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2022年2月27日日曜日

燃える不動明王

 先日、友人から超いい感じな陶器の入れ物に入ったキャンドルをもらいました。アロマキャンドルではないものの火をつけるとムーディで、何かに使えないものかとしばらく思案に暮れた結果、ある使い方を思いつきました。





































 やはり火と言ったら不動明王だろうと思い、上の写真の様に秘蔵のメタリックブルー不動明王像を信楽焼のタヌキをつけて撮るしかないという結論に至りました。何気にバックの影がいい感じに撮影できたかと思っています。

アップ写真

電気つけるとこんな感じ

 友人に送ったところそこそこいい感じの反応が得られました。前から仏具とか地味にインテリアとして非常に価値を持つのではないかと考えていたのですが、やはり仏像とろうそくの組み合わせは非常に見栄えが良く、信仰心のあるなしに係らず簡単な仏具と一緒に置いておくとかなりいいのではと今回思うに至りました。

 なお2枚目のアップ写真は現在、携帯の待ち受け画像に使っています。スイッチオンしたらいきなり不動明王像がにらみを利かせてくるようになっており、常に不動明王に見られているとする自らに対する戒めにしているとともに、仮にスマホ盗まれた際に盗んだ奴が「この持主はやばい奴なのでは?」と思わせる効果を狙っています。

2022年2月26日土曜日

ウクライナ侵攻に起因して今度どう変わるか

 昨日出した週報に「ウクライナ同様に私の仕事現場も前線が崩壊してきました」とかなり悲痛な報告しました。マジ来週から仕事どうしようかと頭抱えています。

 そんなロシアのウクライナ侵攻ですが、現在もウクライナ国内で戦闘が続けられるなど悲惨な状態が続いていると言われます。多くの人間が指摘しているように多国間関係が比較的成熟したヨーロッパ地域においてこれほど大規模な戦闘行為が行われるとは青天の霹靂もいいところであり、この災害に巻き込まれたウクライナの人々には強い同情を感じます。

 こうしたウクライナ情勢を受け、石油を含むエネルギー価格が異常な高騰ぶりを見せています。原因はエネルギー産出国であるロシアが当事者であり、そのロシアからのエネルギーを調達してきたドイツなどヨーロッパ諸国が今後はその調達を手控えることが見えており、それに伴いロシア以外からの調達が増えるという見込みからでしょう。上海熊さんがコメントでも指摘してくれましたが、現状においてはイラクをはじめとする中東産油国が漁夫の利を得ていると言っていいでしょう。
 日本国内でも伝え聞くところによるとガソリンがリッター200円を突破するところも出てきた聞きます。開戦前より高騰していて、政府も石油卸会社に補助金を配ってますがまぁ全く無意味なバラマキとしか今は言いようがありません。今後も日を追うごとにさらに高騰する自分は予想しており、運送費や食料品などを始め、全産業で値上げラッシュが続くでしょう。

 神風的に、これによって日銀黒田総裁(一瞬、「総帥」と打ち間違えた)のインフレ目標が達成されるかもしれません。まぁ給与は上がらないまんまというオチ付きになるかもしれませんが。

 値上げで一番泣き所となるのは、案外電力なんじゃないかと思っています。現状からすると民用電力価格の引き上げは不可避で、政府も承認すると思います。家計への打撃は言うまでもないですが、社会ムード的にもかなり悪い方向に流れる気がします。

 こうした価格面での影響意外に今後起こりうる変化としては、企業取引方面の影響も真っ先に検討されます。こちらの方面ではヨーロッパ諸国の企業が主役であり、こと日本に関してはそもそもロシア系企業との取引はそこまで大きくないことから、影響零というわけではないものの、他国ほどには影響を被らないと思います。
 またさっきの価格高騰にも関わりますが、現在株価が下がっているのは今後の情勢不安視もあるでしょうが、より利幅が見込める金や食料など現物先物へマネーが流れていることも大きいとみており、マスコミが騒ぐほど株価下落の影響は大きくはないと思っています。そもそも、日系企業が史上から資金調達したところで投資先もあんまないし。困るのはせいぜい、分割しようとしている東芝とかくらいでは。

 次に軍事面で言えば、やはりウクライナ以外の東欧、そしてフィンランドなど北欧が次のホットスポットとなるでしょう。ただでさえ今回ウクライナが実質的に欧米列強から見捨てられる形となり、その信頼が揺らいでいることから、これらの国々では主流派とはならないでしょうが、ロシア側に振れる勢力も出てくるかもしれません。それに対し欧米列強がどれだけ取り込もうとするのか、またウクライナに続いてロシアはさらに戦線を拡大しようとするのか、この方面での駆け引きの激化は必至でしょう。
 それに対しアジアでは、台湾有事のリスクがこれでさらに高まったと言えます。ロシアに対し中国政府は融和的態度を取っており、今回のウクライナ侵攻で高まったムードに乗じて台湾により激しい手段を取る可能性はほぼ確実でしょう。これに対し米国がどうするのか、ウクライナ同様に台湾を見捨てるのかが大きな焦点になってくるでしょう。

 この焦点は日本にとっても非常に重要です。米国が見捨てる態度を取る場合、台湾に進出している日系企業も事前に対応を取らなければ大損害を受けることになります。また米中関係もさらに冷え込むので、中国本土の進出企業も同様でしょう。
 日本政府の外交としては基本的に米国追従が続くとみられ、現状においてはそれが一番だと私も思います。ただ重ね重ね、今回のウクライナは将来はどうなるかわからないとはいえ、米国にとっては大きく信頼を損ねる結果を招いたと言えるでしょう。その上で、次に大きな戦争が起こるとしたら、実は内心でロシア対中国になるんじゃないかとも思っています。この二ヶ国、実は米国以上にお互いが相いれない存在だと思うし。

2022年2月24日木曜日

ロシアのウクライナ侵攻について

 各所でも報じられている通り、かねてから懸念されていたロシア軍が本日とうとうウクライナ領土に侵攻したとのことです。このウクライナ危機に関しては実際に攻撃が行われる、行われないそれぞれの立場から数多くの予想が出ていましたが、結果的には前者の予想の通りに現実は動くこととなりました。
 タイミング的にはやはりというか北京五輪終了後で、恐らくこの辺はペーさんがプーさんをかなりガチで説得していたことも影響したのではないかと思います。仮に侵攻が行われなかったシナリオがあったとしたら、北京五輪期間というモラトリアムの間の外交交渉が大きな役割を果たしたことになったと思われ、現実面ではこの間に双方が歩み寄れなかったゆえの結果が今の状況と言えるかもしれません。

 このロシアの侵攻ですが、完全な後出し孔明となりますが私としては「起こりうる」の可能性の方が高いとかねてから考えていました。言った後で外したらカッコ悪いので言いませんでしたが、後出しなら何とでも言えます(ΦωΦ)フフフ…

 このように考えていた理由は非常にはっきりしていて、ロシア軍が一時、一部部隊を引き上げさせたという報道を見た瞬間に「あ、やる気だ」と思いました。何故かというと、この部隊引き上げがわかり切った、完全なブラフでしかなかったからです。
 現在、情報衛星などの力によって大規模な軍隊の移動であれば米港をはじめとする軍事大国はすぐに感知することができます。実際にロシア軍が移動していたら米国なども発表したでしょうが、この軍隊を下げたと発表したのは当事者であるロシアで、その発表から1時間以内に米国などが「本当に下がっている」と言わなかったので、実際には下がっていない、または一部部隊を少し後ろに下げただけだと私は考えました。

 では何故ロシアはこんな発表をしたのか。そもそも、ウクライナのNATO加盟妨害という目的から今回軍隊を国境に集めていたとされ、であればこの方面の交渉で全く進展がないにもかかわらず相手にプレッシャーをかける軍隊を下げるというのは完全に矛盾した行動となります。仮に相手が交渉に乗ってくるなりの態度を見せたのであれば下げるのも妥協を示す意味で価値がありますが、当時の交渉状況は全くそんな状態ではありませんでした。

 にもかかわらず、ロシア側は部隊を下げたと発表しました。つまりこの時点でロシアは交渉に向けプレッシャーをかけるという行為をもはや目的としていないという風に考えられ、下げてないのがバレバレであるのにこのような発表をしたのは、「ロシア側は緊張緩和に動いているかも?」という妙な期待感を相手に持たせて混乱、油断させることしか目的としていないだろうとみました。

 その上でもう一点、こちらもバレバレなプロパガンダをロシアが繰り返し続けたことも、本気で攻める意図があると判断した要因です。昨日までに何度も「ウクライナ側から自治州に攻撃が行われた」という発表をロシアは繰り返しており、この辺のプロパガンダ流布はもはや交渉を目的としたものとしてはなりえないもので、完全な戦争準備であるとしか見えません。この一部撤退ブラフとプロパガンダから、ロシアがウクライナに侵攻するかしないかでいえば「する」の方が確率が高いとみていました。
 一応、他の人の予想とかもいろいろ見ていました、部隊撤退ブラフに関して私と同じ見方をしている人は見かけませんでした。むしろそのブラフに引っかかって、緊張緩和にロシアは動いたのに米国が余計なことして、みたいな人のが多かった気がします。

 あと今回の侵攻について「プーチンだから行われた」という評論をしている人がかなり多くいますが、私個人の感想はこれとは異なり、「ロシアだから」という風に見ています。
 やはり歴史的にもロシアは常識では考えられないアンビリーバボーな突飛な行動を採ることが多く、損得勘定で測れない国民性があると考えています。むしろ逆に常識的に測ろうとすると見誤る国であり、普通だったらこうしないと思ったら、逆にロシアはしてくると考えた方がかえって正解に至るかもしれません。この点は中国も若干そういう特徴がありますが、何するかわからない点で言えばロシアは中国の数倍を行くでしょう。

 実はこうしたロシアの底知れなさ、先の読めなさについては中ロ関係を解説する形でJBpressの方で記事書こうとしていました。しかし記事書いた後で実際に侵攻起きたり、状況が変わったりすると原稿として出しづらくなるのと、そもそも中ロ関係の外交について専門的にこれまで研究したこともない立場でもあるため、変なことは書かずに大人しくしようと記事化を見送っていました。先週末に。
 結果的にはこの判断は今回見事に当たったわけで、記事書かなくて本気でホッとしています。代わりにノスタルジーに満ちた原稿を先週末書いたので、次の月曜に読んでもらえるとありがたいです。

 最後に今後について、仮に戦線が拡大してロシア国内にまで戦火が広がり、最終的にロシアが敗北するような形で終息したとしたら、戦後処理のどさくさに紛れて「ロシアは不当な手段で奪い取った領土をすべて放棄すべきだ」という主張を押し込み、北方領土もうまいこと奪い返せないかなという希望的観測をちょっと持ちました。時代が時代だったら、積年の恨みを晴らすしじみチャンスなんだけどなぁ。

2022年2月23日水曜日

中国人の「最近の若い者は……」

 先日に友人と食事した際、「ところでそっちの会社の若手社員はどう?」と尋ねる機会がありました。その質問の答えが見出しに掲げた通り、「ダメ、能力が低い。これだから最近の若い者は」でした。

 日本ではとっくに該当する時期は過ぎたもののまだ「ゆとり世代」という言葉が出来そこないな若者を揶揄する言葉として使われていますが、中国でも「80後(1980年代生まれ)」「「90後(1990年代生まれ)」という言葉が長らく使われ、最近は「00後(2000年代生まれ)」という言葉も段々普及してきました。
 ちなみに同じような話題で同僚と話してて「やはり90後は世間の評価が低いよね」と女性の同僚に話し振ったら、「あたしだってギリギリ(1990年生まれ)90後なんだけど(#^ω^)」と凄まれました。10年間でひとくくりに世代にするとこういう問題が起こりうる……。

 話を戻すと何故若手社員の質について私が聞いたのかというと、私自身が最近入社してくる社員(中国人)の質が明らかに落ちてきていると感じているからです。上がってくる報告書は誤字を含め間違いだらけな上、仕事の段取りが悪くスケジュールがおかしくなったり、上司に確認してもらったと嘘を言ったりと、ほんの数年前と比べても明らかに業務が回される自分の立場からしておかしな仕事の回され方をされることが増えているからです。こうした状況はうちだけなのか、それとも他の会社でもそうなのかという点が気になり、冒頭のような質問をしたわけです。

 こうした単純な業務処理能力だけでなく、メンタル面でもやはり往年の世代と比べると劣るとよく聞きます。中国人女性の友人なんか、「あいつらちょっと叱ったらすぐ泣きだしやがる( ゚д゚)、ペッ」とよく洩らします。
 ちなみにこの手の「若手は使えない」と主張する人は、中国人だと明らかに女性のが多いです。ぶっちゃけ仕事に対する厳しさで言えば、中国だと男性より女性の方が厳しい姿勢で臨む人が多い気がします。

 脱線しまくっていますが上記の通り、中国でも「これだから最近の若者は」現象が日本と同様に起きています。もっとも自分たちの世代も上の世代からは同じように言われていただろうし、古代ローマ時代の文書にも「これだから最近の若者は」って記述があったとのことなので、どの時代でも関係なく起きる現象なのかもしれませんが。

 たださっき語ったように、明らかにこの数年で下から上がってくる報告書の質が明確に落ちてきています。こうした報告書の執筆作業は現場に入りたての若手がやる仕事であり、また毎年定期的に作られる報告書なため、比較条件で言えば環境方面は共通しているだけに、その差はやはり能力差であると思っています。仮に私の見立て通りに実際に今の中国の若者がほんの数年前と比べても能力が落ちているとしたら、その原因は何なのかって話になってきます。

 冒頭の友人との会話でもまさにこういう話題となり互いに原因をいくつか挙げていったのですが、その中の一つに「一人っ子政策によって兄弟がなく、社会性で劣るからかな?」という意見を私が上げました。そしたら友人は即座に「それはない」と言ってこの意見を否定し、「だって俺たちも一人っ子政策時代でみんな一人っ子だもん(´・ω・`)」と言われました。
 若干偏見が入っていますが、日本国内にいた頃は相手が一人っ子だと「こいつわがままやろな(´・ω・)」と内心考え、兄弟が多い奴だと「こいつは安心できる(´・ω・)」などとはっきり考えていました。実際にこの法則は当てはまることが多く、兄弟が多い人だと人当たりも柔らかくて人間関係も安定することが多かったです。

 その点、中国は長らく一人っ子政策をやってきたこともあって、私だけでなく多くの人が「わがままな奴が多い」といい、中国人自身も上の世代からはまさにそういわれてきました。そうしたわがままな一人っ子がさらに甘やかされて育てられて能力も落ちているのかなどと考えたのですが、友人の言う通り一人っ子政策は今の中堅世代も当てはまるだけに、近年の若者の能力低下理由にはならないでしょう。

 では何が最近の中国の若者の能力を落としているのか。考えられる理由はまだあり、一つは単純に物質的な豊かさが得られ、ハングリー精神が落ちてきていることが挙げられます。これは中国人たちも指摘しており、特に起業意識を持つ若者は一時期と比べると劇的に少なくなっています。

 もう一つの仮説理由として、密かに大学進学率の上昇があるのではと見ています。
 中国も2000年頃と比べると大学進学率は現在跳ね上がっており、前は本当にごく一部のエリートだけが進学したのに対し、今は頑張ればある程度誰でも進学できるようになりつつあります。しかしそうやって同じ大学を同じ専攻で卒業したとしても、以前と比べると能力が落ちてきていることとなります。

 この大学進学率の仮説は日本での状況も意識して出てきた案です。日本も大学生の数や進学率が高まるにつれて若者は能力を失っていったと言われるようになったと思え、大卒者の選別割合が単純に大きく影響しているのではないかと睨んだからです。また学生の数が増えるにつれて教員の指導対応人数割合も拡大し、一人当たりにかける時間の希薄化もあるかもしれません。
 まぁ大学教員もある程度は増えていますが。増えた分だけ、教員の質も希薄化されているかもしれませんが。

 つまるところ何が言いたいのかというと、大学進学率を高めることはかえって、大卒資格者全体の能力を下げることになる可能性もあるのではということです。こういった主張は私以外も言っている人がおり、大学進学率は一定程度まで到達すると、それ以降は社会全体の効率向上にあまりつながらなくなるという主張だった気がします。
 この辺はもう少し煮詰めるともっといろいろ出てきて面白くなるかもという気もしますが、現在進行形で日中で同時に起きている「最近の若者は」現象は、大卒者の人数が拡大されたことによる影響ではないかと今睨んでいます。

 もう一つ付け加えると、中国の大学試験の難易度自体は年々上がっており、去年に学習塾営業停止令が出ましたが、受験競争も激しくなっています。日本でもセンター試験などはどんどん難しくなっており、こと大学入学時点の学力で言えば日本も中国も現代の方が過去より上でしょう。
 それにもかかわらず社会における能力が低下しているとしたら、やはり教育体制そのものをもっと組み立てなおす必要があるでしょう。そういう意味ではこの日中での若者の同時比較は意外と価値を持つのではないかと思うわけです。

2022年2月21日月曜日

民意の無視が当たり前となりつつある日本

【悲報】札幌市長「反対多数でも五輪招致は続ける!」ドン(ガハろぐ)

 上の札幌五輪計画ですが、マジでこれに賛成する理由は一つも見当たらないのですがやたら推進しようとしている人がいて、サイレンの屍人みてるより不安になってきます。それ以上に恐ろしいのが上のまとめ記事でも取り上げられている通り、反対多数という民意が出ても堂々とそれを無視すると宣言している政治家がいるという事実ですが、こうした光景については何も今に始まるわけじゃなく安倍政権時にもたくさんおり、もはや民意は完全に無視されるのが当たり前となりつつあるのかもしれません。

 前もって断っておくと、民意に従うことが必ずしもいい政治結果につながるとは私も思っておらず、時と状況、ケースによっては民意を完全に無視した政治的決断も必要だと考えています。ただ、建前上は民主主義を取っているだけに、直接民主制ではなく間接民主制ということを踏まえても、有権者に対しては最低限、何故その決断を採るのかという説明を政治家が放棄してはならないと私は思います。
 しかし前述の通り、近年においてはその民主的手続きともいえる説明を完全に放棄し、結論があるので結論に合わせた結果を最初から指向した調査だけ行ってそのまま実行に至るケースが多い気がします。香川県のゲーム条例に関しては、偽装と疑わしい請求を基に議会通ってるだけに論外です。

 もっとも政策議論に関してはこの10年、自分が見ている限りでは政治家に限らず民間の知識人の間でもレベルが大きく低下しているので、民主主義の根幹ともいえる議論そのものの慣習自体が薄れているのかもしれません。それこそ経済論においては未だに消費しか論点に上がらず、生産性、生産能力の向上はほとんど触れられず、日本は経済力を落としてきました。
 最近思うけど、やっぱグローバル化によって消費と生産はアンバランスな形となるのが逆に自然な形になったのだと思います。ケインズ経済では消費と生産がバランスよく釣り合う姿を理想視してたけど、グローバル化では逆にその視点だとドツボにハマると思う。

 話を戻すと、日本の政治家は今や「どうせ反対したところで逆らえまい」という高をくくった態度がはっきり見えます。まぁ確かに今時デモとかしても世の中動きませんし、やるんだったらもっと過激な手段じゃないと変わらないでしょう。何が言いたいのかというと、案外この方面で過激化した活動を取る人間が今後出てくるんじゃないかということです。最近はやりの通り魔的犯罪も、何かの拍子で矛先が変わってくる可能性もあるだけに、政治家もその辺もうちょっと意識したらと少し思います。

2022年2月20日日曜日

プーチン後のロシアはどうなる

 この週末はともかく寒くて仕方ないので寝るか次のJBpress記事を書くかでした。しっかり眠れた文化なり体力戻し、JBpress記事も無事書けたのですが、当初は盛り上がっているし中ロ関係(中日対ロッテではない)でも書こうとしていたものの、あまり専門家でもないのにこの手の外交を語るのもどうかと思って見送り、別の話題にしました。

 そんなロシアですが、北京五輪が本日閉会するため、ことが起こるとしたらまさにこれからでしょう。北京五輪期間は恐らくペーさんがガチで必死に説得していたと思うし、派遣している選手団もあることだから全世界的に開催期間はまだ何も起こらないということで落ち着いていました。しかしこれが終わる明日からは本当に何が起こるかわからず、ことリスクについては一気に跳ね上がってくることになります。
 実際に侵攻が起こるかどうかなどは自分も東欧を専門に調べているわけではないので言い難いものの、こと日系メディアを見ているとロシア側の情報操作と言える偽情報をそのまま翻訳して垂れ流している自称ロシア専門家が数多くおり、気を付けてみないとこの手のデマに騙されるという懸念がはっきりあります。内心残念だけど、この手のロシア側のスポークスマンには前は尊敬していた人もいます。

 そのため侵攻に関しては正直私ではわかりかねるのでこの問題について敢えて語るとしたら、この後プーチンはどうなるか、ロシアはどうなるかです。一体どういうことかというと、侵攻が実際に行われるか否かに係らず、プーチンは政権の座から落ちる可能性があると思うからです。

 先のウクライナ東部への侵攻によってロシアは今も経済制裁を受けており、それに伴いプーチンへの国内支持も揺らいでいると報じられており、この点については数年前から報じられているので事実と見ています。そうした国内状況の打開、並びに防衛圏の維持拡大を狙って行われているのが今回のウクライナ国境への軍備配備なのですが、もしこれで実際に侵攻が行われなければ、相次ぐ政策の失敗、というより軍事を誇示しての対応失敗が重くのしかかり、あのロシアと言えどもプーチンが政権を維持できなくなる可能性もあるのではと見ています。
 では実際に侵攻を行った場合はどうか。仮に侵攻に成功してウクライナの首都を占領したとしても、その後に待ち受けるのは今以上に激しい経済制裁でしょう。その結果、国内支持は傾く可能性もあり、よほどうまく立ち回らないとこちらもまた厳しいんじゃないかと見ています。

 いわば進むも引くも厳しい状況と言え、もちろん政治の世界ですから実際は何ともなく政権を維持するかもしれないものの、今回の騒動がきっかけでプーチンがロシアで政権の座から落ちる可能性も想定としてはしておくべきなのではという見方をしています。仮に落ちた場合、もちろん次に誰が来るかが最大の影響要素となりますが、ロシア国内での世論分裂などがプーチン時代よりは激しくなるのではないかと思います。
 その上で周辺国はどうなるか。何気に北朝鮮なんかビビったのかウクライナ問題が大きくなるや途端にミサイル撃たなくなりましたが、プーチンがいなくなったら北朝鮮が案外ダメージでかいかもしれません。でもって中国に関しては、恐らくそれほど影響はないかなと見ています。

 一番影響を受けるのはやはり欧州諸国で、特にこの問題が大きくなってからは各国でエネルギー代が急騰しており、高額な電気代が請求されるようになっていると聞きます。今後の天然ガス取引交渉にもよりますが、ドイツを含め原発再稼働議論が本格化するかもしれません。
 あと最後にこの騒動で漁夫の利を得ているのは中東諸国でしょう。高騰したエネルギー価格でたんまり儲けているような気がします。うらやましい。

2022年2月18日金曜日

「大人」が唯一存在するガンダム作品

 かねてからこのブログに書いているように、日本の漫画、アニメの最大の特徴は「まともな大人」がほとんど存在しないことに尽きると思います。基本的に大人は足を引っ張ったり、騒動や戦争を引き起こす無責任な存在に描かれ、そうした大人のツケを少年少女が活躍して解決するというのが最大の王道となっています。
 漫画の主な購買層が少年少女であることを考えると、大人を落として少年少女を持ち上げて描く方が感情移入されやすいため、こうしたストーリー手法が採用されるのは個人的に理に適っています。その一方、大人の鑑賞に堪える作品がやや出づらくなっており、功罪相半ばとなっている面があるでしょう。

 こうしたストーリー傾向はガンダムシリーズにおいても顕著、というかガンダムシリーズが代表格と言っていいくらい上記のようなストーリー構成を取っています。基本的に敵も味方も無責任な大人ばっかで彼らが戦火を拡大していく一方で、戦闘面においては主人公らの少年少女が大活躍して最終的に終戦に持って行くというのが基本パターンです。そのため主人公の年齢も基本若く、多分Gガンダムのドモン(20歳)が登場時で最年長で、次いでコウ・ウラキ(19歳)になるのだろうか。

 特にVガンダムに至っては、主人公は13歳と極端に若い上に、主人公側にいる大人たちは「こいつぁ使える!」とばかりにガンガンと少年兵を戦場へ送り込んで戦争に巻き込むなど、無責任を通り越して狂気に走った大人たちがさも当たり前のように登場してきます。こうした「無責任な大人とそれに振り回される子供たち」という構図は、明らかに監督の意向が強く働いているでしょう。

 ただ、そんなガンダムシリーズにおいて明らかに例外と言えるシリーズが1つあります。挙げてしまうとそれはガンダムXで、このシリーズ作品のみ責任感の強い大人が味方の側に立ってくれています
 具体的にはそのキャラは副主人公といっていいジャミル・ニート、そして彼と行動を共にする医者のテクス・ファーゼンバーグの二人です。二人とも行動や発言には強い責任感が伴っており、また戦火の拡大を抑えようとしたり、戦争などに利用され犠牲になっている子供を助けようと行動していたりと、ガチで大人の鑑のような人物として描かれています。

 それ以上に特筆すべきは、主人公であるガロード・ランとの絡みです。前大戦のエースでありながら大虐殺に加担した負い目によって戦闘恐怖症となったジャミルですが、若く暴走しがちなガロードに対し時には厳しく叱り、時には力強く背中を押したりして、その時々の状況に応じてしっかりと少年を導く大人の役割を演じています
 その一方で、大人であるジャミルの側も少年であるガロードの熱意や積極性の影響を徐々に受けていき、物語途中で戦闘恐怖症を克服し、パイロットに復帰するようになります。この流れについてもう一人の大人であるテクスが、「少年の心は、時として成人男性に伝染する。よくある例だ」と評しますが、地味にこれはガンダムXの中でも名言中の名言であると思うとともに、本当に望ましいとされる大人と少年の関係を見事に描き切っているようにも感じます。

 っていうかこのテクス先生、あまりにも人格がよく出来過ぎてるので、視聴中は「実はこいつ、敵のスパイなのでは?」と疑ったことがありました。それにしても名言が多く、「大概の問題はコーヒー一杯飲んでいる間に心の中で解決する物だ。後はそれを実行できるかどうかだ」というセリフもどっかで言ってみたい。

 ガンダムXは前番組のガンダムWから人気が落ちたこともあり、やや失敗作みたいな扱いをされた時期もありましたが、改めて作品全体を見ると最初に述べたようにガンダム作品としては例外的にしっかりした大人が描かれていること、また「ニュータイプ」、というより「新人類」という概念に真っ向から切り込んだことなど、そのストーリー構成や世界観に関しては文句のつけようがないくらい素晴らしいものだと、かえって年月を経るにつれて思うようになってきました。
 まぁ駄目出しすると、主人公機以外の機体がガンダムタイプを含め、敵味方ともに異常にダサいというのがまずかったと思います。「ガンダムXディバイダ―」、っていうかハモニカ砲はネーミングといいかなり好きなんだけど。

 冒頭でも述べた通り、少年少女が主な消費対象であることから、少年少女が中心となって活躍するストーリーが多くなるのは私は当然だと思います。ただそれが過剰に働いた結果、日本の娯楽作品では無責任な大人ばかり跋扈するようになり、やや作品としての引き出しが小さくなっていった気がします。
 そうした点を振り返るにつれ、「子供たちを導く大人」の役割を果たすキャラクターがやはり日本の娯楽作品では致命的に不足しているように思えます。こうしたキャラクターをもっとうまく描けるようになれば、もっと作品の幅は広がると思え、そういう意味ではガンダムXがまさにいい手本となる作品なのではないかというのが結論です。

 なおこの系統のキャラでほかにパッと浮かぶのは、「進撃の巨人」のリヴァイ兵長です。あとは「ダイの大冒険」のアバン先生がいるけど、あの人は序盤ですぐ一時退場してしまうのであんま導いてる感覚ないです。ポップ限定ならマトリフ師匠がまさにこの役割を果たしてはいますが、ぶっちゃけ麻生太郎氏に顔がよく似てるんだけど、一回コスプレやってみてほしい。