やや本題から外れますが、AI・スマホ革命一つとっても私はAIよりも先にロボット革命の方が起きるのではないかと思います。真面目に中国の人型ロボットの発達はすさまじく、労働現場の代替も夢じゃないのではないかと思うようになってきました。
話を本題に戻すと、この本で大前氏はかつての工業革命、IT革命同様、AI・スマホ革命によって現場作業などを行うエッセンシャルワーカーを除き、多くの職業が不要となって失業者が増加すると予言しています。特に現在事務作業を担当するホワイトカラー、しかも弁護士や会計士といった士業などはAIに仕事を丸ごと奪われると主張されていました。
正直に言ってこの辺の「将来なくなる職業」系の話は若干聞き飽きているというか、かねてから消滅候補ナンバーワンとされている通訳や翻訳系の仕事一つとっても全然消え去る気配がしません。知り合いの翻訳ライターに言わせると、AIに契約書を翻訳させて取引当事者同士に認識の齟齬が発生した場合、誰が責任を採るのかで問題になるからAIがすべて翻訳する事態はまず起こりえないとも言ってます。
また大前氏の主張に私が疑問を感じた最大の理由としては、IT革命のときもまさにおんなじことを言う人がたくさんいました。ITによって今後事務作業者はいなくなる、経理なども不要になどと言われましたが、Windows95の発売から30年を経て、あの時なくなると言われた職業は今も現役で募集も続けられています。
そこで気になったのが、実際にこの世から消え去った職業ってあるのかなということです。試しにネットで検索してみたところ、昭和末期から現在に至るまでの間で確実に消え去ったと言える職業を私なりに探してみたところ、以下の職業が該当すると考えました。
・タイピスト
・電話交換手
以上の二つです。マジこの二つ以外には見つけることができませんでした。
前者のタイピストはキーボード操作という技術がパソコンの普及により一般化して、専門職が完全不要になったことが原因でしょう。後者の電話交換手も半導体とシステムの普及により、人手を使う必要がなくなったため消え去りました。
これ以外にも細かいのを挙げればブラウン管テレビの技術者なども挙げられますがそれは職業というより技術分野であり、技術者という枠なら全然現役です。こんな具合で、かつて将来消えると言われた職業はほぼ全て現存しており、むしろこの30年くらいでなくなった職業を探す方が難しいくらいです。
書いてて思い出したけどチンドン屋は消えたと言えるのだろうか?一応業務を受ける企業はまだ存在するようだが。
では消えなかったにしても減っている職業はないのかというと、実際のところIT革命を原因とする職業人口の減少はあんま起きていないのではないかという気がします。先ほど挙げた経理もそうですし、営業職やデザイナーの数もそこまで激減しているように見えません。むしろパソコンを使ったデザイン業務やSEなどと言った職業も登場するようになり、職業の幅が狭まるどころか広がっているようにすら感じます。
仮に減っているとしても募集人口が以前より減っているだけで、かねてからその職業についていた人が職を追われるような事態はまず起こっていないと断言できます。技術発達によってある日突然仕事がなくなるようなことはほとんどなく、実際は募集段階で漸減していくのが関の山でしょう。
このほかもう一つツッコむと、さっきのCGデザイナーもそうですが実際には技術発達が起こると既存職業が淘汰されるというよりは、既存職業に新規技術が組み合わさってそのまま残るというパターンの方が多い気がします。漫画家もかつては手書きしかなかったのが現代ではPCで、しかもリモートで作業する方が多数派となっており、営業職も各種ITツールを利用して売り込みや分析を行うようになっています。翻訳に関しても辞書を使わず電子辞書をと思いきや、電子辞書すらなくなって今やWebで単語を検索するのが常道であり、弁護士や会計士もそういった判例や証跡確認ツールを使って今も仕事していると思います。
工業革命時も機械によって職が奪われると暴動も起きたりしましたが、のちに機械によって新たな職業も生まれており、過去の例からみると一概に技術発達が職業を消すと言えるものではないでしょう。むしろ新たな技術をどのように既存の職業や業務に組み込んで効率を上げるべきなのか、こうした視点こそが雇用の拡大や生産効率性の向上にとって重要であるように思え、こうした視点を持つ人が現代に少ないということの方が私にとっては先が思いやられます。
そういう自分も人のこと言えないというか、IT革命によって雇用が減少したら日本としてはマイナスなのではと大学時代に久保建夫先生に行ったことがあり、その際に久保先生が「ITで既存の工業にとって変えるのではなく、どう組み合わせるかという視点が重要だ」と指摘されて現在に至ります。
世の中に絶対は無いです。 もし子供だけが乗った完全自動運転の車が事故を起こしたら誰が責任を取るべきか考察した事があります。当然子供に責任を取らせるわけにはいきません。責任を取るべき主体は 車の所有者・メーカー・AI開発企業です。 ですが事故発生時に AI開発企業が倒産していたら責任を取らせる事自体出来ません。所有者も「事故を起こした以上この車は完全自動運転ではない。メーカーに責任がある」と文句を言います。やはり完全自動運転の車が起こした事故の責任はメーカーがとる事になるのかもしれません。もしAIプログラムに責任を取らせるのであればAIを搭載した車に懲役刑を課すことになります。AI搭載車用の刑務所なんて 青空駐車場とたいして変わりませんね
返信削除自動運転車に対する責任の所在はやはり、第一には運転者、第二に開発メーカーとなるでしょうね。このような形にしないと、補償の法体系が完全に崩れるというか統制が効かなくなるでしょうし。
削除翻訳のところでも触れましたが、AIというのは責任の所在がはっきりしないというのが実は大きな弱点である気がします。