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2017年2月13日月曜日

流行り物なき近現代

 最近社会批評書いてないので今思いついたものをありのまま(れりごー)に書くと、日本に住んでないでいうのもなんですが、最近日本で流行り物ってないなぁって気がします。一応日経トレンディとかが毎年まとめていますがブームと呼べるような商品やサービスは報道を見る限りだとほとんど見られず、また流行語大賞もここ数年の反応を見ていると満場一致というか誰もが「流行っている」と頷くような言葉がなく選考する側もやや苦心して選んだような跡が見られます。

 流行り物がないのは社会が多様化したからだという風に説明することも一応は可能ですが、内心ではそうでもないんじゃないのかなというのが私の意見です。というのも中国で暮らしていて市民が関心を持ったり誰もが興味を持って流行るものというのが毎年きちんとあったりして、たとえば最近だとどこでも乗り捨てできるレンタサイクルの「mobike(モバイク)」が話題で、中国人と話しをしていてもよくこの単語が出てきます。
 なんていうか、日本人と話をしていてもよく話題になる単語がどうしても出てこないという感じがしてなりません。誰にでも共通できる話題が少ないというか、各人それぞれの趣味や嗜好に合わせて話題を選ばなければならない煩わしさが少しあり、だから人間関係とかも日本だと偏りがちになったりするのかななどとも思うところがあります。もっとも私の場合、どんな話題にも対応して食いついていく自信があるのでその限りではありませんが。

 時たま私はこのブログで「平成史考察」という見出しで近現代史を取り扱いますが、単刀直入に言って現在に近い年代になればなるほど書き辛くなるという違和感を覚えています。理由ははっきりしており上記の通り各時代を映す鏡のような話題がないためで、直近だとせいぜい言って「STAP細胞」くらいしか書けないのではないかという気すらします。
 それこそ90年代くらいであれば酒鬼薔薇事件とか神奈川県警の不祥事、アムラーやコギャルと援助交際問題など題材に取り上げるテーマは枚挙にいとまがありませんが、2010年代に入ってしまうと東日本大震災など大規模災害を除けばほんとに書くネタがありません。もう少し熟成するのを待てば「イナズマイレブン」とか「妖怪ウォッチ」が書けるようになるかもしれませんが、現時点で近現代史として取り扱うにはやや無理があるでしょう。

 なんでこのようなことを記事にするのかというと、単純に危機感を覚えるからです。流行り物がない即ち社会に活力がなくなってきていると言い換えてもよく、流行る商品やサービスを企業が作れないことはおろか大衆消費者行動に結びつかない点でも社会として弱っているのではないかと思えてならないからです。
 そう考えると、流行りだした頃は正直いい気分しなかった恵方巻きなんかはまだ年度の消費者行動として定着させただけでもマシだったかもしれません。個人的には納豆巻きの方が好きだから太巻きじゃなく納豆巻きだったらもっと応援していたのですが。

2017年2月12日日曜日

派遣マージン率記事取材の舞台裏~ライクスタッフィング編

 昨日に引き続き、前に出した派遣マージン率に関する記事の取材における舞台裏を書いてきます。今日は取材を完全拒否してきたライクスタッフィング(旧ジェイコム)についてです。

 ここには都合、二回ほど電話をかけており、一回目の電話で相手になったのは比較的声は若そうな女性でした。代表番号にかけて出てきたので恐らく総務スタッフではないかと思うのですが、広報につなげてほしいとすかさず、「現在外出中で戻りません」と即答。ならばといつ戻るのかと尋ねたら、「予定が不安定なためわかりません。明日以降も同様です」という風にすらすらと答え、この時点で「手ごわい。こいつ、エースだ……」と感じました。

 最終的な結末はともかくとしてこの時の女性の受け答えは企業広報(恐らくは総務スタッフではあるけど)としては非常に理想的です。具体的にどこがいいのかというと断言している点で、たとえば先程の回答で「今日は恐らく戻らないかも」という回答なんてしたら、「今日中に戻る可能性は有るんだな。だったら携帯にでもかけて夕方前に必ず返事寄越せ」というツッコミを出す隙を与えてしまいます。
 その後の回答も完全に「無理」と言わんばかりに全部断言口調で、曖昧に回答されるのと比べると記者側からしたら非常に攻めづらい相手でした。それでも一応嫌味半分で、「常にオフィスにいない広報なんてあり得るんですか?それで仕事回せますか?」と攻めかかってみたものの。「ええ、頻繁にグループ会社間を回ってるので」という風に返されるなど、正直手も足も出ませんでした。

 仕方ないのでならメールで聞いたら回答してもらえるかと尋ねて、「それであれば担当者にお伝えしておきます」という風に話をまとめられたこともあり、質問を後ほどメールで送るから返信をくれと伝えて第一ラウンドを終えました。
 恐らく、「フリージャーナリスト」と私が名乗った時点で広報には繋げないように判断したのではないかと思います。悔しいですが大手メディアと比べると中小メディアではこういうことは多々あり、取材を暗に拒否されることも少なくはないのですが、こと断り方に関してこの時の女性は非常に手ごわく、ここ数年で相手した中では間違いなく最強でした。ほかの会社で広報している方にもお伝えしますが、回答は基本的に断言口調で二の句を次がせない言い方のが強いです。

 その女性との激しい一騎打ちから一週間後。いくらか想像はしていたもののライクスタッフィングからはメールの返信は来ませんでした。やっぱりと思いつつまたあの女性と第二ラウンドに臨める、今回はメールでの返信もなかったことから攻める材料も十分だし今度は負けないぞとばかりにいくらか楽しみな気持ちを持ちつつ電話をかけたところ、生憎電話に出たのは前回の女性とは別の比較的若い男性の声でした。
 今回も電話に出るや取材のため広報につないでほしいと開口一番に言うと、その若い男性は一旦電話を置き、相談でもしてたのか戻ってから、「すいません、広報担当者は今外出中です」とまたも同じ返事を出してきました。しかし今回は二回目の電話、しかもメールの件もあるので、「先週電話をかけた時も同じ回答でした」と述べた上で、既に質問メールを送っている、質問内容は貴社のコンプライアンス違反である、このまま全く広報を出さないなら取材拒否としてこちらは扱うと強い口調で述べたところ、「しょ、少々お待ちください」と、少しよろめいた様な口調で再び電話を置きました。

 しばらくしてから別の人間、今度はやや年かさを感じる女性が電話に出て、用件は何かと私に尋ねてきました。しかしこの時点である程度結末は予想していたので「御社は広報がいつまでたっても出てこない、メールで聞いても返事こない」と伝えた上で、「真面目に答える気あるのか?」と、一言を入れました。これに対しその女性は、「代わりに私がお伺いします」というのですが、「あなたであれば私の質問に答えられるのか?」とまた強い口調で言うと、一瞬ためを置いて、「回答できるかどうか、まずはご質問を伺えればと思います」というので、質問してやりました。
 質問内容はこれまでも書いてきている通り、派遣マージン率を何故公開しないのか、コンプライアンス的にどうなのかというこれまでもいろんな会社に繰り返してきた内容を伝えたところ、「誠に申し訳ありませんが、ご回答しかねます」と、案の定回答を拒否してきました。

 ただこっちとしてはマージン率を公開していない企業が悪質だという風に書ければ問題なく、またほとんど想定通りの対応だったため話を締めようと、「では、取材拒否として受け取ってもよろしいでしょうか」と最後に確認した所、「構いません」と即答され、最後に「ご協力(されてないけど)ありがとうございました」と言って第二ラウンドを終えました。

 第二ラウンドはともかくとして第一ラウンドは触れられたくない情報を隠す上ではほぼ理想的な対応と口調であったことから、マイナビに比べればまだメディア対応はしっかりした会社だなというのが私の感想です。とはいえ第二ラウンド、ひいては広報を全く出さないのはやはり問題で、取材や回答を拒否するなら拒否するでメールで返答しておけばリスク回避の上でも有利なのにその辺の詰めの甘さは感じます。メールで拒否しておけば電話かけられても、「既に返信した通りです。以上」と切れるのに。

 こうした対応だったからなるべくとっちめたかったのが本音ですが、肝心のマージン率の記事がそれほど反応がよくなく、どちらかといえば今回は私が敗北したとみるべきでしょう。情けないことを承知で敗因を述べると、Yahoo記事のコメント欄を見ていて感じたこととしてどうも、派遣労働者当事者の反応が薄いというかあんまり読んでないのではと感じる節があり、これまでのマージン率関連の記事全体でもそうですが、部外者の人間しか読まない上に当事者が反応ないということでこの問題はいまいち盛り上がりに欠けてしまうのではという気がしてなりません。

2017年2月11日土曜日

派遣マージン率記事取材の舞台裏~マイナビ編

人材派遣会社の派遣マージン率を調べてみた(JBpress)

 知ってる人には早いですが先月にこのブログでも記事書いたマージン率記事をJBpressさんの方でも出してもらいました。ただこちらは「派遣マージン率とは何ぞや」という最初の説明からしたため、記事全体であまり尖がった主張が出来ず自分としてもうまく書き切れなかったとやや反省しています。
 ただこちらの記事ではブログ記事とは違って、マージン率を未だにサイト上で公開していなかったマイナビ、そしてライクスタッフィングに対する取材内容を掲載しております。取材で得た内容については直接記事を見てもらえばいいですが、今回はその時の取材の舞台裏というか両社がどういった対応だったのかと合わせて企業広報のあるべき姿、それと普段の経済部記者のお仕事を軽くレポートします。両方一緒に書くとしんどいので、今日はマイナビです。

 マイナビには一月中旬、サイト上で「広報部」と表記のある電話番号へ直接国際電話をかけました。でてきたのは女性の担当者で、自分は派遣会社のマージン率を調べているのだが、マイナビはガイドラインに反してサイト上に情報を公開してないがこれはどういう意図なのかと直接問いただしました。すると向こうの回答は、

「誠にお手数ですが、メールにてご質問いただけないでしょうか」

 っていう内容でした。この回答に対して私はすぐにはいわかりましたとは言わず、現時点で法律に対しマイナビが明確に違反していると指摘した上で、何も難しい事聞いてるわけじゃないんだから今ここで答えられるはずだと言い、あくまでその場での回答を求めました。ついでに、前年一月にメールでマージン率の開示を要求したにもかかわらず返信を寄越さなかった件についても触れ、「メールで聞けと言いながらあんたらはこちらの問い合わせに対して返信すらよこさなかったじゃないか。言われた通りにメールで質問してあんたらがきちんと回答してくれる保証はないどころか、回答をしなかった前科があるんだぞ」と述べ、今ここで答えるように再度要求しました。

 少し声のテンションを上げたこともあって向こうも警戒感を強めたのが、「少々お待ちください」といって一旦電話から離れました。恐らくはほかの広報の人間と相談をしていたのだと思いますがしばらくたって戻ってきたところ、「誠に申し訳ありませんが、株価などにも影響するような取材に対してはメールでしか質問、回答を承ってないため、やはりメールでご質問いただけないでしょうか」とオウムの如く同じこと言ってきました。

 多分普通の人からしたらそう感じるほどでもないでしょうが、企業広報がこうした回答して来たら記者は真面目に激怒しても許されます。というのも株式非上場企業であればともかく、上場企業は経営に関する情報を常にできる限り公開するという義務があり、私のこの時のマージン率に関する質問は法規違反にも関わるため公益性も確実に備えていました。そもそも、広報というのはあらゆる質問に対して即座に対応、回答するための部署であり、その業務はそれ以外でもそれ以上でもありません。

 ってこともあり、っていうか企業取材で私はむしろ優しい方でめったに怒ることもなければ怒鳴ることもなく、新聞社時代の上司からは「お前は甘すぎるんだよっ!」って具合で自分が怒鳴られていたほどでした。そんな自分にしても、上記のマイナビの回答はさすがにカチンと来て、こういいかえしたわけです。

「メールで回答するったってだったらなんであんたら広報部として仕事してるんだ。質問にその場で答えられないってんなら電話番号なんて置く必要もなければ、あんたら広報なんて部署の人間だっていらないだろ!」

 という具合で、怒鳴るほどではなかったもののかなり声を大きくして強く言いました。あくまで心優しいと自負する私からしても上記のマイナビの対応ははっきり言って許せず、また広報としては明らかに致命的で、リスクの高いというか訓練のできてない広報だと感じました。

 たとえ即座に答えられない質問が来たとしても、広報は何かしらの回答を記者に行わなければなりません。この場合の模範解答としては、「誠に申し訳ありませんが、回答を準備させていただけないでしょうか」と述べ、その日中に折り返しの電話で回答するというやり方で、実際にほかの大半の会社はこのような回答を取ることが多いです。この場合記者は入稿締め切り時間などを勘案して、何時までに回答を寄越すよう伝えて第1ラウンド終了となるわけです。
 もう一つの模範的な広報の対応としては、何かしらの情報をお土産として記者に持たせるやりかたです。記者としては原稿を書くための情報が必要なのであり、それは完璧な情報に限るわけじゃありません。たとえ断片的であっても、部分的な回答であってもそうした情報があれば記者はある程度記事が書けるわけで、上司に対しても、「核心は濁しましたが、粘った甲斐あってこの情報は引き出せました」と成果を報告できます。逆を言えば、回答は後でと言われて何も情報を得られなければ記者としても大変なわけで、上司に何も報告できなければ「てめぇもう一回電話かけろ!」って逆に怒られてしまうため、なんでもいいから少しでも情報を出してくれると記者としても引きさがりようがあるわけです。

 しかし上記のマイナビの対応はこのどちらも出来ておらず、ましてやマージン率に関する情報なんて模範解答を準備してたっていいと思うような内容だと思えるだけに、取材している私としてもこの程度で回答渋るなんてなんて情けない広報だと思って呆れました。なもんだから更にまくしたてて、

「私が今聞いているのは法律順守に関する問題なんだからすぐ答えられない方がおかしい。おたく規模の会社なら法務部だってあるだろうし、なんだったらそっちに今すぐつなげろ!」

 と要求しましたが、「申し訳ありません」というだけで繋げてもらえませんでした。真面目にあの時法務部の電話番号をなんとしてでも要求してもよかった気がします。
 ただ、やっぱり鬼になりきれない性格もあって、「メールなら即日で返事くれるんだよな」といって最後にはこちらが折れました。そしたら「最高でも二営業日以内に返事します」と返ってきて、本当にここの広報部はレベル低い、それこそプロの経済記者が取材に来たら本気で泣かされるぞと心の中で思いました。でもってメールで質問出して返事来たのは三営業日経ってからだし。

 そのメールの文面も色々と呆れました。この回答についてはJBpressの記事でも書いてある通りに事業分社化に伴い人材派遣業務を担うマイナビスタッフィングで今、公開の準備をしているっていう回答だったのですが、私は質問に出したメールで「何故マージン率を公開していないのか?」ということと、「何故前年の私の公開要求メールを無視したのか?」という二つの質問を聞いていたのですが、後者の方は完全に無視してきました
 これには本気でマジ切れして、「もう一つの質問を完全に無視してるがきちんと答えろ。明後日までに返事寄越さなかったらまた電話かける。覚悟しておけ」っていうような文面で再度メールを出しました。そしたらその二日後のまさに電話をかける直前に返事が来たわけです。

 その返事としては問い合わせのメールを確認できず、また前任者もいなくなっているため追跡できないというものでした。ある程度は予想していた内容なのでこれはこれで私も納得しましたが、追加した質問で、「これまでのマージン率公開請求にはどう対応してきたのか?」という質問については、

「これまで公開請求は一切受けていません」

 という返事で、「ほんまかいな。っていうか俺が請求したっつってるというのにこんな回答の仕方すんのかよ」と、やや消化不良な印象を覚えました。

 既に何度も書いていますが、このマイナビ広報部に関してははっきり言って非常にレベルが低いという印象しか覚えません。やはり取材していて手ごわいという広報部は会社によってはあり、企業によってその実力差ははっきりと出るのですがマイナビに関しては最低限の対応の仕方すらできず、またリスクに対しても非常に脆い部分があるので将来何かやらかすんじゃないかという懸念すら私は覚えました。

 なお、これまで相手した企業広報で手ごわかった広報部を挙げると以下の通りです。

一位、旧みずほコーポレート銀行:完全に手の平で弄ばされた。
二位、トヨタ自動車:官僚的な対応で、隙が一切見当たらなかった。
三位、DeNA:広報担当者が全業務、情報をきちんと把握しており、よどみなく明確に回答出来る人だった。

2017年2月9日木曜日

替えの効かない人材になろう!

 よく就職斡旋サイトとか新社会人向けのムック本、自己啓発本などで見出しに掲げた「替えの効かない人材になろう!」という言葉が謳われているのをみます。その意味せんとするところは、「会社側からすれば切るに切れない唯一無二のスキルや存在感を身に着けた人材」といったところで、立身出世はもちろんのこと、不安定な会社社会で生き残っていく上で大事な心がけだとよく説明されます。
 結論から言うともし私が経営側に立つならば、このような考えを持つ奴こそ真っ先に排除したいと思う人材です。なんでかっていうと、単純に経営上でリスクとなりやすいからです。

 まず前提論として、スキル上で替えの効かない人材というのは実際には存在しないと私は考えます。首相職ですら安倍首相以前は毎年替わってた位なんだし、人間国宝級の職人とかならまだしも普通の企業業務で「替えの効かない」仕事なんてまず有り得ず、あるとしたらそれは業務の難しさや特殊性ではなく、別に理由があって替えが効かなくなっているだけです。
 ではどういう場合で替えが効かなくなるのか。大きく区分するならば理由は二つに分かれ、一つは市場価格より圧倒的に安い単価(=給料)で仕事をこなしている場合、もう一つは何かしらの策謀で業務プロセスを他人に開示しないまたは妨害している場合でしょう。前者は一見すると会社にとってすごくプラスに見えますが、仮に何らかの理由でその業務をこなす人間が突然いなくなったり、居直って高い給与を要求するようになると会社としては大打撃を受けかねず、これもやはりリスクといえばリスクに当たり経営者としては何らかの対策を施す必要があります。

 一方、実際にはこちらのケースのが多いと思う後者の例ですが、これなんかまさに企業リスクを招く人材以外の何物でもありません。基本的にこの手の人材は業務を自分だけで囲い込み、他の人間がタッチできない、後からタッチしようとしても入り込めないようにするといった妨害工作を行うことで「替えの効かない人材」になろうとする上、他の職員への指導などもサボる可能性も高く、単純に業務効率の点から言ってもマイナスです。しかもこの手の人材、会社が問題視していながらも切るに切れないとわかるやかなり図に乗るタイプが多く、実際私が見てきたこのような人材はそろいもそろってクズばっかでした。

 逆にと言ってはなんですが、経営者は「替えの効く人材」を増やしていくことをリスク低減策として常に意識する必要があるでしょう。これは全く保身を考えず友人などからリアルに「もっと自分を大事にしろよ」と言われる私だから言えるのかもしれませんが、所詮従業員なんて使い捨てなんだし、もっと使い捨ての身分を自覚してその境遇に甘んじろよとか思います。
 その上で述べると、本当に企業にとって価値ある人材というのは「替えが効くけどわざわざ変える必要のない人材」であって、同じ能力、同じスキルの人材がほかにいても取り替えられる必要がないと思われる人材こそ会社にとっての宝だと私は思います。でもって、「替えの効くスキル」をたくさん持っているユーティリティな人材こそ会社にとってありがたいし、本人のためにもなるんじゃないかなとか思っています。

 以上が私の今日言いたい内容ですが、何でもって見出しと内容がまるで異なっているのかというと、「替えの効かない人材」で検索かけてアクセスしてきた人に、「フカシこいてんじゃねぇよボケ!」みたいな冷や水を浴びせたいなという気遣いからです。ただ実際にこのワードで検索かけたら、私と同じようにこういう人材はむしろ良くないという人が結構いてちょっとびっくりでした。

 最後に、現在の私は現地採用者という身分もあって所詮自分は使い捨てという意識は恐らく一般の日本人と比べて遥かに高いと自負している、っていうか現地採用者でその自覚ない奴はむしろヤバいです。なもんだから最近初対面の人に、「俺はいわゆる傭兵だ」という意味わかんない自己紹介することが増えてます。

2017年2月8日水曜日

恋愛サーキュレーション

 つい先ほど、JBpressへと出す記事を書き終えて送信しましたが、実はその記事の取材に行った際に撮影した写真でいくらかミスをやらかし、取材先が上海市内のショッピングモールであることから今日会社帰りにまた行って撮影してきました。我ながら仕事熱心にも程があると思うと同時に、こういう写真で初歩的なミスするなんてまだまだ甘いと感じました。

 そういうわけで最初の取材時と同様に自慢のフジフイルム製コンパクトデジカメを持ち寄って今回はバッチリ撮影してきたわけですが、撮影を終えてショッピングモールをでようとエスカレーターを降りている最中、近くのファンシーショップからなんか聞いたことのあるようなボーカルなしのメロディが聞こえてきて、しばし考えた後で、「あ、これ声優の花澤香菜が歌ってる『恋愛サーキュレーション』じゃん。ってかすぐわかる俺って凄くね?」と、エスカレーター降りながら気が付きました。

 知ってる人には早いですが、この「恋愛サーキュレーション」という曲はかなり反則的な曲です。いっぺん聞けばわかりますが通常のアニソンとは異なり、どちらかというと朗読するような歌われ方しており出だしからして反則です。それがまたなんで中国でメロディだけとはいえ流れているんだとかいろいろツッコミたくなるのですが、それ以上にツッコミたくなるのは自分の携帯電話です。というのも一時期、マジでこの曲を着メロに設定していました。
 しかもその着メロにする過程というのもいろいろおかしく、具体的に述べると私の携帯電話を作ってるメーカーの「MEIZU(魅族)」の公式サイトで着メロやら壁紙が無料で配られているのですが、何故かその中に「恋愛サーキュレーション」が入ってたからです。しかも複数バージョンで。

 同サイトで配られている壁紙にはカオナシを始め明らかに著作権を無視したキャラクターや日本のアニメ絵とかも入っており、結構暇な時なんかは無駄にダウンロードして使っています。もっともそれ言ったら、日本のサイトでも無断での配布は日常茶飯事なのであんまとやかく言うのもどうかなって思うのですが、何故「恋愛サーキュレーション」が中国でも配られるのかがいまいちわかりません。そこそこ中国でもヒットした「ヒカルの碁」や「ナルト」の主題歌とかならまだわかるのに。

 なお現在の私の着メロは、「おかけになった電話番号は、現在電源が入っていないか電波の届かない地域にあります(中国語)」という音声になっています。本当は声優の能登麻美子氏が歌う、やけに怖い「かごめかごめ」を入れたいのだけれどちょうどいいデータがないのでこれで我慢しています。

2017年2月6日月曜日

寝過ぎた( 一一)

 一昨日から春節休暇が終わり仕事が再開し、昨日は土曜ながらも中国のわけのわからないカレンダー設定によって出勤日であったことから普通に働いていました。そして今日日曜はお休みなので朝はまた9時半までたっぷり寝た後、洗濯機を回して洗濯物を外に干した10時半から11時半までまた寝て、正午ごろに作り置きしてた焼きそばを食べました。

 その後、パソコンで細々とした作業をした後で1時から家を出て、本日の取材先へと出発しました。その際、クリーニング屋にも寄ってスーツを一着クリーニングに出してきました。
 取材先に到着したのは2時半ごろで、取材対象をいつもの携帯カメラではなく今日は真面目にコンパクトデジカメを持ち寄って撮影しまくった後、3時頃に近くのラーメン屋でラーメン一杯食べて帰宅。家に戻ったのは4時半頃で、洗濯物を取り込み電気カーペットをオンにした布団に入ったらそのまま7時まで寝てしまいました。

 7時に起きた後、ラーメンを先に食べてたこともあってあまりお腹はすいてなかったためそのままPS Vitaで「サガフロンティア」というゲームで遊び、ボーっとしていたこともありいつの間にか10時になった後、「なんかまずいのでは」と気が付き、またパソコンへ向かって情報収集。ひとしきり情報を整理、収集した後、11時半になってやっぱり晩御飯食べておこうと思ってスパゲッティを茹でて食べて今に至ります。

 まぁ休日の過ごし方なんて大体こんなもんですが、取材した内容を忘れないうちに明日また書かないといけないなぁと思いつつ、これ書き終わったら寝ようかと思います。昼寝してるのにどうして寝れるのとたまに聞かれますが、昼寝してでもまだ寝足りないというのが私の本音です。ただ今日はちょっと寝過ぎたかなぁ。

2017年2月5日日曜日

平成史考察:「つくる会」の教科書騒動(2001年)

 かなり不定期なこの「平成史考察」ですが、案外もうすぐ平成時代終わりそうだからこれから増やしていった方がいいのかなとか思ったりもします。

 そこそこ大きな騒動となったので覚えている人も多いのではないかと思いますが、日本の歴史教科書は日本を貶めるいわゆる「自虐史観」に満ちているとしてかねてから内容に不満を持っていた保守派論客らが集まった、「新しい歴史教科書をつくる会」とその教科書出版時の騒動について、また例によってぴきーんとフォース的な何かを感じたので今日は書きます。

新しい歴史教科書をつくる会(Wikipedia)
一般社団法人 新しい歴史教科書をつくる会(公式サイト)

 「新しい歴史教科書をつくる会(以下、つくる会)」とは読んで字の如く、従来とは異なる新たな歴史教科書を作ることを目的として発足した団体です。結成時の構成メンバーはさすがに年数経過してるのもあって最近見ることは少なくなった者の、西尾幹二氏、西部邁氏、八木秀次氏、あとつくる会の内情について細かく発信してきた漫画家の小林よしのり氏などその筋では有名な保守派の論客が集まっており、今思うとすごい面子だったなぁという気もします。
 これらの参加メンバーは一様に日本の一般的な歴史教科書は自虐史観に満ちていて自国に誇りが持てなくなる教科書であるとして、もっと日本を愛せる様な教科書が必要という価値観からつくる会を結成しました。その上で自らの手で歴史教科書を作り、一般に配布するという目標掲げて教科書作りへと邁進していったわけです。

 そんなこんだで1997年の結成から約4年経ち、完成したつくる会の教科書は検定も通って通常の歴史教科書として発行される運びとなりました。ただその内容について極度に保守的な内容、特に二次大戦絡みについて南京大虐殺や朝鮮人の強制労働などについて否定的な内容であったことから中国や韓国が「日本は過去の反省を忘れ戦争を賛美し始めた」などと反発し、今も続く歴史問題が過熱する要因にもなりました。
 もっとも中国や韓国だけに限らず、日本国内からもその極端な内容については賛否が相次ぎ、特に対立相手の左派論客とは文字通り対立の主軸となってテレビなどで公然と批判する人間も少なからずいました。なお細かい点を挙げておくと、文部省(現文部科学省)側もその内容を危惧してか検定前に一部内容をメディアに漏らすなど、つくる会の教科書が検定を通らないように妨害をかけていたそうで、この点に関しては公平性の観点から私ですらつくる会の擁護に回ります。

 ただ上記の様に2001年に正式発行された際は非常に大きな話題とはなったものの、実際の売れ行きというか採用に至った学校数については芳しくなく、はっきり言ってしまえば普通の学校はどこも採用せず、障害者学校とか、購買に天皇の写真を販売する右系の学校くらいしか採用されませんでした。なおその数少ない採用校の一つに学校法人麗澤系列の高校とかも入ってますが、地味に親類もその系列の学校に当時通っており、なんていうかもうちょっと学校選択どうにかならんかったのかなという風に今思います。

 では実際の教科書の中身はどうだったのか。いくつか特徴を挙げるとまず古事記の神話の説明から始まり、二次大戦は聖戦だと書いて、米国には嫌がらせを受けてるとして、でもって日本以外の国の記述は極端に少ないというのが大きな特徴だったと思います。このつくる会の教科書が発行された当時、私は高校生でしたが話題となっていたことから一応は手に取って中身を読んだことがありました。でもって当時から歴史通、っていうか歴史科目では評定で最高評価以外取ったことがないくらい今とほぼ変わらない状態だったのですが、そんな私の感想はというと、

「余計なことばかり書いてあって大学受験には使えないな」

 という、今の自分からしてもびっくりするくらいリアリスティックな感想でもって読むのをやめました。一応言っておきますが、上の感想は今考えたわけじゃなく、当時本当にこんな感想を私は持ちました。
 ただある意味でこの感想は正鵠を得ていたというか、つくる会の教科書がその努力の割に全く広がらなかった要因を突いている気はします。結局のところこの教科書は保守派の主張ばかりが込められていて大学受験の歴史科目に必要な知識が網羅されておらず、「大学受験に勝てる教科書」という高校生、現場教師のニーズを全く無視した内容であったことから、内容に一定の評価を持ちながらも実際に採用にはまでは踏み切れない学校が多かったのではないかと私は見ています。

 またこの教科書の問題点としてかねてから挙げられているように、メンバーに歴史学を専門とする学者がほとんどおらず、年号を始めとして稚拙な間違いも散見されたことも評価を下げる原因となっています。本当に少年少女に愛国心が持てるような教科書を作りたかったというのなら、最低限の「質」のラインを確保した上で自分らの主張を盛り込むべきだったろうと今書きながらでも思います。

 なおつくる会のその後ですが、元々がクセのある保守派論客の集まりだったということもあってメンバー間の意見対立は常に止まず、発足以来何度もメンバーの集散離合が繰り返されています。何故そうなったのかというとやはり「自虐史観の排除」という目的の元に一同集まったものの、以下のような対立点を抱えたままお互いが全く主張を譲らなかったことが原因でしょう。

・親米か反米か
・二次大戦は日本の侵略か聖戦か
・天皇を神格化させたいか否か
・明治維新をどう評価するか
・A級戦犯は有罪か無罪か

 ただでさえ恫喝すら厭わない保守派論客同士の集まりだったことを考えると、プロ野球に例えるなら江夏、門田、江本、江川、落合、清原、伊良部、中村紀といった我の強いプロ野球選手一同が全員同じチームに在籍しているような感じだったんじゃないかと勝手に想像しています。っていうか自分で言っておいてなんですが、監督はストレスで発狂するだろうけど上記のようなナイトメアチームをいっぺん見てみたいような気もします。

 つくる会のその後に戻りますが最初の発行以降もメンバーを変えながら改訂を続けていたものの、実質的にスポンサーとなって発行を引き受けていたフジサンケイグループ傘下の扶桑社から、「内容が右に偏っている」などと右寄りの出版社にまで言われた挙句、提携関係を打ち切られるという憂き目を見ています。
 フジサンケイグループと扶桑社はその後、別会社を作った上でつくる会を離脱したメンバーによって発足した「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会(教科書改善の会)」が作る教科書の発行を手掛けるようになりました。つくる会の方も自由社を新たなパートナーに選んで発行を続けてるそうですが、こう言ってはなんだけど自虐史観に問題を感じている人はそこそこいたと思うし期待していた人も少なくなかったのだから、少しくらい尖がった主義主張を抑えて普通の教科書に仕上げていれば違っただろうと思うだけに商売の下手な連中だったなというのが私の彼らに対する総括です。