話は本題ですが前回記事で私は京大の女子枠導入について反対を示しました。そのうえでいま最も日本の大学で問題と思っている点を挙げるならば、男性とか女性とかの学生比率とかではなく、あまりにも広がりすぎている推薦枠ではないかと前から感じています。
この推薦枠とは何か説明するまでもないですが、指定校推薦、スポーツ推薦、そして系列校からの内部推薦などによる無試験での入学方法を指すのですが、いろいろ統計は出ているものの、すでに全大学生の過半数がこれら推薦によって無試験で進学しているとも言われます。言い換えれば、大学受験を経て入学している大学生は半分以下で、これだけ見ると半分以下の学生だけでマゾっぽく勉強して試験受けてるようにすら見えます。
この推薦枠ですが私立大学には須らく存在しており、特に難関とされる上位校ほど近年、その比率が高くなっているとも指摘されています。このからくりは何故かというと、少子化が最大の背景です。
少子化によって基本的にどの大学も定員をやや持て余すようになってきており、そのまま定員の分だけ試験で選抜した場合、合格倍率はほぼ確実に下がり、偏差値も同様に下がることとなります。かといって受験難度というか偏差値を維持して「難関校」であり続けようとして定員を狭めた場合、今度は学生の数が減って学費収入が先細ることとなります。
そこで考え出されたのがこの推薦枠によって定員を狭めるというやり方です。例えば定員100人の学部があるとしたらこのうち50人の枠を推薦枠で入れることにします。となると一般試験で入学を希望する受験生は残りの50人の枠を争うこととなり、公称では100人の募集ながら実際には50人の募集となり、狭い枠を争わせることで偏差値も高水準を維持できるというわけです。
大手と呼ばれる私立ほどこの推薦枠で門を狭めるやり方を多くとっており、推薦枠を埋めるため、近年に外部の高校と提携して系列校に加えるなどして内部進学者を増やしたりしています。そのため難関と呼ばれる私立大でも半分近くが無試験で入学し、ひどいとこなんか5割超えているところもあります。
本来、公平に進学のチャンスを当たるべき受験においてこのような詐欺的手法がまかり通り、試験を経ずに学歴を得る学生の半分を占めるというこの現状を歪と言わずして何と呼ぶべきか。先の記事でも述べていますが、私は大学受験においてはやはり公平性こそが最優先であると考えるのですが、今の日本の受験システムは公平性からかなり隔たりがあるように見えます。それを踏まえて述べると、諸悪の根源ともいうべきこの推薦枠をなくせとは言いませんが、一程度の制限を加えるべきではないかと思います。
具体的にどの程度の制限とすべきかですが、私案として述べるなら全定員の10%以下としてはどうかと思います。恐らくこの基準なら従来のスポーツ推薦枠でほぼ埋まる、というかそれ以上はもう入れられなくなると思うものの、無試験で入ってくる人間が10%もいるという時点で自分としてはかなり多いと思います。
これを一律的に、同時に全国の大学に導入することで、変な競争とかもなく公正公平な受験システムが保てると思います。無論この制限を入れることでこれまで推薦枠で必要以上に一般試験枠を狭めてきた大学ほどその偏差値を落とすこととなりますが、それはある意味自然な淘汰結果であり、むしろこれまでズルしてごまかしてきたのだから潔く堕ちるところまで堕ちるべきでしょう。
それでもどうしても偏差値を維持したいってんなら、定員を減らせばいいだけです。現に慶応や早稲田などは近年に一部学部で定員を狭めた結果、合格難度が上昇しているといいます。また学生の数を絞ることで教員一人当たりが指導する学生の数も小さくなり、より集中した教育効果が得られる見込みもあります。大学全体の収入は定員が小さくなった分だけ減るでしょうが、教育全体、そして今後も進むであろう日本の少子化を考えるなら、むしろ定員は今後小さくしていくべきでしょう。
同時に、恐らく以上のような流れが進めば人気のない大学が今後どんどん淘汰され、沈んでいくでしょう。それは上位校においても同様ですが、逆を言えば、今現在で上位校とされる大学の地位が何十年前からほとんど変化がないという状態の方が異常です。
早慶上智に日東駒専、関関同立にMARCHなど、これらの顔触れは自分が受験生だった頃から変わらず、最近上智と日大の人気が落ちてきているとは言いますが、もっと下剋上というかランクの上下変動が激しくあるべきです。その変動を阻んできたのはやはり推薦枠の拡大だと思え、もっと大学間の競争を激しくし、互いに競わせるためにも、推薦枠を減らすというか制限すべきだというのが私の意見です。
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