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2021年11月21日日曜日

呪われたスズキ車

 昨日今日ともに日本シリーズのヤクルト対オリックス戦は白熱した試合展開で、今シーズンの優勝チーム動詞に相応しい熱戦で密かに楽しんでいます。特に第1戦はどちらもエース、4番がはっきりと存在感を見せつけ、明後日以降の試合も非常に楽しみです。



 さて話は本題ですが、昨日上海の街中でこの車を見て一瞬目を疑いました。この車を一目見てピンときたら110番というわけじゃないですが、一般的にはあまり知られていないものの、そこそこ自動車に詳しい人からしたら別な意味で有名な車です。


 やや影となって見えづらいですが、この車の名は「キザシ」といって、メーカーは日本のスズキです。そしてこの車は、「呪われたスズキ車」として有名です。

 そもそものこの車の成り立ちから話すと、軽自動車メーカーを代表するスズキは2000年代後半、自社の空白となっている高級セダン車の投入を決め、開発したのがキザシでした。


 そうした経緯を経て2007年にドイツで初公開されたのが上のキザシのコンセプトカーでした。見るからにラグジュアリー感のあるモデルで、価格などはおいといて市場関係者からはそこそこ期待感とともに好評を得ていました。

 しかし開発が進むにつれてデザインはどんどん普通っぽく、っていうか安っぽくなっていき、満を持して出てきたのが最初の写真の姿でした。恐らく対抗馬としてトヨタのクラウンが想定されていたんじゃないかと思うのですが、結果的に言えばキザシはクラウンというよりはカローラっぽい姿と変り果て、走行性能はまあまあ評価されていたものの、このデザインでそこそこ高めな値段が設定されていたこともあり、全く売れませんでした。これはスズキの販売力云々ではなく、明らかにコンセプトに齟齬が見られた結果でしょう。

 そんな感じで大量に売れ残ったキザシの処理に困ったスズキは、在庫一括処理とばかりに静岡県警へまとめて供給することとしました。その結果、キザシの全登録台数のうち約1/4が静岡県警の所有車となったため、「キザシを見たら覆面パトカーと思え」と言われるほど「「キザシ=静岡県警」というイメージが定着してしまいました。実際間違ってないですが。
 そのため一般ユーザーがキザシに乗っていると、周りの車が速度を下げたり、道を譲ってくれたりなどとやけにおとなしくなるというオプションが付いたと言われています。ある意味、お金で買えない価値を持った車でした。

 そうした経緯もあって、性能よりも個性やレアリティを重視する自分も日本にいた頃にこのキザシを買ってみようかなと思った時もありました。しかしネットで新車価格を見て、すぐにその考えを打ち消しました。それくらい価格と風采の不一致が激しい、っていうかカローラっぽい車にクラウンの価格がつけられているに納得感が得られませんでした。

 最初に話を戻すと、そのキザシが何故中国にあるのか。この一点で以って激しく動揺したというか、静岡県警関係者でもいるのかと思ったわけです。真面目にオーナーがいたら「なんでこの車買ったの?この車が日本で呪われていることを知ってるの?」などと聞きたかったのですが、生憎そばにはオーナーらしい人はおらず、聞けずじまいでした。
 さすがに近年はランエボは見なくなりましたが、上海市内だとたまにWRXなどレアな日本車を見ることがあり、そういう時はかなりうれしく感じます。しかしこのキザシに関してはうれしさというより困惑しか覚えず、まぁレアなものは見れたのだから何かいいことがある兆しなのかもしれません。

 なお最近見たものだと、上海市内で「レクサス・LC」を見ました。それ以前はLCの存在自体知らなかったのですが、実物を生で見るとそのボディ全体の流麗さはすこぶる良く、こんな車があったのかとかなり魅了されました。レクサス車についてはフロントマスクは好きじゃないですが、ボディ全体のデザインというか形は確かによくできている気がします。

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