知ってる人もいるでしょうが右サイドバーに置いてある「最新のコメント」がなんか昨日あたりから表示されなくなりました。サードパーティのフィード使ってて、先ほど調べたらそこのサイトにアクセスできなかったためそこのサーバーに何か問題があるせいかもしれませんが、ひとまずしばらくは静観して、改善が見込めなければ対策を取ります。
・横浜DeNA大和に聞く「阪神攻略法をナインに聞かれたらどう答えますか?」(THE PAGE)
さて上の記事は今年阪神から横浜に移籍した大和選手のインタビュー記事ですが、この記事見出しを見た際に私の頭には、「阪神の倒し方?俺はもう知ってますよ」という言葉がよぎりました。もちろん大和選手はそんなこと一言も言ってないのですが、この言葉がどうして浮かんできたのかというと以下のニュースをその前に見ていたことが原因でしょう。
・「任天堂の倒し方、知ってますよ」騒動の真相は…グリー田中社長の胸の内(産経新聞)
知っている人には早いですが、かつてのガラケー全盛時代に携帯ゲームで一世を風靡したグリーという会社がその絶頂期にあった数年前、面接に来た求職者に対してグリー社員が、「任天堂の倒し方、知らないでしょ?オレらはもう知ってますよ」という言葉を口にしたという噂が流れました。当時、任天堂はやや落ち込み気味であったのに対しグリーと同じ携帯ゲーム事業で勢いのあったDeNA(多分、大和選手がここに移籍したから浮かんだんだろう)は家庭用ゲーム機を尻目に業績を伸ばしており、どこか慢心めいた上記の言葉も「いかにも言いそうだなぁ」と恐らく私以外の人も受け取ったのではないかと思います。
この発言についてつい最近、任天堂ゲーム機へのゲームソフト供給を発表したグリーの社長が「根も葉もない噂で事実ではない」と、実に数年越しでようやく否定をしたのが上記のリンク記事内容です。何故これまで一切否定してこなかったのかという理由についてこの社長は、「事実ではなく根拠もないのだから否定するまでもなく放っておけばいい」と考えたためだったと話し、その上で任天堂に対してはかねてから敬意を持っていたとヨイショをしています。
ただ私個人の推測で言わせてもらうと、多分この発言は本当にあったのではないかという気がしてなりません。当時のグリーとDeNAの勢いは本当にすさまじく、何も任天堂の名前が出なくても家庭用ゲームはもうオワコンでこれからは携帯ゲームだという発言はあちこちで聞かれ、傍目にもその慢心ぶりは目に余っていました。また社長は任天堂には敬意を持っていたと言いはするものの、この噂のもう一方の当事者はほかならぬ任天堂であり、敬意を持つ相手だというのならなおさらこんな失礼極まりない発言内容をこれまで否定しなかったのかと思え、やや腑に落ちません。
もっともこうした議論は水掛け論になりますし今更どうこう言うのも意味ないと思うのですが、このグリーという会社と上記の噂を見ていてかねがね、「そう長くはない会社だろう」と密かに見ていました。その根拠というのも私の経験則から言って、広報が未熟な会社はほぼ確実にガバナンスが弱く、リスク管理が甘いという特徴を持つ傾向があるからです。
それほど自慢できるほどやっていたわけではありませんが記者時代にはしょっちゅうあちこちの企業へ私は電話取材をかけており(今もたまに)、その際にはやはり各会社で広報担当者の優劣がはっきり出ました。大企業であればしっかりしているというわけではなく、どちらかというと企業の存続年数にその実力は比例する所があり、たとえば三井や三菱グループといった財閥系だとどこも安定感が抜群で且つ記者が聞こうとする情報を確実かつ丁寧に説明してくれることが多かったです。
その真逆とも言えるのがIT系企業で、メディア各社へ配信するプレスリリース文からして意味不明な暗号文となることが多いこともさることながら、電話で話を聞いてもこっちの取材意図もきちんと把握しなければ説明も業界専門用語をためらわずに口にするなど意味不明で、あと単純にチャラい奴も多かったです。唯一の例外は何気にDeNAで、比較的複雑な内容を穏やかな口調で且つ丁寧に説明する広報担当者がおり、「携帯ゲーム事業は駄目になるかもしれないがこの会社は今後も残っていくだろう」と直感的に感じました。
話は戻りますがこうした広報担当者の実力、というか慎重さや危機回避能力は文字通り企業のリスク回避能力に直結しており、むしろ企業のリスク回避能力がどれだけあるのかによって広報担当者の実力も変わってくるように思います。先ほどのグリーの噂の件も、普通の感覚をした企業であればイメージダウンにつながりかねない内容なだけにすぐさま「そのような発言の事実はありません」と発信すべき内容なのですが、実に数年間に渡って彼らは完全に放置してきました。さすがに今回グリー社長もこの点については反省しているとの弁を述べていますが、どうせやるんだったら任天堂へのゲームソフト供給発表時に一緒に出した方がより払拭できたと思え、やはりこの会社は未だに広報のレベルというか感覚が鈍い気がします。
何もこのグリー以外にも広報ミスで失敗した会社は数知れず、障碍者差別とも受け取られた東横インの社長会見や「おごり高ぶり言語道断」という未だに使われるフレーズを生み出したトンボ鉛筆などありますが、やはりこうした広報のレベルが低い会社はイメージ戦略の拙さもさることながら、企業内ガバナンスや将来事業への対応などと言ったリスク管理方面でも拙いという傾向がある気がします。さきほどのグリーとDeNAの現在を比較しても見えるものがあるし、そのほか私が取材した会社を見ていても、広報の弱い会社は業務拡大といった攻めの経営にこそ強いものの、業務縮小や再編といった守りの経営に入ると急激に弱くなる所が多かったです。
こうなるのはどちらかと言えば、「ワンマン経営者の新興企業」という要因の方が主であり、広報の拙さはそれに付随する特徴だとみるべきかもしれませんが、企業が今後も安定的に成長を続けるかどうか、降りかかるリスクに機敏に対応できるかは、広報の姿勢や発信ぶりを見ればある程度は見極めるということを一つのテクニックとして紹介しておこうと思いました。
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