2010年5月6日木曜日

ネット左翼は何故いないのか?

 もう最近だとあまり言われなくなって死語となりつつありますが、ネット上では「ネット右翼」といって、一般に右系とされる意見や主張を強く主張する集団、もしくは傾向があるとかねてから言われております。

 このネット右翼という言葉が初めて大きく取り上げられたのは今を遡ること六年前の2004年に起きたイラクでの日本人人質事件で、この時人質となった三名の方は最終的には解放されて無事に日本に帰国する事が出来たのですが、この事件の発生当時、外務省が戦争による治安の悪化から渡航禁止を呼びかけていたにもかかわらずわざわざイラクに行って誘拐されたとして、ネット上ではこの三名の方が人質となったのは自業自得だという意見が支配的と言っていいほど主張されていました。
 この時に出た意見というのがこれまた最近めっきり使われなくなった「自己責任論」なのですが、この自己責任という言葉をめくって新聞やテレビといった大メディアの意見とネット上の意見が激しく対立し、大メディア側が、「ネット上には一部、右系の思想が強い集団がいる」と述べたことから、そのようなネット上の右系思想集団の事を「ネット右翼」と呼ぶようになりました。

 折も折で小泉元首相の靖国参拝についてもあれこれ意見が交わされていたことで当時は盛んに議論されていましたが、最近だと何が右で何が左なのか、対立点が分かり辛くなっている事からあまり使われなくなっているように思えます。この辺については私が以前に書いた、「「右翼」、「左翼」という言葉の問題性」に詳しく書いております。

 ただ「ネット右翼」という言葉が使われなくなったとはいえ、今でも右系(とされる)意見や主張をすれば好意的に受け止められ、左系(とされる)意見を言えば叩かれるという傾向はブログなりホームページの運営者ならば多かれ少なかれ認識しているかと思います。私のこの「陽月秘話」なんて小さいものですから反発こそ少ないものの、大きいブログだったらたとえどのような理由だとしても外国人参政権に一言でも賛成と言おうものならば激しく批判されるのは目に見えているでしょう。

 ここで今日の本題ですが、一体何故「ネット右翼」という言葉はあっても「ネット左翼」という言葉はないのでしょうか。仮に現実世界も右系の世論一色であるのならば理解できますが、現実にはネット右翼に激しく糾弾される朝日新聞の熱心な購読者や左翼政党もまだ存在しており、ネット右翼ほど強烈でなくともネット上に左翼的な意見を持つ集団がいてもおかしくはないように思えます。

 考え方はいろいろとありますが、ネット左翼が存在しない理由として私が持っている見識としては、わざわざネットで主張しなくとも他のメディアで誰かが意見を言ってくれるため、だからではないかと見ております。
 今一番ホットな話題でもあるので左翼的だとネット上でよく言われる外国人参政権を例に取ると、産経新聞なんかは割と強く参政権付与に反対という主張を打ち出していますが、それ以外の大新聞だと、「国際化に遅れる」、「優秀な外国人がやってこないなど」と言っては賛成を主張するか、読者の反発を恐れて賛成反対双方の意見を軽く載せて中立を装うかのどちらかです。テレビの意見も大体は同様で、関西の「たかじんのそこまで言って委員会」とかならともかく、全体的には賛成派の知識人らを招いてそっちの方で意見をまとめようとします。

 仮に自分が賛成派の立場であるならば、大メディアの主張が自分の意見と同じだと感じれば大きな安心感を得られて、殊更に自分でも何か主張しようという気は起きなくなります。逆に自分が反対派の立場であるならば、どうして自分の意見を大メディアは取り上げないのか、大メディアは自分の持っている意見や知識を知らないのではないかという風に覚え、何でもいいから主張したり伝えようという風に感じるのではないかと思います。
 またもう少し卑近な例で説明すると、自分が不味いと思う料理を周囲の人も不味いと言うのであればあまり気にしないものの、周りはそれほど不味くないと言うのであればどれだけその料理が不味いのかをやけに熱心に説明しようとはならないでしょうか。

 要はこのような感じで、公の意見とは別の意見を持つ者ほど自分の意見を強く主張したがるため、匿名性の強いネット上にて右系の意見が強くなるのではないかと私は思います。この場合、公の意見というのは多数派とかそういったものではなく、やはりテレビや新聞といった影響力の強い大メディアの意見のことを指しております。大メディアの意見が左系の物が多いかどうかまではわかりませんが、少なくともネット上の意見は大メディアに対して批判的なものが多いというのは間違いない気がします。

 勘のいい人ならもうわかるでしょうが、私はネット右翼と呼ばれる集団は基本的に何か特定の思想に偏った集団ではないと考えております。ただ単にネット上の意見は宿命的に大メディアの意見と対立するものであって、ネット上の人間、もしくはネット人口が多い若者が右系(とされる)思想に偏りつつあるというのは間違いじゃないかという風に思います。

 もう少し話は広げられますが、気絶しそうなほどに頭痛がひどいので今日はここまでです。校正も無理だ……。

4 件のコメント:

  1. 通りすがりで失礼致します。つい先日、このような記事を見つけましたので、ご参考に。

    http://m.huffpost.com/jp/entry/12383414

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    1.  サイトのご紹介、ありがとうございます。
       津田氏のコメントですが、左翼(と呼ばれる勢力)は新技術に弱いというのはやや発展し過ぎかなという気がします。自分に言わせれば右翼(と呼ばれる勢力)も左翼よりはネットを活用していますがどんぐりの背比べもいいとこで、ネットを通して支持者が増えたなんて話は聞きません。ネットに対する技術以前に、作用は主張する思想なり考え自体がもはやなくなっていることが勢力減退の理由じゃないかというのが私の意見です。

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  2. 繰り返し失礼致します。私も、貴方が仰った意見がそもそもの正解であると思いますが、その延長線上にネットなどを活用しなくなってしまったというWパンチが重って、今に至るというでしょう。要は、理由は一つじゃないということです。

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    1.  再度のコメントありがとうございます。
       度々のご指摘は本当にありがたくこうした意見はどんどんと残してもらいたいのですが、この件については「既存組織のネット活用」は一旦離して考えた方がよいのではとやはり思えます。というのも、「ネット右翼」の最大の特徴は何かと言うと「既存の政党や組織に一切属さずネット上の中だけで過激な主張を繰り返す」という点で、ネット上で活動する(現実社会では対照的に活動しない)点は事実でありますが、既存の組織、この場合は自民党の会合には出ずまた自民党とも歩調を合わせるどころか距離を置いている特徴が見られ、既存政党がどうネットを活用するかはあまり関係ないように思います。
       むしろ逆に、去年いたシールズみたいに若年左翼集団の方がネット上でのPRや活動は激しかったように思えます。しかし彼らが「ネット左翼」と呼ばれないのは現実社会でも活動を繰り返し、そして共産党などの既存政党と一緒にやっていたからで、私の考えでは右翼と左翼の政党がネット上での広報をどうこうした所でネット上「だけ」の勢力には影響しないと思います。
       以上はあくまで私個人の考えで、私の方が間違っていてNishiyama様の意見の方が正しいという可能性もあります。いただいたご指摘は非常に貴重でいい点を突かれていると思うので、今後もほかの記事を含め何か思うところがあれば遠慮なくコメントしていただければ幸いです。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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