2016年11月16日水曜日

ゲームレビュー:ZERO ESCAPE 刻のジレンマ

 またゲームの話で申し訳ないのですがこの前クリアしたので折角だし。

ZERO ESCAPE 刻のジレンマ(Wikipedia)

 今回紹介するのは「極限脱出シリーズ」と銘打たれた三部作の完結篇に当たる、「ZERO ESCAPE 刻のジレンマ」というゲームです。この作品というかシリーズは「極限脱出9時間9人9の扉」、「極限脱出ADV 善人シボウデス」、「ZERO ESCAPE 刻のジレンマ」の三部作構成となっており、ストーリーも時系列でつながっています。
 私は一番最初の「極限脱出9時間9人9の扉」は遊んでおらず「善人シボウデス」からプレイしており、こちらを去年にクリアした当時にはレビュー記事も書いています。このシリーズがどういうゲームかというといわゆる「脱出ゲーム」で、閉じ込められた部屋の中で仕掛けを動かしたり、手がかりを見つけたりして部屋から脱出するというのがメインとなっているのに加え、また部屋に閉じ込められる前後で複数の選択肢から次の行動なりを選んでその後の展開が分岐するというアドベンチャーゲーム的要素も混じっています。

 シリーズ全般に言えることですが、脱出ゲーム部分の所が非常によく出来ているというか「難しすぎず簡単過ぎず」というくらいに難易度が安定しており、詰まって全く脱出できないということはないもののそこそこ頭を使わされ、なんていうか頭の体操にもってこいな内容になっています。また脱出ゲームに使われるステージも豊富に取り揃えられており、前述の通りにストーリー分岐によって挑戦する部屋が変わり、「早く次の部屋に閉じ込めろよこの野郎!」と言いたくなるくらいに脱出が面白くなっていきます。
 ただそうした脱出ゲーム部分はもとより、全体の脚本というかストーリーの方が評価が高いでしょう。このシリーズはいわゆるループ物に当たり、何度も何度も過去に戻ったり別の時間軸に飛んだりしながら最後の最後で全体の謎が一気に解き明かされる構成となっており、どんでん返し的な結末は毎回意表を突かれその評価も際立って高いです。「善人シボウデス」もこの辺がよく効いており、続編が出たら必ず買おうと決めたくらい個人的にはまりました。

 そんなわけで「善人シボウデス」が発売されてから四年、私が遊んでから一年経ってようやくシリーズ完結作の「ZERO ESCAPE」が今年発売され、私にしては珍しく定価でガツンと買ってやりました。ゲーム全体の仕組みについて先に述べると、本作も脱出ゲームに一応は分類されますが、どちらかといえば選択肢を選ぶアドベンチャーパートの方に重きが置かれており、これまでとは逆にアドベンチャーゲームに脱出ゲームがおまけでついてきたかのように思えました。相変わらず脱出ゲームの難易度は絶妙だけど。
 次にストーリーについてですが、シリーズ完結編ということもあって過去二作で伏線として真相が明らかにされなかった謎については一応ちゃんと解答が出されます。ただ決してハッピーエンド的な内容に終わらないため、自分を含めほかの人のレビューを見ててもなんかもやもやとしたものを抱えている印象があります。

 あと宣伝ではシリーズ作品ではあるものの本作からプレイしても特に支障はないなどと謳われていますが、はっきり言ってこれは嘘もいい所で、前作「善人シボウデス」は最低でもプレイしておかないと全く話についていけなくなるかと思われます。最初に述べた通りに私は第一作目の「極限脱出9時間9人9の扉」は遊んでいませんが二作目は問題なく楽しむことが出来ました。しかし三作目の本作についてはただでさえややこしい話がさらにややこしくなり、また登場人物9人中5人が前作、前々作の登場人物でありその背景なりがわかっていないと完全に置いてきぼりとなるため注意が必要です。

 さてここから私個人のこのゲームに対する感想になりますが、一番目についたのはその暴力描写でした。前作「善人シボウデス」でも登場人物が死に至ることはよくある、っていうか最終的にはほぼ全滅することが多かったですが、その死に方は大半が薬殺で、あってもナイフで刺されるくらい見た目にも比較的ソフトでありました。
 しかし、本作は一味違うというか、はっきり言って桁が違いました。「バトルロワイアル」よろしく爆発する首輪が出てきて爆発後の首のない死体もかなりモロに表示されるほか、硫酸なんて目じゃないくらいやばいフッ酸シャワーを浴びせかけられ、後にはなんか赤い肉片らしくものが排水溝に流れるところも出てきます。チェーンソーでぶった切られるのも普通ですし、あと脱出ゲームの探索中、「なんやこれハロウィンのグッズかいな」と思わせられる妙なものがゴロゴロ転がってるかと思いつつ部屋を脱出したら、さっきまで一緒に行動していた仲間の生首が出てきて、「え、もしかしてさっき部屋にあったバラバラの手足や胴体ってこいつの?」と、後から血の気が引く演出もあり、心臓の弱い方には割と真面目にお勧めできないレベルです。
 なおシリーズ皆勤賞の倉敷茜というキャラクターについては、本作ではなんか返り血ばかり浴びているような気がしました。

 次に気になったのはビジュアル面です。アドベンチャーパートではフルCGのキャラクターが情景に合わせて動きつつしゃべるのですが、正直な所あんまり出来は良くなく、造詣がよく出来てるキャラとそうでないキャラで差を感じました。これだったらまだ前作のような画面構成の方がよかったような。
 そしてストーリーについてですが、前作も何もわからないまま謎の施設に閉じ込められるという世界観であったもののキャラたちの間ではまだ全体的には明るさがありましたが、今回はかなり陰鬱で、一部キャラクターが悲壮な決意で臨んでいるのもありますが序盤から一歩間違えれば誰かが確実に死ぬという状況にあるため、かなり内容な重苦しいです。まぁこの雰囲気は悪くありませんが。

 逆に致命的だったと感じたのは、本作からの新キャラが全く好きになれなかったところです。先に述べた通り本作では合計9人のキャラのうち前作、前々作に登場したキャラが5人続投していますが、新キャラ4人のうち、誰とは言いませんが2人のキャラが性格的にも全く共感出来ず、おまけにビジュアルの造形もかなり悪いこともあって見ていてストレス感じるくらい鬱陶しかったです。前作なんかほぼ全キャラがいい味出してたのにこの点は非常に残念な所です。
 そしてストーリーの結末についてはやはり大どんでん返しで、確かにあっと言わせる結末に結び付きますが、個人的には前作には及ばなかったというか、やや展開が強引に感じるところもありクリアした際の感動は前作のが大きく、完成度で言っても前作を越えなかったというのが私の評価です。

 最後に声優談義ですが、前作ではヒロインの声優を演じていた小見川千明氏は今作でも続投しているものの、キャラの立ち位置が変わったこともあり前作ほど演技に特別感じ入ることはありませんでした。一方、準ヒロイン……今作ではもしかした正ヒロインと呼べるかもしれませんが、そのキャラを演じた能登麻美子氏については、その声に狂気を感じました。ゲーム内では能登氏が演じるキャラがやや錯乱というか発狂に近い状態となるシーンがあるのですが、そのシーンにおけるセリフは耳にするだに背中が総毛立つというか、なんていうか目の前でガチな夫婦喧嘩が繰り広げられているのを見るかのような居心地の悪さを感じるほどで、感情がこもった演技というよりは狂気がはらんだような声で聴いてて本当に怖かったです。
 なお前作でも能登氏が演じるキャラが絡むエンディングがあり、そのエンディングが一番ゾクっとさせられました。能登氏が競争激しい声優界で十年以上もトップ声優として一線張り続けている理由が、今回やったゲームだけで十分によくわかりました。

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