話は本題ですが同僚の中国人から、「今の中国は日本の『失われた十年』みたい(´・ω・)」と、ある日言われました。私自身もこのところこのブログで同じようなことを常々口にしていますが、中国人自身からもこっちが振っているわけでもなくそのような言葉を聞くとは思わなかっただけに、少々驚きました。
そこで興味を持って「失われた十年」の中国語に当たる「失楽的十年」、「失去的十年」で検索してみたところ、自分でも思ってた以上に多くの記事や論評、ブログがヒットしてきました。特に去年と今年にかけて多くの記事が出ており、それも大手メディアも取り扱うなどその関心ぶりはまごうことなく高いと言い切れます。
その論評内容を見ると、「日本はどうして失われた十年に至ったのか」という原因説について述べるものが多く、解説される内容も「プラザ合意がそもそものきっかけだった」とファーストアプローチは正鵠を得ています。
なおプラザ合意の中国語は「広場協議」でした。「プラザ=広場」だけどこの訳でほんといいのとちょっと思いました。
話を戻すとプラザ合意により円高が急激に高まり、日本の米ドル換算資産が急増したことで株価や不動産の高騰を招き、しばらく放置していた大蔵省が急に金融引き締めに動いたことでバブル崩壊が起こり、失われた十年が始まったという風に紹介されています。この一連の流れには自分も異議はなく、逆を言えば、多くの中国語記事で判を押したかのように以上の経緯が語られているあたり、中国人も日本のバブル崩壊、失われた十年に対して一朝一夕ではなく、かねてから多くの人が研究していたと窺われます。
ただ、それら記事を見ていると肝心な点が抜けているという印象も覚えました。それは何かというと、失われた十年の中身、そして終焉についてほぼ全く触れられていないという点です。
「失われた三十年「と言われるなど日本の失墜は今もずっと続いていると主張する人はいますが、私自身は2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災の以前、以後とは区別するべきだと思っており、2003年あたりが失われた十年はひとまず区切られると考えています。では何故そこで区切られるのかという、当時の日本の状況について中国語記事ではほぼ全く触れられておらず、突き詰めて言えば、中国人は日本のバブル崩壊のきっかけなり原因なりにしかほぼ着目していないという印象を覚えます。
以上を踏まえると、中国に今後起こる出来事に対して果たして中国は本当に日本を反面教師にして打開できるかという点で、はっきり言って不安を覚えます。実際、そうした不安の兆候がはっきり出ているというか、「中国は日本のようにはならない!」という主張の論拠が、まさに日本と同じ轍を踏んでいるということに気が付いていません。
その辺については、もう少し当時の日本と今の中国の共通点、相違点を整理したうえでまたご紹介します。
2 件のコメント:
日本の場合はバブル崩壊と55年体制が崩壊しましたが、中国でも何か「世直し」みたいな感じになるんでしょうかね。。
少なくとも、鄧小平以来の改革開放路線は習近平政権の始まりとともに終わったと言っていいでしょう。外資の中国国内誘致だけでなく、アリババをはじめとする中国企業の海外進出も制限する有様なため、ある意味で経済のブロック化を通り越した鎖国化をし始めています。これまでグローバル化でどれだけ中国が恩恵を得てきたのか、理解してんのかと言いたい状況ですが。
コメントを投稿