タイミング的にはやはりというか北京五輪終了後で、恐らくこの辺はペーさんがプーさんをかなりガチで説得していたことも影響したのではないかと思います。仮に侵攻が行われなかったシナリオがあったとしたら、北京五輪期間というモラトリアムの間の外交交渉が大きな役割を果たしたことになったと思われ、現実面ではこの間に双方が歩み寄れなかったゆえの結果が今の状況と言えるかもしれません。
このロシアの侵攻ですが、完全な後出し孔明となりますが私としては「起こりうる」の可能性の方が高いとかねてから考えていました。言った後で外したらカッコ悪いので言いませんでしたが、後出しなら何とでも言えます(ΦωΦ)フフフ…
このように考えていた理由は非常にはっきりしていて、ロシア軍が一時、一部部隊を引き上げさせたという報道を見た瞬間に「あ、やる気だ」と思いました。何故かというと、この部隊引き上げがわかり切った、完全なブラフでしかなかったからです。
現在、情報衛星などの力によって大規模な軍隊の移動であれば米港をはじめとする軍事大国はすぐに感知することができます。実際にロシア軍が移動していたら米国なども発表したでしょうが、この軍隊を下げたと発表したのは当事者であるロシアで、その発表から1時間以内に米国などが「本当に下がっている」と言わなかったので、実際には下がっていない、または一部部隊を少し後ろに下げただけだと私は考えました。
では何故ロシアはこんな発表をしたのか。そもそも、ウクライナのNATO加盟妨害という目的から今回軍隊を国境に集めていたとされ、であればこの方面の交渉で全く進展がないにもかかわらず相手にプレッシャーをかける軍隊を下げるというのは完全に矛盾した行動となります。仮に相手が交渉に乗ってくるなりの態度を見せたのであれば下げるのも妥協を示す意味で価値がありますが、当時の交渉状況は全くそんな状態ではありませんでした。
にもかかわらず、ロシア側は部隊を下げたと発表しました。つまりこの時点でロシアは交渉に向けプレッシャーをかけるという行為をもはや目的としていないという風に考えられ、下げてないのがバレバレであるのにこのような発表をしたのは、「ロシア側は緊張緩和に動いているかも?」という妙な期待感を相手に持たせて混乱、油断させることしか目的としていないだろうとみました。
その上でもう一点、こちらもバレバレなプロパガンダをロシアが繰り返し続けたことも、本気で攻める意図があると判断した要因です。昨日までに何度も「ウクライナ側から自治州に攻撃が行われた」という発表をロシアは繰り返しており、この辺のプロパガンダ流布はもはや交渉を目的としたものとしてはなりえないもので、完全な戦争準備であるとしか見えません。この一部撤退ブラフとプロパガンダから、ロシアがウクライナに侵攻するかしないかでいえば「する」の方が確率が高いとみていました。
一応、他の人の予想とかもいろいろ見ていました、部隊撤退ブラフに関して私と同じ見方をしている人は見かけませんでした。むしろそのブラフに引っかかって、緊張緩和にロシアは動いたのに米国が余計なことして、みたいな人のが多かった気がします。
あと今回の侵攻について「プーチンだから行われた」という評論をしている人がかなり多くいますが、私個人の感想はこれとは異なり、「ロシアだから」という風に見ています。
やはり歴史的にもロシアは常識では考えられないアンビリーバボーな突飛な行動を採ることが多く、損得勘定で測れない国民性があると考えています。むしろ逆に常識的に測ろうとすると見誤る国であり、普通だったらこうしないと思ったら、逆にロシアはしてくると考えた方がかえって正解に至るかもしれません。この点は中国も若干そういう特徴がありますが、何するかわからない点で言えばロシアは中国の数倍を行くでしょう。
実はこうしたロシアの底知れなさ、先の読めなさについては中ロ関係を解説する形でJBpressの方で記事書こうとしていました。しかし記事書いた後で実際に侵攻起きたり、状況が変わったりすると原稿として出しづらくなるのと、そもそも中ロ関係の外交について専門的にこれまで研究したこともない立場でもあるため、変なことは書かずに大人しくしようと記事化を見送っていました。先週末に。
結果的にはこの判断は今回見事に当たったわけで、記事書かなくて本気でホッとしています。代わりにノスタルジーに満ちた原稿を先週末書いたので、次の月曜に読んでもらえるとありがたいです。
最後に今後について、仮に戦線が拡大してロシア国内にまで戦火が広がり、最終的にロシアが敗北するような形で終息したとしたら、戦後処理のどさくさに紛れて「ロシアは不当な手段で奪い取った領土をすべて放棄すべきだ」という主張を押し込み、北方領土もうまいこと奪い返せないかなという希望的観測をちょっと持ちました。時代が時代だったら、積年の恨みを晴らすしじみチャンスなんだけどなぁ。
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