それでちゃっちゃと本題に移ると昨日起こった蘇州市で日本人が襲撃された事件についてですが、この事件を私が知ったのは今朝で、蘇州に知り合いの多い同僚が「なんか昨日また事件が起きらしいよ」と教えてくれました。そしてこの段階で、また後出し孔明になりますが襲撃内容は殴打の可能性が高く、被害者は大人だろうと推測していました。
なんでこのように思ったのかというと、もし刺傷であれば日系メディアや現地コミュニティがもっと大きく反応して、友人に教えられるまでもなく私のところにも情報が入ってくるはずだと考えたからです。同様に、被害者が子供であればその辺が大きくクローズアップされるはずで、特に年齢層に言及されていない時点で大人だろうとここはかなり強く確信を持っていました。
事件内容については上のリンク先にあるようにすでに下手人も捕まったとのことなので私の方から特に語ることはありません。なのでこの事件に絡めて同僚から聞かれた質問とその回答を書くことにします。
まず「何故また蘇州なのか?」というのが大方の日本人の疑問じゃないかと思います。蘇州とくれば先の日本人親子が刃物で襲われ、かばった中国人女性が亡くなるという痛ましい事件の記憶がまだ新しいだけに、今回の事件を受けてまた蘇州かと多くの人が思ったことでしょう。蘇州でこうも立て続けに日本人への襲撃事件が起きたことは単純に偶然としか言いようがありませんが、その偶然の確率を高めている要素は確実に存在します。
第一に、蘇州は日本人が非常に多く住んでいるエリアで、その規模は上海に次ぐ水準です。何故かというと単純に日系企業が多く、また沿岸部で交通の便が良くてそこそこ発展しているため住みやすく、日本人向けの病院や学校も比較的整備されているからです。ただそれは上海や北京も同じ条件なのに蘇州ばかりでこうも起きるのかという別のファクターとしては、
・上海や北京ほど警察力が高くない
・上海や北京以上に流れ者が多い
というのが大きいと私は考えます。蘇州も大都市ですがそれでも上海や北京ほどには重要度は高くなく、治安を管轄する警察への政府の力の入れ方も一段低いものになります。またもう一つの流れ者が多いという点ですが、上海も地方から上京してきた労働者がたくさんいますが、比較的頭脳労働者が多いのに対し、蘇州とかだと工場も多いだけに素性の知れない人間が寄り集まりやすい傾向があります。こうした要素が重なって、蘇州でこうも事件が繰り返し起こっているのだと思います。
次にほかの人が語らない話をすると、恐らく今回の事件を受けて中国の政府や警察は日本人を守ろうとしていないのではと思う人もいるかもしれません。実態はどうなのかについて意見は分かれるでしょうが、私個人の見解としては中国の警察も傍観しているわけではなく、相次ぐ通り魔事件に対して対策を一応は実施しているのではないかとみています。
そもそも先の事件も今回の事件も完全な通り魔的犯行で、未然に防ぐことは不可能であるし、日本国内でもなんか最近やたらと通り魔事件が起きており、根絶は無理としか言いようがありません。それでも中国、少なくとも上海で私が見ている限り、何となく以前に比べて街中で治安維持に動く警察官が増えているとはっきり感じ、特に目立つのが地下鉄です。
上海の地下鉄ではどの駅の改札前にもXメン、じゃなくてX線装置があってそこで荷物チェックしなければなりません。以前はこの荷物チェックが結構なぁなぁで、装置に通すそぶりをして通さずに通過する人も多く、駅員もあまりそういう人をとがめていませんでした。
それが去年の年末辺りから、朝のラッシュ時間帯で数日おきに警察官がわざわざ改札前に立ち、きちんと駅員が荷物チェックをしているか細かく見張るようになりました。それを受けて駅員も以前よりも厳しく荷物チェックするようになり、警察官がいる場合は心なしか礼儀正しく「荷物チェックをお願いします」、「ありがとうございました」と言うようになりました。以前はけだるそうに腕動かすだけだったのに。
たまたまですが今日の帰宅時も、改札前でどうも荷物を通さずに無理やり通過しようとした人がいたようで、警察官が大声で「おい、お前!」と言って制止していました。普段ないから自分を含めみんなその警察官の方に向いていました。
こうした荷物チェックが果たしてどれだけ犯罪抑止に効果があるのかは未知数ですが、少なくとも依然と比べると上海の警察が通り魔犯罪抑止としての対策を実施ているの見て取れ、相次ぐ事件に対し傍観しているわけではないと思います。車を暴走させ何人も亡くなった事件が起きた広州でも、同僚によると事件後は街中にたくさん警察官が立ち、ピリピリした雰囲気だったと聞きますし。
もちろん対策しているからと言って事件が起きても中国警察に責任はないというつもりはなく、私個人としても自分も他人事じゃないだけに、治安維持に頑張ってほしいというのが本音です。ただ先にも言った通り、どれだけ対策しても通り魔事件を根絶するのは不可能であり、被害を受けるかは神の采配としか言いようがありません。
それでも敢えて気になる点を挙げると、日本人以外の外国人もこうした被害を受けているのかという点です。もし自分が見ている報道の通り昨年以来日本人ばかりが通り魔事件の被害を受けているとしたら、日本政府ももっと強気になって中国政府に抗議すべきでしょう。逆にほかの外国人もこうした被害を受けているとしたら、最近中国メディアが「日本人優先」という言葉で「日本人ファースト」という排外主義が蔓延ってきていると報じていますが、あんま人のことばかり言ってんじゃねぇぞという文句も付け加えていいかもしれません。
もっとも中国のことだから、「中国で中国人を優先して何が悪い」、「これからも今までも中国人第一」、「むしろ世界全体で中国人優先」と開き直ってくるかもしれませんが。
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