府に対する意識が一気に変わってきている感じします。日本人と比べて中国人はフットワーク軽いから、頭脳流出とか実際起きている気がします。