・「シェアハウス関連融資問題」について(スルガ銀行)
かねてから取り上げてきたスルガ銀行のシェアハウス問題ですが、金融庁の調査が入ってもダンマリ決め込んでたのに、今日になってようやく簡単な報告というかプレスリリースを出してきました。でもって結論から言えば、いくつか疑問を感じる報告書です。
以前ならともかく、このところこういう報告書見るのに長けてきました。
1、行員の不正関与
今回発表された報告書は二つ、スルガ銀行自身がまとめた報告書と、弁護士によって構成される調査委員会の報告書なのですが、前者では行員の不正関与について「可能性がある」と濁しているのに対して後者では「後述の1人については資産報告書が偽造されていたことを確実に知っていた」とはっきり指摘しています。何故同時期の発表でありながら内容が異なっているのか、第一、スルガ銀の報告書では行員へのアンケートで不正の認識を尋ねたと聞いていますが、不正調査のプロに前教えてもらいましたが、「不正している人間はやっているかと聞いたら絶対否定する」とのことで、そんなアンケートなんて取るだけ無意味です。むしろ見るべきは、「周りで不正をやっている疑いのある人間はいたか?」でしょう。
もっとも、この件から見えることは一つあります。こうした表現を取るということはやはり不正はスルガ銀全体、恐らく幹部も含めて実行していた可能性が高いということです。自分は不正調査のプロではありませんが、文章表現のプロだと自称しており、そんな自分に言わせれば不自然な表現には不自然な背景が必ず存在します。
ほんと関係ない話ですが、ジャッキー・チェンのなんかの映画でヤクザの治療に失敗した医者が他のヤクザに襲われるや拳法で次々と薙ぎ倒し、「医術は三流だが拳法は一流なんだぞ!」と吠えるシーンを何故か思い出しました。
2、問題規模
スルガ銀の報告書には、「 2018年3月末時点で、シェアハウス案件について当社から融資を受けておられるお客さま1,258名、融資残高は203,587百万円となっております。」と書かれてありますが、肝心の「かぼちゃの馬車」の運営会社ことスマートデイズ社関連の融資額は書かれていません。ご丁寧に、「これは、スマートデイズ社に関わるものに限られません。」とまで書いていますが、だったら言えよ。
この件で私が最も知りたいのは、スルガ銀の内と外でこれから何人殺すのか、何億すっ飛ばすのかという二点こと今回の問題規模です。まさか現時点で上記数字を把握していないなんて言うわけはなく、何故今回このようにして隠したのか、何か意図があると疑います。
私の勝手な推測を述べると、シェアハウス以外のリテール事業でも似たようなことをたくさんやっているからこういう表現になったのではと思います。知ってる人には早いですがスルガ銀行は個人融資ことリテール事業で収益を伸ばしてきた銀行で、今回の問題に飽き足らず報告書でも「それでもリテール事業は縮小しないよ(`・ω・´)ゞ」と書かれてあります。まぁ別にいいけどさ。
ただ、以前から何度も書いているようにこうした金融不正事件は何か一つの不正が明るみになる時点で他にもたくさん爆弾を抱えているという事例が多いというか、むしろそっちの方がデフォルトです。ましてやスルガ銀はリテール事業でのし上がってきた銀行で、尚且つ以前にも書いたようにロードバイクローンの試算例は一目で異常だと感じる内容で、ああいったものを顧客に見せているとしたら相当程度消費者をだましてきているのではと疑わざるを得ません。
だからこそ問題規模について先ほどのように「シェアハウス案件」に限って金額を出してきたのでは、この問題をシェアハウス問題だけに減点するつもりなのではと、穿ちすぎかもしれませんがこんな考えがよぎりました。
3、スマートデイズ社への批判が皆無
これが一番気になった点ですが、報告書全体を読んで問題の持ちかけ側ことスマートデイズ社への批判こと恨み節が一つも見当たりませんでした。私はてっきり、スルガ銀はスマートデイズ社に騙された被害者ぶって批判をかわすのかなと予想してましたが、あまりそう言った論調はありません。
もしかしたら自行が不正融資に関与していることを真摯に反省しているから何も文句を言わなかったのかもしれませんが、それにしても今後の対応などでスマートデイズからの一部債権回収などにも触れないのはやや不思議です。むしろ今回の報告書を見て、スマートデイズ社を庇うかのような印象すら私は覚えました。
仮に庇うとしたら何故庇うのか。自行も不正に関与しているからなのか。スマートデイズ社関係者に弱味を握られているのか。他にも同じような取引相手がまだ存在するからなのか。などと勝手な憶測を巡らせています。
この記事は割と突っ込んだ内容になっていますが、まぁ公のメディアでもない個人ブログだし、憶測であると断っているので自分的にはありです。むしろこうした状況分析や予測においては、どれだけあり得ないと思うような想定も選択肢に入れられるかがその実力を左右するところだと考えているので、そう思う根拠と可能性があるのならどんどん思考を巡らすべきでしょう。
2 件のコメント:
スルガ銀行が融資に関わったサブリース業者で倒産した業者または倒産寸前の会社がスマート
デイズ以外にもあるようです。
それとスルガ銀行とは直接関係がありませんが、レオパレス21のアパートの一部で建築基準法違反
の建物があることが発覚しました。
※ここから先の話はあくまで一般論です。特定の業者の事を指してはいません。
サブリース業者の中にはオーナーに相場より高い建物を建てさせる業者がいます。ですが、建材
は高級な建材ではなく普及品、ひどい場合は安物を使います。つまりサブリース業者は建物の
建設をする時点で儲けています。 実際に建物を建設する下請建設業者の中には予算の
都合で手抜き工事を行う業者もいます。特に建物の場合、一度建築してしまえば、目に見えな
い所は手抜きしたかどうかはわからないです。かといって経費をかけて解体・調査をしても
その建物が手抜きせずにしっかり施工された建物だった場合は調査費が無駄になります。
まさにアルキデメスの王冠状態です。 かくして手抜き工事で建てられた建物が何年も
たって、経年変化や地震などの被害がおきてから、あとで手抜き建物であることが発覚する
わけです。
自分もほんの一瞬ですが不動産・建築業界に携わり、如何に指定通りに建物が建てられないのかというか目を離すとすぐ不正をやる現場施工側の問題を垣間見ました。今回のレオパレスに関しては不良率が確か現時点で3割を超えており、現場というよりは施工主たるレオパレス側がやらかした案件だろうと考えていますが。
例のサブリース問題については自分もニュース追っていますが、やはりというかスマートデイズ以外でも同じようなことをスルガ銀はやっていたようで、だからプレスリリースでもスマートデイズを批判できなかったのだと合点がいきました。恐らくまだまだ不正融資はやっているように思われ、確率的には7割くらいで国有化するだろうとみています。
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