2012年7月14日土曜日

下半期の中国経済の行方

中国GDP 3年ぶり8%割れ(NHK)

 上記リンク先に引用しておりますが、中国はこのほど第2四半期のGDP成長率が7.6%であると発表しました。日本のメディアなんかは「中国の高度経済成長は終わった」、「このまま下り坂一直線!」とばかりに悪しざまに報道するかなと見ておりましたが、3年ぶりに8%を割った事実は報じるものの思ったより落ち着いた報道が多いです。この第2四半期のGDPについてですが、発表前の現地予想などでは第1四半期を下回り7%台に入るということで概ね予想済みで、私としてもそれほど驚きのない数字です。むしろ7%台前半も有り得るかと思っていただけに、思ったより高かったなという気もします。
 このGDPが発表されたからというわけではありませんが、このところこっちで会う人みんなに「下半期の中国経済はどうなる?」という質問をぶつけられるので、ちょうどいい機会なので持ってる材料を一気に吐き出そうかと思うので、下半期予想について今回は書いてくことにします。

 まず結論から言うと、下半期の中国のGDP成長率は反発するとほぼすべての現地メディア、並びに専門家らの間で一致しており、私自身も同じ考えを持っております。

 中国のGDPというとちょっと前まで毎年10%以上という二桁成長が続いていましたが、急速に経済成長が続く一方で富むものと富まないものの格差が拡大しつづけ、大きな社会問題となりつつありました。そういうわけでちょうど昨年あたりから急速な成長にブレーキをかけてでも格差解消を政策として中国政府は掲げ、2011年のGDP成長率は久方ぶりに一桁に落ちましたが、今年に入っても去年同様に安定化路線が続けられております。そのため今年のGDP成長率は政府も7.5%に抑えると掲げており、また市場も8%前後と織り込んでいるため、さすがに5%台だったらいくら何でも急激に鈍化し過ぎで大騒ぎですが、今回発表された第2四半期の7.6%であれば矢神月じゃないですけど「計画通り」といった具合な感じです。
 とはいえ、これまでと同じペースの成長率を期待して設備投資した会社からしたら思った以上に需要が伸びず、実際に赤字になる企業も増加しており進出している日系企業でも先行きに不安を持つ会社も多いです。それこそ今のペースでGDP成長率が鈍化し続けたらどうなるかと、危機感もはっきり言って高いです。

 にもかかわらず何故私が下半期は反発すると強気でいるのかというと、下半期にはまた政府が金融緩和をはじめとした景気刺激策を打ち出す可能性が高い、というより準備が整ってきているからです。先程も書いたように中国では近年、経済成長の裏で格差が拡大して社会問題化してきましたが、その中でも特に大きな問題となっていたのが物価の高騰です。日本も高度経済成長期に給料が2倍になった一方で物価も2倍になりましたが、中国もちょうどそんな感じで去年まで物価が物凄い勢いで高騰し続け、一例をあげると確か豚肉の価格が1年で2倍ぐらいに跳ね上がってもいました。また中国経済崩壊論の代表格でもある住宅バブルに関しても、確かに全国的に高騰一直線でもありました。
 そんな手が付けられない状態だった物価上昇ですが、今年に入ってからは「よくもここまで抑え込んだもんだ」と感心するくらいに落ち着いてきております。これまで前年比5%以上のペースで上昇し続けていた物価上昇率は最新統計の6月だと前年比2.2%上昇に落ち込み、しかも高騰していた豚肉に至っては約15%減とむしろ安くなってきました。住宅に関しても同様で、一部の内陸部都市を除けばほとんどの所で下降線をたどっております。

 この物価上昇率が落ち着いてきたことが何を意味するのかというと、単純に景気刺激策を打てるようになったということです。景気刺激策こと財政支出や金融緩和を行うと、ちょっと専門的になりますが市場に出回る貨幣量が増加して物価が上昇する傾向となります。仮に物価上昇率が高い数字で推移している時期に景気刺激策を打てばさらなる高騰を招きかねないのですが、ある程度落ち着いてきた今の状態であればそれほど社会に悪影響を及ぼさずに景気を引き上げることが可能です。
 また景気刺激策の中身に関しても、こういってはなんですが中国はいくらでもやりようがあります。日本は周知のとおりゼロ金利の上に借金財政であるため、金をばらまこうにも余計に借金するしかないという本末転倒になってしまうところがありますが、中国は歳入は伸び続けているうえに、金利もまだまだ引き下げる余裕もあります。またこれまで物価上昇を防ぐため、住宅購入などに対して様々な景気抑制策を打っておりますが、単純な話、こういった抑制策を解除するだけでも十分に消費を促すことが出来ます。

 もちろん中国経済にも弱点はあり、産業転換が図れない軽工業を中心とした中小輸出メーカーなどはこのまま倒産が相次ぐし、太陽電池製造などの一部ハイテクメーカーも供給過多からこのまま日は上らずに統廃合が進むでしょう。ただそれらを推しても今の日本に比べればまだまだマシな環境にあると言え、なによりも中国政府の経済政策は比較的一貫している上にきちんと目標通りに事を運んでいることは素直に大した実力と認められます。
 前にもちょっと書きましたが日本人は経済を見る上であまりにもマクロ経済指標を無視し過ぎです。中国を例にとってもいろいろわかることもあるので、もうすこしこっちに目を向けてほしいという思いもあって今回はこういう解説をしてみました。

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