元の言葉に合わせるならば無理して「一向」を入れなくてもいいのですが、これを翻訳した人は敢えてこの言葉を入れたと思います。その甲斐あって元のセリフを知っている人間からすれば非常に通りのいい訳語となっており、また烈海王はもともと中国人ということもあり、なんか中国語で書いたセリフのほうが似合っているような印象すらあります。
こう言った翻訳に関して、法律文書ならともかく、エンタメ作品では如何に意訳するかというテクニックがやはり求められてくるでしょう。この手のものとして伝説的なセリフとしてスターウォーズエピソード3の「地の利を得たぞ(I have the high ground!)」というのがありますが、これに関しては「(高みから見下ろす感じで)この未熟者め!」と訳している人がいましたが、私もこっちの方がいいと考えています。
なお同じ戸田奈津子氏のスターウォーズの誤訳で有名なのは「義勇軍」とすべきところを「ボランティア軍」と訳した例もあり、原語に引っ張られすぎだろと内心思います。
上のは悪い例ですが、逆にいい訳され方したなと思うものとして「With Great Power Comes Great Responsibility」があります。これは言うまでもなくスパイダーマンに登場するセリフで、かつそのヒーロー性を代表するセリフですが、日本語では「大いなる力には、大いなる責任を伴う」と訳されています。下手な訳者だったら「Comes」を無理やり入れて「大いなる力とともに大いなる責任が来る」という風に訳してたかもしれませんが、単純に「伴う」でまとめ成語としたのは素晴らしい手腕だと思います。
なおこのセリフですがつい最近見た映画解説動画によると、原典の漫画版スパイダーマンのある回で小さくモノローグに入れられていた言葉だったそうです。それを映画の初代「スパイダーマン」の監督であるサム・ライミがベンおじさんが今際の際にピーターへ伝えるセリフとして使用し、スパイダーマンを誕生させるきっかけと変えたことで、一気に普及しました。多分後代にも語り継がれ、今後英語のことわざになってくんじゃないかな。
2 件のコメント:
「アーノルド坊やは人気者」の主人公の名台詞は「冗談は、顔だけにしろよ」です。
翻訳前の原文(英語)では「なに、バカなこと言ってるんだよ」という意味合い
らしいです。
ハートマン軍曹の歌うミリタリーケイデンスの一節に「エスキモーのプッシーは
とても冷たいだろう」という歌詞があります。これはエスキモーは寒い所に住んで
いるから、エスキモーの女性のプッシー( 正式な意味では子猫だが 女性の体の
ある一部分を指す性的な俗語としても使われる)もきっと冷たいと いう意味です。
この一節は 日本語翻訳版では「エスキモーのプッシーは冷凍マ〇庫」と表現されて
いました(※ 庫という字は当て字です。ここでは「コ」と発音します)。
原文の英語よりも下品な日本語訳ですが、翻訳担当者の言葉のセンスには感動
しました。
戦争映画やギャング映画なんか特に汚い言葉遣いを敢えて使う必要があるだけに、訳者のセンスが非常に問われますよね。その辺、ブラックラグーンの作者が非常に得意にしており、一回彼もギャング映画の翻訳の監修と化してみたらいいんじゃないかと前から思っています。
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