先日見たネットの掲示板で、現バンダイナムコのナムコが昔に出していた「テイルズオブエターニア」というゲームについて討論がされておりました。このゲームは今も続く「テイルズシリーズ」と呼ばれるRPGゲームの第三作目私も昔に遊んだ、というより発売前には東京ゲームショーでプロモーションも見ていたゲームなのですが、本当は「テイルズシリーズ」はこのゲームで完結する予定だったらしく、開発陣も総力を結集して作った作品だという話を誰かがしていました。真偽まではわかりませんが実際に遊んだことのある私も非常に納得する出来で、ちょうどPSP版(元々はPSで出された)がすでに発売されていると聞いたので、来月にこっちに遊びに来る予定の親父にでも持たせようとすぐAmazonで注文して日本の実家に配達を手配しました。
さてこのテイルズシリーズですが、はっきり言って昔と今とで比べると知名度やブランド力は昔の方があったと言わざるを得ません。というのもこのエターニアが発売されたのは2000年ですが、その後このシリーズはそれこそ手を変え品を変えてバンバンと続編が発売されていったのですが、細かい売上本数までは確認していませんが発売前の話題性やら知名度は文字通り回を重ねるごとに低下していった印象があります。私の周りでも途中で買うのをやめていくのがほとんどだったし。もちろんシリーズのブランド力を維持するのは並大抵じゃありません。日本は100年企業が多いというだけにゲーム業界でも息の長いシリーズ作品はたくさんありますが、それでも往年の輝きを知っている世代からするとこのテイルズシリーズの凋落は見ていて如何なものかと思うほどです。
では何故テイルズシリーズはブランド力が低下したのかですが、これまた又聞きで真偽は確かめられませんが一説によると当時のナムコが実施した成果主義を原因と指摘する話を聞いたことがあります。なんでも当時のナムコではヒット作を出した開発部署に報奨金を出すという成果主義を導入したらしいのですが、ブランド力が高かったテイルズシリーズはそれこそ出せば売れること間違い梨の鉄板タイトルであったため社内の開発陣はこぞってテイルズシリーズの開発部署に行きたがるようになり、また製作をするそばから次回作を乱発するようになったとのことです。実際にほかの有名RPGシリーズと比べてもテイルズシリーズの続編の発売速度は異常で、言われてみてそういう背景があったのかと妙に納得させられた話です。さらにこの成果主義によってナムコ社内では新ジャンルのゲーム開発意欲が失われ、焼き直しのような過去のヒット作の量産ばかり行われるようになって会社全体で開発力が落ちたとまで指摘されておりました。もっとも過去のヒット作の続編量産はナムコに限りませんが。
真偽はどうであれ、少なくとも経営が悪くなったナムコはバンダイと合併したのは事実です。このナムコに限らず、失われた十年後半に非常にもてはやされた人事の成果主義は城繁幸氏が散々批判した富士通の例を筆頭に会社経営の改革になるどころか、むしろ経営の悪化要因にしかならなかったという話ばかりです。どうでもいいですが、富士通はこの前のみずほ銀行のシステムトラブルの際にあちこちで、「富士通だからな」と言われてたのがちょっと面白かったです。
成果主義議論は以前にも何度かブログで取り上げていますが、現時点ではこの言葉自体がすでに死語になっているような感があります。一応どの企業でも年初に目標設定というものを一人ひとりにつけますが、これがどれだけ給与判定に影響を与えたかは実際にやったことのある私もわかりませんでした。むしろリーマンショック後に役員、管理職が減給されたなど、景気影響の方がストレートに反映されてたような。
私自身はあまり給与にこだわらない性格なので成果主義だろうが年功序列主義だろうがあまり気にはせず、むしろちょっと前に「日本人の自己裁量権」の記事やそれ以前の陽月秘話で書いた記事で主張した、仕事の責任に合わせた裁量権を社員一人ひとりに与えることの方が重要だと考えています。ただそういった裁量権の議論をするにあたっても給与や評価方法は避けては通れないもので、これらと絡めて議論するというのであればやはりもっと成果主義を研究し、実施するべきという立場を取ります。
私が思うに日本で成果主義が根付かない要因のひとつは社員一人ひとりの責任範囲が明確でないことにあると思います。どこからどこまでがその人の仕事の範囲なのかわからず、また複数人で関わる仕事で問題が発生すると誰の責任にするかで揉めるあたりつくづく日本人の曖昧さを痛感します。そういう意味でかねてから私が主張するようにもっと個人に自己裁量権を目に見える形で与えればこういった成果主義議論も一歩は前に進むんじゃないかという気がします。
現在では(以前から?)成果主義は間違いだという意見の方が大半でしょうが、私は今の日本が実施している成果主義は不完全さが目立つもので、運用次第では活用できる範囲はあると思います。もちろん先ほどのナムコの例のように足を引っ張る例もあるので、もっとわかりやすく誰がどう見ても大きな功績を出した人に年に一回だけ報奨金を出すというような、シンプルな形でもないよりかはいいんじゃないかと思います。
ちなみに私が日本で働いていた頃に自他共にファインプレーだったと認められた仕事に、金曜日に輸入検査の申請をするにあたって運送会社から必要書類がなかなか届かず、昼過ぎにFAXで受け取るや電車に飛び乗り、5時で閉まる申請所に最寄り駅から走って4時50分にたどり着いたというものがありました。申請所の方にはあらかじめ電話をしてなるべく待ってもらうように伝えていましたが、関西系の人だっただけに、「全く、ワシに残業させおって」といいつつ書類をきちんと受け取ってくれました。革靴で全力疾走したので、次の日はすねの辺りが筋肉痛になりました。
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