先日、ふとしたことから「ONI零〜復活〜」という昔のゲームの紹介動画を見ていました。時期的には2000年ごろの作品ですが、当時はこのほかにも「俺の屍を超えて行け」をはじめ昔の日本を舞台にしたRPGがよくあったなと思うと同時に、最近この手の和風RPGが減ってきているような印象があります。ただ単に自分が知らないだけかもしれませんが。
アクションゲームだったら「ゴーストオブつしま」をはじめむしろ増えているのですが、何故RPGはここにきて和風は減っている、少なくとも印象が落ちてきているのか。一つの理由として挙がるのは日本を舞台にしたRPGならメガテンやペルソナシリーズのように現代が世界観の作品の方が人気が出やすい点があると思います。
次に、西洋系ファンタジーと違って和風というか時代劇風RPGだと時代考証が面倒というか、日本人相手だと消費者も知識あるだけに、適当な世界観だと「こんなんちげーよ」とか言われる確率が高いから敬遠されるところもあるでしょう。そもそも勝手知ったる自国の古き世界観なだけに、西洋系ファンタジーと違ってエキゾチック感もないし。
さてそんな和風RPGについてですが、ぶっちゃけ作ろうと思えばドラクエやFFみたいに全く問題なく作ることができるとは思います。RPGでよくある職業も、勇者には貴種流離譚大好きな日本人に向けては「皇室の御落胤」を使えばいいし、戦士には武士、と思いきや「力士」を、盗賊には「やくざ」がぴったり当てはまってきます。
微妙に悩んだのは僧侶で、ドラクエ風に僧を使うなら普通に「坊主」でいいかもと思ったけど、女僧侶は「尼」になるのかなと思ったところで、「巫女」のが癒される感じがしたので「坊主」の方も「神主」とみせかけて「禰宜」が対応してくると思います。
そんな僧侶の対となる魔法使いはよくある感じで「陰陽師」が浮かびましたが、よくよく考えると式神使う時点で魔法使いというより召喚士のが近く、だったら魔法使いはさっきの「坊主」でいいやという結論に至りました。となると賢者は「阿闍梨」なのかな。
こんな感じで職業は割とすぐ日本のメンバーでも組めますが、地味にラスボスが作りづらいなという感じがします。というのも和風RPGのラスボスは化け物系だとほぼ確実に八岐大蛇が使われる、っていうかほかにいなくて選択肢がなかったりします。鬼系のラスボスなら酒呑童子がいますが、こっちもほかにネタないのかよと思うくらい使いまわされているように見えます。
この点、西洋世界だと倒した相手の民族の宗教における神を悉く悪魔に変えて吸収していったユダヤ教では、サタンやパンデモニウム、ベルゼブブなど威厳もあって外観も派手な化け物というか悪魔がたくさんおり、ラスボスの選定でも逆に迷っちゃうくらいです。
それに対して島国からあんま宗教間交流のなかった日本神話の古事記においては、前述の八岐大蛇くらいしか化け物はいません。今昔物語を探せば土蜘蛛や鵺とかもいますがこいつらはよくて中ボス程度でしょう。ザコ敵ならたくさんの妖怪がいて困りはしないのですが。この辺の威厳あるラスボス級キャラが和風RPGの障害になっている気がします。
もっとも、人間タイプの黒幕、魔王的なラスボスなら作れないこともないです。戦国時代を舞台にしたものならほぼ確実に織田信長がラスボスになりやすく、キャラが濃くて知名度もあるだけに使い勝手のいい奴です。逆に秀吉とか家康はこの手のラスボスとして使われるのは見たことない。
信長以外だと怨霊系として菅原道真もラスボスとまでいかずともボス級として採用されることがありますが、同じ怨霊系のゴッドバインこと後鳥羽院はゲームとかで使われるのを見たことがないです。まぁ皇室キャラで弄っていいのは聖徳太子くらいでしょう。
密かに使ってみたら面白いかもと思うのは天皇家の簒奪を企てた弓削道鏡がおり、彼なんか工夫次第で魔王っぽく活躍できる気がします。奈良時代を舞台にして、和気清麻呂とその姉ちゃんが主人公となって、聖徳太子が残した伝説の武器とか勾玉使って道鏡に立ち向かう話とか作れば、奈良市も盛り上がってくるでしょう。
ただ仮に創作の人物も使っていいとなると、和風RPGで最もラスボスに相応しいキャラとなりうる人物として加藤保憲がいるんじゃないかと考えています。これはわかる人には早いですが荒俣宏氏の小説「帝都物語」に出てくる悪役キャラですが、日本陸軍の軍人でありながら陰陽道に通じ、五芒星入りの手袋を常につけるなど存在感が非常に強い人物です。
キャラ設定だけでも十分濃いですが、映画版では嶋田久作氏がこのキャラを怪演し、原作者の荒俣氏をして「加藤がいる(;゚Д゚)」と言わせたあのビジュアルはすさまじく、そのまま加藤と言わなくてもこのキャラをモデルとしたキャラなら和風RPGでラスボスを務めても全く問題ないと思います。っていうかもっとクローンキャラが出てきてほしいくらい稀有なキャラだと思うのですが、最近見ないなぁそういうの。
4 件のコメント:
桃太郎伝説(今では電鉄の方が有名かもしれません)でも敵は鬼や妖怪、ラスボスは
閻魔大王(就任前)でした。 和風スーパー戦隊でも敵組織は妖怪軍団や宇宙忍者
達でした。和風RPGで鬼や妖怪以外の敵を作るのは難しそうです。
さて「遊び人」を和風RPGで表現したらどんな職業になるか考えた所「傾奇者」が
ふさわしいと思いつきました。もっとも既に 天外魔境Ⅱ 卍MARUに「カブキ団十郎」
なる派手好きな男がいましたのでこの発想は目新しくないですね
桃太郎伝説について書き忘れてた、あと天外魔境もか(;゚Д゚)
傾奇者は何となく上位職っぽく、ドラクエで言う「スーパースター」の方が相当するかもしれませんね。となるとその下位職とくれば「ばくち打ち」、「渡世人」、「流れ者」など、それ職業かよと思うやつしか出てきません(;゚Д゚)
一つ言えるのはゲームクリエイターにその辺明るい人が少ないのかなと思います。多くのクリエイターは大卒前後からクリエイターになってますが、その時点までの知識だとほぼ中高生時代の趣味の延長なので、例えば三国志がその頃から好きだった人は三国志のゲームを作れると思いますが、日本の歴史好きは戦国時代くらいしかあまり見かけないですしね。
若い頃の教育充実か、歴史小説家とかのジャンル違いの専門クリエイターとコラボするかしないとなかなか難しそうです。
今回和風RPGを取り上げましたが西洋RPGでもラスボスとかの敵キャラは割とワンパターンというか同じのばっかになってきている気がします。掘りつくされたという点もありますが、なんか敵キャラのデザインも真新しいものがないし、もう少し独自性を出してほしいものですね。
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