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2012年9月3日月曜日

月々の生活費(;´Д`)

 今日はちょっと真面目で書き応えのある社会ネタを用意していたのですが、ふと思い立った行動から別の内容を書きます。
 本日ふと、日本の口座貯金額がどれくらいあるのかと気になりました。早速三菱東京UFJダイレクトを使って預金額を確認しましたが、7月に生命保険の年払いがあったことを忘れていたため、ちょっと激しく動揺するくらいに減少してました。今すぐ首が回らなくなるというほどではなく以前からも予想はしていた額ではあるのですが、改めて口座の額面を見るとハッサンにせいけんづき喰らわされたかのように地味にダメージがでかいです。

 ここでやめとけばいいのにまた、「そもそも中国での生活費とか預金の伸びはどんなもんだろう」とまた余計なこと思いつき、これまでの収支を全部エクセルに入力して社会学仕込みの分析を行いました。その結果、家賃や保険代を除いた月々の生活費は2678.5元、日本円にして約32000円強であることがわかりました。
 生活費に関してはこれまでも一応、毎月食費は1000元程度、交際費などは2000元程度で合計3000元以下に抑えることを目標として掲げてきてはおりました。今回の分析結果からするときちんとその目標を達成しているのですが、冷静に考えるとなんで日本より物価の安い中国で毎月3万2000円も使ってるんだよと思えてきて、やっぱ限度額のラインを2000元に設定すべきだったかとやけに後悔しています。

 なお家賃代はこれまでが毎月3000元、保険代は年間6800元でこればっかはもうほんとどうしようもない必要経費ですが、家賃に関して言えば先月引っ越したのでこれからは毎月3200元にアップします。引っ越したと言っても同じサービスアパートメント内の別の部屋で、そもそも引っ越しの理由も前のオーナーが、「そろそろその部屋売るから出てって」というもので、先月はこの引っ越し関係で膨大な出費を迫られることとなりました。
 具体的に挙げていくと、新しい部屋の大家への初期費用として敷金+2か月分家賃前払いで9600元、不動産屋への仲介料として1000元、引っ越しを手伝わせた会社の後輩へのお礼を込めた昼食代178元、同じく晩御飯代112元(両方とも自分が食べた分も含まれるが)と、金額を事細かに覚えてるくらい多分納得いってないんでしょう。唯一の救いは前の部屋の大家が電気代を差っ引いた分の敷金と既に支払っている家賃を日割りで計算し、残り日数分をきちんと返却してくれた点で、事前の想定額以上の金額が返ってきました。これで今週末に日本に一時帰国してもある程度気にせず使えるとか思ってたら、保険会社から「次回3か月分の保険代1700元払ってください」という通知が来て、儚い夢と消えました。

 それにしてもお金の計算は気合や根性ではどうにもならない分、処理していていろいろ気苦労が多いです。なるべく予想は悲観的に立てているつもりですが、ちょっと預金額の増加率が想定を下回っているのでなかなかヘビーです。減っているわけではないものの、こういう時に最終的な帳尻を合わせるため想定ラインを引き下げるか、今後の支出を減らすかで人間2パターンに分かれる気がします。自分は間違いなく後者で、差し当たって外でコーヒー飲むのは今後控えようと思います。

2012年9月2日日曜日

自民、民主の総裁選について

 ある意味締めともいえる問責決議案が出たことによって国会での論戦は落ち着き、政治に関する話題の中心も自民、民主それぞれの総裁選へと移ってきております。特に自民党では早くも有力候補者が続々と出てきていることから、こちらとしても解説のし甲斐がある状況となりつつあります。

 まず現総裁の谷垣氏についてですが、普通に考えれば前回の参議院選も大勝しているのだし実績的には留任のはずですが、下馬評では再選は難しいと見られており私も多分負けると思っております。私自身もこれまでに何度も酷評しておりますが谷垣氏にはどうも政治家としてのセンスが全く感じられません。何か堅持している政策があるわけでもなく答弁を聞いてても政策に詳しいとも思えず、かといって敵失につけ込んで批判するという能力があるわけでもありません。それにこれまでの経緯を考えれば、仮に自民党の総裁がもうちょっとマシな人だったら既に民主党を解散に追い込んでいるとも思え、この前の問責決議案賛成も案の定というか身内からも批判されている始末なので多分支持する勢力なんていないでしょう。まぁそれを言ってしまえば、3年前の時点で自民党の議員はこの人を総裁に担ぎ上げるべきではなかったとも言えますが。

 では次は誰になるのかですが、現時点の有力候補とくればやはり安倍元総理が来るでしょう。ただ安倍元総理に関しても谷垣氏よりはマシとは言え私の中の評価は芳しくなく、出来ることならもうちょっと別の人に来てもらいたいというのが本音です。具体的に安倍総理のどの点を評価していないのかというと、確かに理念など政策方針は一貫しているところは高く評価できますが、これは理想の高い人物に共通して言えますがその理想を如何に実現するかという過程をあまり考えないところがあり、実行力に欠ける面がこの人にはあると思います。
 このまま黙ってコメント欄で突込みが来るのを待って一気に書き並べてもいいですがちょっと意地悪な気がするので先に釘さしとくと、確かに安倍政権時代は教育基本法改正など重要法案をいくつも可決させておりますが、それはあの時の議席状況が衆参共に自民党が安定多数を確保していた上、衆議院に至っては小泉元首相の遺産こと三分の二以上の議席があったからできたと断言できます。仮に今のねじれ国会の状況では当時の様な手法が通じるわけがなく、一回お手並みを見ているだけに、安倍元総理が総裁になって自民党が与党になっても途中で行き詰ることになるでしょう。

 このほか挙がっている候補だと石破元防衛庁長官や石原幹事長がおりますが、石破氏は政治家として高く評価はしておりますが総理よりも国務大臣が向いている気がし、石原氏に至っては谷垣氏と同レベルと見ております。あともう一人、安倍氏と同じ森派から町村元官房長官が立候補に意欲を示しておりますが、こう言ってはなんですが自民の議員は誰か止めてあげろよと言いたいです。そもそも町村氏はほかの候補と違い前回の衆議院選挙で落選し、比例復活を果たした議員です。多分次の選挙では普通に小選挙区でも当選するでしょうが、比例で復活当選した議員を総裁、ある意味では首相候補にするというのはいくら何でも民主主義を馬鹿にしているんじゃないかと言いたいです。もしこれが通るのであれば、国民から全く支持されていなくても比例でなんちゃって当選した人間が総理やってもいいことに繋がりかねず、日本政治史に汚点を残すことになるでしょう。これならまだ参議院議員が総理になる方がマシです。

 以上の様な観点から言えば、やはり自民党はタレント不足という一言に尽きます。ここで名前を挙げた人物はそもそも5年前から総裁候補と言われていた人物とほとんど同じで、人材の新陳代謝が全く起こっていないという証拠です。
 一方、民主党は自民同様にタレント不足のきらいはありますが、こっちは野田首相が続投する可能性が高く自民よりは権力構造が安定しているでしょう。ほかに民主党総裁の有力候補を挙げるとしたら前原氏や岡田氏が挙がってきますが両氏とも野田首相支持で固まっており、これまでの党内野党こと抵抗勢力の親玉だった小沢は既に出ていっており、そこそこ力があって反野田を掲げているのは鳩山由紀夫元首相くらいです。また先日に一部の民主議員が田中眞紀子氏を候補に上げてくるという報道がありましたが、十年前ならいざ知らず今の田中氏では神通力も通じるわけはなく、マスコミだけが大きく取り扱って敗北することになるとみています。

 総じていえば民主党が小沢を追い出したことで党内がカチッと固まってきたのに対し、自民党は総裁選含みで分裂とはいかないまでも不安定な状態が続くことになり、後々の政局に影響を及ぼすかもしれません。それにしても野田首相は就任した際ははっきり言って「誰この人?」って私も思いましたが、中国の新聞にも「自称ドジョウ」と書かれているだけあって近年の首相と比べてタフであるのと、まだ方針が見えてくる人で私の中の評価もうなぎ上りです。恐らく次の総選挙ではよほどのことがない限り民主党は大敗して野田首相も下りることとなるでしょうが、次の首相候補にこれという人物がいない分、時間が経つにつれ野田首相の評価は高まるんじゃないかと考えております。

 それにしても今日のこの記事はウィキペディアもニュース記事も全く見ずに一気に書きましたが、故水野晴郎じゃないですが「政治って本当にいいものですねぇ」と言いたくなってきます。私なんか単純に娯楽として見れるくらい書いたり考えたりするだけで楽しいのですが、昔友人にも「絶対お前仕事間違えてるよ(当時ガス屋)」と言われましたが、なんだか最近そんな気がしてきます。

 ついでに書いておくと、水野晴郎つながりで最近のテレビの映画ロードショーでは昔みたいに解説がないのが地味に寂しいです。淀川長治さんの解説など当時はあまり意識しませんでしたが今思い出すとやっぱあった方がいいように思え、お笑い芸人のウッチャンなんか映画に詳しいんだから「笑う犬の冒険」でやっていたミル姉の時みたいにまた解説やってくれないかな。あの衣装で日曜洋画劇場に出てきたらある意味すごいが。

2012年8月31日金曜日

ゲームレビュー「ファイナルファンタジータクティクス」

 最近また固い話ばかり続いているので趣味の話でもしようと思い、恐らく友人も待望していることから「ファイナルファンタジータクティクス」について一筆書きます。

ファイナルファンタジータクティクス(Wikipedia)

 このゲームは初登場時の天津飯くらいにゲームソフト会社のスクウェアのブランドイメージが最も高かったころに発売されたとあって、国内販売本数はシミュレーションゲームとしては現在においても最高を記録しております。これほどまでに売れた理由はやはりゲームブランドとしては恐らく最大級の「ファイナルファンタジー」の名をタイトルに関していることが大きいでしょうが、ゲーム内容も高く評価されており、名実揃った内容であったことがヒットの要因でしょう。

 ではそんなこのゲーム一体どんなゲームかというと一言で言えば、「家畜に神はいない!」といったところでしょうか。このセリフはゲーム中にとある人物が叫ぶセリフなのですが、その殺伐ぶり、切り捨てぶりがプレイヤーによって高く評価されこの前もネットの掲示板で、「クレーマーにお客様は神様だろと言われたらどう切り返す」という問いに対し、「社畜に神はいない!」という書き込みをした人がおりました。現にこのゲームをやっている人間なら誰もが覚えていると言っていいセリフで、関係ないところでつぶやき相手の反応を見るだけでプレイしているかしてないかがわかるくらいです。

 簡単なストーリー内容を説明すると、中世ヨーロッパ、というか百年戦争とその後に起こった英王室の薔薇戦争をモデルにしたファンタジーなのですが、途中からは化け物に返信する人が出てきたりと私自身も非常に面白いと感じるストーリーとなっております。特に私に勧めてきた友人なんか、「これをやれば花園君もキリスト教を信じなくなる」と言ってくるくらいで、いわゆる教会こと宗教勢力の陰謀と暗躍が話の柱になっています。
 私は大学時代にその友人から借りることで一度プレイしましたが、ゲームの攻略が非常に難しい上にいまいち乗り気になれず一旦は放棄してしまいました。しかしその後、プレイステーションアーカイブスでダウンロード販売していることを知り、友人もいまだに勧めてくるもんだから思い切って買って今度はきちんとやり遂げました。

 エンディングを見終わった後の感想としてはストーリーに関しては言うに及ばず、というか非常に殺伐とした内容で知人などは「救いが全くない」というほどのハードコアな締め方で私も好感を持ちました。一方、ゲームシステムに関してはキャラクターをどう育てるか、どんな戦術で相手を倒すのかなどやりこみようがあって良くできていると思うものの、ストーリーを進める上で雑魚敵とのレベルアップが多くの場面で必要になり、しかもそれが長くかかるというのがやってて何とも苦痛でした。しかも後半にパーティに加入してくるメンバーに至ってはドラクエ6のドランゴ引換券ことテリーと同じく、全く能力が育っていないことから使おうにも使えないという扱いで、この辺はもう少し気を使ってくれてもいいんじゃないかと思いました。

 このほか特に書くことはありませんが現代のRPGと比べて、90年代のゲームはストーリー構成がしっかりしているという印象を受けました。今に始まるわけじゃありませんが、RPGに必要なのはCGではなく洗練されたストーリーであるということだとつくづく思います。なおストーリーのいいRPGとなると私なら、「ヘラクレスの栄光3」と「クロノトリガー」、あとスケールの大きさなら「真・女神転生2」といったところを挙げます。


2012年8月30日木曜日

戦時中に日本が犯した人体実験

 誠に恥ずかしいながら、今年の終戦記念日に載せられたニュース記事を見て初めて下記の事件の内容を知りました。

九州大学生体解剖事件(Wikipedia)

 事件の概要を簡単に説明すると、1945年5月に日本を爆撃するため九州に飛んできた米軍のB-29が日本側によって撃墜され、搭乗員の米国兵士12名が捕虜となりました。この捕虜の扱いに困った日本軍は九州大学の医学部教授らの提案に従い、12名のうち8名を生体解剖、いわば人体実験に使用することで殺害しました。
 生体解剖するに当たって麻酔などが使用されたかどうかは定かではありませんが、結局のところ実験大将となった捕虜らは生きて帰るなく全員死亡しました。戦後にGHQがこの時の捕虜の処遇を調査したことによって初めて事実が明らかとなり関係者らが一斉に逮捕されましたが、首謀者の一人である石山福二郎教授は獄中自殺したことから、周辺関係者5人に絞首刑が判決され、そのほか立ち会った医師ら18人が有罪判決を受けることとなりました。ただ判決後に朝鮮戦争が勃発したことから、対日感情を考慮した米軍によって絞首刑判決者は獄中自殺した1名を除くすべて恩赦を受け後に出所しています。

 この事件の矛盾点は関係者も手記に記してありますが、本来人の命を守るべき医師が実験と称して奪う側に回ったということです。殺害された米兵らは健康診断を受けるものと思っていたらしいですが、非常にむごたらしい結果となったというよりほかがなく、また事件が調査され裁判は行われたものの政治的判断から減刑されたというのもなんとも皮肉なものです。

 歴史に詳しい方ならそろそろ頭に浮かんでいる頃かと思いますが、戦時中に日本が関与した人体実験とくれば何をおいても真っ先にあの悪名高き731部隊が挙がってくるでしょう。

731部隊(Wikipedia)

 先日も知人に731部隊について講義を行ってきましたが、この部隊の所業について私くらいの世代の日本人は大概がその存在すら知らないでしょうが、事件の舞台となったここ中国の人間は意外に多くの人間が知っており、過去にはこの部隊に関連して大規模な日本製品ボイコット運動も起こっております。
 そんな731部隊というのはどんな部隊かですが、上記の九州大の事件と同様に人体実験を行った、それも長期にわたって比べ物にならない人間を対象に行っています。色々と真偽について現代で疑問が出ていますが森村誠一氏がまとめた著書「悪魔の飽食」によると、部隊があったのは中国東北部にあるハルビン市で実験の対象とされたのは中国軍の捕虜や逮捕されたスパイで、中にはロシア人も含まれていたそうです。私が覚えている内容ですと12歳くらいの少年が麻酔をかけられ意識を失った状態で手術台に運ばれてきて次に手術室から出てきたときはすべての内臓が取り出されていたということや、拘束した状態で真冬に水の入ったバケツに足を入れさせ、凍傷となる経過を観察したといった行為があったそうです。

 仮に人道に対する罪があるとすれば、先の九州大学の事件同様にこの731部隊の所業こそが最も当てはまると私は思います。しかも九州大の事件はまだ正式に裁判が行われたものの、この731部隊については人体実験データを米軍に提供することで関係者らへの裁判はおろか処分は一切行われずに放免となりました。ただ悪い行為は悪い結果につながるというべきか、この時のデータから開発された血友病患者への非加熱製剤は後に薬害エイズ事件を引き起こすことになります。

 731部隊に関して既に政府も中国に謝罪しておりますが、真面目にこの件に関して私は今後も中国に対して謝罪し続ける必要があると思います。何故謝罪し続ける必要があるのかというと被害者を出した中国に対する申し訳のなさ、行為の残虐さもさることながら、人間はたがが外れるというか集団の異様な空気に飲み込まれると、日常からは考えられない行為を平気で行ってしまえるという教訓を意識し続ける必要があるからだと思うからです。
 先日も私は意思の強さというか空気を敢えて読まないこと、空気に支配されない人間の必要性みたいなことをわけがわからない文章で書きましたが、人間というのは本当にちょっとした環境の変化で倫理観などが一気にすっ飛ぶ危険性があると感じます。宮沢賢治じゃないですが、たとえ人生で損し続けるとしても、本当にあるかどうかはわかりませんが自分は自分の意思を保ち続けていたいというのが密かな願いです。

2012年8月29日水曜日

野田首相への問責決議案可決について

 昨日はまた帰宅が夜遅くだったので今日に丹羽中国大使公用車のビーチフラッグ事件でも書こうかと思っていましたが、また日本の国会で動きがあったのでこっちを優先して書くことにします。それにしても会期末ということもあり、このところ政治ネタには事欠かない。

野田首相の問責を可決、3党合意批判で公明棄権(産経新聞)
<首相問責可決>焦点、9月の党首選へ(毎日新聞)

 敢えて産経と毎日の二社の記事をリンク貼りましたが、記事の質で見るなら今回私は産経に軍配を上げます。あまり同業の批判はどうかというか、もし自分がされたら短気なサイヤ人もびっくりなくらいに怒るのでしょうが敢えて苦言を呈すと、毎日の記事は問責可決という内容についてはあまり深く触れず、民主党、自民党それぞれの代表選の話を長々書いていて、どうも何を言いたいのか焦点がぼやけた記事になっているように見えます。しかもその総裁選話も政治家候補の名前を片っ端から挙げるだけあまり参考になるような話じゃないし。

 ひとまず本題に戻りますが、リンクに貼った産経の記事に書かれている通りに本日、野田伊首相に対する問責決議案がかつての福田元首相の時のように参議院で可決しました。ただこの問責決議案には強制力がなく、福田元首相時代も思いましたけど茶番としか思えず、こんなのやっても倒閣にあまりつながらないのだしもっと必要な議論を優先しろと野党には言いたいです。小泉元首相の時代は彼の発言がよくパフォーマンスだと言われましたが、この問責決議案こそパフォーマンス以外の何物でもないでしょう。

 ただ今回の問責提出はみんなの党とか中小野党が出すのはまだ理解できますが、今回この決議に自民党が賛成に回ったというのは私はどうにも腑に落ちません。産経の記事には書いてませんが午後7時のNHKニュースで自民党は今回の賛成理由について、「内政、外交面で野田政権は日本に対して大きな損失を与え続けている」と発表してましたが、TPPの問題でもそうですがこの手の議論に自民党は発言する資格は全くないと言っていいでしょう。まず内政というか財政についてはこれまで借金を重ねてきたのは自民党にほかならず、外交に関してもこれまで領土問題を棚上げにして問題を先送りしてきたし、挙句に今日出ている中国の新聞にもリアルに出てくるかの有名な「河野談話」を出した議員はどこの政党だと言いたいです。今の野田政権の外交が正しいかどうかは議論の余地があるものの、少なくとも今起こっている問題の種は野田政権が蒔いたものではなく自民党が蒔いたものだとははっきり言え、もうちょっとまともな賛成理由を出せよなと個人的に言いたいです。

 また今回のポイントは、自民党は野田政権の一体改革法案に対して賛成するというか協力することを公明党と一緒に合意(三党合意)していたという点です。こうした背景から今回公明党は決議を棄権しましたが自民党は野党と共に賛成票を投じており、民主党の前原議員が言っている通りにこれは明確な合意違反じゃないかと私も思います。前原議員はさらに踏み込んで、自民党が約束を破ったのだから近いうちに解散するという取り決めも無効化すると言っていますが、この点に関しては私も民主党の肩を持ち、もう無視してもいいと太鼓判を押します。
 そもそも解散時期を巡って自民党というか谷垣総裁の対応は見ていて呆れてきます。仮に合意を結ぶ前であれば一体改革法案に賛成する代わりに明確な解散時期を要求するのはあり、というか本来ならこの時期に要求するべきなのですが、合意を結んで衆議院で可決した後になって解散を約束しなければ参議院では賛成しないというのはなんか順番が違うのではと思えてなりません。挙句、具体的な時期こそ明らかにしなかったものの野田首相が一応解散を約束したそばから今回こうして問責決議に賛成するなんて、ちょっと都合よすぎないやしないかと思えてきます。

 更にもう一言を加えれば、今回の問責が終わってしまえば野田首相を攻撃する材料はもうなくなるのではないかと思います。これは即ち今後の政局のイニシアチブは完璧に野田政権が握ることとなり、解散の時期決定はもとより国会閉会後の外交などかなり好き勝手動けるようになるという予想に繋がります。どうもこのところ小沢一派を追放したのが効いているのか野田首相もかなり独自色を出せるようになってきており、その手腕をこちらとしてもぜひじっくり見てみたいところです。

2012年8月27日月曜日

平成史考察~牛丼の販売停止(2004年)

 昨日から始めたこの「平成史考察」ですが、今日は昨日の日本でのBSEに続く形で米国でのBSE発覚とそれに伴う牛丼の販売停止騒動について書いていきます。本当は昨日の記事にまとめて書きたかったのですが、思ったようなリブ告発の話に私腹を取られてしまい分けることとなりました。

 事の発端は2003年末、既にBSEを発症した牛が確認されていた米国に対して安全基準が緩かったことから、日本政府は米国産牛肉の輸入禁止措置を取りました。ちなみにこの2003年末で今思い出せることというと、確か12月23日に友達集めて秋刀魚を焼きながらクリスマスパーティをしたということです。この年の秋刀魚はいろんな意味でおいしかったが、3尾まとめて買ってきて3日連続で夕食に秋刀魚を食べた直後はなんか辛かった。

 話を戻しますが米国産牛肉の輸入が停止されたことを受け、主材料としてきた牛丼販売チェーン各社は文字通り大打撃を受けることとなりました。当初は備蓄があったため販売が続けられましたが、翌2004年には各社で販売を打ち切り、代替メニューとして豚丼をはじめとした新商品が販売されることとなりました。
 こうさらっと書くといまいち緊張感がないのですが、人間というのは食べられなくなるとわかると途端に食べたくなるというべきか、販売停止が発表されるや各店舗に「食べられるうちに食べておこう」とばかりに大勢の客が押し寄せる事態となりました。その時にどれだけ混乱したかをうかがわせるエピソードとして吉野家のウィキペディアを除くと、販売停止直後の2月には茨城県と長崎県の店舗でそれぞれ、「なんでやめちゃうんだヽ(`Д´#)ノ」と酒に酔った客が暴れて逮捕されております。どんだけ牛丼食べたいんだよって言いたいです。

 当時の私から見た印象ですが、代替メニューはやはり代替でしかなく、周囲を見ても牛丼を売っていた頃と比べて足を運ぶ回数は減っていたと思います。大体メニューの中でも初めに出てきた豚丼なんかは今でも販売されてそこそこ成功している方ですが、当時は吉野家、松屋、すき家ともにカレー丼とかハンバーグ丼とかいろんな新メニューを出してきましたが、やはりどれも定着しないというか次々と入れ替わっていました。私自身はあまり牛丼屋に行かない口だったので今思うともう少しメニューを試しておけばよかった気がします。

 恐らくこのように大体メニューでは以前の売上げが取り戻せなかったことから、ゼンショー陣営の松屋とすき家ではそれぞれ中国産、オーストラリア産牛肉を代わりに使うことで比較的早くに牛丼の販売を再開しました。それに対して吉野家は頑ななまでに米国産にこだわり、輸入が再開されるまで牛丼はとうとう復活しませんでした。これについては初めから吉野家の総意だったらしく、1980年に一度倒産した際にコストダウンのため安い食材を使うレシピにしたところさらに売上げが減少し、また従業員もやる気を失ったという苦い経験があったことから、何が何でも米国産レシピを守るという意気込みだったそうです。

 最終的には2006年に米国産牛肉の輸入が解禁されたことで牛丼は完全に復活し、この大手三社は現在も営業を続けるなど元の鞘に収まった形です。影響としては各牛丼チェーンのメニューの多様化が進んだことと、普段食べられる食品ほど食べられなくなると暴動みたいな状況になるという教訓でしょうか。
 なお日本で牛丼の販売が停止されていた2005年、私は北京に留学中でしたが北京の吉野家で牛丼を食べております。今思い出すにつけ、あの時食べた牛丼の牛肉はどこの国の物なのか、ミステリーです。

2012年8月26日日曜日

平成史考察~BSE騒動(2001年)

 以前から平成史をトピックごとにまとめて書きたいと考えていたので、本日より不定期にこの「平成史考察」という連載を開始します。イメージ的には昔やっていたテレビ番組「所さんの20世紀解体新書」みたいな具合で平成時代におけるヒット商品や象徴的な事件を自分の視点と共に扱っていこうと思っています。
 そんな栄えある第一回は、恐らく多くの人が「そんなのあったなぁ」と思うのではないかと思うBSE騒動を紹介します。

BSE問題(Wikipedia)

 BSEというのは正式名称は牛海綿状脳症で、通称として狂牛病と呼ばれております。ウイルス性の病気ではなく諸説出ておりますが現時点ではタンパク質の変異によって起こる病気とみられており、感染した牛の特定部位を食べることで人間も感染することが確認されております。といっても感染確率は非常に低く、また脳や脊髄といった特定部位以外であればほぼ感染しないといわれておりますが、この病気の何が怖いかというと艦船から症状が現れるまで5~15年以上はかかると言われており、いつどこで食べた物が原因なのか感染源がわかりづらい、知らないうちに感染しているという可能性が恐ろしがられております。
 このBSEが初めて大きく注目されたのはイギリスで、感染死亡者もイギリスに集中しております。なお余談ですがBSE感染牛が龍注していた頃のイギリスに渡航経験のある日本人は献血が禁止されており、時期が違ってもイギリスに渡航していればいろいろと細かく確認されます。私自身も2004年にイギリスに行ったことがあり、献血の度にきちんと申告して面談を受けておりました。

 このBSEが日本で初めて大きく取り挙げられたのは2001年で、国内で初めて感染牛が見つかったことからでした。感染ルートはイギリスで感染していた牛が処分された際、ミンチにされ肉骨粉と呼ばれる飼料となり、それを日本の牛が食べたことから感染したと言われておりますが可能性は高いと言ってもはっきり言って確証はありません。
 当時、一頭目が見つかった際のインパクトは非常に大きく、テレビ番組から書籍までBSEの症状やイギリスの事例の解説など文字通り一色となりました。またその後の追跡調査で立て続けに全国で感染牛が見つかり、感染牛を確認した獣医師が自殺するなど軽いパニックと言ってもいい状況だったと私も記憶しております。

 このパニックで影響を受けたのは言うまでもなく牛肉を取り扱っていた酪農家や外食産業で、各地の焼肉屋では閑古鳥が鳴きスーパーでも高級牛肉が安値で買い叩かれるなど、今思うと凄い状況でした。ちなみに地元の焼肉屋はこういう時こそ支えねばと当時の休日はうちの親父とよく訪れ、また高級牛には肉骨粉のような安いエサは使わないだろうから飛騨牛をお袋に毎日買ってこさせてたらふく食べてました。当時から十年経ちますがまだ症状は出てないから大丈夫だと考えてるけど。

 話は逸れましたが当時は国産牛を使った料理は完全に締め出されたと言ってもいい状況で、関連する業界では倒産が相次いだと言います。こうした状況から政府も救済策を出し、国産牛に限って政府が全量を買い取るという措置を出したところ、皮肉なことにこれがきっかけで雪印乳業のグループ会社であった雪印食品は倒産する羽目となりました。
 雪印食品はちょうどBSE騒動が起こる前年の2000年に雪印集団食中毒事件を起こしていたことから経営状況が悪く、制度を悪用する形で外国産の牛肉を国産と偽り政府に買い取らせようと図りました。もっともこの企みは雪印食品が偽装に利用しようとした冷蔵会社の西宮冷蔵から内部告発を受け発覚し、元々悪かった企業イメージが完全に潰れてしまいそのまま倒産へと追いやられることとなりました。ただこうした偽装工作は雪印食品に限らず、日本ハムも行っていたことから大なり小なりであちこちやられていたのが実態だと思います。日本ハムもこの時に企業イメージが相当悪くなりましたが、傘下球団のファイターズに2004年、新庄剛志選手が入団して劇的にイメージが刷新されたとうちの親父が分析してますが、私もこればっかりは親父の言う通りだと思います。

 少し話が長くなりますが、この時の牛肉偽装でハンナンの浅田満元会長も2004年に逮捕されることとなります。私も以前にブログで記事を書きましたが浅田氏は知る人ぞ知る部落団体の幹部で、彼が事件で逮捕されることはおろかメディアに名前が出ること自体がある意味奇跡だったという指摘があります。また私見ながら浅田元会長の逮捕以降、奈良、大阪、神戸の部落三都物語ともいうべき部落出身の市役所職員の問題行動が急にメディアで報じられるようになり、この牛肉偽装事件が一つのブレイクスルーとなったのではないかと私は見ております。

 あともう一件、これは雪印食品の事件ですが内部告発を行った西宮冷蔵ですが、告発後に偽装に関与したとして7日間の営業停止命令を受けることとなりました。営業再開後も取引先からの受注はなくなり、本当に変でおかしな話としか言いようがありませんが不正を許さずに内部告発をしたがゆえにそのまま休業へと追い込まれることとなりました
 私はこの事実を後年にテレビで報じられたドキュメンタリーで初めて知りましたが、正直に言ってショックでした。西宮冷蔵の社長によると、従業員が雪印食品の強い懇願を受けて独断で偽装工作に手を貸したそうですが、朝日新聞がそれを嗅ぎ付けて接触してきたことから初めて事実を知り、当初は雪印食品に「国産牛と外国産牛を間違えてしまった」と申告させることで穏便に済ませようと図ったそうです。ただこの提案を雪印食品は拒否し、告発すれば会社は多大なダメージを受けることはわかっていたもののそれでも告発に踏み切ったそうです。なお告発後、雪印食品の社員は謝罪に来られたそうで、社長が言うには「怒られるかと思っていた」そうです。

 その後の西宮冷蔵ですが、梅田駅前でカンパを募り見事に営業再開にこぎつけ現在も活動を続けております。ただ現在においてもそうですが日本は内部告発者を保護する法律がなく、むしろ情報遅漏罪で捕まりかねないくらいに法整備が遅れております。ウィキペディアを見ますとやはり今でも内部告発者の指名を告発対象者にばらすなどといった事例が相次いでおり、十年前から何も変わっていないのかとげんなりさせられます。先の部落問題といい、本筋とは別に現代社会に通じるものが多い事件だったというのがこのBSE騒動に対する私の感想です。