このところ中国ネタが不足しがちなのを自覚しているので、意外と日本では語られない中国の就活事情について書こうと思います。
・中国、公務員試験に112万人 倍率53倍
・中国、来年の新卒者700万人に さらなる氷河期到来か(人民日報)
なんでこんなことを書こうと思ったのかというと、実は先週土曜日から中国の公務員試験が開始されたからです。日本でも公務員試験は近年の人気の高まりぶりから狭き門となっておりますが、上の引用先にも書いてある通りに事情は中国も一緒で、というかやたら人口多い国だけあって倍率が53倍にまで跳ね上がったりしてかなり楽しいことになっております。何故公務員が人気なのかというと、日本では雇用が安定していることに加えて給料が減ることない(しかもやや高い)、でもって仕事が楽という3点セットからですが、中国では安定とかそういうこととかよりも単純に副収入が多いということが最大の魅力となっております。
これは先月あたりに発覚した話ですが、中国のどっかの地方公務員がネット上で、「あいつ、やけに大量の不動産持ってるぞ」と名指しで書かれた事がきっかけで横領罪で捕まるというニュースがありました。その報道によるとその公務員は月給約15万円にもかかわらず数億円の価値のある不動産をたくさん保有しており、いったいどこからその購入資金を得てたのかというとやっぱり許認可とかで袖の下を受け取っていたそうです。
最近中国では公務員や政治家の汚職問題が非常に大きくなってきて上記の発覚事件のように世間の目も厳しくなってきてはいるのですが、それでもその副収入の果てしない多さから公務員になりたがる人は多いです。これも最近知りましたけど、日本同様に普通に公務員試験浪人も都市部ではたくさんおり、かつての儒林外史じゃないんだから日本を含めてそこまで熱上げる事もないんじゃないかとよく思います。まぁこう思うのも自分が公務員に向いていないというかなりたがらなかったせいもあるでしょうが。
話は戻って就活事情ですが、日本も来月あたりからまた意味があるとは思えない説明会があちこちで開かれるようになりますが、去年同様に今年も日本企業は各社採用数を絞ってくることが予想されます。ではまだ景気がマシな中国はどうかですが、企業の募集数自体は大きく減少してはいないものの中国もここ数年で大卒者数が急劇に増えており、「大学は出たけれども」という言葉に代表されるようになかなか希望の職に就ける若者は多くありません。
ただ中国人の友人曰く、「選り好みしなければ大卒は必ず就職できる」だそうで、私の肌実感でも日本よりはまだ雇用環境がマシなのではないかという風に感じます。話が少し飛びますがよく日本でも「中小企業は人手不足なのに最近の若者は大企業ばかり選んで就職機会を失っている」という言葉を言う人がいますが、これに関しては私は嘘だと思います。というのも私自身が就活中に感じた点として中小企業ほど採用に対して熱心ではないというか、はっきり言ってしまってやる気があるようには思えず、なおかつ大企業ですら人員を育成する余裕がない状態だというのに、いわんや資金余力の少ない中小企業がといったところです。この前もどっかのデータで中小企業の求人倍率は3倍超とか書いてありましたが、どれだけ実態を反映しているのか。
また中国へ話を戻しますが、少なくとも日本の様な大卒ニートの存在はまだ大きくは確認されていないため、就職戦争といわれるほどではない状態だとみております。あと傾向として述べると、最近は発展の遅れている内陸部への外資進出が相次ぎ、給料安くとも地元で就職したいけどなかなか働ける場所がないから北京や上海へ、というような人材をうまく吸収していると聞きます。逆に上海や、中小企業の工場の多い浙江省などでは技能や知識を持つ高級人材の供給が減っており、賃金を上げて募集せざるを得なくなってきております。
その賃金ですが友人とやっているホームページのコラムにも書きましたが、数年前まで大卒初任給が1500元(約2万円)だったのが今や大都市部では3000元(約4万円)くらいと2倍にまで高騰しており、まだまだ上がっていく気配を見せております。そりゃ製造業もほかの東南アジアへ逃げるわけだ。
あと人気の企業形態について述べると、10年くらい前は給与が高いことから外資系企業が人気でしたが、数年前くらいからは給与が高くてもバリバリ働くような仕事は敬遠されはじめ、こちらも日本同様に比較的自由に使える時間が多い企業が人気となってきております。業種とかでどこが人気があるかまではわかりませんが、建設銀行など大手国有銀行の就職者はやっぱり周囲の目も違うので人気なのでしょう。
最後に中国人の外資系企業への就職に関してですが、これは日本人と比べて圧倒的に寛容です。日本では未だに外資系の金融企業とかに勤めることに対して何かしら抵抗感あるような態度を見せますが、中国人は国内の企業とほぼ同じような感覚で外資系企業への就職を選択に入れます。言い方は悪いですが、働き方に関しては日本人の方が中国人よりも価値観がややドメスティックでこうした点は中国を見習うべきだと強く感じます。
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