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2021年2月19日金曜日

曙ブレーキの検査不正事件について

 日本は今頃寒波で寒いでしょうが、上海は昨日まで寒くて今日は大分暖かくなりました。その前に小春日和となって大分暖かく、体もその温かさに慣れた後の寒の戻りだったことから、寒さに強いことが自慢であるもののさしもの自分も昨夜は辛かったです。
 あと明日は振替出勤日なので鬱です(ヽ''ω`)

 話は本題ですが今日中国人の知人から、「曙ブレーキの事件は中国にも影響しそう?」と問われました。


 この事件、一応一昨日辺りにYahooのトップにも出ていましたが、それ見た時の私の感想としては「まぁやっててもおかしくないのかな、曙だったら」って感じでした。元々、私は以前に曙ブレーキの株を買うなど個人的にこの会社を贔屓にしてました。何故かソ連人民の敵であるうちの親父もこの会社を贔屓にしていて、日光の近く寄る度に「曙ブレーキはえらい会社や」などと二人して曙マニアでした。
 一体何故私と親父のこの会社への評価が高かったのかというと、自動車の中核部品であるブレーキを独立系の企業(現在はトヨタ系の資本が幾分多め)ながら供給しており、その世界シェアも非常に高かったからです。地方のメーカーでありながらこれだけの実力ある企業はなかなかなく、そうしたところから評価していました。

 しかし、見方が変わったのは2019年のことでした。この年、曙ブレーキは事業再生ADR、いうなれば民事再生手続きに入ることを発表しました。当時のことを今でもよく覚えていますが、曙マニアの親父とともに「なんであそこ経営傾いたんや?」などと、その原因について不思議がって議論をしています。
 当時の曙ブレーキの発表では、海外市場、特に米国市場向け販売(特にGM向け)が思ったより伸びず、投資負担が大きくなったためなどと説明してましたが、はっきり言えばこれは嘘だと今でも考えています。当時、米国市場における日本車販売はスバルを中心に絶好調で、米国市場全体も勢いがありました。また世界シェアも依然と高いままで、極論を言えば何もしなくても売上げや利益が増大するような状況にあり、にもかかわらず急に財政が傾くというのはどう見ても腑に落ちない状況でした。

 とはいえ、さすがに不正とかはしていないだろうという変な信頼があったため、親父とともに「きっとトヨタが安く買い叩き過ぎたんや」と、何故か根拠なくトヨタを悪者にして結論付けてました。ごめんよトヨタ。でも業界トップだから、叩かれてなんぼやと思うよトヨタ。

 そうした背景もあった、っていうか我ながらよくもまぁ細々覚えているもんだと思いますが、今回の検査不正事件をみて、やっぱり内部に闇抱えてる会社だったんだなという風に変な納得感を持ちました。しかも検査不正は調べた限り20年は続いていたと言ってますが、これって検査記録がPL法の期限に相当する保管期限分しか記録がなかっただけで、記録はもう消されているでしょうが実際にはもっとずっと続いていたと考えるべきでしょう。報告書も読みましたが、「事件は現場で起きてんだ、役員は無関係だ!」という切り口ですが、20年という月日を考えたら品管から役員入りする従業員がいてもおかしくないだけに、それを考慮すると会社ぐるみ組織ぐるみと判断するべきだと私は思います。


 それで話を最初に戻すと、上記リンク先のように今日になって中国でもこの事件が一気に報じられるようになったことから、先ほどの知人から私に問い合わせが来たのだと思います。日本と中国で報道にタイムラグがあったのは、昨日から春節からの復帰が始まり、現場の記者が動き出して記事書いて、原稿がリリースされたのが今日になったためだと思います。
 なおその知人は今まで私にこういうことはあまり聞いてこない知人であり、自動車業界関係者でもないだけに、中国の自動車関係者の間ではこの事件は大きく注目されている気がします。

 それでこの事件の中国の反応ですが、やはりというか「なんでリコールしないの?」という言及が目立ちます。日本でも冒頭の時事通信の記事でもその点について言及していますが、実際にこれだけの検査不正でリコールが起こらないのは過去のタカタの例と比べても不自然としか言いようがありません。
 まぁただでさえADRによる再建途上であることから、リコール起きたら吹っ飛ぶことは確実です。今吹っ飛ばされた供給途絶えるし、その点を完成車メーカーも空気読んであまり突っ込んでいないような気もします。

 ただこの事件、この二日間くらい見ていてなんか報道が異様に少ない気がします。それこそさっきも出したタカタと比べると世間の反応が小さいというか、直接的な死亡事故がまだ報じられていないからというのはわかるけれども、それにしたってあまりにも小さいです。逆を言えば、海外の方がこの問題に注目して報道が大きくなり、今後逆輸入的に日本でも盛り上がる可能性もあるかもとも見ています。さっきにも書いていますが、これでリコールが起きないことの方が不自然なのですし。

 また報告書の内容もやや疑問点が多いです。自分が一番気になったのは、どこから発覚したのかですが、報告書によると2019年11月、ADR以前の旧経営陣が山形工場の検査不正に対策を講じていない報告を受けて調査を指示した後、2020年3月に顧客の完成車メーカーから指摘を受けて岩槻工場の事案が発覚したとしています。なんで2019年の段階で山形工場しか調査してないんだと思うのと、20年物検査不正をどうしてこの段階で完成車メーカーが気付いたのか、いろいろとツッコミどころがあります。でもって調査は2020年3月から開始して1年近くも発表が遅れるってのも、内心どうかなぁって気がします。あと、なんとなく旧経営陣に全責任をなすりつけよう、っていう味付けもこの報告書からは感じられます。

 最初にも書いていますが、やはりこの会社に関しては闇が多いように思えます。ADRの発表時も説明の仕方が奇妙であったりと、うかつにその発表内容を信じることができない所があります。今回も検査不正はあったものの性能的には問題ないからという理由でリコールを行わないとしていますが、本当に検査不正に起因する事故とか起きてないのか、仮に因果関係を結ぶ事案が1個でも出てきたらとんでもないことになりかねません。っていうかこの言い訳で得するのは例の上級国民くらいじゃないかな。
 その上で、まぁ部品供給が滞るのを恐れていきなり契約切るメーカーはそんなないとは思いますが、2~3年先はわからないなって感じがします。となるとどこが来るのかですが、あんまこの業界詳しくないけどパッと浮かぶのは日清紡あたりです。

2 件のコメント:

片倉(焼くとタイプ) さんのコメント...

曙という文字をみると、あの力士を思い出します。引退してからかなり時間が
たつのに未だにあの力士の顔が思い浮かびました。

この曙ブレーキの不正事件のニュースを聞いた時「曙ブレーキは また
 マケボノブレーキ になったのか 」と思わずつぶやきました。
になったのか

花園祐 さんのコメント...

 日馬富士ブレーキって社名だったブレーキだけに土俵際の粘りが強かったかもしれませんが、曙だと倒れるときはバタンと倒れますからね。
 ちなみに例のボブ・サップ戦以降、「春はあけぼの~」と聞くとあのリングに倒れた姿が目に浮かびます。