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2010年5月12日水曜日

ポスト鳩山は誰なのか?

 この所の各報道機関の政治系記事は普天間問題が全く進展しないなどといった事から民主党に対して批判的で、この与党民主党に対して野党はどうすれば次の参議院選挙で過半数割れに追い込む事ができるのかという視点で書かれているものばかりが目に入ります。そこで今日は、別に私は今の民主党を支持しているわけではないのですが敢えて逆の視点で、民主党は何をすれば支持率を挙げて次回参議院選を勝ちぬけるのかを考えてみようと思います。

 まず結論から言えば、民主党が支持率を回復するのに最も良い手段というのは小沢一郎氏の幹事長職を解任する事です。タイムリーに今日、検察が先月の審査会の議決を受けて小沢氏に聴取を要請しましたが、普天間問題に次いで民主党の支持率を下げる要因は間違いなく小沢氏の資金問題でしょう。
 渡部恒三氏などは長い付き合いもある事から堂々とテレビカメラの前でも小沢氏に辞任要求をしては鳩山首相に決断を求めているのですが、肝心の鳩山首相も小沢氏同様に自身の資金管理団体の問題、しかもその責任をすべて元秘書に擦り付けたことから事実上解任する事は不可能だと見ております。仮に鳩山首相が小沢氏を解任すれば自分のことを棚にあげておきながらと、野党や国民のみならず民主党内からも批判される可能性もあり、そうなった場合はよっぽど鷹の爪を隠していない限りは政権の維持は完全に不可能となるでしょう。

 このように、支持率を回復するには小沢氏の解任が必要、しかし鳩山首相は解任が出来ないという、小沢―鳩山の相互補完構造が成り立っているとします。となると民主党としてこの際、小沢氏と一緒に鳩山首相を退陣させるしかないように思えます。
 先月までは各評論家らからこのような案、いわゆる五月政局こと普天間問題の決着と引き換えに鳩山首相は退陣するのではという声がささやかれましたが、五月も三分の一が過ぎた今になっても鳩山首相は一切退陣する素振りを見せないどころか、米国に対して約束した五月決着も反古にするかのような発言もこのところ目立ちます。

 こういった背景から私が気になっているのが、民主党内の議員は倒閣を考えないのかという事です。小沢氏に対する辞任要求は確かに少数ながらも、先ほどの渡辺氏や副幹事長の生方氏など何名か声を上げているものの、さすがに鳩山首相に退陣を要求する民主党議員はまだ出てきていません。自民党ではかつての安部、福田、麻生政権、そして現在の谷垣体制に対して公然と退陣要求する議員がごろごろいますが、民主党は結束力が強いと言うべきか、議員一人一人の後ろ盾が弱いのか上層部批判がやはり少ない気がします。

 ではこれまた仮の話で、鳩山首相が自ら辞任した場合は誰が民主党の党首、ひいては首相となるのがベストかとなると、これまた結構悩ませられる話です。
 もし支持率回復だけを目指すのであれば最有力なのは、政権からやや遠ざかった位置にいて小沢氏を度々批判している仙石良人氏なように思えますが、どうもこの人は組織を引っ張る人間としてはいまいち頼りない気がします。ではかつて党首を務めた経験のある菅直人氏ではというと、かつての「イラ菅」から「アホ菅」とこのところは揶揄されるほど人気も低迷しており、周囲の民主党議員からもどうもあまり支持されていないように見えます。

 では外務大臣の岡田克也氏はというと、なんかこのところ急激に老けてしまってテレビ映りの悪さが私は気になります。能力的にも真面目なんだけどそれだけという感じで、党首時代の郵政選挙の大敗もあってイメージ的には非常に苦しい気がします。それならばその岡田氏の後を継いだ国土交通大臣の前原誠司氏ならばどうかですが、顔もイケメンということもあってイメージ的には今の民主党内で最も力を発揮するでしょうが、多分なったらなったで小沢氏を初めとする現上層部から物凄い嫌がらせを受けて党内を維持する事が出来ない可能性があります。更に言えば、かつての偽メール騒動もあるからイメージが良くても支持率には必ずしも結びつかないとも考えられます

 いちおう他にもポスト鳩山としては枝野幸男氏もいますが、どれも選挙で戦っていけるかとなるとどれも一癖足りない面子ばかりです。まして自民党時代に散々党首の代替わりがあって民主党が行っても今じゃあまり効果も見込めないでしょう。
 となると政策で挽回するより他がないのですが、子供手当ても第二次仕分けもすでに終わり、残った普天間問題はまだまだ支持率を下げる要因としかならないため、もう大分手遅れな感があります。何でもやっていいというのであれば残るはネガティブキャンペーンしかなく、ちょっと前に「あいつは部落だから首相には出来ない」と麻生が言っていた野中広務氏が官房機密費の使途(与野党問わず議員に配り、評論家らにも渡していた)を口にしていましたが、あれを洗いざらい公開すれば少しは効果があるかもしれません。

2010年5月11日火曜日

次回参院選の有名人候補擁立について

谷亮子氏:参院選に民主から出馬表明 「五輪は金目指す」(毎日jp)

 すでに各所で報道されているので皆さんも知っての事だと思いますが、上記リンク先のニュースの通りに柔道金メダリストの谷亮子氏が次回の参議院選挙にて民主党から出馬すると発表されました。このニュースに対する私の感想はというと、いつまでもこんな事をやっているから駄目なんだということと、恐らく谷氏のこの出馬は大勢に何も影響を与えないかと思います。

 これまでの参議院選挙でも各政党は比例代表枠での票数をかき集めるためにとにかく目立つ候補、知名度のある人間を擁立してきて、現在でこそ人気の高い桝添要一氏などもこのいわば「有名人枠」から初出馬しております。
 しかし当時の有名人候補は曲がりなりにも学者なり知識人なり活動家なりと、桝添氏を初めとして未だ衰えを知らない田嶋陽子女子などまだ政治や社会に関わる生業の方達でした。しかし近年の参議院選挙はお世辞にもそれまで全く政治とは縁がないとしか思えない候補ばかりが、名指しこそ避けますがただ有名というだけで元スポーツ選手などがスポーツの振興を掲げて取っ替え引っかえ出ているだけで、彼らが当選後に何か立派な政治的活動をしたとも思えません。スポーツの振興ったって、選手の身分でも十分出来るはずなのだし。

 しかも今回の谷選手に至ってはまだ現役の選手で、本人も次回のオリンピックで金メダルを取ると息巻いていますがそれならなおのこと政治活動なんかしないでトレーニングに従事するべきなのではないかと思えます。それと比べるなら自民党は、ただでさえ巨人ファンからも人気がなくて果たして花形候補となるか非常に疑問ですが、前巨人監督の堀内氏を擁立するようなので、まだこちらの方が引退した人間という事からマシなように見えます。

 あくまで私の所感ではありますが、どうも他の日本人もこうした有名人候補擁立に対して疑問を感じ初めているように思えます。先月にも自民党が「美人過ぎる市議」として有名となった藤川優里氏を擁立しようとした矢先に本人が先に辞退したと報じられましたが、この時の反応も一体自民党は何をやろうとしているのかという、冷めたような声ばかりだった気がします。
 それでも有名人候補がいないよりはマシと各政党選対は考えているのかもしれませんが、返ってこういった軟派な候補を出すくらいならこれまできちんと活動していたり実績のある地方議員などを擁立して前に押し出す政党の方を、少なくとも私は評価します。

 こう言いながらも、また広島県尾道市の衆院選でホリエモンが出馬したら、私も亀井静香憎さで多分ホリエモンに票を入れると思います。ホリエモンも決して好きな人間じゃないのですが。

2010年5月10日月曜日

大化の改新とは一体なんだったのか

 確実に証明できる範囲での日本史の始まりはいつからだというと、それは間違いなく壬申の乱後に皇位についた天武天皇の時代からです。事実この天武朝から「日本」という国号の使用、我が国初の貨幣の「富本銭」の発行、そして「天皇」という呼び名が使われるようになったといわれており、その後の系譜においても天武系が奈良時代では主要な皇族となるなど古代史、ひいては日本史全体に天武天皇が与えた影響は非常に大きいといえます。
 しかしこの天武天皇は確実に存在していてその施策などもはっきりしている一方で、有名なのにどうにもよく分からない存在、一体何がしたかったのかがはっきりしないのが天武天皇の兄の、中大兄皇子こと天智天皇です。

 中大兄皇子とくると、「おかしいですよ」の後には必ず「カテジナさん」とVガンダム好きなら続くように、日本史では大化の改新が基本的にセットで必ず付きまとってきます。この大家の改新ははっきりいってこれまでの日本史研究では日本書紀などできちんとかかれているのだからといってほぼ自明の事実として取り上げられて来ましたが、平成に入った辺りから天皇史研究のタブーが薄れてきたのもあって徐々にその内容に疑問符が出てくるようになりました。

 まず一般的に伝えられている大化の改新ですが、聖徳太子、推古天皇亡き後の大和朝廷では蘇我馬子に始まる蘇我氏が徐々に専横を振るうようになり、馬子の子である蘇我蝦夷とその息子の入鹿の代では聖徳太子の一族を滅ぼすなど天皇家すら脅かすようになり、これを憂えた中大兄皇子と中臣鎌足によって暗殺された(乙巳の変)とされています。

 しかし一つ一つ疑問を挙げると、まず第一に聖徳太子自体が本当に存在したのか怪しい存在です。私の友人などは、「十人の人間の訴えを聞き分けたとされる」という逸話から、当時の複数の人物を一つの人物としてまとめ上げられた存在なのではないかと言っていますが、私もこの説を採っていて、太子一族が蘇我氏に滅ぼされたというのはむしろ後付けで、蘇我氏が如何に悪者かということを宣伝するために作られた話ではないかと見ております。

 第二に、中大兄皇子と蘇我氏の政策的対立点が見当たらない事です。
 蘇我氏も中大兄皇子も、当時の豪族たちの連合政権だった大和朝廷を天皇を頂点とする中央集権体制に持って行こうと画策しており、目指すべき方向ははっきり言って全く同じものでした。しかも当時の天皇は中大兄皇子の母である皇極天皇で、何もいきなり暗殺を仕掛けるほど天皇家が危うい立場だったとは思えません。

 そして何よりおかしいのが、このクーデター劇の主導者である中大兄皇子がその後、頑なに天皇の地位に就任していない事です。大化の改新後は孝徳天皇を初め次々と天皇が就任する傍から変わって行き、最終的には適当な人間がいなくなる事態にまで陥っているにもかかわらず中大兄皇子は「称制」といって、実質天皇と変わらないのですが皇太子の立場で政治を運営しており、最終的にはポケモンの進化じゃないけど天智天皇になりますがその過程には怪しい紆余曲折があります。

 この天智天皇の行動については諸説あってWikipedia中でも一項が設けられていますが、やはり私が一番それらしいと思う説は彼の女癖です。なんでも近親相姦が割と盛んだった当時でもタブーであった実妹にも手を付けていたらしく、この妹の死後直後に天皇に就任していることから彼の女癖に対する周囲の批判から天皇になかなか就任できなかったという説があります。また天智天皇はその実妹との話の他に、元々弟の大海人皇子(天武天皇)の妻だった万葉歌人最高峰の額田王を無理矢理奪ったとも言われており、どうもこういうエピソードとかを聞いていると強引で、攻撃的な性格の持ち主というイメージが私の中では湧いて来ます。

 そんな天智天皇の性格を考えると、大化の改新自体が自分が政治の主導権を握るための、いわば天智側から蘇我家への一方的なクーデターだったのではないかとも思えますし、検証できるかどうかは別として、そのような考えから蘇我氏こそが本当の天皇(豪族立ちの首領)だったという「蘇我氏天皇論」というのもあります。
 こういったいろいろと怪しい所があることから、どうも私は日本書紀における天智天皇の記述も曖昧なものとなっているのではないかと思います。日本書紀はまさに天武天皇の正当性を強く出すために作られたような歴史書ですが、今回の大化の改新から壬申の乱のくだりまでがどうもちぐはぐな印象がぬぐえず、想像力を膨らませる内容となっております。

 もっとも天武天皇自体も天智天皇の息子の大友皇子を壬申の乱で破って皇位についているので、クーデターを起こしたという点では天智天皇と一緒です。むしろ逆に、クーデターを起こした事に正当性を持たせるために敢えて、「天智天皇はクーデターを起こして実験を得たからクーデターによってその子孫は追われたのだ」という筋書きにしたのかもしれませんが。

2010年5月8日土曜日

記憶に残る外国人野球選手

 ちょっと思うところがあるので、日本にやってきた外国人プロ野球選手の中から記録よりも記憶に残る選手をここで一部紹介しようと思います。因みに選ぶ範囲は私が知っている中なので、年代としては90年代から00年代が主で、紹介する情報は基本的にWikipediaからの引用です。

1、マイク・グリーンウェル(阪神)
 メジャーでも活躍した実績があるということで当時不振にあえいでいた阪神タイガースが破格の年俸にて契約したものの、シーズン前のキャンプ中に突然一時帰国し、チームに合流したのもシーズンも一ヶ月が過ぎた5/3でした。しかもその八日後の5/11には自打球で骨折し、これを「野球を辞めろとの神のお告げだ」として、なんとそのまま引退宣言を行うという問題児振りを見せ、十年以上経った今を以ってしても「最悪の外国人助っ人」とまで呼ばれております。

2、マイク・キンケード(阪神
 この人はほんの少し前(2004年)にいた人なので覚えている方もおられるかもしれませんが、2003年の阪神優勝時の功労者であるジョージ・アリアス選手に代わる後釜として阪神が獲得したもののわずか26試合の出場で退団となってしまいました。しかもその26試合でなんと12個もデットボールを受けており、当時は「当たり屋」とも言われ、あのまま行けばシーズン最多デットボール記録を間違いなく塗り替えられたでしょう。
 何気に上のグリーンウェル選手同様に名前が「マイク」で、阪神と「マイク」にはなにか良くないジンクスでもあるのかと疑いたくなります。

3、郭源治(中日)
 私が子供の頃によく遊んだファミコンゲームに「ファミリースタジアム」という野球ソフトがあり、友人らと遊ぶ中で人気のあった投手は「のも」こと野茂英雄選手と、「かく」ことこの郭源治選手でした。
 この郭選手は台湾出身の選手で、かっこいい容姿から女性からの人気も高い選手でした。よく日本にやって来る外国人スポーツ選手は主に行きつけの飲み屋の女性から日本語を学ぶために話し言葉が女性っぽくなると言われており、郭選手もそうであったかまではわかりませんしそれが悪いわけではないのですが、インタビューの際は女性っぽい優しい口調で話すことも彼の人気を大きく押し上げた要因となっていたようです。
 今思うと、ヨン様ブームの走りのような気もしないでもありません。

4、郭泰源(西武)
 もうひとりの「かく」こと、郭泰源選手も私の子供時代は人気投手でした。
 こっちの郭選手の何がすごいかって言うと、「オリエンタルエクスプレス」と称された最高時速156km/hの剛速球に加え、これまた異常に速度のある高速スライダーで、当時の動画を見ても惚れ惚れする投球振りです。

5、ダン・ミセリ(巨人)
 巨人がクローザーとして獲得したこのミセリ選手ですが、彼がマウンドに立った際の安心感は絶大でした、巨人ファン以外は。
 鳴り物入りで日本にやってきたもののオープン戦での成績はとても目も当てられず、開幕後も立ち直ることなくことごとく救援に失敗しては相手チームに勝利をもたらし、同点時には相手チームから「ミセリコール」が起こるほどでした。そのため一時期の防御率は天文学的数字にまで上り詰め、結局一ヶ月と経たずに退団する事になりましたが個人的にはパワプロに彼のデータが入っていなかったのが残念でした。

6、バルビーノ・ガルベス(巨人)
 恐らく私くらいの世代の人間であれば、ガルベスと聞けばパッと思い出すことが出来ると思います。
 このガルベス選手は巨人の外国人投手としては初めて開幕投手を務めたほど長くチームに貢献し、実力も最多勝を取るほどの折り紙つきでした。ただそういった成績面での彼の活躍よりも、苛立つと度々マウンドを蹴ったり、しょっちゅう乱闘を起こしたりするというプレイ外での彼の活躍の方が私の記憶に残っております。
 特に一番すごかったのはWikipedia中にも書かれている98年の阪神戦での乱闘で、判定に不服を持った審判目掛けてボールを投げつける(当たらなかったけど)という暴挙を行い、子供ながらに外国人は怒らせたら恐いと私の心に深く刻み込む事件となりました。

 先日に会った友人が、「夢の中でガルベスとキャッチボールをしてたんだけど」と言った事からこの記事を書こうと思ったのですが、いざ実際に書いてみるとなんか中途半端な文章になりやすく、短い紹介、批評文というのは以外に難しいものだということを痛感しました。またやる気があれば、続きを書くかもしれません。

若者と年長者の議論を見て

 一昨日のテレビ番組の話ですが、またNHKが一般パネリストを集めて若者についての討論番組をやっていました。主な議題は年長の世代から見て今の若者はどうしてこんなに元気がないのか、草食系なのかという内容で、案の定というか若者と年長世代とでお互い議論が平行線となることが多かったです。

 私はこの番組を七時半から八時過ぎにうちのお袋が「アンビリバボー」を見るまでほんの少ししか視聴していなかったのですが、見ていてちょっと面白かった議論で、どうして今の若者は定時になるとすぐに家に帰りたがるのか、飲み会などを嫌がるのかという年長世代からの質問に対して若者は、現代は競争が厳しくなって休める時間にしっかり休まなければならない、音楽やテレビといった自分の趣味を優先したいなどと回答があり、これについては年長世代の元銀行員の方も。自分たちの現役時より明らかに現代は忙しくなっているので最初の休みたいという理由には納得していました。

 しかしそれにしたって会社に残って残業をしたり、先輩の教えを請うことだってあってもいいじゃないかとある年長世代の方が言うと、若者側からは今は残業しようにも残業制限が掛けられていたりして、また先輩に教えを請おうとすると、そんな事も分からないのかと怒られたり、追い返されたりすると反論してきました。
 また番組内ではアンケート調査の結果を用いながら以前と比べて現代の若者は出世意欲が少なくなっていると紹介し、若者側は会社に尽くしたり出世したりするよりも個人の趣味を優先したいからだなどと理由を話していましたが、これについては私のほうから細くしておくと、今の時代は出世しても給料はほとんど上がらず、下手すりゃ残業代が加算されなくなって無制限に働かされるようになったり、果てには権限そのままで責任だけがでかくなるのを若者が見ているせいだと思います。実際に私が知っているある会社だと「担当部長」という職位があり、ある部署なんて部長以下全員が担当部長という笑える部署まであります。

 そんなこんだでテーマこそ面白いものの議論にどうも盛り上がりがないなぁと見ていたのですが、この定時で早く帰ろうとする若者の議論の最後の方にて、ある若者がこんなことを逆に年長世代に質問していました。

「逆に、どうして会社に遅くまで残ろうとするのですか?」

 この若者からの思わぬ質問に、呆気に取られたか年長側は一瞬の沈黙の後で一気に笑い出しました。
 結局この質問に対して年長者側からは具体的な回答はありませんでしたが、物は確かに考えてみるもので、若者の側からすると現代の年長者は何かと会社に遅くまで残ろうとするように映るのかもしれません。主にフェミニストなどから一時期、日本の男性は高度経済成長期に仕事にばかりかまけて家庭を省みず、会社にしか居場所がないなどと言っては育児や家族サービスに参加するべきだなどと主張されてましたが、なんかこのやり取りを見て唐突に思い出しました。

2010年5月7日金曜日

普天間基地移設問題の雑感

 多分期待されている方もいるんじゃないかと思うので、今盛り上がっているこの沖縄普天間基地移設問題について私の見方を今日は紹介します。

 そもそもなんで政治系ブログなのにこれまで全くこの問題を取り上げなかったのかというと、私自身がこの沖縄問題とその歴史についてこれまであまり勉強した事がなく、国防にも関わる事から中途半端な知識で書くべき内容ではないと考えていたからです。かといって他に取り上げる話題も充分に勉強しているわけじゃないのですが、大分進展もしてきているのでちょこっと書くくらいなら問題はないかと思って今日は書くことに決めました。

 まず結論から言うと、ここまで民主党の対応が悪いとは私も思いませんでした。この問題の最前線に立っている岡田克也外務大臣が一部の雑誌メディアにはすでに話していますが、岡田外相は当初から現行案であったキャンプ・シュワブへの移設が最も望ましいと考えていたものの鳩山首相が腹案があるからといってこの案は採用されず、では一体どんな腹案なのかと思っていたら初めから鳩山首相は何も持っていなかったそうなのです。私はてっきり今日の鹿児島県徳之島の三人の町長との会談の際にもまた、「腹案があるよ(・∀・)」とでも言うのかと思っていましたが、さすがに事態がここまで来ると初めから実態のなかった「腹案」という言葉も出てこなくなってきたようです。

 そもそもなんで鳩山首相は県外移設にこだわったのかと言えば、突き詰めて言うと私はマニフェストにそう書いてしまったからだと見ております。私自身、というより各種世論調査を見ているとその他大勢の方も初めから民主党のマニフェストには期待しておらず、子供手当てを初めとしてどちらかと言えば実行に反対という意見の方が多かったように思えます。ひとえに民主党が選挙で勝ったのは自民党への不信からで、国民としては旧来の構造から脱却、あとできれば年金などといった社会保障の改革さえしてくれればいいと考えていたとと、去年の衆議院選挙の民主党の大勝を私は分析しました。

 しかし民主党としては、どうも支持率を維持するためにはマニフェストの完遂がどうしても必要と思ったのか、高速道路無料化は小沢氏の鶴の一声で見送りとなったものの、それ以外の政策についてはそれこそ財源の目処もないのに強行に実行しようとする節があります。今回の普天間問題も同じような傾向が見られ、マニフェストに県外移設と書いたという理由だけでどうも推し進めようとしている節があります。
 これは言い換えるなら、なにかほかに必然とさせる理由をもたずに県外移設をしようとしているという風に考える事が出来ます。

 確かに沖縄の基地負担を軽減しようとするという考えなどはあるかもしれませんが、その分どこがかわりに負担できそうなのか、また国防上どこに移設するのがベストなのか、そういった問題決定をする上での哲学は民主党には何もないように思えます。それがゆえに沖縄から近いという理由だけで、今回のように根回しも全くないまま徳之島移設案を唐突に打ち出してきたのでしょう。

 私の友人なんかはこの際だから米軍の完全撤退も視野に入れて議論すべきだと主張していますが、それならそれで現代において領土に対しややいびつな価値観を持つ中国と本気でやりあう覚悟が必要になってきます。
 私としては米軍基地を動かすのは難しいとした上で、沖縄の負担を減らすのに何が一番いいかといえば日米地位協定の更なる改定を求める事だったのではないかと思います。それこそ基地外での犯罪についてはすべて日本国法で裁き、証拠が揃っているのであれば身柄引き渡しは必ず行わなければならないなどとより厳しく定めるなど、こういったところで日米双方の不信を取り除くように動くのがまず先だったのではないかという気がします。

 最後にこの問題で気になっていることとして、日本政治における最大のタブーとされる沖縄利権は今回の騒動で何かしら影響を受けるかどうかです。民主党がこの利権に切り込みを入れようとしているのか、はたまた乗っかろうとしているのか、ちょっと現段階では見えにくいので誰か分かる人がいたらコメントに書いてください。

2010年5月6日木曜日

ネット左翼は何故いないのか?

 もう最近だとあまり言われなくなって死語となりつつありますが、ネット上では「ネット右翼」といって、一般に右系とされる意見や主張を強く主張する集団、もしくは傾向があるとかねてから言われております。

 このネット右翼という言葉が初めて大きく取り上げられたのは今を遡ること六年前の2004年に起きたイラクでの日本人人質事件で、この時人質となった三名の方は最終的には解放されて無事に日本に帰国する事が出来たのですが、この事件の発生当時、外務省が戦争による治安の悪化から渡航禁止を呼びかけていたにもかかわらずわざわざイラクに行って誘拐されたとして、ネット上ではこの三名の方が人質となったのは自業自得だという意見が支配的と言っていいほど主張されていました。
 この時に出た意見というのがこれまた最近めっきり使われなくなった「自己責任論」なのですが、この自己責任という言葉をめくって新聞やテレビといった大メディアの意見とネット上の意見が激しく対立し、大メディア側が、「ネット上には一部、右系の思想が強い集団がいる」と述べたことから、そのようなネット上の右系思想集団の事を「ネット右翼」と呼ぶようになりました。

 折も折で小泉元首相の靖国参拝についてもあれこれ意見が交わされていたことで当時は盛んに議論されていましたが、最近だと何が右で何が左なのか、対立点が分かり辛くなっている事からあまり使われなくなっているように思えます。この辺については私が以前に書いた、「「右翼」、「左翼」という言葉の問題性」に詳しく書いております。

 ただ「ネット右翼」という言葉が使われなくなったとはいえ、今でも右系(とされる)意見や主張をすれば好意的に受け止められ、左系(とされる)意見を言えば叩かれるという傾向はブログなりホームページの運営者ならば多かれ少なかれ認識しているかと思います。私のこの「陽月秘話」なんて小さいものですから反発こそ少ないものの、大きいブログだったらたとえどのような理由だとしても外国人参政権に一言でも賛成と言おうものならば激しく批判されるのは目に見えているでしょう。

 ここで今日の本題ですが、一体何故「ネット右翼」という言葉はあっても「ネット左翼」という言葉はないのでしょうか。仮に現実世界も右系の世論一色であるのならば理解できますが、現実にはネット右翼に激しく糾弾される朝日新聞の熱心な購読者や左翼政党もまだ存在しており、ネット右翼ほど強烈でなくともネット上に左翼的な意見を持つ集団がいてもおかしくはないように思えます。

 考え方はいろいろとありますが、ネット左翼が存在しない理由として私が持っている見識としては、わざわざネットで主張しなくとも他のメディアで誰かが意見を言ってくれるため、だからではないかと見ております。
 今一番ホットな話題でもあるので左翼的だとネット上でよく言われる外国人参政権を例に取ると、産経新聞なんかは割と強く参政権付与に反対という主張を打ち出していますが、それ以外の大新聞だと、「国際化に遅れる」、「優秀な外国人がやってこないなど」と言っては賛成を主張するか、読者の反発を恐れて賛成反対双方の意見を軽く載せて中立を装うかのどちらかです。テレビの意見も大体は同様で、関西の「たかじんのそこまで言って委員会」とかならともかく、全体的には賛成派の知識人らを招いてそっちの方で意見をまとめようとします。

 仮に自分が賛成派の立場であるならば、大メディアの主張が自分の意見と同じだと感じれば大きな安心感を得られて、殊更に自分でも何か主張しようという気は起きなくなります。逆に自分が反対派の立場であるならば、どうして自分の意見を大メディアは取り上げないのか、大メディアは自分の持っている意見や知識を知らないのではないかという風に覚え、何でもいいから主張したり伝えようという風に感じるのではないかと思います。
 またもう少し卑近な例で説明すると、自分が不味いと思う料理を周囲の人も不味いと言うのであればあまり気にしないものの、周りはそれほど不味くないと言うのであればどれだけその料理が不味いのかをやけに熱心に説明しようとはならないでしょうか。

 要はこのような感じで、公の意見とは別の意見を持つ者ほど自分の意見を強く主張したがるため、匿名性の強いネット上にて右系の意見が強くなるのではないかと私は思います。この場合、公の意見というのは多数派とかそういったものではなく、やはりテレビや新聞といった影響力の強い大メディアの意見のことを指しております。大メディアの意見が左系の物が多いかどうかまではわかりませんが、少なくともネット上の意見は大メディアに対して批判的なものが多いというのは間違いない気がします。

 勘のいい人ならもうわかるでしょうが、私はネット右翼と呼ばれる集団は基本的に何か特定の思想に偏った集団ではないと考えております。ただ単にネット上の意見は宿命的に大メディアの意見と対立するものであって、ネット上の人間、もしくはネット人口が多い若者が右系(とされる)思想に偏りつつあるというのは間違いじゃないかという風に思います。

 もう少し話は広げられますが、気絶しそうなほどに頭痛がひどいので今日はここまでです。校正も無理だ……。