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2018年3月20日火曜日

スルガ銀行に対する懸念

 先日、2003年に経営破綻した足利銀行の顛末を紹介しましたが、なんでこんな記事を書いたのかというとそろそろこの足利銀行に続く地銀の破綻が見られるかもなと感じたからです。もう見出しを見てわかる通り、自分がこのような懸念を持っているのは静岡県のスルガ銀行です。

スルガ銀行は「かぼちゃの馬車」で何処へ行く!(1)(財経新聞)
ベッキーがCMキャラの『かぼちゃの馬車』 オーナー約700人がトラブルに(@niftyニュース)

 時期にしてちょうど昨年末ごろ、アパートローン問題で静岡県の銀行が特に手広くやっているという話を耳にし、静岡の話だから静岡銀行かなと思っていたら実際にはスルガ銀行でした。そのスルガ銀行について大体先月あたりから報道も増えてきましたが、取りざたされているのは上記リンクの格安シェアハウス「かぼちゃの馬車」を巡るローン問題です。
 詳しくは上記リンク先の記事を読んでもらえればわかりますが、「銀行から金借りてローン組んでサブリースに出せば資産保全+不労収入が得られるよ」と言って、退職金をもらったばかりの高齢者を主なターゲットに、女性向け格安シェアハウス物件「かぼちゃの馬車」を運営管理するスマートデイズ社がスルガ銀行とタッグを組んでた模様です。

 しかし実態は物件のまずさと賃料の低さから回収が見込めるような物件ではなく、スマートデイズ社は新規オーナーにローン組ませて受け取ったアパート建築料を既存オーナーに分配させているという自転車操業だったようで、お金が回んなくなってきた段階でサブリース契約でオーナー側へ支払うこととなっている賃料を一方的に値下げしてきたとのことです。
 こうした手法というか問題は、先ほどは「アパートローン問題」と表現しましたが、「サブリース問題」と表現するべきかもしれません。というのもこうした、資産保全を謳って言葉巧みにアパートを建てさせておきながら、空室など運営がうまく行かなくなってくるや当初契約に反してオーナー受取り賃料を一方的に引き下げるという例はスマートデイズに限るわけじゃないからです。

「テレ東がまた攻めてる」と話題に 「ガイアの夜明け」集団訴訟が相次ぐレオパレス21の社長に直撃取材(キャリコネニュース)

 この辺については昨年、テレビ東京が人気番組「ガイアの夜明け」で、社員に契約に反するサブリース契約料金の強引な引き下げを全社一丸となってやらかしていたレオパレス21に対して突っ込んだ取材を行っています。自分もたまにやるけど、こういうのって「取材の結果」ではなく「取材の過程」を見せることに価値があるよね。

 現実問題としてこうしたサブリース問題は大手、中小を問わずに今盛んに行われていると思われます。しかし普通に考えたって人口減の今の日本でアパート需要が高まるわけはなく、しかも同じようなことする不動産屋が多いせいでこのところのアパート、マンションの乱立ぶりも激しく、普通に考えてアパート運営が軌道に乗るとはとても思えません。
 それでも消費者への注意喚起がまだ不十分なのと、各関係機関の対応が遅れていることから被害者オーナーはは尚も増加中で、多分2020年以降には大きな社会問題と化す可能性もあると私は見ています。この場合、国がどういう対応を取るかに寄りますが、それによっては不動産屋のみなら地銀も共倒れとなる可能性もあるでしょう。

 このサブリース問題で特に根が深いと思うのは、不動産屋と銀行が明らかにタッグを組んでいる点です。スルガ銀行の話に戻りますが、報道によるとスマートデイズは本来ならば融資基準を満たさないオーナー希望者に対し、所得や資産状況の証明書類を偽造してまでスルガ銀行でローンを組ませていたとのことです。スルガ銀行側は資産査定が甘かったと言い訳を述べていますが、どう考えても軌道に乗るとは思えない「かぼちゃの馬車」の事業計画に融資していた点一つとっても、始めから最終的にアパートオーナーの首を絞める自体になることが分かっていながらやっていたのではないかとしか内心思えません。少なくとも、あんな杜撰な事業計画に係る時点で銀行としての資質は疑われても仕方ないでしょう。

目的別ローンラインナップ(スルガ銀行)

 そんな資質を疑いたくなるスルガ銀行について冷凍たこ焼きを絶対に切らすことのない友人から紹介してもらったのが上記リンクです。自動車ローンや教育ローンはまだわかるとしても、カメラ・レンズローンや鉄道模型ローンなど手広くローンコースを用意しているあたり、なんか銀行というよりかはサラ金のようなことやってます。
 なおこの中にはロードバイクローンもあったのでその中身を見てみると、

<ロードバイクローンご利用例>
フレームセット 70万円
カーボンホイール 40万円
大会参加費用(宿泊代等) 5万円
他社ローン借換 35万円
総額費用  150万円

 なんやねんこの金額と、一目見て思いました。プロのレーサーが使用する自転車ですら50~60万円程度と聞くのに、なぜこんな自己満足みたいな無駄に高い自転車で利用例を出すのか。っていうかそもそも「他社ローン借換」って何?ロードレーサーは既に借金してること前提なの?
 こんな具合で経営手法が疑問満点のスルガ銀行ですが、収益率が高いことから(地銀平均0.3%に対し1.42%)、政府からは「将来あるべき地銀の姿」とこのところ褒められているそうです。なんか破綻前のどっかの銀行も同じようなこと言われてたような気がしますが、死亡フラグ?

 現時点で言えることとして、サブリース問題が持ち上がっている「かぼちゃの馬車」は現状、ほぼ不良債権と見てもおかしくないでしょう。その上でこちらは推測となりますが、大抵こういう目立つ不良債権案件を手広くやっている金融機関って、見えないところでもっと大きな爆弾を抱えてるパターンってのが多い気がします。債務者を追い込んででも回収する自信があるなら別に問題ないですが、サブリース問題は空き家問題と並んで近々本格的な社会問題となる可能性があり、政府が被害者対策に乗り出したら果たしてきちんと回収できるかどうかは見ものでしょう。

 スルガ銀行については以上の通りですが、何もここに限らずゼロ金利政策のせいで地銀はどこも屋台事情が苦しく、こんな風にサラ金まがいのことでもしないと国内事業で生きていくことはほぼ不可能でしょう。この辺についても体力に余裕があればまた自分の見解を書きます。

  おまけ
 「かぼちゃの馬車」のCMキャラがあのベッキーだったと聞き、彼女が何か悪いわけじゃないけど、つくづく闇の深い女性だなと思います。なお闇の深さでいえば漫画の「アホガール」に出てくる風紀委員長についてはその底が見えません。

2018年3月19日月曜日

いっかいやすみ(ヽ´ω`)

 このところ仕事が忙しく、疲労度合いも半端じゃないので今日も真面目な記事は書かずにお休みします。本当はスルガ銀とか森友問題とかでこっちももっといろいろ書きたいのですが。

 なおこのブログだけ見ているとさも私が毎日楽しくゲームして遊んで暮らしているように見えますが、ちゃんと先週末も次のJBpress用記事に中国高級車市場の取材、分析、執筆をやっており、執筆中は何度も友人にしつこくチャットで「眠い!ゲームしたい!(´;ω;`)」と送り続けていました。っていうか資料集めから脱稿までああいう記事をよく1日程度でまとめるなと自分で思います。
 さて、3/10に続編が発表された「神獄塔メアリスケルター」でもやるか……。

2018年3月18日日曜日

一部家具に関する所見

 繁忙期で非常に忙しい中、今日はスルガ銀行の件について書こうかと思っていたら、「ユーロファイター・タイフーン」を作るのに6時間以上もかけて、尚且つ「ダンガンロンパV3」もようやくクリアしてクリア後のやり込みイベントでさらに忙しくなったので、パパっとかける日常のほんの些細な幸せネタにします。
 ちなみにダンガンロンパV3はその結末について批判する声が多かったそうですが、自分としてはありだと思うし、「作った連中はプレイヤーを馬鹿にしている」などとは微塵にも感じませんでした。なお声優については石田晴香氏の演技で、「え、こんな下ネタの激しいセリフ口にすんの?しかもめちゃうまいし(;´・ω・)」とか思っていたら、この人元AKB48で、声優やるためにアイドル辞めたと聞いて二重に驚きました。むしろこのゲーム作った連中、あんなセリフを雇っているとはいえ女性声優に言わせること自体セクハラ案件として成立する気がする。

 話は本題ですが、家具の中でその存在すら疑うものとして靴箱があります。というのも靴を密閉した空間に置くと臭いが染みつき、靴箱はおろか靴自体も表面に独特なにおいがこびり付きやすいからです。私がそれほど靴を常備しない(革靴とスニーカーだけ)という事情もありますが、学生時代からこの手の靴箱は一切使わず、百円ショップで買ってくる折り畳みできる足のついた20×10㎝程度のプラスチック台を買ってきて、それを二段、三段と重ね、その台と台の間にいつも靴を入れています。
 これだと上に積み重ねていけるため置き場も省スペース化でき、尚且つ開放式のため臭いがこもることはありません。靴箱に臭いが染みつくと最悪、靴箱の周辺すら臭いが立ち込めることもあり、靴箱を開く度に臭いがまき散らされたりするので、少なくとも扉がなく密閉しない形の靴箱の方が衛生的にはいいんじゃないかと思います。靴の臭いって履いてる時よりむしろ、靴箱に入っている時の方が強まる気がしますし。

 次に布団のシーツですが、密かに思うこととして何故白色が一般的なのでしょうか。普段布団を干してて思うのですが白いシーツやカバーの布団だと外に干していても一向に熱を吸収せず、他の色と比べて乾燥効果が薄いです。基本的に熱を多く吸収出来ればできるほど布団を干す効果は高まること考えると、シーツやカバーに関しては白色を避けるべき、というよりも使うべきではないと思います。
 また睡眠効果について考えても、白だと光を反射するため果たして寝具としてふさわしいか疑問です。むしろ暗い暖色系の方が視覚的にも落ち着きやすいように思え、あまり種類が多くないため選べる範囲が狭いのですが、なるべくそうしたイメージでシーツやカバーを購入しています。

 なおこの形の究極形としては、敷布団はもとより掛け布団も、枕も真っ黒な色に染め上げてしまう形ではないかと思え、もしやれるならやってみようかなと思ってみたものの、さすがに真っ黒のシーツやカバーはどこにも売っていませんでした。っていうか真っ黒なシーツだと、夏場に干してるとちょっとした建物の反射とかでも燃え上がりそうな気もするので、さすがにこの究極形態(アルティメットモード)は避けた方が無難かもしれません。実現できる範囲としては茶色や紺色辺りで、模様については好みでしょうがさすがに単色オンリーだと飽きがすぐ来るのでないよりはあった方がいいかなってところです。

2018年3月15日木曜日

平成史考察~足利銀行の破綻(2003年)

 今週末に締切迫ってるのになんでこのところ毎日ブログ更新しているのかと自分でも疑問です。平日も今繁忙期でめちゃ忙しいし、折角先週末にタイフーン買ったのに作る暇もないし。

足利銀行(Wikipedia)

 そんなわけで今日書くのはもう15年前、まだ松坂選手が現役でバリバリ投げていたころに起こった日本金融史に残る足利銀行の破綻事件を振り返ろうと思います。

 足利銀行とはその名からわかる通りに栃木県を本拠に北関東を中心に営業している銀行です。設立は日清戦争中の1895年で、戦前までは投資に当たっては非常に慎重であり、また「逃げの足利」と言われるほど債権回収が早かったことから、昭和の金融恐慌時も被害を最小限に抑え安定した経営を保ってきていたそうです。
 ただそんな足利銀行の頭取はというと、設立当初から代々日銀などの中央系銀行から頭取を迎えており、「いつか生え抜きで頭取を出したい」という意識は行内でも持たれていたそうです。その念願がかなってか、元陸士卒で終戦時に大尉であった向江久夫が戦後パージを受けて足利銀行に入行し、頭角を現していったところ、1978年に彼が56歳の時に初の生え抜きとして頭取へと昇進しました。そしてそのまま、1997年に至るまで実に19年もワンマン経営者として在任し、足利銀行の破綻における中心人物として果たすこととなります。

 足利銀行が経営破綻した理由はご多分に漏れずバブル期の放漫経営と投資先の不良債権化で、特に北関東はゴルフ場開発も盛んだったことからこの方面への巨額投資に手を染め、最終的に足をすくわれることとなります。バブル崩壊以前まではこちらもご多分に漏れず積極的な投資に手を染めており、東京都内にも支店を構えて収益率は地銀としてはぶっちぎりだったことから「地銀の雄」と持て囃されていました。
 しかしバブル崩壊以降に投資先の破綻や不良債権化が相次ぎ、経営基盤はどんどんと揺らいでいきます。もちろん当時は他の銀行も多かれ少なかれ同じような状況であったものの、足利銀行が一味違ったのはもはやお馴染みの粉飾で、実質的に破綻している融資先企業に融資枠を用意してさも財政状態が優良であるかに見せつつ、その破綻先の手形を他行に受けつけさせるなど毒をばらまいてたりしました。

 こうして内部に大きな問題を抱えながら経営を続けていた足利銀行ですが、2003年10月に何故かといったらやや失礼かもしれませんが、夕刊フジが他に先駆け「破綻への懸念から政府が国有化を検討」という第一報を報じました。ただ夕刊フジなだけあってか当時は誰も信じなかったものの、翌月にウォール・ストリート・ジャーナルが公的資金注入の可能性を報じると一気に市場の目を集め始めます。
 実際にはこの時点で「金融再生プログラム」を掲げる竹中平蔵大臣(当時)の指揮の下で金融庁が検査を行っており、実際にどう処理するかについて政府が内々に検討していました。そして報道の通りに金融庁は足利銀行とその監査法人に対し粉飾会計を認定し、繰り延べ税金資産の計上の無効を通知して、これにより最近までの東芝のように債務超過が確定します。その上で政府は預金法に基づく足利銀行の国有化を決め、ここに至って足利銀行は名実ともに破綻が決まります。

 その後、粉飾に関わった足利銀行の元幹部や監査法人への訴追と並行して不良債権処理が進められ、財務体質の一程度の改善が行われた後でスポンサーを募ったところ野村ホールディングスグループが入札を制し、ここで足利銀行は国有化から離脱して、一部制限は残っていたものの一般の民間銀行として返り咲くこととなりました。

 この足利銀行の破綻はそれ自体よりも周辺への影響の方が大きかったのではと個人的に見ています。というのも先ほど書いたように竹中大臣が当時進めていた不良債権処理政策の嚆矢ともいうべき措置であったばかりか、この事件前後から企業や金融機関の内部統制を米国流に厳格化されていき、時期からいってその後のJ-SOX法設立にも影響したと考えられます。
 なお足利銀行の監査人であり、当時業界最大手の中央青山監査法人は、この事件だけではないですが諸々の会計不正に所属する会計士自身が不正手段を指導していたことが明るみとなったことで業務停止命令を受け、その後の解散へと追いやられています。この際に会計士をクライアントごと吸収した新日本有限責任監査法人が代わりに最大手へとのし上がり、日本の会計業界史においても足利銀行の破綻は非常に大きな事件であったといえます。

 破綻した足利銀行の国有化(=特別危機管理銀行指定)に当たっては預金保険法102条一項三号、いわゆる「第三号措置」が適用されていますが、これは足利銀行が破綻する前の2001年に金融安定化と、いざという時の混乱回避を目的として設置された法案でした。現時点までに同措置が適用されたのは足利銀行以外にはありません。
 このところ私が日々日本のニュースを見ていると、「足利銀行以来かな……」という言葉がよく浮かんできます。だからこそ今日こうしてこんな記事を書いたのであり、ある意味今日の記事は前フリといえます。もう少しこうした足利銀行と絡めた報道などないのかなとみているのですがあんまなく、そういう意味では今を分析する上でも意味のない内容ではないと思って書いてみました。

 なお、今回の記事を書くに当たっては当時の状況を一から調べ直しています。破綻当時の私は京都で日々峠を攻めていて(自転車で)、社会や経済への関心は周囲と比べて強かったものの所詮は学生レベルであったことからあまりこの事件について記憶していた内容はほとんどありませんでした。
 ただ最近思いますが、どうせ社会人になって企業に勤めればこうした実社会や産業への感覚や知識は自然と備わってくるものなので、学生のうちは社会人になってしまっては得られない感覚や知識、具体的には文化や思想をしっかり学ぶのに集中した方がベターである気がします。変に背伸びして実社会に関する感覚を身に着けようとしてその方面が疎かになるのは非常にもったいない限りです。

 そんなこと言いながら、今ひたすら一向一揆について調べている自分の姿を見るとなんかいろいろおかしい気がします。気分はもう南無阿弥陀仏って感じだし。

2018年3月14日水曜日

必要性の感じられない佐川氏の証人喚問

佐川氏、来週にも証人喚問へ 森友文書改ざん問題(朝日新聞)

 疲労で左目が見えにくくなっているので結論から書きますが、今度の佐川氏の証人喚問に意味があるのか疑問です。というのもすでに先に行われている佐川氏の国会での答弁は嘘満載の何も実態に基づかないものであったことがその後の検証によって既に明らかとなっており、また責任を擦り付けようとしている麻生財務大臣の「(改竄は)すべて佐川がやったこと」という発言もあることから、いまさら国会に呼んで発言させたところで得るものは何もないと思います。それこそまた実態にそぐわぬ虚偽答弁をするだけに終わるでしょう。

 もし彼の口からこの森友問題について有意義な証言が得られるとしたら、それは恐らく国会内で発言される内容ではないでしょう。先の答弁にてすでに彼が職務に反して偽証を行ったことは諸々の検証で明らかとなっており、今後の状況にもよりますが特捜に逮捕、起訴される可能性は十分に高いように思え、それに対して佐川氏がどう思い、どう反応するかです。国会での偽証事実は既に確定済みであることから、次の証人喚問で仮に再び偽証を行うことに躊躇があるかと言ったら多分ない気がします。

 ではこの問題で次はどうすべきかですが、やはり安倍昭恵夫人、もしくは近畿財務局に直接連絡を取った元昭恵夫人付き秘書の谷査恵子氏を証人喚問するのが筋だと思います。そもそもこの森友学園問題は安倍昭恵夫人が絡んだところからすべて始まっており、今回の改竄文書でも彼女の名前が消されたことからも無関係と言い張るのは小泉元首相じゃないですが「呆れた判断だ」と言いたくなります。なればこそ発端のキーマンを呼ぶべきで、谷氏も折角栄転したのだからその分の務めをここで果たすべきではないのか私には思えます。

 野党はどうも佐川氏の証人喚問に応じるつもりのようですが、仮に私であれば絶対に応じず、上記二名のどちらか以外は絶対に受け入れることはしません。もちろん佐川氏も呼ばないよりは呼んだ方がまだマシですが、今回の改竄文書といいここまで材料が揃ったのだからそろそろ本命にご出演いただくべきでしょう。

 さて、以上までの文章で多分勘のいい人は私がこの記事で本当に言いたいことを読み取ったのではないかと思いますが、先ほどの報道で今回の改竄について近畿財務局の人間だけでなく、本省の人間も十数人把握していたという事実が報じられました。この情報がこの段階で出回るということは政府はそっちの咆哮に勧めるのだろうなと思うし実際にそれに同調するメディアやコメンテーターもいるわけですが、本当は誰がこの問題行為を指示したのかはやはり上記の動きを見ればわかってくるのではないでしょうか。この辺やはっぱり週刊誌に期待するべきかもしれません。

2018年3月13日火曜日

広報の実力で測る企業のリスク管理体制

 知ってる人もいるでしょうが右サイドバーに置いてある「最新のコメント」がなんか昨日あたりから表示されなくなりました。サードパーティのフィード使ってて、先ほど調べたらそこのサイトにアクセスできなかったためそこのサーバーに何か問題があるせいかもしれませんが、ひとまずしばらくは静観して、改善が見込めなければ対策を取ります。

横浜DeNA大和に聞く「阪神攻略法をナインに聞かれたらどう答えますか?」(THE PAGE)

 さて上の記事は今年阪神から横浜に移籍した大和選手のインタビュー記事ですが、この記事見出しを見た際に私の頭には、「阪神の倒し方?俺はもう知ってますよ」という言葉がよぎりました。もちろん大和選手はそんなこと一言も言ってないのですが、この言葉がどうして浮かんできたのかというと以下のニュースをその前に見ていたことが原因でしょう。

「任天堂の倒し方、知ってますよ」騒動の真相は…グリー田中社長の胸の内(産経新聞)

 知っている人には早いですが、かつてのガラケー全盛時代に携帯ゲームで一世を風靡したグリーという会社がその絶頂期にあった数年前、面接に来た求職者に対してグリー社員が、「任天堂の倒し方、知らないでしょ?オレらはもう知ってますよ」という言葉を口にしたという噂が流れました。当時、任天堂はやや落ち込み気味であったのに対しグリーと同じ携帯ゲーム事業で勢いのあったDeNA(多分、大和選手がここに移籍したから浮かんだんだろう)は家庭用ゲーム機を尻目に業績を伸ばしており、どこか慢心めいた上記の言葉も「いかにも言いそうだなぁ」と恐らく私以外の人も受け取ったのではないかと思います。

 この発言についてつい最近、任天堂ゲーム機へのゲームソフト供給を発表したグリーの社長が「根も葉もない噂で事実ではない」と、実に数年越しでようやく否定をしたのが上記のリンク記事内容です。何故これまで一切否定してこなかったのかという理由についてこの社長は、「事実ではなく根拠もないのだから否定するまでもなく放っておけばいい」と考えたためだったと話し、その上で任天堂に対してはかねてから敬意を持っていたとヨイショをしています。
 ただ私個人の推測で言わせてもらうと、多分この発言は本当にあったのではないかという気がしてなりません。当時のグリーとDeNAの勢いは本当にすさまじく、何も任天堂の名前が出なくても家庭用ゲームはもうオワコンでこれからは携帯ゲームだという発言はあちこちで聞かれ、傍目にもその慢心ぶりは目に余っていました。また社長は任天堂には敬意を持っていたと言いはするものの、この噂のもう一方の当事者はほかならぬ任天堂であり、敬意を持つ相手だというのならなおさらこんな失礼極まりない発言内容をこれまで否定しなかったのかと思え、やや腑に落ちません。

 もっともこうした議論は水掛け論になりますし今更どうこう言うのも意味ないと思うのですが、このグリーという会社と上記の噂を見ていてかねがね、「そう長くはない会社だろう」と密かに見ていました。その根拠というのも私の経験則から言って、広報が未熟な会社はほぼ確実にガバナンスが弱く、リスク管理が甘いという特徴を持つ傾向があるからです。

 それほど自慢できるほどやっていたわけではありませんが記者時代にはしょっちゅうあちこちの企業へ私は電話取材をかけており(今もたまに)、その際にはやはり各会社で広報担当者の優劣がはっきり出ました。大企業であればしっかりしているというわけではなく、どちらかというと企業の存続年数にその実力は比例する所があり、たとえば三井や三菱グループといった財閥系だとどこも安定感が抜群で且つ記者が聞こうとする情報を確実かつ丁寧に説明してくれることが多かったです。
 その真逆とも言えるのがIT系企業で、メディア各社へ配信するプレスリリース文からして意味不明な暗号文となることが多いこともさることながら、電話で話を聞いてもこっちの取材意図もきちんと把握しなければ説明も業界専門用語をためらわずに口にするなど意味不明で、あと単純にチャラい奴も多かったです。唯一の例外は何気にDeNAで、比較的複雑な内容を穏やかな口調で且つ丁寧に説明する広報担当者がおり、「携帯ゲーム事業は駄目になるかもしれないがこの会社は今後も残っていくだろう」と直感的に感じました。

 話は戻りますがこうした広報担当者の実力、というか慎重さや危機回避能力は文字通り企業のリスク回避能力に直結しており、むしろ企業のリスク回避能力がどれだけあるのかによって広報担当者の実力も変わってくるように思います。先ほどのグリーの噂の件も、普通の感覚をした企業であればイメージダウンにつながりかねない内容なだけにすぐさま「そのような発言の事実はありません」と発信すべき内容なのですが、実に数年間に渡って彼らは完全に放置してきました。さすがに今回グリー社長もこの点については反省しているとの弁を述べていますが、どうせやるんだったら任天堂へのゲームソフト供給発表時に一緒に出した方がより払拭できたと思え、やはりこの会社は未だに広報のレベルというか感覚が鈍い気がします。

 何もこのグリー以外にも広報ミスで失敗した会社は数知れず、障碍者差別とも受け取られた東横インの社長会見や「おごり高ぶり言語道断」という未だに使われるフレーズを生み出したトンボ鉛筆などありますが、やはりこうした広報のレベルが低い会社はイメージ戦略の拙さもさることながら、企業内ガバナンスや将来事業への対応などと言ったリスク管理方面でも拙いという傾向がある気がします。さきほどのグリーとDeNAの現在を比較しても見えるものがあるし、そのほか私が取材した会社を見ていても、広報の弱い会社は業務拡大といった攻めの経営にこそ強いものの、業務縮小や再編といった守りの経営に入ると急激に弱くなる所が多かったです。
 こうなるのはどちらかと言えば、「ワンマン経営者の新興企業」という要因の方が主であり、広報の拙さはそれに付随する特徴だとみるべきかもしれませんが、企業が今後も安定的に成長を続けるかどうか、降りかかるリスクに機敏に対応できるかは、広報の姿勢や発信ぶりを見ればある程度は見極めるということを一つのテクニックとして紹介しておこうと思いました。

2018年3月11日日曜日

日本の転職で一致が要求される三条件

 先週日本へ一時帰国した際に会った友人がIT業界関係者ということもあって、ちょうどこの方面について取材している最中だったことからあれこれ話を聞いてきました。昨日書いたコメントで少しその時の話を書いていますが、最近システム発注側の企業におけるシステム管理者の質が極端に落ちており、仕様書やマニュアルに書いてあったりすぐ考えればわかるような内容ですら受注側にいちいち聞いてくることが増えたと話していました。

「35歳限界説」の定説希薄に 転職成功者の年齢、10年前より3歳上昇(SankeiBiz)

 そうした話をしていたところラブストーリーは突然にというくらいに急に転職市場の話となり、ちょうど出たばかりの上のニュースについて互いに言及し合いました。このニュース記事内容の真偽について確認したところ確かに以前と比べて年齢に関するくくりというか仕切りは日本の転職市場で薄くなってきていると友人が話し、その後出てきた「そもそも何故年齢でくくるのか?」という論点について二人とも即座に、「終身雇用制により年齢と給与がセットで結びつけられているからだ」という解を出しました。
 自分から意見はあまり出すことはないけど基本優秀な友人なので、かなり久しぶりなくらいハイテンポな会話をこの日は楽しめました。

 話は戻り先ほどの解を導き出した後で咄嗟に私は、「そもそも、日本の転職市場は条件が多いというより、条件すべての一致が求められるのでは?」と言って、「それはあるな」とまた即座に友人も私の言いたいことを理解していました。ぶっちゃけ理解速度や反応速度でいえば私よりこの友人の方が上でしょう。
 ここで私が言おうとしたこととは、日本の転職市場では雇用側は求職者に対して概ね三つの条件の一致を求める傾向があるということです。その三つの条件とは、経歴、年齢、給与の三つで、このうち経歴に関しては学歴、職歴、業務年数、役職経歴、勤続年数諸々を含みます。何が言いたいのかというと、日系企業はこの三つの条件を個別に審査するのではなく、三つの条件が各段階で全部一致するよう求めてくる傾向があるということです。

 例を挙げて説明すると、ある会社で課長級のポストが空いて募集することとなったとします。その会社における他部署の課長は40歳前後で且つ年収は500万円だったとすると、恐らく募集要項としては「40歳までの管理職経験のある人、年棒500万円」となるでしょう。
 この募集に対し、年棒は500万円でいいという45歳の管理職経験のある人が応募してきたら「ちょっと年齢が……」と言って落とし、一方40歳で且つ管理職経験はあるけど年棒は600万円欲しいという人が応募してきたら「ちょっと給与が……」と言って落とし、35歳で管理職経験はないけど年棒は400万円でいいという人が応募してきたら、「ちょっと経歴が……」と言って落としてくるのではないかと私は思え、友人も「年齢に関しては条件が緩くなりつつあるけど多分そうなる」と同意しました。

 逆にと言っては何ですが、30歳で果てしなく高い能力を持ちながら実績もあり、年棒も400万円でいいという人が上記の会社に応募したとしても、まず間違いなく「ちょっと年齢が……」と言って確実に落とされるでしょう。また仮にその高い実績を見込んで採用される場合も課長ではなく平社員として採用され、中間管理職でこそ発揮される彼の高いスキルは発揮されないでしょう。自分で書いてて非常におかしなこと書いている気がしますが、真面目にこうした現況を日系企業で目にすることが多いです。

 何故こうしたことが起きるのかというと、まず第一に採用段階で日系企業は「能力」については何も要求もしなければ審査もせず、見る点としては業務経験など経歴だけだからです。もっともこれは初対面の相手の能力を測るのは難しい点もあり、いくらか仕方のない点ではあると私も考えます。
 次の第二の問題点ですが、日系企業では給与と経歴(ポスト)と年齢がほぼ完全に紐づいており、どれか一つでも一致しなければ不適合者として取り扱う傾向があると私は見ています。先ほどの例の「40歳前後で課長で年棒は約500万円」のように、各会社で基準は異なりますがこうした三条件が相互に一致し合ってなければ、担当業務を出来る出来ないかに関わらず転職応募者を採用しない傾向があるように見えます。

 恐らく上記の私の主張を日本人は潜在的には意識しながら表層的には意識していない気がします。「年齢を基準とした雇用体制」という点については理解しながらも、その年齢に給与とポストが紐づいていて転職市場においては逸脱は決して許さないという事実については気が付いてないのではないかと思います。
 しかし結論から言うと、こうした日本の転職市場における慣習はほとんどメリットがないのに対してデメリットは盛りだくさんです。

デメリット1、優秀な人材の流出
 先ほどの例でも出ましたが、どれだけ能力が高く実績がある人物であっても年齢によって「まだ若いから管理職はダメ」と言って蹴られることがあります。これは三条件一致に反するということもありますが、それ以上に自分より年齢の低い人間の部下にはなりたくないという心情的理由もあります。
 また管理職でなくても、年齢に対して求める給与が高くてもまず弾かれるでしょう。スペック的にはその求める高い給与に見合うとしても「こんな若造に……」といったり、他の同年齢の従業員と差ができてしまうなどを気にして採用することはまずないでしょう。その結果、野心ある能力の高い人材はどうするかというと、やはりこの方面で融通が利く外資系とか外国へと行くことになるのではないでしょうか。

デメリット2、問題ある人材をゲット!
 多分この点については日本人は誰も気が付いてないと思いますが、上記の三条件が完全に一致する人材は果たしてその企業が求める人材なのでしょうか。はっきり言えばその可能性は高いか低いかでいえば低いように私は思え、というのも、経歴と年齢と給与の三条件がきちんと備わっていて且つ能力の高い人物が果たして転職などするでしょうか。普通に考えて、そんな日本社会において非常に好ましい条件にある人物はわざわざ転職などせずに、元々いる会社で順調に出世しながら働き続けるように私は思います。
 中には人間関係や出世競争、家庭の事情や給与アップ等の理由からそういう人であっても転職せざるを得ない人もいるでしょうが、能力を度外視するとして、経歴と年齢と給与の三条件が一致しながら転職しようとする人物というのは、何か他のところで問題を抱えているから会社を離れざるを得ない人物であることが少なからずある気がします。実際に私も、目も眩む大企業でそこそこのポストで働いていたという上記三条件の一致する転職者を見ましたが、「前の会社にいられなくなったから転職してきたんだな」という感想を覚えました。

 最後に何故こういう雇用、非雇用側のどっちも得しない悲しい出来事が起こるのかという原因について述べると、まず給与が能力ではなく年齢に結びついていること、次に各年齢ごとに給与テーブルが定まっていてそこからの逸脱が許されないのと、上司と部下の関係に年齢の逆転を認めないという慣行が日系企業にあるためだと思います。
 ある意味ここで書いた内容に気が付いたのは、中国の雇用慣行に私が慣れてきたからでしょう。中国の場合は初任給の時点でも企業や業務内容によって大きく差が出て、また転職市場も年齢が若い方が有利というのは事実ながら、年齢が高くても一営業プレイヤーとして優秀であれば若い管理職の人間の下でも生き生きと働く人もおり、また給与も職階や年齢に関係なくまちまちです。でどっちかといえば、そりゃ中国の雇用慣行の方が合理的だろうなというのが私の結論です。