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2019年9月7日土曜日

ポスト文大統領に対する期待の異常

 現在の日韓関係の報道やコメントとかを見ていると、日本側は政策関係者から一般市民までひっくるめて、今のムンジェインこと文大統領とはまともな外交ができないと匙を投げており、私もこれには同意します。そのため次の大統領になってからとばかりに、早くに文大統領が弾劾されることを期待する意見やコメントがよく見られますが、私の意見としてはやはりこれは楽観的過ぎて危険だと思います。何故かと言うと、次の韓国大統領が革新ではなく保守勢力から出たとしても、日本に対する反日的スタンスを維持する可能性が高く、米国との軍事的関係は改善されるとしても、対日外交は恐らくほぼ全く改善しないと考えるからです。

 このように考える理由としては複数あり、一つは前の朴槿恵前大統領の存在です。保守勢力から出た大統領ですが就任当初より告口外交という、今や韓国勢力が行うものとしては一般化した日本の悪口をひたすらあちこちで言い続ける外交を始めた当初の人物であり、多かれ少なかれ反日的行為を行った大統領はこれまでもいましたが、それまでと一線を画す反日行動をとった張本人です。
 この朴槿恵前大統領自身、そしてそれを指示した当時与党の保守勢力はこういった日本バッシングに対してあまり異議を唱えていたようには思えず、むしろ報道レベルでは喝采していたように見えます。今の韓国の反日行為は革新の文大統領だから、という構図はやはり間違っているように思え、程度の差こそあれ今の韓国は日本に係るものすべてを全否定するかのような立場を取り、大統領も与党勢力も変わったとしても、恐らくこの姿勢に変化は見られないでしょう。

 次に、韓国の政治を動かしているのはなにかといえば結局大衆で、言ってしまえばポピュリズムだからです。

 私が見る限りかつて韓国は、「きちんと誠意ある態度で日本は謝ってほしい。それさえしてくれればそれでいい」と、従軍慰安婦などの問題について言っていたように記憶します。それが今では、「日本はかつて悪いことをしたのだから未来永劫永遠に韓国に謝罪し続けなければならない」、「過去に謝罪したからと言って今現在もその謝罪の心がなくなっては意味がない」、「被害者である韓国に対して日本がなにかものを言える立場ではなく、韓国の出した結論に従うべき」などと、かつてと比べると主張や意見が先鋭化しているように思え、恐らく今後ますますこの傾向は強まるでしょう。
 先鋭化した理由は色々あるでしょうが、韓国自身の社会不安が何気に一番大きいのかと思います。理由は、半日意識が特に強い層というのが就職難で生活が困難な若年層だと指摘されているからで、日本でも一部ネット右翼などはニートなどに多い(実態は不明)と指摘されていますが、韓国社会で特に不安定な層が排他的になると仮定した場合、この層はその後も量産され続けた上に年齢が高まれば更に傾倒していくと考えるからです。

 話を戻すと、突き詰めると政治エリートの仕事とは国民に負担を課して国家に貢献するのが一般的です。古くは三国干渉だったり、日露戦争の賠償金放棄だったり、国民とその生活にとってはマイナスであっても国家としてはプラスとなる外交の妥協というものは多い、というかそれが普通で、こうした国民に嫌われる決断をどれだけできるかが政治エリートは問われます。逆に大衆に都合のいい政策を外交に反映するとなると、国家としては外交で大きな損失を受けることとなり、回り回って国民生活にも支障をきたすことのほうが多いでしょう。

 翻ってみて、韓国の場合はこうした政治エリート的判断が普通には行なえません。財閥への継投策は行われるものの、外交に関しては大衆の意見がそのまま反映されやすい、というより反映しなければ政治家らが持たない傾向があり、こうした傾向は近年ますます強まっているように見えます。皮肉なことですが、朴槿恵前大統領の弾劾デモはこの流れに一役買っています。
 となると、韓国国民が反日意識を持っているとしたら、政治家らはそれがどれだけで国家としてメリットとなるとしても反日政策を実施せざるを得なくなるでしょう。このように考えた場合、文大統領が退陣したとしても、次の政権が対日関係改善に動く可能性は低いと思われます。

 もしどうしてもそんな韓国の姿勢を変えたいというのなら、一番ラクなのはヘイトの矛先を変えることです。これ以上は言わぬが花でしょう。

2019年9月5日木曜日

ロシアから見たロシア遠征

 今週、長谷川哲也氏の漫画「ナポレオン 覇道進撃」の最新刊が発売され、陰鬱なロシア遠征がこの巻で終わりました。このあとはライプツィヒの戦いに続くわけですが、今回この漫画を見てナポレオンのロシア遠征で今まで知らなかったことが多かったとひどく痛感しました。
 具体的には、ロシア軍はずっと焦土戦術を取っていたと思っていましたが、実際にはモスクワ入場直前にボロジノの戦いが発生しており、ここで両軍ともに惨憺たる損害が発生しており、一次大戦以前で最も人が死んだ会戦などと呼ばれていることも初めて知りました。

 ただそれ以上に興味深かったのは、ロシア側の目線もしっかり描かれていたことです。ロシア遠征と言うと基本ナポレオンの視点でしかこれまで語られることがなく、退却時にフランス軍がどれだけ死んだかとか、そういったところしか私も今まで見てきませんでした。
 ではロシア側からの目線で見るとどうなのかですが、感想としては日本の元寇のような感じだったのかなと思いました。ロシア側としては大陸封鎖令を破ったことで圧倒的大群のフランス軍に攻められ、国土が荒らされる中、焦土戦術という首都モスクワすら焼く非常な作戦をとりつつも見事に撃退したこの戦争は実際に、ロシアでは大祖国戦争と呼ばれてナショナリズム高揚の際にはよく引用されるそうです。

 同時代であっても、レフ・トルストイの「戦争と平和」はこのロシア遠征をテーマに描いており、女帝エカチェリーナを除き貴族勢力が強かったロシアで皇帝権力が増して絶対君主制が確立した景気にもなっているだけに、国家形成という意味では非常に重要な戦争だったと言えるでしょう。

 話は漫画に戻りますが、個人的に興味を持ったのはロシア軍総司令官のミハイル・クトゥーゾフのキャラクターです。このロシア遠征時は既に高齢だったものの、若い頃はロシアとの戦争で軍功を上げていたことから国民の人気は絶大で、当初総司令官だったバルクライが不人気ゆえ引きずり降ろされたあともバルクライの焦土戦術を踏襲し、モスクワにフランス軍を閉じ込めて見事ロシアを逆転へと導いています。
 なおロシア遠征時のロシア軍にはほかにバグラチオンという有名な将軍もいますが、中にはこの名前を来てピンとくる人もいるのではないかと思います。というのも、二次大戦における独ソ戦でそれまで守勢だったソ連軍が反転攻勢をかけてドイツ軍を分断させた作戦名が「バグラチオン作戦」で、この作戦名は実際にボロジノの戦いで戦死したバグラチオン将軍から取られています。

 話はクトゥーゾフに戻りますが、ロシア領内からフランス軍を撃退したあと、意気高くそのままプロイセンと組んでフランスを完全に叩こうとロシア軍が遠征を準備する中で寿命死しています。漫画内でもその場面が書かれてあり、実力を認めるものの折り合いの悪かったロシア皇帝アレクサンドル一世が申し訳なさげに、「今まで、自分は悪い上司だったと思う。君の人気と功績にずっと嫉妬してきた」と病床のクトゥーゾフに語りかける場面はさすがは長谷川哲也と思わせられる演出でした。

 ただ、このロシア遠征で最高の場面はどこかというのなら、和睦を諦めモスクワからフランスへの帰国をナポレオンが決断した際、「やがて誰もが地獄を見る」というナレーションを振った次のページにて、

「そしてミシェル・ネイは伝説となる」

 と書かれたページが一番胸に来ました。具体的にどういう意味か知りたい方はぜひWikipediaのページをご覧ください。

2019年9月4日水曜日

PS Vitaは何がまずかったのか

 さっき家帰ってきてラーメン作って食べてりんごも食べたけど、ぶっちゃけ餓えで気絶しそうです。なんだろう、風邪引く前なのかな。後で羊羹食べよう。

 話は本題ですが、先日日本にいる名古屋に左遷されたうちの親父に、「ニンテンドースイッチライトを予約して。請求はスイス銀行へ」と連絡出しました。これまで私は携帯ゲームだとソニーのPS Vitaを使ってきましたが、既にこちらは生産中止が発表されている餓えに後継機も発表されていないことから、今後についてはもはや一切期待のしようがありません。またゲームソフトメーカー側もVitaがなくなるという状況にあっては携帯ゲーム機は実質ニンテンドースイッチ一択(3DSも一応あるが)となるため、今後こちらで発売する公算が高いでしょう。

 そもそも何故Vitaは生産中止で後継も出なかったのか。結論から言えばあんま売れなかったからで、PSPは大成功したのにVitaではその成功を引き継げませんでした。では何故Vitaは失敗したのかと言うと、自分から見てもいくつか理由が見て取れます。

1、ハード設計
 はっきり言って欠陥もいいくらいハードの設計はミスっていました。発売当初にVitaは「背面タッチパッド」という機能をウリにしていました。これは何かというとVita本体の背部をタッチすることでボタンとなる機能なのですが、実際にこの背面タッチパッドを使おうとすると指がどこに当たるのか正面からは見えず、また両端を持って支えているのに背面にタッチしようと指を動かしたら本体を取り落しそうになるなど、位置的におかしい配置でした。
 その上、じゃあ使わないでおこうと放っておいたら、ゲームプレイ中にたまたま背面に指が触れてしまい、暴発するというケースも多々有りました。その結果というべきか、初期に発売された以外のVitaのゲームではそもそも背面タッチパッドを使わないようになっており、メーカー側も暴発が多い上に何の役にも立たない操作機能とみなしていた節があります。

 逆にもしこの背面タッチパッドなど付けずL2・R2ボタンを付けていたら、PS3やPS4のコントローラーと全く同じ入力機能を備えることができ、ソフトの移植や操作感なども向上していたと思います。そういう意味では根本的にハード設計を間違えていたとしか言いようがありません。

2、セーブデータの保存
 あまり言及されませんが、Vitaはゲームデータの保存が異常としか言いようないものでした。
 他のゲーム機同様にVitaのゲームソフトはダウンロード購入できるのですが、一回ダウンロードして、クリアして、他のゲームを入れるのに容量が足りなくなったから削除すると、自動的にクリアデータなど過去のセーブデータも一括で消去されてしまいます。そのため後で以前遊んだゲームを遊び直そうとしても、データが消えているので「一からニューゲーム」するしかなくなります。

 対策としては一般PCにアプリを入れてデータを保存させる、またはPS3などにデータをコピーしておくという方法がありますが、そんな面倒くさいことさせるくらいならどうしてセーブデータだけ別途保存するようにしなかったのかが疑問でなりません。何がすごいかってこれ、以前のPSPでは問題なく別途保存することができていた上、VitaでもPSPソフトのセーブデータはゲーム本体を消しても残しておくことができるという点です。
 ダウンロード販売が主流というのにこのセーブデータの扱い方は理解しようにもなく、真面目にこうした仕様にした人間はあまりにも配慮が足らず、Vitaが失敗した要因の一つだと本気で思います。

3、ソニー謹製のゲームソフトがクソだった
 結論から言うと「フリーダムウォーズ」というゲームですが、これはソニーが外注で作った、任天堂系に流れたPSPの立役者である「モンスターハンター」のような役割を担わせようと開発したクソゲーです。発表会でなんか「祭り」がテーマだと大層なこと言ってたそうですが、ゲーム内の各仕様が店でまとまりもない上に欠陥が多く、無駄に続編を匂わせようとして電波なシナリオになってしまったりした哀れなゲームです。
 開発費だけはたくさんかけられていたのかキャラの造形やグラフィック、ムービーなどは非常にハイレベルであるものの、それ以外のゲームの根幹があまりにもクソすぎて十人が十一人(生霊)揃ってクソと言わしめるゲームでした。

 私もクリアしましたが擁護のできないクソゲーだったものの、敵キャラを増やしたり、戦闘ルールをもう少しユーザーフレンドリーにすればすごい化けそうな可能性は感じました。実際他の人も「糞だったが続編には期待したい」という声も見られたのですが、どうもこのフリーダムウォーズがコケたあたりからソニーはVita事業に対して匙を投げたと言うか急にやる気なくしているので、こうした期待にも答えることはありませんでした。

4、ラインナップ
 理想を言えば、やはりソフトラインナップをもっとしっかり考えておくべきだったような気がします。私の実感で言うと、ターゲット対象年齢がやや高めのゲームが多く、小学生くらいでも遊べるゲームが最初から最後まで少なかった気がします。こうした層をもっと取り込んでおけばよかったのと、あと対象年齢が高く設定されたことからなんか遊んでて、似たようなゲームばかりが多かったようにも思います。
 特に後期に至っては腐女子向けのアドベンチャーゲームが乱発されたりして敗北ハードのセオリーを歩んでいましたが、もっと正統派のアドベンチャーとかアクションがあればなとよく思ってました。まぁそれ以上に、PSNのUIが糞すぎて購入意欲も失せるところがありましたが。


 ざっと上げるとこんなもんですが、なんだかんだいいつつVitaだとPS時代やPSP時代の過去のソフトをダウンロードして遊べるので、今後も一応持ち続けることにはなると考えています。それよりもニンテンドースイッチライトで何を遊ぶか、さしあたってバイオハザード4、5、6のセットでも買おうかと検討しています。
 っていうか夏働きすぎたから長い休み取りたいけど、未だに忙しいから休み取れない(´Д`)

2019年9月2日月曜日

コンビニ記事の裏側

夏でもおでん、中国のコンビニは日本とどう違うのか(JBpress)

 そういうわけで今日配信の自分の記事ですが、正直なところあまりアクセスはよくありません。ショックではないものの、この記事でもだめなのかという点でなかなか驚きであり、もっと精進しないといけないなと反省しきりです。

 個人的にはすごい気に入っており、中国コンビニ市場というニッチだけど潜在力の高く、なおかつ日系が主役といういい市場を見出したと思え、引用した情報も日本のビジネスマンにとってもそこそこ参考となる指標を選んだつもりでした。
 特に注目すべきは、中国のコンビニ市場規模は日本の約三分の一という点で、小売市場全体であれば中国は日本の数倍まで来ているにも関わらず、コンビニ市場は逆に小さいというこのギャップは高い潜在成長力を暗に示しています。もっとも、早々簡単に拡大できない背景もあり、それは次号の後編で書いています。

 元々この記事は一本で行く予定でしたが、ドラフトを友人に見せたところ詰め込み過ぎとの指摘を受けたので二本に分けた背景があります。私自身も一本では文字数制限から書ききれない点が多く、中国コンビ市場の特徴の前編、日系コンビニ企業の中国市場動向の後編に分けてスッキリしたと感じたので、この決断は良かったと思います。
 もっとも読まれなければ元も子もないわけで、そういう意味ではもっとこの前編も工夫すべきだったかもしれません。

 というわけで、後編に期待です。

2019年9月1日日曜日

寛政の改革後のような中国の世相


 安くてパーツ数が少なくすぐ作れると思って四式こと疾風を作りました。レシプロ機は何気に初めてですが、購入から製作開始まで何故か疾風ではなく飛燕を買ったとずっと勘違いしてて、飛燕と紫電改ならぬ飛燕改とは呼ばない五式のWikiの説明とか見ていて心躍らせていました。

 さて話は本題に入りますが、

  白河の清きに魚もすみかねて もとの濁りの田沼こひしき

 この狂歌をみてすぐに寛政の改革だとわからなければマルクス主義的にはアウトです。この狂歌は江戸中期に寛政の改革を主導した松平定信を批判した狂歌とされ、その意味としては当初は田沼意次が老中だった時代の賄賂政治からの脱却を図り、そのクリーンさで期待されていたものの、賄賂自体は減ったが寛政の改革が始まってから社会統制が厳しくなって生きづらくなった上、経済も悪化し、今思えば賄賂はあっても田沼時代の方が良かったなぁという世相を述べたものとされます。ちなみに作ったのは大田南畝です。

 なんでこの狂歌を引っ張り出したのかと言うと、今の中国の世相にピッタリ当てはまり、一般中国人も似たようなことを言っているからです。具体的には、「江沢民、胡錦濤時代は賄賂が飛び交っていたけど、景気良かったなぁ」、「習近平政権になってから汚職の取締が激しくなったけど、その分経済は前ほど良くない」、「昔はむちゃくちゃだったけど、案外楽しかったなぁ」といった感じです。
 もっとも、その江沢民、胡錦濤時代の汚職ぶりは激しく、当時にあっては重要な社会問題の一つとして認知されており、習近平政権以後に汚職摘発が進んだ際はみんな拍手喝采でした。現在においてもかつてと比べれば汚職は確実に減っており、賄賂に関する話題も以前より大分減っている気がします。ただ汚職が減った世の中にみんな慣れてしまったのか、前ほど摘発があっても拍手喝采はしなくなりました。

 また経済に関しても、日本なんかと比べれば半端なく高い経済成長率を中国は維持していますが、それでも江沢民時代のように二桁成長はもはや実現不能な時代となっています。給与の上昇幅も今と比べれば昔はベース金額が少ないこともあってものすごく高い上昇率で、生半可に当時を知っている人からすると、毎年数%の昇給では不満に感じるでしょう。真面目に昔の中国は三年位で給与は倍になっていたと聞きます。

 ただ、仮に昔みたく汚職を見逃せば景気は良くなるかと言ったらそれはまずありえないでしょう。そういう意味では低・中成長時代を迎えることとなってしまった習近平政権は以前と比べられるため不幸だと言えますが、汚職に限らない社会統制に関しては市民が不満に感じるのも無理がないでしょう。
 具体的に言うと、海賊版DVD屋などは摘発を受けて現在殆ほとんどなくなってきており、また風俗店はおろか、キャバクラのような飲み屋も二、三年前から摘発されるようになって今じゃ大分減ってきています。日本人駐在員の間でも、前と比べて中国での楽しみが減ったという声がよく聞こえますが、元々酒の飲めない自分からしたらあまり影響がないのでその当たりの感覚はなかなか共有できません。

 こうした実態店舗に限らず芸術や文物に関しても統制は強まっており、アニメなども暴力描写があれば公開させないなど審査が厳しくなってきています。まぁ公式に「低俗」と認定されながら「五等分の花嫁」のアニメは配信されていましたが。

 最後に日本の側について言うと、日本ではこういう社会統制は随分見られなくないというか逆にフリーすぎるような気がします。せいぜい言って最近物議を醸したのも酒鬼薔薇の手記出版くらいで、それ以外に芸能や風俗関連で摘発例は全く聞かず、それはそれでどうなのかなと思う節があります。具体的に言うと山場CMとかチャリティーではない24時間番組など。

2019年8月31日土曜日

取材量と質

 前にも紹介した「正直不動産」という漫画の六巻が発売されましたが、期待通りに面白く通勤途中は非常に楽しかったです。なお一緒に奥浩哉氏の「GIGANT」も購入しており、こちらは台詞が少なく、面白いことからページを捲る手が止まりませんでした。

 話は「正直不動産」についてですが、非常に不動産業界の悪慣習について取材されており、地面師事件やタワマンのデメリットなどに触れるなどタイムリーなネタが良く拾えており、完成度の高い漫画だと思います。
 なおあまり営業成績はよくないのに主人公に先輩風を吹かすキャラクターが、絵の方の作者が以前書いてた闇の深い「ロストブレイン」というモロデスノートな漫画の冒頭で、主人公に催眠術で操られ爆死するキャラに面影があるというか似ています。きっと爆死したあと、ロストブレインから正直不動産に転生してきたのだと信じています。

 話した二転三転しますが、正直不動産についてはよく取材されているとともに、取材内容をいつもうまく作品に落とし込んでいるなと感じます。というのも、自分も記事を書く際に色々取材しますが、取材量と反響はほとんど一致しないと言うか、むしろ反比例することのほうが多いからです。具体的に言うと、たくさん取材すればするほど読者には読まれなくなる記事になりがちです。
 一体どうしてこうなるのかと言うと、取材量が増えれば増えるほど記事内容というのは狭く深くディープになる傾向があり、例えばビール市場を調べるとすると、

全体の傾向→企業業績→売れ行き商品→商品ユーザー→商品原価→生産現場

 みたいな感じで、後半になると業界関係者からすれば興味のある内容となるものの、一般読者としてはあまり興味ない内容となってきます。一般読者はどちらかと言うと、広く浅めな情報を好む傾向があります。
 無論、一般読者も業界関係者も満足させるような記事を書ければしめたものですが、そうなることはなかなか難しく、一般論としては取材すればするほど記事がディープになって下手すりゃつまらなくなる可能性が高いです。

 なので他の人にも言っていますが、取材後に記事を書く上で何が大事かと言うと、取材内容をどれだけ切り落とすかだと私は考えています。興味が持たれるポイントだけ抽出して、あとはどれだけインタビューや調査に時間をかけたとしても、バッサリ切り落とすことのほうが記事の質を保つ上では求められてきます。
 そんな風に考えてはいるものの、前述の通り正直不動産を読んでいると非常によく取材されていて、それでいて面白いのだから結局は作品への落とし込み方なのかなとちょっと考え直しています。

2019年8月29日木曜日

日本が中国に卸さない戦略物資

 昨夜知人と夕食していましたがその際、「昔と比べて上海で何でも買えるようになったけど、コンソメだけは何故か売ってないよね(ヽ´ω`)」という会話になりました。実際に、今や日系スーパー加え、閉店を土壇場で取りやめた高島屋などに行けば日本の食材や調味料などは簡単に手に入るものの、何故かコンソメスープの素だけは未だにどこも取り扱っていません。
 私も知人も、「野菜とか中途半端に余った時、コンソメあれば全部ぶち込んでまとめて処理できるからいいのにね(*´・ω・)(・ω・`*)ネー」と話すなど、コンソメが中国で売られていない現状を二人で憂いました。何もこの知人に限らず他の日本人ともよくこういうこと話してて、割と私の周りでは日本から大きい箱サイズで毎回買って持ってくるという人が多いです。

 例の韓国のフッ化水素の件でも色々揉めていますが、これだけ日本人が長く住んでて、今や素麺の「揖保乃糸」やカルピスまでよく売られているというのに、全くと言っていいほど取り扱われないコンソメスープの素はもしかしたら、日本政府から戦略物資に指定されててキャッチオール規制に引っかかっているのかもしれません。じゃないとなんで全く上海で売られることがないのか、マジで理解できません。実際におかずの献立戦略的にはコンソメは戦略物資だし。

 ちなみコンソメは手に入らないものの、クノールのカップスープことコーンクリームスープの素は日系スーパー行けばどこでも買えます。が、そのお値段はなんと一箱三袋入りが30元、日本円に換算すると約450円です。しかも今円高で1元=15円だけど、レートが少し変わると簡単に一箱500円を突破したりします。日本で買うと150円くらいなのに、実質三倍超の値段で中国では取引されていることとなります。
 しかもこの値段、不思議なくらいにどこ行っても30元で売られてて、もしやこいつらコーンクリームスープでカルテル結んでるんじゃないかっていうくらい値段がピッタリ同じで地味にむかつきます。むかつきながらも、あれあると真冬の夜とかに飲むと体も温まっていいので、高いと思いつつたまに買っちゃうのですが。