2018年7月11日水曜日

日本のスマホ決済に関する思案

 先日、知人の紹介で日本の知人関係者と会う機会が得られました。まだ中国に来て日が浅いとのことでしたが出会って第一声目に、「で、スルガ銀行はいつ破綻すると思う?」と聞きました。なおスルガ銀については私と大体同じ見方で、既に発表している特損が100億円だからその十倍の1000憶円はあるなということで一致しました。

 その後、中国についていろいろ話をしたのですが、個人的に興味を持ったのがこちらのスマホ決済についてでした。やはり使ってみて非常に便利だと感じたそうですがその一方で、「もし仮にスマホ決済が日本で普及したら、地銀は間違いなく死ぬことになるだろう」という見方を示しました。
 これはどういうことかというと、ゼロ金利政策によって法人向け融資業務ではほとんど利ざやが稼げない状況の中、地銀の収益は各種手数料によって支えられている面が大きいからです。仮にスマホ決済、それこそクレジットカード連動型のようなものが普及してしまうと地銀は手数料を完全に失うこととなり、たちまち経営が立ち行かなくなるということです。この見方は私も基本的に同意します。

 なおゼロ金利で経営が苦しいとメガバンクの連中は自分で言いますが、はっきりいますがこれはウソです。というのもメガバンクは外債を組み合わせた仕組商品を作ればどうとでも稼ぐことが可能で、ゼロ金利の影響を回避することが出来るからです。逆に地銀は外貨関連業務が制限されていることもあってこうした逃げ道が塞がれており、あまり指摘する人はいませんがゼロ金利政策自体が地方を大きく弱らせている原因になっているところがあります。

 話は戻りますが、「もう地銀なんて必要ないだろう」という意見を敢えて据え置いた上で、スマホ決済を日本でも普及させることが出来ないかなとしばらく思案してみました。最終的に出した結論は、クレジットカードではなく、各銀行発行のデビットカードと連動させる形ならまだありかもなという結論でした。

 まず初めに中国のスマホ決済について少し触れると、こちらは中国の銀聯カードと基本的に紐づいています。この銀聯カードは普通の預金関連機能のほか、店頭でのカード決済機能を持っており、実態としてはデビットカード、つまり預金額の範囲内で決済ができるカードとなっています。中国も今は条件も緩んでクレジットカードの発行も難しくないですが以前はやや条件が高く、また投機的な民族ということもあってか「預金額以上は使えない」ようにするため、こうしたデビットカード中心の機能にしたんだと思います。

 スマホ決済の場合、この預金額からスマホソフトウェアのウォレット内にお金を振り込みそこから小売店へ支払うか、デビットカード機能よろしく預金額から直接店舗へ支払うか、二種類から選びます。なおウォレット内の金額が決済額に対し不足してる場合、預金額からの直接支払いが自動的に選ばれます。
 割と味噌な点として、中国ではネット振込は10万元(約170万円)以下はタダで、基本的にほぼ全部無料で振込し放題です。だからこそウォレットのお金を出したり引いたりするのも気分次第だし、直接預金口座から支払うのもデメリットなしでできるからこそこれだけスマホ決済が普及したというところがあります。

 仮に日本でスマホ決済をする場合、それこそ現在の300円くらいする振込手数料を毎回取るようであれば、システムは存在しても普及することはないでしょう。ウォレットへの振込にも手数料を取る、それこそ1回10円程度であったとしても、お金減るのが嫌でスマホ決済を敬遠して現金にこだわる人が出てくるでしょう。
 そのため最近の日本のスマホ決済ニュースを見ていると、クレジットカードと連動する形のシステム案がよく書かれています。確かにクレジットカードなら消費者は振込手数料も取られたりしないで済みますが、その分システム加盟店は決済ごとにクレジットカード会社に売上げの一部が徴収されるわけで、ましてやJCBならともかく他のクレジットカード会社は外資で、まわりまわって日本の経済にはいいところなしです。

 私個人の私案は、敢えてクレジットカードとの連動を排除するというところから出発しています。まずスマホ決済のベースは既に市民権を得ているSUICAのシステムをベースにするべきだと考え、これに各銀行のデビットカードを紐づけ、手数料無料でソフトウェア内のウォレットへ送金ができるようにするというものです。
 この方法のメリットはまずSUICAは既にある程度認知、普及していること。次に「スマホ+SUICA+デビットカード」の組み合わせで規格が統一しやすいこと。最後に、地銀は手数料収入こそ失うものの口座顧客を失わずに済むということです。

 私がいま懸念しているのはスマホ決済との連動が、ごく一部のメガバンクのみに限定されるということです。仮にそうなればメガバンク口座でなければ連動できず、必然的に地銀の口座顧客は流出を免れ得ません。
 またメガバンクじゃなくクレジットカード連動であっても、やはりクレジットカード会社が儲かり、またクレジットカード会社を経由することでシステムの処理負担、個人情報流出のリスクの双方が高まります。なるべくなら安近短で「スマホ会社+中央システム+銀行」というくらい関連先は少ないに越したことはないでしょう。あとクレジットカードによる事業者側の負担軽減になれば。

 何故既存の銀行カードではなくデビットカードを推すのかというと、これなら既存の銀行カードを残したまま、新たなデビットカード規格を日本で統一して作れそうだという考えからです。無論、既存の銀行カードにこうしたスマホ決済機能を乗っけてもいいですが、この際だからスマホ決済に特化してSUICAと完全連動する、全銀行共通規格のデビットカードを作ってみた方が後々の発展性も得られるのではと思うところがあります。
 っていうかこっちいるとつくづく思いますが、なんで日本の金融機関はシステム方面の規格が全部バラバラなのか理解しがたいです。護送船団とか昔言ってたけど、ありゃ嘘だったなと内心思ってます。

 私の予想では日本のスマホ決済はやっぱりクレジットカード連動型で進むと思います。そしてそれにより、地銀業務はさらに減って地銀同士の統合は進んでますが、今後ますます地銀は苦しくなり、スルガ銀みたく消費者金融めいた仕事しないと生き残れなくなるかもしれません。
 もっともそれは中国の銀行も同じで、今や下手な地銀よりもスマホ決済大手のアリペイ、ウィーチャットペイの方が資金力などで凌駕しており、大手銀もかつては土日は行列が出来るのが当たり前だったのに、今店舗行くとガラガラです。時代の趨勢と言えばそれまでですが、どうせならこの変化を折にクレジットカード会社の影響力を弱めたいことから、今回ここで書いたデビットカード連動案を思いつきました。

  おまけ
 中国では最近、利用者が少ないからすごい勢いでATMが減っています。うちの近くの銀行支店も前まで4台だったのが2台に減りました。

2 件のコメント:

  1. 片倉(焼くとタイプ)2018年7月12日 21:29

    私は沖電気とセブン銀行の業績・株価に注目しています。  ATMの需要が減れば、当然ATM
    製造メーカーである沖電気の売上も減ります。セブン銀行は金融機関から支払われる手数料
    で儲けています。 銀行からすれば、自前でATM店舗を設置するのは金がかかるから、
    セブン銀行に手数料を払ってでも、顧客にコンビニ内のATMを利用してもらったほうが結果的に
    経費が安く抑えられるというメリットがあります。 コンビニ内のATMから紙幣を引き出す
    という需要自体がなくなった時、セブン銀行はどうなるか? 私はセブン銀行の株主では
    ないが、ひそかに注視しています。

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    1.  鋭い視点だと思います。
       前に友人とも、銀行各店舗は今後ATM業務をどんどん減らし、代わりにセブン銀行のATM業務が増えていくのではと話していました。セブンであれば銀行直轄というわけではないので消費者も手数料支払いに抵抗はなく、また彼らも顧客誘致のためならATMを置き続けるでしょう。意外とスマホ決済も、セブン銀行から始まったりするかもしれません。
       ATMメーカーは日立オムロン、沖電気、富士通フロンテックの3社ですね。間違いなくこの3社はメンテナンス業務も含めて先行きは細る一方でしょう。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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