古代史シリーズ第三弾です。何も反響がありませんが気にせず書いてきます。ぶっちゃけ書きながら勉強することが多いです。
さて山幸彦と海幸彦の話ときたら、名前くらいなら知っている方も多いと思います。実はこの二人は前回の天孫降臨のところで紹介したニニギノミコトの子供で、名目上は天皇家の先祖です。
それでこの兄弟の物語ですが、ほかの世界の神話同様に兄弟同士で何やかんやとやりあう話です。旧約聖書で言えばアベルとカインの話に似ており、兄より優れた弟はいないと北斗の拳でジャギは言ってましたが神話では割かし弟のほうが優秀性を披露することが多いです。
この二人はその名前同様にそれぞれ山と海とで獲物を狩って暮らしていましたが、ある日お互いの得物を交換しようじゃないかといって弓矢と釣り針を交換してそれぞれ出かけましたが、海に出かけた山幸彦ことホオリノミコトは兄から受け取った釣り針をなくしてしまいます。山幸彦は兄に素直に詫びて自分の剣を鋳潰して千個もの釣り針を代わりに差し出しましたが、兄の海幸彦ことホデリノミコトは「元の釣り針じゃなきゃ駄目だ(#゚Д゚) プンスコ!」と言って機嫌を直すことはありませんでした。嫌な兄ちゃんだ。
困った山幸彦が海で途方にくれていると海から潮の神様が現れ、海神の宮殿に行けば何とかなるよと教えてくれます。その助言に従って山幸彦は海神の宮殿に赴くとそこで出会った海神の娘の豊玉毘売命と互いに一目ぼれし、海神の許可を得て結婚すると兄の釣り針のことなんか忘れて三年間楽しく暮らしていました。こっちはこっちで調子のいい弟だ。
しかし海で暮らして三年後、何故だか突然釣り針のことを思い出した山幸彦は海神にわけを話して釣り針をのどに引っ掛けていた鯛から回収すると陸地に戻ろうとしました。山幸彦が戻る間際、何を思ったのか海神は兄の海幸彦への呪いを伝授し、山幸彦も何故だか言われた通りに釣り針を返す際に兄を呪い、そのせいで兄ちゃんの海幸彦はやることなすこと全部が空回りするようになってしまいました。怒った海幸彦(当然だ)は弟の山幸彦に襲い掛かろうとしましたがあらかじめ海神が山幸彦に持たせていた宝玉で見事に返り討ちに遭い、それからは完全に弟の家来のような身分になってしまいます。
そうやって兄弟の争いに一件落着(?)した頃、海から豊玉毘売命が山幸彦の子供が出来たと陸に上がってきます。正直なところ山幸彦の子供かどうか怪しいものですが山幸彦はそんなの気にせずに出産の準備として小屋を建てたところ、豊玉毘売命は出産時は決して覗かないようにと言って出産に入ったのですが、覗くなと言われて覗かなかったら神話にならないだけあって山幸彦は言いつけを破って覗いてしまいます。ひい婆ちゃんの天照大神も覗き癖あったしなぁ。
すると小屋の中ではさっきまでの豊玉毘売命の姿はなく、因幡の白兎以来の再登場となるワニがのたうっていて山幸彦は腰を抜かします。言うまでもありませんがそのワニこそ豊玉毘売命の真の姿で、見られた恥ずかしさから豊玉毘売命は生んだ子供を置いて海に出帰りしてしまいました。その時残された子供はウガヤフキアエズノミコト(鵜草葺不合命・盧茲草葺不合尊)といって、初代天皇である神武天皇の父となります。
ざっとこんなところが山幸彦と海幸彦の話ですが、読んでてわかると思いますが恐らくこの話をベースに御伽噺の「浦島太郎」と「鶴の恩返し」が生まれたと言われております。成立年代からしてもそう考えるのが普通ですが、何故古事記の話を作った人はこうもワニが好きなんだろうというところがちょっと気になるところです。
それでこの神話の意義ですが、婉曲に天皇家は山側の民ということが強く訴えられているように思えます。もちろん途中で海神の娘と結婚こそするものの、山側の民が海側の民を圧倒するということが全体を通して語られているように思われ、日本の山岳信仰などとも比較すると面白いかもしれません。
ただここで話を現代人に戻すと、少なくとも今の世代の日本人は山国の人には悪いですが私は明らかに海洋民族的性質が強いと考えております。食生活では魚介類が当たり前のように存在しており、日本人のアイデンティティも地域にも寄りますが富士山以上に海への意識の方が強いと思います。
特にそれをはっきりと認識するのはサッカーの国際試合で、全日本のユニフォームはヒロシゲブルーこと鮮やかな藍色がトレードカラーとして使用されており、日本の色はと聞かれるならやはりこういった海の色を私は連想します。
おまけ
うちのお袋に聞くと女性の出産シーンは何もワニに変身しなくとも相当すごい光景らしく、見る人によっては大きなショックを受けるそうです。何でも私の出産時にお袋が病院に入院した際、近くの病室で顔を合わせていた方が分娩に入ったそうなのですが、
「殺せー、早く殺せー!!。゚(゚´Д`゚)゚。」
という戦争映画も真っ青なダミ声の恐ろしい叫び声が病院中に響いたらしく、後日その方と顔を合わせ辛くなったと話してました。
0 件のコメント:
コメントを投稿