・戦国時代前半の関東~激しすぎる抗争史(前編) (後編)
先週に引き続きまた戦国時代の関東について歴史コラムを書きました。今日のJBpressのアクセスランキングでは相乗効果で先週の記事も上位に入り、連載物ならではの貢献を果たしたなと自負しています。
ただ今回の記事ですが、書く側としては非常にしんどい内容でした。基本的に歴史記事を書くに当たって新たに勉強することは私に限ってはほぼなく、年号などを確認することはあれどもいつも既に理解し、持ち合わせている知識の範囲内で書いています。しかしこの戦国初期の関東は手許で手に入る資料もなければ自分が「わかりやすい」と感じる解説サイトもなかったため、各種のウェブサイトから各人物、事件、組織解説を一から読んで、それを頭に叩き込んだうえで整理しなおす必要があり、さらにそれを出力(執筆)するに当たっては非常に苦しさを覚えました。っていうかこの内容を2週間で約12000字で書くとか普通あり得ない。
ただその甲斐あってか、ヤフコメを見ると記事内容はもとより文章表現について言及する人も多く、あまり図に乗るべきではありませんが歴史コラムも書いていけるなという手ごたえは感じられました。
なおそのヤフコメですが、先週ともども「このあたりを大河でやってほしい」というのが一番多かったのはないかと思います。恐らく書いた人の心境としては、このあたりの歴史が面白い、もっと他の人にも知ってもらいたいなど以上に、NHKでの年間を通した放送で詳しく解説してもらいたいという願望があるからではないかという気がします。そこそこの歴史マニアを気取る私ですら確かにこの時代の関東地方は複雑で理解しづらいと思うだけに、こうした気持ちは私にも少なからずあります。
そうした大河ドラマを希望するコメントの多くにもう一つ、「ぜひ太田道灌を主人公に!」という文言がよくつけられていました。恐らくこの時代の人物としては最も知名度が高く且つ人気もあり、その活躍する姿をぜひ動画で見たいという人が多いのだと思いますし、私もその気持ちがわかります。
実際にというか、私は当初この一連の連載で中心に据える主人公としてはこの太田道灌を前半に、後半は北条早雲で行こうとプロットを考えていました。ただ後半に関しては戦国時代の関東というより北条家物語だなと思ってバッサリカットし、前半については当初は永享の乱と享徳の乱を二つセットで一つにまとめりゃいいと思っていたのですが、この二つの争乱を解説するには鎌倉府の解説が重要になり、なおかつ享徳の乱をメインでやったら誰も理解できずついてこれないと途中で思えてきました。
太田道灌は享徳の乱における人物なため、この時点で主人公に据えるには登場期間が限られるため不可能だと感じました。ただそれでも悲劇的で人気のある人物であることから、文章は短いですが印象に残るような書き方を敢えて施し、その甲斐あってか「太田道灌の言及が少ない!」という当初予想していた批判はとうとう来ませんでした。
以上を踏まえた上で改めてこの時代について述べると、もし大河をやるとしたら、私は主人公には鎌倉公方であり古河公方でもある足利成氏が一番適当だと考えます。というのも成氏は幼少の頃に父親の持氏が永享の乱で敗死し、兄たちも結城合戦で殺されながら6代足利将軍の義教が急死したことで運良く生き延び、鎌倉公方に就任しています。ところが就任後は派閥抗争に巻き込まれた上、親父を殺した張本人の息子が同僚になり(でもって殺す)、享徳の乱を引き起こしますがこの約30年にわたる享徳の乱の東軍における総大将を開戦から終戦までずっと務めています。
私がこの連載をやっていて一番魅力を感じたのはこの成氏にほかならず、その悲劇的な幼少時代から老齢に至るまでずっと戦乱の日々を過ごしており、戦国初期の関東の重要事件を彼一人でカバーできてしまいます。彼の肉筆なり音声なりにはあまり触れていませんが、彼の人生を見ていて思うのは運命に翻弄されつつもしっかりとその役目や責任を感じて行動しているように見え、責任感のある人だったのではと勝手に想像しています。
先に予告しておくと、これ以降の関東の歴史については今のところ書く予定はなく、JBpressでもまた今度からは元の中国ネタを出していく予定です。先にも言った通り、これ以降となると関東戦国氏は実質北条家の出世物語となるため、理解するのも難しいわけでもないし、ほかにも解説本が出ているから私が出る幕もないだろうと考えています。
ただ歴史ネタは今後も溜め記事として書いておこうかなと思うので、また機会あれば出てくることとなるでしょう。目下のところ紹介したいと思うのは前にこのブログでやったフィンランドネタ、あと中国史なら国共合作とかその辺かなという気がします。後者なら自分の足で取材して撮影もできるし。
おまけ
昨日出した記事のヤフコメに、「っていうか外国に住んでるアピールとかいらないから」というようなコメントが朝にはあったのですが、何故かしばらく時間がたった後で見返すとなくなっていました。そのことを友人に言ったら、「え、マジ?確かにあったよな」とかいってて、その友人も同じコメントをチェックしていました。どんだけみてんねん俺の記事のヤフコメ……。
0 件のコメント:
コメントを投稿