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2025年8月17日日曜日

中間層が消滅した日本

 結論から書くと、かつて「一億総中流」と呼ばれた日本ですが、もはや中間層塔子という言葉は消滅したと自分は考えています。

 最も象徴的なのはほかの人も言っているように「クレヨンしんちゃん」における野原家こと野原ひろしの立ち位置です。連載当初でこそ中間層、さらに言えば自宅のローンに苦しむ中の下として位置づけられていたものの、現代においては上流層として見られるように変貌しました。ここで言う上流層の条件としては、

・正社員
・社内で肩書持ち(係長とはいえ)
・マイカー、マイホーム保有
・子供が二人以上

 ぶっちゃけこの条件揃えれば今の日本においては上流層として立派に扱われるでしょう。逆を言えば、最後の子供数を除くこの条件を一つでも満たさなければ、下流層として扱われることになる気がします。

 この中間層がなくなった背景ですが、恐らく大半の人は富の二極化こと上流と下流の乖離拡大が原因だと考えると思いますが私は逆で、上流と下流の差が狭まったがゆえに中間層が消滅したと考えています。そういうと上の条件でも少し触れていますが「昔は派遣社員なんてなかった」などと、現代の方が格差が広がっているという人もいるかと思います。
 ただ昔は確かに派遣社員はいなかったものの、その分日雇い職は今より多くありました。また努力じゃどうにもならない格差や差別も当たり前で、一例を挙げると昭和の頃は片親の時点で大企業の採用からは門前払いされていたのが当たり前でした。そのころと比べると、現代日本はまだ本人の努力で逆転できる余地も広いと思います。

 さらに加えるとかつては金利が10%近くあった時代もあり、定期預金だけで生きていける層も潤沢に存在しました。いわゆる不労所得で生きている人が当たり前に存在しましたが、現代でもアパート経営で暮らす人も多いものの、逆に騙されて資産取られる人も少なくありません。ただでさえ金利が0.1%も行かない時代なので資産だけで悠々暮らすのは難しく、実際には資産を削りながら働かずに暮らす人も少なくなく、そうした背景を考えると上流層の質というかランクはかつてより下がってきていると私は見ています。
 言うまでもなく失われた10年を経て下流層の暮らしも悪くなり、平均所得も大きく目減りしています。しかし前述の通り、この間に上流層の生活や資産の質もダウングレードしており、それらを踏まえると「ボトムダウン」というのが平成期における動きとしては一番適切だと思えます。

 そんな平成のボトムダウンを受け、かつての中間層からは収入減などを受けて下流に落ちる人がいた一方、それ以前の中間層の暮らしを維持できた人もいたでしょう。その結果、落ちた人は自分が下流と認識し、逆に維持した人は上流と認識するようになったことから、中間層という概念が消滅して上流と下流の二極化が起きたというのが自分の見方です。言い換えれば、上流も下流も、双方でその定義する対象範囲が広がった結果、中間層が上下から浸食されて消えたという考えです。

 またその定義の拡大に関しては、社会前提が崩れたことも大きいと睨んでいます。具体的には終身雇用制の崩壊とマイホーム意識の変化で、前者は言うまでもなく大企業が終身雇用制を完全に放棄し、「大企業に就職できたら一生安泰」という概念がなくなったことに加え、過重労働やパワハラの概念も出てきて将来に対する保障意識が弱まりました。
 これを受けてというかマイホーム保有の意識も、以前は一つの通過点的なものだったのが将来の収入が必ずしも保証されなくなって買いづらくなったうえ、大地震や建築偽装などの事件を受けて保有そのものにリスクが付きまとうようになり、私見ですが「持家派VS賃貸派」の議論は年々激しくなってきている気もします。

 かつての中間層の条件で非常に重きをなしたのがこのマイホームでしたが、マイホーム保有が絶対ではなくオプションに切り替わったことで、中間層そのものの概念が揺らいだと自分は考えます。この結果として社会上で自分はどの層に属すのか、またどの層を「中間」と捉えるのかが段々とあいまいになり、中間層の上流と下流への分化が進んだというのが私の意見です。
 ついでに書くと、家族の概念も変化というか崩壊したのも定義崩壊の一因でしょう。婚姻率低下に少子化で中間層のモデル崩壊に拍車をかけており、ぶっちゃけ現代では「結婚しているだけで勝ち組」という雰囲気すら覚えます。

 と、ここまでならそんな大した意見じゃないですが、この自分が社会でどの層にいるのかというのは政治意識、特に票取りで大きな要素になります。こうした資産をバロメーターにした社会意識の変化が地味に日本政治の変化の要因になってきているともにらんでおり、この辺はまた今度書きます。

 今日は熱中症の頭痛ないからちゃんとした記事書ける( ´Д`)=3 フゥ

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