2012年4月9日月曜日

小売りに見る消費文化

 ちょっと古い話ですが、この前に英小売のテスコが日本事業から撤退しました。撤退がわかった当初はそれこそあちこちがその原因を分析した記事を出してて、大体が日本の消費文化になじまなかったということを、すでに撤退しているカルフールの例や不振が続くウォールマートの例を出して解説するのがほとんどだったと思います。実はここだけの話、小売りというのは一見どの世界も同じような形態と見られがちであるものの、実態的には国や地域ごとの文化差が非常に激しい領域だと思え、どれだけ資本量が多かろうとも文化圏が異なれば成立しない業界だと考えております。

 一体何故このように考えるかですが、一つの理由として中国の小売市場を見ているせいだと思います。実は中国でも定期的と言ってもいいくらいにカルフールやウォルマートが撤退するのではというニュースが良く出ており、傍目には客が入っているように見えるものの業績自体は極端によくないという話をよく聞きます。またこれは家電専門店ですがアメリカのベストバイという家電屋は鳴り物入りで中国に進出しましたが、昨年に大幅な赤字を計上した上で撤退しています。

 ベストバイの撤退については現地で非常に細かな分析がなされましたが、最も指摘された原因というのはやはり「アメリカ式」という点でした。中国の家電屋というのは昔の日本と同じく、各家電メーカーごとに販売員が派遣されてきており、それらの販売員が各々客を接客して自社の製品を買わせるという仕組みになっております。なお余談ですが、友人が以前に掃除機か何かを買いに行った際、販売員同士が大喧嘩してえらいことになったと言ってました。
 話は戻ってベストバイですが、どうも進出当初は「豊富な品揃え」をアピールして、メーカーから派遣される販売員の受け入れは拒否していたそうです。そのためやってくる消費者も最初は真新しさで来ていたものの徐々に減り、後になってから販売員の受け入れを行ったものの結局再起を期せずして撤退と相成ったわけです。

 実は自分も以前まで、小売りというのは並べる商品さえ気を付ければどこがやろうともそんなに変わらないだろうと思っていたのですが、どうもこうした日本や中国で欧米勢が苦戦している様を見ると文化的な要因が非常に強い業界ではないかと思うようになってきました。さらに思い返すと、カルフールが千葉県幕張市にできた際に私が通っていた高校の保険のおばちゃんは、「やっぱあそこは広すぎて駄目ね。イトーヨーカドーくらいがちょうどいいわ」ってなことを言ってて、自分も同じような印象を覚えたことがありました。
 さらに言うと、中国ではお土産屋や衣類店などでは店員の給料が歩合制になっており、どれだけ接客して客に買わせたで変わってきます。そのためどの店員もうっとうしいくらいに、「何買う?」、「どれが欲しい?」って見ている傍から聞いてきて、「見てるだけだって」って言っていつも追っ払うようにしているのですが、この辺も日本人からすると程遠い文化に見えるかもしれません。

 なお最後につけ足すと、中国と日本ではまず欲しがる商品の嗜好が異なります。もちろん個人差はありますが全体的な傾向で述べると、中国人は性能や必要性といったものは度外視して、どれだけその商品が高級か、値段が高そうに見えるかを気にします。これに対して日本人はというとスペック偏重というか、どれだけ機能がついているかを重視し、カタログの数値を他の商品と比較するのがことのほか好むように私は思います。考えてみれば自分も、小学生の頃は自転車のギアが何段あるかをよく友達と比較し合っており、今思うと何を馬鹿なことをしてたんだろうという気になります。
 ついでに書くと、自転車のギアは適当に乗るなら3段くらいがちょうどいいと思います。8段とかついていたっていちいち切り替える手間のが大きいし、一番上と下のギアなんて使いどころがはっきりしなくて、専門的に乗らないならよしといた方がいいでしょう。まぁこんなこと言いながら日本で一番乗ってたのは6段ギアだったんだけど。

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