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2011年6月3日金曜日

昨日の不信任決議に対する中国紙の反応

 三日続けて管首相への不信任決議の話です。ある意味こういう時が政治系ブログの稼ぎ時なので、わざわざ今晩の二次会断って帰宅しました。それにしても今日はビール一杯と泡盛一杯だけでしたが、前のろくでもない日系メーカーだとこの泡盛も一杯と言わず、それもすべて一気飲みさせられてたんだろうな。いつか潰す(#゚Д゚)y-~~。
 話は本題に入りますが、一夜明けて早くも暗雲が垂れ込めてます。

メディアの表現、関知しない…退陣示唆で菅首相(読売新聞)

 まさかとは思いましたが先日民主党代議士会ではっきりと公言したにもかかわらず、退陣する時期について管首相は曖昧に濁した発言を繰り返しております。これについては直接促した鳩山前首相が最も激怒しており、「政治家が公言したことを破るなんてペテン師だ」、「約束を破るなんて以ての外だ」とかなり激しい口調で批判してますが、多分私に限らず「お前が言うな( ゚Д゚)」と誰もが思ったかと思います。ここまで自分の発言を気にしない人間というのは一生に一度見れるか見れないかかもしれません。
 ただ管首相のこれらのはっきりしない態度は、私にとっても非常に不満です。すぐに辞めることがわかっている首脳に会う外国首脳なんているはずもなく、居座る分だけ日本は外交上で損失を受け続けることとなります。また引用記事では「メディアがどう表現するかまで、私がどうこうすることではない」と発言したと書かれていますが、海外メディアに対しても同じことが言えるのかと直接問いたいです。恐らくほどんどの海外メディアは数ヶ月以内には退陣するといった論調で各国ですでに報じており、それをメディアが勝手に報じただけだと切って捨てるのであれば唾棄するような人物としか言いようがありません。

 そんな海外メディアの一つというわけではありませんが、折角中国にいるのだから中国メディアが今回の不信任決議についてどう報じたかについて今日は取り上げようと思います。仕事柄、新聞は毎日読んでいるのでいくつか気になった記事を仕事の合間に読んでいましたが、まず言えるのは複数紙が一面に写真付で今回の不信任決議を報じており、中国側も今回の一件強く注視していたのだなと感じました。それで記事の内容ですが、読んでるのが経済紙ばかりなので単純に経過と結果を報じているものが多いものの、中にはなかなか痛い所を突いてきている記事もありました。

 ある新聞では、そもそも日本の国家体系は官僚組織が大きな権限と力を持っており平時を切り盛りするのには強いものの、国家戦略を変更したり突発的な緊急事態の対応には弱い体制であると指摘した上で、この体制を改革というか破壊しようとしたのはほかならぬ小泉元首相だったが、その後毎年首相が交代するのを見るにつけ彼の試みは失敗に終わったと断じています。そのようなな官僚制の強い体制ゆえに今回の震災に対して満足に対応することは出来ず、恐らく今度また首相が変わったところで復興対策の速度が変わることはなく、管首相は「国家体制による新たな犠牲者」となったと評価していました。今まで考えたことのない視点であったので、新鮮で面白い論評です。

 またこれとは別の新聞では今回の不信任決議について細かく経過を記しており、「管直人VS鳩山由紀夫 緊迫の20分間」とサブタイトルをつけて両者の発言を細かに記してありました。内容を見る限り、日本で報道されている通りで特に変な付け足しとかはありません。
 それでこっちは管首相がいつ辞めるのかについても言及しており、さらには「管首相後」を巡って政治騒動がまだしばらく続きそうだと予想してます。その管首相後については面白い言及があり、政権後退前に管、小沢、鳩山で自称トロイカ体制を名乗っていた昔日の「鉄三角」関係は崩れてそれぞれの派閥同士で暗闘を繰り広げているとし、それが今度新総裁を決める際に大きな要素になるとしています。

 新総裁の候補としては、日本の調査結果を引用したのかは知りませんが枝野官房長官が意識調査で首位となっていると紹介し、彼は震災後に毎日会見に出たことから知名度は抜群であるものの、日本は首相公選制ではなく政党内にある派閥の力関係で総裁が決まるため彼の可能性は低いとしています。
 それ以外の候補としては原口氏、前原氏、もしくは小沢一郎自身がなっちゃうかもとまとめていますが、まぁ順当な候補予想だとは思います。ただ私はそれ以上に、この記事で日本の首相は派閥の力関係で決まるという一文を見て、ちょっとはっとしたような気がしました。

 というのも、今の構図が本当にかつての自民党派閥政治とよく似ているからです。「自民党をぶっ壊す」と主張して総裁に就任した小泉元首相以後の自民党は派閥の力が激減してかなり世論を気にして総裁を選ぶようになりましたが、今の民主党は管、小沢、鳩山系の派閥単位で抗争を繰り広げており(鳩山派はあっちいったりこっちいったりしてるけど)、総裁もこれまで、そして今度もこの力関係でほぼ決まると言って過言ではありません。私の考え過ぎかもしれませんが、かつての派閥政治が復活しているのではと伺わせるこの指摘は個人的に結構ショックでした。

 最後にこの中国紙の枝野幹事長についての紹介ですが、「彼はブッダのような大耳の47歳の政治家」と書いてあって、読んでてちょっと笑いがこみ上げてきました。日本語だと「ダンボのような」という表現を使いますが、中国語はブッダを比喩対象として使うのだと勉強になったともに、折角手塚治虫原作のブッダの映画が公開されているのだから枝野氏もブッダキャラとして売り出してけばいいのではと思った次第です。どんなキャラなのか自分にもよくわからないけど。

2011年6月2日木曜日

管首相への不信任決議と辞意表明について

 既に報道でも報じられててこのブログの閲覧者もこのネタが期待されているかと思われますが、昨日自民党から不信任決議が提出されたことを受け、民主党内の分裂を懸念した管首相は震災対応にめどがついた時点で辞任する意向を表明しました。この管首相の辞任表明を受けて当初不信任決議に賛成すると発言していた民主党内の議員らは反対に転じたことから決議自体は否決されたものの、私個人としてはなかなか残念な結果に終わりました。
 なお昨日にも不信任決議について記事を書きましたが、私はてっきり批判的なコメントとかが集まるのではないかと懸念していたもの何一つコメントが来ず、余計な心配をしたもんだと少し反省しました。ちょっと話が脱線しますが、政治系のブログを書こうというのならこういうある程度批判されることを覚悟する必要があり、あまりそういうのに耐性がない人は避けとくのが無難な気がします。

 それで本題に入りますが、結論から言うと残念ではあるものの管首相の決断も理解できなくないというのが本音です。何でも昨夜は国民新党の亀井党首に政治的空白を作らないように辞任を促され、今朝には鳩山前首相からも党内分裂を回避するためにも辞任するよう説得されたと聞きますが、鳩山前首相に対してはさすがにお前が言うなという気持ちがするものの、亀井党首については以前からあまり好きではない政治家ではあるものの今回の管首相への説得にはまだ道理があり、それを受け入れた管首相も事ここに至って混乱を最小限に食い止めるためには無理もない決断だったように思います。
 私は昨日の記事で否決されるのではと予想を書き、もし可決されるのなら解散を打つべきだと書きましたが、否決されても民主党は分裂し、大きな政治的空白が生まれてしまいます。そういう意味では今回の管首相の決断はベストまで行かずとも、本当にしょうがなかったんだなぁという気がしてなりません。

 以上のように管首相に対して今回私は深く同情しますが、決議後に参議院の輿石氏が言っていた様に辞意を表明した首相が長く居座ると外交に影響するという言葉の通り、言ったからには早期に退陣するべきだという立場をとります。やめる時期についてはやはり二次補正予算案を通過させたあたりがベストで、通った後であれば今月中にでも辞めるべきでしょう。

 ただ問題なのは「管首相後」で、中国の報道でも後継を巡って暗闘が続くだろうと早くも指摘されております。今回分裂を免れたことで恐らく民主党内から後継候補が出てくるかと思いますが、はっきり言って今の民主党に首相足りえる人物がいるかといえばあまり浮かびません。敢えて挙げれば岡田氏がまだマシかと思いますが、今回の騒動を経て小沢派が影響力を持つことを考えるとその芽はありません。となると残りはってことですが、恐らく仙石氏、枝野氏、玄葉氏などが挙がって来るでしょうが、多分名前が挙がるだけで終わるでしょう。あまりにも早い予想をしてもしょうがないのでここら辺で切り上げますが、恐らく小沢派に近い人間が出てくるのではないかと予想してます。

 最後に今回の管首相の辞任で、一番喜んでいるのは自民党でも小沢一郎でもなく、多分東電じゃないかと思います。私が今一番危惧しているのは、次の首班が東電に対して公的資金注入などあらゆる手を使って救命策に走るのではないかということです。あまり疑っても仕方ありませんが自民党寄りの人物ならありえそうですし、連立を組んでもこれが条件として浮上してくるかもしれません。
 私は何も東電を叩けばいいとは思ってません。ただこれまで数々してきた事故隠蔽や今回の対策不備、事故対応を考えると企業文化ともいうべき体質に根本的原因があるように思え、この際に一瞬一撃にて完膚なきまで叩き潰さなければいけないと考えています。首相交代はやむなしといえども、この点だけは譲れません。

2011年6月1日水曜日

管首相への内閣不信任案提出について

内閣不信任決議案、3党で提出…2日採決へ(読売新聞)

 すでに各所で報道されていて皆さんも知っておいでかと思われますが、本日自民党など三党が管首相に対する不信任決議案を衆議院に提出しました。かねてから管首相と対立していた小沢氏らのグループも離党を辞さない覚悟でこの不信任案に賛成するようで、一部の副大臣などはすでに辞表を提出したとのことです。この不信任案に対する私の立場は、こんな時期に政局で行動するなんて以ての外で、不信任案を提出した自民党ら三党を批判するとともに管首相の続投を支持します。

 はっきり言って私は管首相のことをそれほど評価しておらず、一国の宰相としては能力的にやはり頼りない人物だと見ております。しかし現状で首相となる政治家としては管首相がまだマシだと考えており、確かに記者会見などで目が泳ぐなどいろいろ心労がたたっているように見えますが、市民活動家をしてただけあって近年の首相の中では相当タフな人物だと評価しております。仮に今の首相が自民党の安倍氏だったら、心労ですぐやられて今頃病院か棺おけの中に入ってそうですし。
 逆に今回不信任案を提出した自民党を見ますと、管政権打倒後で誰が首相になるのかと言ったらいろいろと不安な人物しか挙がってきません。以前に相当口汚く批判した谷垣総裁は鳩山元首相以上、麻生元首相以下程度と思いますし、まだ期待できる石破氏や小池氏などは派閥関係からまずもって首相にはなり辛いですし、それ以外に誰かいるのかと言ったら散々タマ撃ってきただけあってもはや打ち止めです。石原幹事長なんて以ての外ですし。

<内閣不信任案>「被災地に目向けて」怒りとあきらめの声(毎日新聞)

 上記のニュース記事は被災地からの声ですが、私の意見もこれと大体同じです。震災対応でただでさえ忙しい時期なのに政局で行動するのは理解できず、たとえ管首相がどれだけ無能だろうと今国会の間は野党として国会議論で政策を修正していくのが本筋でしょう。特に今回の不信任案で理解できないのが可決後のビジョンが全くない点で、可決後はどのように連立を組むのか、誰が首相をやるのか、どいつにポストが回るのかなどが全く見えてこず、特に自民党は民主党内の小沢派とは不信任案提出前にいろいろ連絡を取っていたようですが前述の石破氏などは小沢氏とは組めないと主張しており、事実自民党があれだけ批判してきたマニフェストを主導していた人間と自民党が手を組むというのは如何なものかと思います。

 この不信任案は明日衆議院で決議されるようですが、私の勝手な予想だと否決される可能性が高いのではと見ております。根拠は小沢派が賛成に回ったとしても依然と民主党は大半の議席を持っていることと、どう見ても政局を優先したとしか思えない今回の提出に対してやはり批判が大きくなるのではないかという理由からです。あくまで勝手な予想ですが。
 もしかしたら自民党としては否決も織り込み済みなのかもしれず、事実一部で一つの締めくくりとして提出したとの声も出ているようですが、だとしたらますます政局のみで動いていることになり、否決となれば世間からの批判が集まり谷垣総裁への責任論が自民党からも出てくると予想されています。私もこれに同感ですし、自民党もさっさとこの人を引き摺り下ろしたほうがよいのではないかとすら思います。

 最後に、もし可決されたとしたら私は管首相は解散を選んでも良いと思います。それこそ選挙になって余計な混乱と時間の浪費につながるのではないかと言われるかもしれませんが、恐らく自民党はそのような批判を恐れて管首相は総辞職をせざるを得ないと考えてこのタイミングで提出してきたのだと思います。しかし提出するからには解散の覚悟があって然るべきで、管首相はあくまでそれを受けて立つだけです。むしろここで一挙に政界再編を行ってもこの際いいような気がしてきました。
 結果は明日ですが、果たしてどうなることやらです。

2011年5月31日火曜日

中国の旱魃と三峡ダム

 久々に中国のホットな話です。毎日こうやって寸評だけでもいいから取り上げた方がいいのかもという気もしますが、長文が売りなんだしそこまで気にしなくてもいいと自分に言い聞かせてます。

消える川・干上がる湖…旱魃ますます深刻に=湖北・安徽・湖南(サーチナ)

 上記リンク先のサーチナの記事では現在中国では雨が全く降らないことによる旱魃が深刻化していることが報じられていますが、こっちの報道でも今一番主要な話題と言ったらこれです。具体的にどれくらいの規模かと言うと上海市に限って言えば今日の朝刊だと、降雨推量はここ138年(そんな昔の記録がどこにあるのか疑問だけど)で最も低く、なおかつ気温も先々週に最高で38度まで上昇するなど例年にない異常気象だと報じられております。実際に先々週は暑くて溶けそうで、雨も先週にちょこっとふっただけです。
 ただ上海市は他のところから水を引いてこれますし、またここより南部であればまだ状況はマシです。一番深刻なのはサーチなの記事にもある通りに湖北、安徽、湖南省といった中部地域以北の地域で、農村では農繁期にもかかわらず全く雨が降らないことから早くも食糧難を懸念する声が出ております。

 それでこの旱魃についての現地新聞報道ですが、原因は三峡ダムではないかと複数紙が連日取り上げています。

三峡ダム(Wikipedia)

 三峡ダムとは中国が誇る世界最大級のダムで、90年代に建設が決まるや文字通り国の威信をかけて作られ2009年に完成しました。しかしこの三峡ダム、建設前からそのあまりの巨大な規模から周辺環境に多大な負荷を与えるとの予測が中国内でも出ており、また建設に伴い移転する住民の桁違いの多さ(140万人)などから議論は紛糾し、1992年の全国人民代表大会での建設決議でも「出席者2633名中、賛成1767名、反対177名、棄権664名、無投票25名」という、全会一致で当たり前の中国の議会としては異例とも言えるほど反対者がでたほどいわくつきのダムでした。
 そんな過程を経て建設には至ったものの、中国に限らず日本でも大体そうですが完成までに当初予定していた予算は数倍にまで膨れ上がり、また建設途中であれこれ問題が出てきたことから水位も最大にまで高めることが出来なくなって予定発電量に達せず、なおかつダムが出来たにもかかわらず周辺地域では水害の被害が年々増加しており、「治水にも発電にも役に立たない」と現地報道でもかなり厳しく批判され続けております。

 というのもこの三峡ダムは表向きは膨大な電力需要を賄うためとして建設されましたが、実際には最初に計画したのが孫文であり、どちらかと言えば「あの孫文が抱いた遠大な計画を今ここに実現する」という国威発揚的な目的の方が強かったと言われます。実際にこの三峡ダムがどれほどの性能を持っているかは生憎専門家ではないのでわかりませんが、日本での報道やコメントを見る限りだと誉めている人は確かにいません。

 それでこの三峡ダムがどうして旱魃に関係するのかですが、三峡ダムに限らず巨大なダムはその建設によって周辺の気候を変えてしまいます。あのエジプトのアスワン・ハイ・ダムも建設の前後でその地域の気候が変化したそうですが、因果関係ははっきりと証明することは出来ないまでも現地報道では三峡ダムが出来たことで降雨量が激減したと指摘されております。
 またそれと合わせて三峡ダムで致命的だったのは、当初農業用水の確保も計画に入れられていたものの、その巨大さゆえか水をうまく利水することが出来ずにいることです。

 現実に本当に三峡ダムが原因かどうかは断定することは出来ませんが、あれほどの大きなダムであれば自然への影響も多く、多少は関係しているのではというのが私の考えです。ただ旱魃に関してはこれ以外にもたくさん原因は考えられ、なんでもかんでもダムのせいにするべきではないと思います。
 しかし中国国内でこれほどまで三峡ダムに批判的な声が上がっているとは日本にいた頃は全く知らず、今回の旱魃で拍車がかかっていることを一応紹介しておこうと思って筆を取った次第です。

経産省の一般家庭への節電促進策について

節電目標達成の家庭に景品 15%削減でLEDや映画鑑賞券(産経新聞)

 今日たまたま見つけたニュースですが、勘に触る内容なので取り上げます。
 上記リンク先のニュース内容を簡単に説明すると、電力不足が懸念される今年の猛暑期の対策として経産省はこのほど、前年比15%削減の節電を達成した一般家庭に対して景品を進呈する促進策を計画しているそうです。具体的にどこが癇に障るかというと、前年比で節電の指標を作るのであれば去年まで電気を浪費していたほど15%削減することは容易く、逆に去年以前から積極的に節電を実施していた人は達成が困難になるからです。勘のいい人ならわかるでしょうがこの構図は京都議定書におけるCO2削減目標と一緒で、主導するのが経産省なだけにいろいろと腹が立ちます。

 それであるのであれば二番煎じと言われようとも、冷蔵庫やエアコンといった消費電力の大きい白物家電に対して家電エコポイントなどと言わず、直接国が購入額を補助する政策を実施することの方が個人的にお勧めです。この二つの家電における技術の進歩は凄まじく、十年前と最新のとでは消費電力は数十%変わると聞きますし、また家庭で使用する電力の半分程度が冷蔵庫に使われることも考慮すると再実施する価値はあると思います。

 ちなみに私が日本で一人暮らししていた頃は冷房、暖房なんて使わないのでエアコンはコンセントごと外していました。実家ではうちのお袋が気を利かして私の部屋に窓付けのエアコンをつけてくれましたが、元々エアコンなんて使わないし窓が開閉できなくなったと愚痴を言ったことからかなり激しいケンカとなりました。その後私はその部屋から移り、現在は客室として使われているので結果オーライとはなりましたが。

国初、薬ネット通販立件=対面販売命令を無視―業者を書類送検・大阪府警(時事通信)
 もう一件気になったニュースとして、ネットでの医薬品販売で摘発があったというこの報道を取り上げます。
 内容については詳しく語りませんがこれだけネットが発達しているのだし、離村離島の状況を考えるととっとと薬事法を改正してネット販売を認めるべきだと思います。どうもこの辺はいろいろと権益が絡んでそうで、きな臭い話です。

2011年5月30日月曜日

山幸彦と日本人のアイデンティティ

 古代史シリーズ第三弾です。何も反響がありませんが気にせず書いてきます。ぶっちゃけ書きながら勉強することが多いです。

 さて山幸彦と海幸彦の話ときたら、名前くらいなら知っている方も多いと思います。実はこの二人は前回の天孫降臨のところで紹介したニニギノミコトの子供で、名目上は天皇家の先祖です。
 それでこの兄弟の物語ですが、ほかの世界の神話同様に兄弟同士で何やかんやとやりあう話です。旧約聖書で言えばアベルとカインの話に似ており、兄より優れた弟はいないと北斗の拳でジャギは言ってましたが神話では割かし弟のほうが優秀性を披露することが多いです。

 この二人はその名前同様にそれぞれ山と海とで獲物を狩って暮らしていましたが、ある日お互いの得物を交換しようじゃないかといって弓矢と釣り針を交換してそれぞれ出かけましたが、海に出かけた山幸彦ことホオリノミコトは兄から受け取った釣り針をなくしてしまいます。山幸彦は兄に素直に詫びて自分の剣を鋳潰して千個もの釣り針を代わりに差し出しましたが、兄の海幸彦ことホデリノミコトは「元の釣り針じゃなきゃ駄目だ(#゚Д゚) プンスコ!」と言って機嫌を直すことはありませんでした。嫌な兄ちゃんだ。
 困った山幸彦が海で途方にくれていると海から潮の神様が現れ、海神の宮殿に行けば何とかなるよと教えてくれます。その助言に従って山幸彦は海神の宮殿に赴くとそこで出会った海神の娘の豊玉毘売命と互いに一目ぼれし、海神の許可を得て結婚すると兄の釣り針のことなんか忘れて三年間楽しく暮らしていました。こっちはこっちで調子のいい弟だ。

 しかし海で暮らして三年後、何故だか突然釣り針のことを思い出した山幸彦は海神にわけを話して釣り針をのどに引っ掛けていた鯛から回収すると陸地に戻ろうとしました。山幸彦が戻る間際、何を思ったのか海神は兄の海幸彦への呪いを伝授し、山幸彦も何故だか言われた通りに釣り針を返す際に兄を呪い、そのせいで兄ちゃんの海幸彦はやることなすこと全部が空回りするようになってしまいました。怒った海幸彦(当然だ)は弟の山幸彦に襲い掛かろうとしましたがあらかじめ海神が山幸彦に持たせていた宝玉で見事に返り討ちに遭い、それからは完全に弟の家来のような身分になってしまいます。

 そうやって兄弟の争いに一件落着(?)した頃、海から豊玉毘売命が山幸彦の子供が出来たと陸に上がってきます。正直なところ山幸彦の子供かどうか怪しいものですが山幸彦はそんなの気にせずに出産の準備として小屋を建てたところ、豊玉毘売命は出産時は決して覗かないようにと言って出産に入ったのですが、覗くなと言われて覗かなかったら神話にならないだけあって山幸彦は言いつけを破って覗いてしまいます。ひい婆ちゃんの天照大神も覗き癖あったしなぁ。
 すると小屋の中ではさっきまでの豊玉毘売命の姿はなく、因幡の白兎以来の再登場となるワニがのたうっていて山幸彦は腰を抜かします。言うまでもありませんがそのワニこそ豊玉毘売命の真の姿で、見られた恥ずかしさから豊玉毘売命は生んだ子供を置いて海に出帰りしてしまいました。その時残された子供はウガヤフキアエズノミコト(鵜草葺不合命・盧茲草葺不合尊)といって、初代天皇である神武天皇の父となります。

 ざっとこんなところが山幸彦と海幸彦の話ですが、読んでてわかると思いますが恐らくこの話をベースに御伽噺の「浦島太郎」と「鶴の恩返し」が生まれたと言われております。成立年代からしてもそう考えるのが普通ですが、何故古事記の話を作った人はこうもワニが好きなんだろうというところがちょっと気になるところです。
 それでこの神話の意義ですが、婉曲に天皇家は山側の民ということが強く訴えられているように思えます。もちろん途中で海神の娘と結婚こそするものの、山側の民が海側の民を圧倒するということが全体を通して語られているように思われ、日本の山岳信仰などとも比較すると面白いかもしれません。

 ただここで話を現代人に戻すと、少なくとも今の世代の日本人は山国の人には悪いですが私は明らかに海洋民族的性質が強いと考えております。食生活では魚介類が当たり前のように存在しており、日本人のアイデンティティも地域にも寄りますが富士山以上に海への意識の方が強いと思います。
 特にそれをはっきりと認識するのはサッカーの国際試合で、全日本のユニフォームはヒロシゲブルーこと鮮やかな藍色がトレードカラーとして使用されており、日本の色はと聞かれるならやはりこういった海の色を私は連想します。

  おまけ
 うちのお袋に聞くと女性の出産シーンは何もワニに変身しなくとも相当すごい光景らしく、見る人によっては大きなショックを受けるそうです。何でも私の出産時にお袋が病院に入院した際、近くの病室で顔を合わせていた方が分娩に入ったそうなのですが、
「殺せー、早く殺せー!!。゚(゚´Д`゚)゚。」
 という戦争映画も真っ青なダミ声の恐ろしい叫び声が病院中に響いたらしく、後日その方と顔を合わせ辛くなったと話してました。

2011年5月29日日曜日

福島原発の海水注入中断報道について

首相の意向で海水注入中断…震災翌日に55分間(読売新聞)

 ほぼ先週いっぱい、上記20日のニュースが発端となった一連の報道が政界を大きく騒がせていたかと思います。このニュースは私が確認する限りでは読売が最初に報じたように思えますが、なんかいろいろネットを見ているとTBSが最初にやったともいう話もあるようで、さすがに細かい確認まで出来ないのでひとまず読売が活字メディアで第一報を告げたという前提で話を進めさせていただきます。

 ニュース内容を簡単に説明すると東日本大震災翌日の3月12日、事故を起こした福島原発への海水注入作業中に管首相が再臨界の可能性を懸念したことから55分間、注入が中断されたと報じられました。このニュースが発端となって本来適切な作業であった海水注入を中断して事態を余計に悪化させたとして自民党を始めとした野党は政府の糾弾を始めたのですが、率直に言って私はこのニュースを見た時に「火中の栗」と考え、多分自民は余計に騒いで罰が悪くなるのではと考えました。

 私がこのニュースを見て最初に疑ったのは、本当に海水注入中断があったのかということです。そりゃ確かにあの状況で中断していれば大きく叩かれることは目に見えているために中断してれば政府や東電は隠そうとするでしょうが、仮に隠そうとしても実際に隠し切れるかという点で疑問を感じました。仮に中断されていればそれこそ実際に注入作業をした人たちはそれを目にするわけですから下手すりゃ当日、遅くとも数日間内にこの中断の事実は報じられているはずで、どうして二ヶ月以上もたった今になってこの事実が突然出てきたのかという点で怪しいと感じました
 その上で真偽を強く疑わせたもう一点は、管首相が再臨界を懸念して中断を指示したという点です。こういっては何ですが私には管首相が状況に応じて即断できるほど決断力があるようには思えず、すでに実施されている作業を途中で止めるなんてことはまずしない、というかできないだろうと思いました。仮にそうだとしても東電側からの強烈なミスリードを受けてでしか考えられませんし、そもそも当時は政府側が早期の海水注入を東電に要請したところ東電側が渋っていたという報道を以前に聞いているだけにつじつまが合わないように思いました。

 その上でこの記事の信憑性を強く疑ったのか、どうも全体的に根拠がかけている点です。先ほど書いたように本当に中断がされていたのであれば現場の作業員らからの証言があると思うのに記事中にはこれが全く触れられておらず、また情報ソースも「政府関係者から」とだけしか書かれておらず、どうも出処が怪しいように感じました。注入中断だけの事実だけであれば「政府関係者」でもわかるでしょうがそれが管首相の意向によるものかどうかとなるとそれこそ大臣クラスや東電の幹部でなければわからないように思え、そのような人間がわざわざ自分たちに不利となるような情報を明かすとは思えません。

 極め付けが、この記事を書いたのが読売新聞だからです。読売新聞は自民党寄りのスタンスを取っていることは明々白々で、なおかつ原発についても推進派の立場から震災以後も社説などで管理を強くした上で増設するべきという主張を産経とともに繰り返しております。
 その読売が原発行政において不利となるようなこのようなニュースをどうして流すのかと考えると、やはり主目的は民主党の管政権を叩くためにあることは間違いありません。逆を言えば管政権を叩くためになりふり構わない報道をしてくると言われていただけに、この記事を見た時にはこれもその一種かと私は思ったわけです。現実にこれまで妙な批判の仕方をしていましたし。

 そんなわけで、ただでさえネタに困っていただけに普通であればこのようなニュースはこのブログで取り上げるのですが、この記事については信憑性が怪しいことから敢えて静観する立場をとりました。すると予想通りというかこの記事が出た翌日には管首相に再臨界の懸念を主張したとされる原子力安全委員会の斑目委員長が「そのような意味で言ったのではないし、中断を進言したつもりはない」と反応したのを皮切りに、管首相周辺もそのような指示はしていないと言った、言わないで事実関係が紛糾しました。その後も当時の状況についても報道が二転三転するようになり、細かく書いても仕方ありませんが大まかな流れで書くと、

1、政府の了承の元で海水注入が始まったのを政府が途中で止めた
2、実は東電側が政府に何も伝えないまま海水注入を始めており、管首相が懸念したのを見て東電側が中断させた
3、実は中断の指示が来てたけど、現場の吉田所長の判断で続けられていた

 という具合で、結局のところ最初の発端となった海水注入中断という事実自体がなかったというのが真相でした。自分は最初からこの一連の報道は怪しいとは思ってはいたもののここまでどんでん返しが起こるとまでは予想せず、自民党の大島幹事長なんか、「止めたのは菅直人首相だ。その結果、こんな大きな災害になったならば辞任するのが当然だ」とまで言い切っちゃってて、なんていうかもう少し事実関係確かめようとはしなかったのかと思います。読売だけに。
 結果的にこの報道のおかげで政界は約一週間にもわたって無用な議論を繰り返したことになります。ただ一つ、本当に海水注入中断があったかどうかを確認しさえすればよかったと考えると、実に余計な騒動を引き起こしてくれたものだなと感じます。

 最後にこの記事について、自分がデスクなら絶対にこんな根拠のはっきりしない記事は載せません。ただでさえ近頃の読売は原発や大連立関係になると妙な記事やはっきりしない報道を繰り返しており、管政権をよく批判していますが読売の方こそ私は近頃ガバナンス能力が欠けているのではないかと疑っています。私は何も読売が嫌いと言うわけじゃありませんしそのスタンスは悪くはないと思いますが、最近の記事はちょっと目に余るものが多いのでこうしてわざわざ記事にまとめました。
 蛇足ですが、多分来週以降は読売はこの件についてわざと触れないようにするのではないでしょうか。