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2024年4月14日日曜日

イランのイスラエル領内への攻撃とロシアへの影響


 なんか急に軍用車両をインテリアに使いたくなって、M8榴弾砲のキットを買って作っていました。

こんな感じでパソコンの上のインテリアに

 話は本題ですが本日未明、イランがイスラエル領内へミサイルとドローンによる混成攻撃を行いました。これはシリアにあるイラン大使館へのイスラエルによる攻撃に対する報復だとして、イラン側はこれ以上の攻撃は行わない旨を言明しています。
 それもそのはずというか、イランとしてはそもそも、イスラエルに対して攻撃をすること自体を望んでいなかったように見えます。実際に攻撃したら激しい反撃にあうのは目に見えているからですが、大使館へのイスラエルによる攻撃に何も反応しなかった場合、イラン国内からの反発や批判が起こるため、「借りは返した」的な口実とするための攻撃が何としても必要であったことから今回攻撃に至ったのではないかとみています。しかし拡大自体は一切望んでいないことから、こうしてこれ以上の攻撃を行わないと宣言したのでしょう。

 今回のこの攻撃は米国より、事前に世界各国へ報道ベースで周知されており、海外居住登録をしている自分のところにも外務省からイスラエル国内では気を付けるよう促すメールが届いていました。単純に米国やイスラエルの諜報が攻撃を事前につかんでいただけでしょうが、もしかしたらイラン側から米国に「一発攻撃を行う」という風に伝えていたのかもしれないとも見ています。というのも、この後の展開で米国が大きな主導権を握るからです。

 現在、イスラエルはガザ地区でハマスとの戦闘を続けており、北部半分は占領したものの南部はまだ制圧を完了していません。ただ時間さえかければ完全制圧も達成できるように見え、ここにきてハマスも和睦交渉に乗り出すなど追い込まれた様子を見せています。
 さすがにイスラエルといえども二面作戦は難しいでしょうが、逆を言えばハマスと和睦するかガザ地区を完全制圧した後であれば、イランに対し今回の攻撃に対する報復に打って出てくる可能性は十分あるように見えます。何よりも、かねてからイランを叩きたいと思っている米国にとってはこれ以上ない口実で、イスラエルに対して軍事支援を行う、または連合軍を組むなどしてイランに宣戦布告する可能性も予想されます。この辺、どう転ぶか現状では全く予想できませんが、ハマスがイスラエルとの和睦に前向きな姿勢を見せたのは恐らく、今回のイランの報復攻撃の計画を知っていたからじゃないかと思います。

 こうした中東情勢でも複雑な状況を見せていますが、中東以上に今回のイランの行動が影響するのではないかと思うのがウクライナです。というのも先日、ロシアが開戦当初にトルコが提案したウクライナとの和睦案に対し検討する方針を突然見せているからです。

 この和睦案の内容は、クリミアはロシアが支配し、それ以外の開戦前のウクライナの領土からはロシア軍が撤兵する代わりに、ウクライナはNATO加盟を見送るという内容でした。事実上、北欧諸国がNATO入りしたことを除けば開戦前の状態に戻す案で、ロシアとしては敗北といってもいい内容なのですが、何故ここでこの和睦案を検討し始めたのかというと、イランの情勢が怪しくなってくることをロシアも把握していたのではないかとみています。
 現在、ロシアに対する軍事、特に砲弾やドローンなどの軍備面での支援はイランが最も中核となっています。そのイランが仮にイスラエルと戦争が勃発した場合、ロシアに回す兵器を自国で使用するため回せなくなります。もしかしたら現時点でも、イスラエルの備えとしてイランはもうロシアにミサイルなどをまわしていないかもしれません。

 この状態が続いた場合、ただでさえ攻めあぐねているウクライナ戦争でロシアはより劣勢となり、その劣勢を見た欧米諸国が勝機とみてウクライナに対する支援を一気に拡大する可能性があります。そうなると事態はロシアにとって最悪となるだけに、形式的ながらロシア大統領選も終わったことだし、敗戦となるも今のうちに和睦をとプーチンも考えたのではないかとみています。今回のイランの攻撃を見て、自分が真っ先に考えたのは上記の内容です。

 以上を踏まえて言うと、日本の国益を考えるならウクライナの完勝が最も望ましいだけに、この際イスラエルとイランが開戦してくれた方がロシアを致命的に弱体化させる一手となるだけに、有利な運びとなるように見えます。もっとも実際に開戦するとなると石油価格は高騰するであろうし、その他の影響も大きく広がるだろうことから、本当に日本の国益につながるかと言ったら実際のところは微妙です。
 また米国としても、ウクライナ支援だけでなくイラン戦争まで引き受けるとなると果たして軍備が持つのか怪しいところがあり、二の足を踏む可能性があります。そのような場合、イランに対して融和策を取るというか、イスラエルとの仲介に努めることも十分あるでしょう。
 ただ仲介を行う場合、「今回イスラエルを止めてやるから、ロシアへの援助を切れ」と条件を付けてくれれば、都合のいい想像ですが開戦に至らず、ロシアも弱らせることとなるので、日本にとって最良のシナリオになるのではないかと考えています。仮に自分が日本の外交担当であれば、こっちのシナリオにもっていくよう周りを説得するでしょう。結果的に米国が負担するウクライナ支援もこれで少なく済むようになるんだし。

 しかし何度も言っている通り、情勢が今後どう転ぶかは全く予想がつきません。でもって米国内では大統領選の真っ最中なだけに、中東情勢に対する外交方針ももちろん議題に挙がってくるだけに、両候補ともポジショントークに使って状況をさらにややこしくしてくる可能性もあるでしょう。
 少なくともいえることとしては、この中東情勢の変化にロシアもかなり慌てているように見えるだけに、この状況を如何に対ロシアとして活用するかが日本が考えるべきトピックでしょう。逆に中東情勢に関しては、歴史的にも地理的にも縁が薄く、巻き込まれることが非常に危険なだけに、関与を極力薄くしつつ、状況の鎮静化を訴え続けることがベターな気がします。

 それにしても、自分が生きている間としては今が最も中東が荒れた状態と言え、こんな状況を目にするとは思っていませんでした。中東戦争を見ていない世代ですが、本当にこの地域はしがらみが多いのだと思わされます。

2 件のコメント:

上海熊 さんのコメント...

日本はイランともイスラエルとも国交があるので何か出来そうな気がします。
無論出来る、と言っても会談場所を用意するぐらいでしょうが。

花園祐 さんのコメント...

 両国ともに日本は決して関係が悪くはないものの、見返りを用意できる立場でもないのがちょっと弱いですね。ちなみにうちの親父は昔、仲間だと思われたイラン人に声かけられていました。