学生時代にある友人から、「僕は花園君と違って何か特定の情報を追い求めて自分で調べようという熱意が持てず、素直にこの点では花園君がうらやましい」と言われたことがありました。自己分析について自信を持っている私ですが、この指摘はされるまで意識したことがなかったため意外なものでしたが、改めて思い返すにつれ実に鋭い指摘だったと思います。
この指摘をした友人は、控えめに言っても知識の吸収については超一流でした。一回伝えたり教えたりした内容は確実に覚え、勉強面でも一を知れば十を知るような勢いで身につけ実際に学術成績は凄まじく高かったです。しかし本人が言う通り、何か周りから強制されたりするなど必要性に追い立てられない分野については自分から率先して知識を吸収しようとすることはなく、それがために世間知らずなところも多く、時によっては妙に失礼なことも平気で口にするところがありました。
この知識を追い求めるという私の特徴ですが、断言すると非常に際立った特徴であり自分の個性を構成する重要な要素の一つでもあります。先ほどの友人と違って私は、事知識の吸収については決して優秀ではなく、むしろ物覚えが悪いと感じるほどのレベルしかなく、勉強面もそんな自慢できるほどではありませんでしたし仕事で必要な知識とかも、「まぁ今何とかなってるし……」等と言い訳しては習得を先送りにしたがる傾向も激しいです。
その一方、自分が興味を持ったり、何かしらきっかけを得た分野に対する知識の習得意欲ははっきり言って異常者レベルで激しく、このブログでもたまに記事書きますが戦闘機や軍艦といったミリタリーについてはつい2~3年前までは全く興味がなく、F-15とF-16の違いやカナード翼の有用性はおろか、酸素魚雷の恐ろしさについて全く知りませんでしたが、今だったら一定レベルであればこうした分野について語れるようになっています。
またこうしたふざけた分野でなくても、今JBpressでたまに書く中国の業界関連経済記事も大体2日程度のリサーチでいつも書いていますが、ほぼ何も知識がない状態からあそこまでもっていくのは自分でも結構不思議です。たまにコメントとかで、「非常によく調べている」等とついたりすると、光栄だと感じるとともに「2日のリサーチで本当にいいのだろうか?」などと不安に感じることも正直あります。
話は最初の友人に戻りますが、既に書いている通り彼は何か必要性に追い立てられない限り、自分で知識を広げようという意欲というか行動を見せることはほとんどありませんでした。その代わり必要性を感じたらすごい勢いで習得し、定期テストも大体そんな具合でテスト前日の一夜漬けでいつもいい成績を取っていました。
この友人に限らず、知識の吸収で優れている人は全般的に知識の追求についてはあまり熱心でない人間が多いというのが私の実感です。教えたらすぐに身に着けてしまうのですが、教えられたりしない限りは自ら率先して現状あまり関係ない分野に触れようとするような行動をとることはあまりなく、基本「受け」の姿勢を維持します。一言で言えば、関係ない分野については「関係ない」で一気に見切りをつけてしまうような具合です。
では知識の吸収が悪い人間は反比例的に、知識の追求に熱心となりやすいのか。この問いに対する答えはNOで、あくまで私の実感で言えば知識の吸収が悪い人はむしろ、知識の追及も不熱心であることの方が多く、むしろ吸収のいい人よりも不熱心でしょう。
そうなると今度は、どんなタイプが知識の習得というか新分野開拓に熱心になりやすいのかという問いが出てきますが、結論をここでいえばこの手のタイプは「突然変異」的にランダムで出てくるのではないかというのが私の見方です。というのも私以外で知識の追求が激しい人間はいるかと言ったら私の周りだと一人の友人くらいしか浮かばず、それ以外だと未知の分野や関わりのない世界についてグイグイ突っ込んで知識を追求する人間はほぼ皆無です。
なおその友人は、私同様に必要性に追い立てられるわけでもなく無関係の分野であっても知識を広げようとしますが、私と比べると広げようとする傾向がやや異なっており、私が政治やホビーにより傾注しようとするのに対し友人は経済やアカデミックに重心が置かれ、被る分野もありますが不思議な具合に住み分けができています。
最後に発展応用として書くと、こうした知識の追求に熱心な人間はあまり出身やスペックに関係なく突然出てくるだけに、全体としてやはりレアな存在だと考えます。その上でこの手のタイプが社会で有用かと言えば必ずしもそうではないと自分でも思うものの、その特性に合った特定の部署なり分野に配置すれば思わぬ活躍を見せることもあると思います。野球でいえば「アンダースローのサウスポー」のようなややレアな存在だと割り切り、今使えるかどうかわからないけどとりあえず囲っておくような感じで抑えといて、いろいろ試してみると面白いんじゃないかと自分で思います。
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