今国会で議論されている高校無償化についてですが、自分も何か意見を書こうかと思っていた矢先に上の古館氏の記事を見かけたのですが、正直言いたいことを全部言ってくれているように感じました。基本的に自分の見解も古館氏と同じで、特に私立高校が無償化をいいことに学費を値上げしてくるという予想は自分も最も懸念していた点であり、結論から言えばこの高校無償化は日本の教育レベルの底上げにはつながらず、むしろ底下げにしか役に立たないだろうと考えています。
あえて古館氏の意見に付け加えるとしたら、古館氏は進学者が私立校に流れて公立校のレベルが下がり、ひいては国立大学の志願者も低下するのではと懸念しており、これについてもごもっともです。その上で私の見方としては、公立と私立の差がよりなくなり、公立校が教育方針やカリキュラムで私立校へ近づけていくのではという風にも見ています。もちろんこれは教育、国力的にもマイナスにしかつながりません。
というのも公立校というのは基本的に国が教育方針を定めて、一番オーソドックスな教え方をしていると思います。それに対し私立校というのは公立校と差をつけるためオーソドックスな教え方では漏れるカリキュラムや教育方針を作ることで、その方針にあった親や子供を引き受ける形となります。
結果的に公立と私立が併存することで異なる種類の人材を育成し、それらがお互いに埋め合って社会をいい方向に形成していくのだと思います。なので公立としては絶対多数的に求められる人材、それに対し私立というのは絶対多数ではなく少数ではあるけど、社会においてある程度供給してほしいタイプの人材を作るというのが理想形です。
こう考えるのも自分が中学から大学まで私立校にいたせいもありますが、中学高校はともかくとして、大学に関しては言ってしまえばテロリスト養成校みたいな気風がありました。基本的にルールがあれば「まず破れ」と教えられ、反抗することにこそ価値を見出す学校であり、実際教授会でも「おめーがパッとしねぇから受験者数落ちてんだよ!」という学長に対する批判をみんな堂々とやっていたそうです。
ただこうしが学風から生まれた人材は実際社会のあちこちでやたら反抗的な人材を供給しているそうで、理解ある経営者なんかは「組織がおかしな方向に進みそうなときに、こういう奴らがブレーキかけて軌道修正してくれるんだ」と言って、わざわざ私の出身大学に対し採用枠を設けていると聞きます。実際に私もそうした教えだったと理解しており、造反有理じゃないですがおかしいと感じることにははっきりおかしいといって拒否することが大事だと考えています。
もっともこんな反抗的な人材ばかりが社会にいたら、文革期の中国のようにまともな社会が形成されるわけありません。あくまでこういう反抗的な人材が少数派で存在するからこそ、企業も国もうまくやってけるのでしょう。
そうした考えから、私は大多数は公立で、一部の人間は私立に通うという形が教育体制としては理想的だと考えています。その上で学費の差というのはこうした比率を自然形成させる要因であり、これに差がなくなると恐らくいろいろおかしくなるのではという風に思っています。
さらに付け加えると、機会の平等と結果の平等は基本的に成り立ちません。あえて両方とも平等になるよう取り計らうと、逆にそれ以前よりも平等が崩れることの方が多いとも私は考えています。
今回の高校無償化は一見すると機会の平等のように見えますが、私は密かに結果の平等に向いた政策であるように考えています。それに対し私は機会の平等を追求する側であり、古館氏の意見や上記の考えもあってこの政策にはあまりいい気分がしません。
むしろ学費負担の軽減というのなら、高校の教材費に限った無償化の方がいいんじゃないかと思います。学費の差がなくなることで、競争も個性もなくすよりはこっちの方がいいでしょう。
6 件のコメント:
お久しぶりです
毎回楽しみに
拝読させていただいております
さて本件についてですが
半年ほど前でしたか、
中国から仕事でこちらに
ご家族で移住されてきた方と
お話する機会がありまして
その際、今の中国は教育費に
とんでもないくらい金が
かかるので日本の公立校で
教育を受ける方が
断然いい環境だと
仰っておられました
共産主義国でそんなことが
ありえるのかと正直、
半信半疑で伺っておりましたが
実際はどうなんでしょうか?
花園さんの周囲での平民レベル
ではどんな状況だったのか
お伺いしたいと思い
コメント欄にて失礼ながら
取材させていただいた次第です
まだ書きたいこと伺いたいことも
山程ありますが
まずはこの件にてご返信
いただければ幸いです
お身体ご自愛いただき
これからも執筆のほど
賜りますようお願い
申し上げます
どうもご無沙汰しています。
ご質問の中国の学費の件ですが、状況によっていろいろ変わるというのが大まかな結論です。まず幼稚園に関しては確実に日本よりも料金が高く、月10万円行くようなのもあったりします。何故か幼稚園は日本ほど多くなく、また高いサービスの代わりに高い料金を謳うところが多く、小学生になるまでが中国の親にとって一つの関門となっています。
では小学生以降はどうかですが、公立の学校であればそこまで極端な金額にはなりませんが、中国の教育熱心な家庭は学費が年間数百万するインターナショナルスクールに通わせようとすることが多く、この点でお知り合いの方が日本よりも学費が高いといっているのではないかと思います。
また学費以外にも、家庭教育でも金がかかります。一時は禁止とされた予備校ですが現在は政府も失敗を認めたのか黙認する傾向があり、受験競争が激しいことから予備校や家庭教師が復活しています。こちらの学外教育費もかなりするものの、マジでこういうところで勉強させないとまともな大学には受からないほど受験競争も激しいため、日本での教育を考える中国人は本当に多いです。
先日も上記理由から、「日本に移住するわ(´・ω・)」と言って去った同僚がいました(´;ω;`)ウッ…
学費無償化に関する話題の中で「格下の公立」という話題が出てきました。とある人が、「公立が私立より偏差値が高いなんて嘘でしょ。それって何処の話?」と言っていました。 私は 地方の公立小中高を卒業しました。その地方では 私立は 公立に落ちた人が行く所であり、公立の方が格上でした。同じ日本とはいえ、住む場所が違うと、学校に対する認識も違うものだなと思いましたよ
公立と私立のどちらが偏差値的に上かは各都道府県によって完全に異なりますね。関東では比較的私立の方が勢いがありますが、例えば奈良県の公立なんかは下手な関東の私立よりも受験体制がえぐいというか、受験に不要な科目は一切教えないほど受験に特化した学校が多いです。
こうした地方によって異なる状況によって、高校無償化に対する感覚や意識も変わってくるでしょうね。
義務教育周りならともかく、それ以外のところでの無償化は全く理屈が伴ってなく、単に子育て世帯の票を得たいだけなんだろうなと思いますね。
他にも保育の無償化、給食費の無償化、塾の無償化など、それぞれレベル感は違うものの党派にかかわらずぶち上げまくっています。
国民生活としては必須ではないが社会情勢的に実質税金負担のようになっているものに関しては、そうさせる社会構造が問題なのであって、その対処にかかる費用に補助金を出せばいいという話ではないので、頭が悪すぎて話にならないなぁと思ってしまいます。
そもそも出生率の低下に歯止めをかけたいなら、もう子供いる人に予算回してる場合じゃないと思いますけどね。
おっしゃる通りというか今回の高校無償化は朝三暮四みたいな話で、一部世帯の優遇のためにほかのところで増税するという話でしょう。そもそもこれまでの施策で出生率は向上していないあたり、今までの政策の何が問題で、何が有効かくらいは分析してほしいものです。まあわかってて分析しないのでしょうが。
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