2012年7月15日日曜日

「積み木くずし」について

積み木くずし(Wikipedia)

 ある一定の年齢層以上であれば、「積み木くずし」と聞いて何の事だかすぐわかるでしょう。また比較的若い世代の人も、2005年に特別ドラマが放送されたのでもしかしたら知っているかもしれません。ただ自分が大学生の時は、「うちの家庭は積み木くずしがなんぼやっちゅうもんやった」と言っても、ごく一部の人しかこの比喩がわかりませんでした。

 先にこの積み木くずしがなんなのか説明すると、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出てくるドク博士の日本語吹き替えなどをやっている俳優の、穂積隆信氏の子育てを巡る体験記です。具体的には中学校に進学後に素行が悪くなった穂積氏の一人娘が更生するまでを描いた作品で、1982年に発行されるや大ベストセラーとなり、テレビで放送されたドラマは連続ドラマとしては民放歴代最高視聴率となる45.3%(関東地区)を記録するまでに至りました。
 なお余談ですがこの時のドラマで娘役を好演した高部知子氏は第2の大竹しのぶとまで評されたのですが、人気絶頂の最中に写真週刊誌「FOCUS」に当時15歳でありながら喫煙中の写真が載せられる、いわゆるニャンニャン事件が起こったことでそのキャリアが大きく流転しております。この一連の過程を覚えているかとうちのお袋に聞いたら、欽ちゃんファミリー退団など事細かに覚えていたので、当時としても相当インパクトが強かったものだと伺えます。

 さてそんな積み木くずしを、出版当時に生まれてもいない自分がこうして話題に上げようと思ったのかというと、単純に最近にこの本を読んだからです。なんで今更読もうと思ったのかというと、元々この積み木くずしが家庭崩壊を描いた作品だということは子供の頃から知っていたので、うちの家庭がどれだけ崩壊していたかを比較するたとえとして冗談めかして「積み木崩しなんのその」と以前から友人によく言っていました。もっとも何度も引用しながら実は元ネタは読んでいなかったということもあり、これはなんだかよくないと急に思いついて日本から取り寄せて手に取った次第です。
 実際に積み木くずしを読んだ感想ですが、さすがにここまではうちの家庭もひどくはなかった、っていうかあの時代はこんなことしてもゆるされたんだなぁって隔世の感を覚えました。故人をあれこれ言うのもどうかと思いますが、穂積氏の一人娘である穂積由香里氏は幼い頃から体が弱かったにもかかわらず、13歳にて学校にも行かず朝から晩まで遊び回って暴走族と付き合うわ、シンナー吸うわ、バイクを盗んでくるわ、まだ存命中の父を残して35歳で亡くなっておりますがこれだけ好き放題したんだから満足だったんじゃないのかと正直思いました。

 先程、隔世の感があると書きましたが、さすがに30年以上前の本なのだから当たり前と言えば当たり前ですが、やっぱ今の日本の世界と違うなということを読んでて強く覚えました。例えば自分がまだ小学生から中学生くらいの頃は漫画や小説で不良がシンナーを吸うシーンがありましたが、現代に至ってはそもそもシンナーを吸う行為自体が廃れているというか、実際に吸ってる人がいるかもしれませんけどそんなシーンが文物に出ることはまずありません。また夜中ずっと遊びまわったりパーマをかけたりなど、今やったらなんか痛いなぁという思いしかしません。
 こうしたいわゆる「不良行為」だけでなく、更生手段もいくつか気になる所がありました。作中で穂積氏は少年少女の校正を専門に行っている警察官から助言を受けてあれこれ手段を講じるのですが、私の思い違いかもしれませんが現代ではごく当たり前とされる更生方法に対して穂積氏が、まるで見たことも聞いたこともないような新鮮さを覚えているシーンに違和感を覚えました。恐らく当時としては子供の教育方法としてそういった更生方法が一般化しておらず、なんていうか新しいメソッドのように受け取られたのかと思います。

 と、内容についてあれこれ書いてきましたが、知ってる人には早いですがこの積み木くずしは出版して、ドラマ化して大ヒットしてからがある意味本番でした。というのも極端に知名度が向上してしまったせいで穂積由香里氏はどこ行っても「積み木の娘」と後ろ指さされるようになり、一旦は更生しかけたところ一気に逆バネが効いてしまってその後は覚醒剤にも手を出して逮捕されたりします。また印税をはじめとした大量の収入が入ったところで一緒に娘の更生に手を携えあった穂積隆信氏の妻が会計担当の人物と持ち逃げし、穂積氏は今に至るまで多額の負債を抱え込み続けているそうです。
 この辺の顛末もすべて、「積み木くずし崩壊そして」などの穂積隆信氏の著作に書かれてあります。最後まで書いちゃうと、2001年に持ち逃げした元妻は自殺し、穂積由香里氏は2003年に自室で孤独死し、穂積隆信氏の再婚相手も大病を患っております。この顛末に穂積孝信氏も、積み木くずしが招いた因縁だとして最初の著作を書いたことを後悔しているとはっきり書いております。なお個人的に由香里氏が死去した際に「あんなものを書いてしまったばかりに」と隆信氏が号泣する所をテレビニュースが流した場面が未だに記憶深いです。

 まるで書評の様な記事、というより書評そのものですが、何故ここでこうして書こうかと思ったのかというと実は積み木くずしの最新作こと、今年3月に出版された「積木くずし 最終章」を手に入れたからです。具体的には3日前、暑い時期にもかかわらずうちの両親がまた上海に、親父に至っては5月にも来たのに訪ねてきたので、日本から持ってきてもらったからです。短い内容でもあったので1時間半程度でもう読み終えておりますが、ちょっと気になる点、あと20代の身空ながら子育てについて感じた点などがあったので、そこら辺を書いてみようかと思い立ったというのがきっかけです。その辺の内容についてはまた次回で。


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