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2018年7月25日水曜日

ポスト安倍に待ち受ける負の遺産

 前外務大臣の岸田文雄議員はこのほど、次期総裁選には出馬しないとの方針を示しました。この発表を受けて一部メディアではあくまでも安倍総理からの禅譲(後継指名)を待つつもりとのことだが、決断が遅く怯んだ、臆したなどとやや批判の強いトーンで紹介していました。私は当初、そうはいっても出馬するかしないかは確かに悩むもんだからそこまで批判しなくてもと考えたものの、そもそも岸田議員は次期総裁選を睨んで安倍首相の懇願にもかかわらず前回の内閣改造で外務大臣の職を辞しており、あくまでも安倍総理の後継指名を目指そうというのなら何故そこで閣外を出たのかと思うようになり、改めて今回の不出馬発表は中途半端な態度だと思えてきました。
 まぁ優柔不断は宏池会の得意技ですが。

 ただこんなことを言っておきながらですが、ポスト安倍となる首相職はならない方が案外いいかもしれません。というのも安倍政権の負の遺産を丸抱えすることとなり、将来の歴史的評価が真黒くなる可能性があるからです。

 その負の遺産とは具体的に何かというと、数え上げたら切りがないですが一番大きなものは日銀が買える大量の株式です。他のメディアでも報じられていますが年金を運用管理するGRIFと日銀を合わせれば日系企業最大の株主となり、この2つが日系上場企業4社中1社の最大株主になるという国家総動員法も真っ青な状態と既になっています。仮に日銀が緩和政策の出口戦略でこの株式を手放したらあっという間に大暴落になることが見え、かといって手放さなかったら企業統治に緩いお国なことですから、企業の不正は増えイノベーション力が低下する可能性も少なくありません。
 この出口戦略ですが、本来ならもうとっくにやっていなければいけないものの日銀はやめるにやめられないものだから、さらに買い増しすると発表しており、多分最終的には2社中1社が最大株主が国という、国がほぼすべての日系企業を支配する時代が来ると思います。中国の国有企業やかつての国鉄とか見てたらわかりますが、この手の企業は基本腐ります。

 次の負の遺産ですが、端的に言って経済指標です。先日も投信30兆円誤計上問題が発表されましたが、やはり世間の反応を見ていると「わざとだろ」とみなす人が多く、私も同じ考えです。景気が上向いていると主張するために統計指標を弄った、誤計上をしりながら発表してきたように思え、実態の指標はもしかしたらもっと悪いのかもしれません。
 何もこの投信指標だけでなく、GDP成長率の数字もいつも私は怪しんでいます。理由としては予測値、速報値、確定値の乖離が激しいのと、「その他」という内実不明の数字割合が年々異常な包丁を続けており、はっきり言えば中国以上に操作されていると考えています。

 そもそもこうした経済指標というのは単体だけでなく、他の経済指標と一緒に眺めて初めてその価値が分かります。例えば先ほどの投信も、家計貯蓄高が年々減ってきているにもかかわらず何故か個人の投信投資額は増加しており、前々から怪しむ声は出ていました。同様にGDPに関しても体感景気は盛り下がっており、そのほかの指標もパッとしないのに「戦後最長の景気拡大」などと言われていて、違和感しか覚えません。私個人の体感でも中国で日本製品を買い求める人は自動車とおむつを除くと減っているように思え、それでいて何故このような数字が出てくるのかと思わずにはいられません。

 こうした負の遺産が、ポスト安倍の次期首相の時代に一気に爆発する可能性が高いです。そう考えると果たして座るべき椅子なのかと疑問に思え、泥をかぶるつもりがないのなら無理して追わない方がいいのではと今回の岸田議員の行動を見て密かに思いました。

2 件のコメント:

片倉(焼くとタイプ) さんのコメント...

私の住んでいる市の市長も今期で引退して来期は出馬しません。自分の任期中に大型公共事業を
行ったため、市の財政は悪化しています。 来期に出馬すれば、財政悪化の責任を追及されるのが
明らかなので、めんどくさい事は後任の市長に負担させようという魂胆です。

ちなみに前市長は改革派市長として有名でしたが、私の上司は前市長の事を「人の上に立ちたい
人間だ」と評価していました。 それは、前市長にリーダーシップがあるという意味ではあり
ません。前市長は上役にあごで使われたり、ペコペコ頭を下げるのが嫌いなので、他人に指図
されないトップの立場にいたい人間なのだ という意味です。

花園祐 さんのコメント...

 地方自治体だとまさにこの記事で書いたような、負の遺産を残すトップがより顕著に出てきやすいですね。やはり堅実に財政再建するような人は地味に映るためか評価されず、選挙でも勝てないケースが少なくありません。この辺を真面目にどうするか、地方行政や地方政治を考える上で今後重要になってくるかもしれません。