話は本題ですが、この数日にわたりウクライナ南部でウクライナ軍がロシア軍相手に攻勢を強めているという報道が急激に増えています。中でも空港を爆破して軍用機を一挙9機も吹っ飛ばしたという大戦果については、詳しい攻撃手段をウクライナ側も明かしていないだけに非常に興味深く報じられています。
しかしこれが1ヶ月前、7月の報道はまるで逆でした。7月の報道では東部ドネツク州でウクライナ側がロシア側にじりじりと後退され、最終的には拠点を放棄する形で退却までしています。この間、ウクライナ側は毎日膨大な死傷者が出ており、戦況は非常に厳しいとかなり後ろ向きな発表の仕方をしていました。
この先月の報道に関して、正直に言って違和感を感じていました。
現在の戦況好転は米軍などが供与したハイマースがかなり効いていると報じられていますが、それを推しても先月までの報道は異常なほどウクライナとにとって後ろ向きだった気がします。そもそも戦争中は自軍を鼓舞するため、ロシアほど露骨にすぐばれる嘘をつくならともかく、形だけは強気な姿勢を見せることが多いです。実際、ウクライナも首都キーウが攻撃されている最中も弱気な姿勢は見せず、首尾一貫して抗戦意思を強く見せていました。それが何故か先月のみはやたらと、敗北が続いているなど深刻な面持ちで芳しくない状況を発表していました。
あくまで素人の勝手な推測として述べると、あの先月におけるウクライナの弱気な姿勢は意図的なものだったのではないかと密かに見ています。何故意図的に弱気な姿勢、というか態度を見せたのかというと考えられる理由はいくつかあり、一つは拠点撤退もやむなしという空気を醸成するためです。そしてもう一つは、ロシア側に対するブラフだったのではないかと疑っています。
なんとなくあの時のウクライナの動きを見ていると、ロシア軍の油断を誘いながら、彼らの戦線を前に引っ張ろうとしているように感じました。仮にそうであれば、意図的に守り辛い地域にまでロシア軍を引っ張り、ハイマースの準備が整うなど万全を期した状態で、一気にせん滅する誘因戦術なのではないかとも考えました。もっともその後の戦線は中心が東部から南部に移っているのですが、東部に関してはロシア軍は完全に進軍が止まっているとされ、やはりウクライナ側が守りやすい地域まで後退したのは合っているのかなと勝手に考えています。
今月に入ってからは、前述の通り景気のいい発表にウクライナは戻ったし。
今後に関してですが、既にロシア軍は北朝鮮からも弾薬を調達しようとしていると報じられており、この情報が確かなら物資払底は相当なところまできていると推測されます。その上で次の大きなトピックとしては、やはり冬将軍の到来じゃないかと思います。
現在のロシア軍においてはシリアから連れてきた兵員がかなり中心となってきているとされ、このシリア兵がウクライナの冬に直面した際にどうなるのかが、個人的に気になります。またシリア兵に限らずとも、ロシア兵も開戦当初の冬の寒さに相当やられたとされ、時期にして今年の10月くらいからこの気候の変化が両軍にどのような影響を及ぼすかが次の展開の大きなキーになるような気がします。
その上で、早ければ年内にもこの戦争は決着がつくのかもという期待めいた予測を持っています。根拠としてはやはり冬で、欧州諸国は暖房用エネルギーをロシアに大きく依存しているだけに、ウクライナに対し停戦をこれまで以上に促す可能性が高いということと、先に挙げた冬要素が両軍に影響し、選挙区に変動が生じる可能性が高いとみているからです。無論、そのまま戦争続行も十分ありうるのですが、そうなったらエネルギー方面で世の中ちょっと面白いことになるかもしれません。