・首相の意向で海水注入中断…震災翌日に55分間(読売新聞)
ほぼ先週いっぱい、上記20日のニュースが発端となった一連の報道が政界を大きく騒がせていたかと思います。このニュースは私が確認する限りでは読売が最初に報じたように思えますが、なんかいろいろネットを見ているとTBSが最初にやったともいう話もあるようで、さすがに細かい確認まで出来ないのでひとまず読売が活字メディアで第一報を告げたという前提で話を進めさせていただきます。
ニュース内容を簡単に説明すると東日本大震災翌日の3月12日、事故を起こした福島原発への海水注入作業中に管首相が再臨界の可能性を懸念したことから55分間、注入が中断されたと報じられました。このニュースが発端となって本来適切な作業であった海水注入を中断して事態を余計に悪化させたとして自民党を始めとした野党は政府の糾弾を始めたのですが、率直に言って私はこのニュースを見た時に「火中の栗」と考え、多分自民は余計に騒いで罰が悪くなるのではと考えました。
私がこのニュースを見て最初に疑ったのは、本当に海水注入中断があったのかということです。そりゃ確かにあの状況で中断していれば大きく叩かれることは目に見えているために中断してれば政府や東電は隠そうとするでしょうが、仮に隠そうとしても実際に隠し切れるかという点で疑問を感じました。仮に中断されていればそれこそ実際に注入作業をした人たちはそれを目にするわけですから下手すりゃ当日、遅くとも数日間内にこの中断の事実は報じられているはずで、どうして二ヶ月以上もたった今になってこの事実が突然出てきたのかという点で怪しいと感じました
その上で真偽を強く疑わせたもう一点は、管首相が再臨界を懸念して中断を指示したという点です。こういっては何ですが私には管首相が状況に応じて即断できるほど決断力があるようには思えず、すでに実施されている作業を途中で止めるなんてことはまずしない、というかできないだろうと思いました。仮にそうだとしても東電側からの強烈なミスリードを受けてでしか考えられませんし、そもそも当時は政府側が早期の海水注入を東電に要請したところ東電側が渋っていたという報道を以前に聞いているだけにつじつまが合わないように思いました。
その上でこの記事の信憑性を強く疑ったのか、どうも全体的に根拠がかけている点です。先ほど書いたように本当に中断がされていたのであれば現場の作業員らからの証言があると思うのに記事中にはこれが全く触れられておらず、また情報ソースも「政府関係者から」とだけしか書かれておらず、どうも出処が怪しいように感じました。注入中断だけの事実だけであれば「政府関係者」でもわかるでしょうがそれが管首相の意向によるものかどうかとなるとそれこそ大臣クラスや東電の幹部でなければわからないように思え、そのような人間がわざわざ自分たちに不利となるような情報を明かすとは思えません。
極め付けが、この記事を書いたのが読売新聞だからです。読売新聞は自民党寄りのスタンスを取っていることは明々白々で、なおかつ原発についても推進派の立場から震災以後も社説などで管理を強くした上で増設するべきという主張を産経とともに繰り返しております。
その読売が原発行政において不利となるようなこのようなニュースをどうして流すのかと考えると、やはり主目的は民主党の管政権を叩くためにあることは間違いありません。逆を言えば管政権を叩くためになりふり構わない報道をしてくると言われていただけに、この記事を見た時にはこれもその一種かと私は思ったわけです。現実にこれまで妙な批判の仕方をしていましたし。
そんなわけで、ただでさえネタに困っていただけに普通であればこのようなニュースはこのブログで取り上げるのですが、この記事については信憑性が怪しいことから敢えて静観する立場をとりました。すると予想通りというかこの記事が出た翌日には管首相に再臨界の懸念を主張したとされる原子力安全委員会の斑目委員長が「そのような意味で言ったのではないし、中断を進言したつもりはない」と反応したのを皮切りに、管首相周辺もそのような指示はしていないと言った、言わないで事実関係が紛糾しました。その後も当時の状況についても報道が二転三転するようになり、細かく書いても仕方ありませんが大まかな流れで書くと、
1、政府の了承の元で海水注入が始まったのを政府が途中で止めた
2、実は東電側が政府に何も伝えないまま海水注入を始めており、管首相が懸念したのを見て東電側が中断させた
3、実は中断の指示が来てたけど、現場の吉田所長の判断で続けられていた
という具合で、結局のところ最初の発端となった海水注入中断という事実自体がなかったというのが真相でした。自分は最初からこの一連の報道は怪しいとは思ってはいたもののここまでどんでん返しが起こるとまでは予想せず、自民党の大島幹事長なんか、「止めたのは菅直人首相だ。その結果、こんな大きな災害になったならば辞任するのが当然だ」とまで言い切っちゃってて、なんていうかもう少し事実関係確かめようとはしなかったのかと思います。読売だけに。
結果的にこの報道のおかげで政界は約一週間にもわたって無用な議論を繰り返したことになります。ただ一つ、本当に海水注入中断があったかどうかを確認しさえすればよかったと考えると、実に余計な騒動を引き起こしてくれたものだなと感じます。
最後にこの記事について、自分がデスクなら絶対にこんな根拠のはっきりしない記事は載せません。ただでさえ近頃の読売は原発や大連立関係になると妙な記事やはっきりしない報道を繰り返しており、管政権をよく批判していますが読売の方こそ私は近頃ガバナンス能力が欠けているのではないかと疑っています。私は何も読売が嫌いと言うわけじゃありませんしそのスタンスは悪くはないと思いますが、最近の記事はちょっと目に余るものが多いのでこうしてわざわざ記事にまとめました。
蛇足ですが、多分来週以降は読売はこの件についてわざと触れないようにするのではないでしょうか。
ここは日々のニュースや事件に対して、解説なり私の意見を紹介するブログです。主に扱うのは政治ニュースや社会問題などで、私の意見に対して思うことがあれば、コメント欄にそれを残していただければ幸いです。
2011年5月29日日曜日
飛ばないボールと今年のプロ野球
現在中国にいるせいでなかなか一試合ごとの内容を楽しむことが出来ませんが、日本のプロ野球の話です。
現在セパ交流戦が開催されていますが例年の如くパリーグのチームがセリーグチームに圧勝している構図は変わらないまでも、どうもニュースを見ていると去年と今年で各チームの試合内容が大きく変化しているように思えます。具体的に何が変化しているのかと言うと投手と打者の成績で、投手防御率はトップは1点台がずらりと並ぶほど好調な一方で打者は打率が3割に達する選手はほとんどおらず、それどころか往年の名打者たちが不振に苦しむことが多くなっております。代表的な選手を挙げると巨人の小笠原選手、阪神の城島選手などで、まだ開幕してそれほど時間が経っていないもののホームランを量産する長距離打者ほど目に見えて成績が下降しているように思えます。
一体何故このようなことになっているのか、結論を言えば私はやはり今年から導入された統一球こと「飛ばないボール」が影響しているように思えます。日本のプロ野球界ではこれまで各球団ごとに反発係数の異なるボールをそれぞれ勝手に使っていたのですが。WBCなど国際対抗戦が増えてきたことを受けて米国でも使用されているボールの仕様に今年から統一することになりました。
その結果これまでより打っても飛ばないボールになり、長距離打者の多い巨人を筆頭に開幕したらどうなることやらとささやかれていましたが、案の定というか開幕前に有力視されていたチームほど苦しみ、逆に注目されてなかったヤクルトが現在セリーグで首位となるなど見事な番狂わせが起こっております。
・飛ばないボール「低反発球」でプロ野球はどう変わる?(週プレニュース)
リンクに貼ったニュースは3月22日のニュース記事ですが、このニュースの中で野球解説者の大塚光二氏のコメントとして以下のような内容が引用されております。
「セなら中日、パなら日本ハムが最も有利でしょうね。言うまでもなく、ともに打線のつながりで勝つスタイルが定着したチーム。また、昨年リーグ最多の148盗塁を記録したソフトバンクも力を発揮するでしょう」
またこのコメントを受けこの記事を書いた記者も、
「また、本塁打が減るということは、「投手有利」ということ。岩隈、田中将の両エースを抱える楽天や、前田健太を有する広島が浮上する一方で、巨人や西武のような大砲揃いのチームが苦戦するかもしれない。その結果、僅差の試合も増え、最終回まで緊張感が持続するだろう。」
開幕前ながら見事なまでの予想というべきか、両者が言うように打線のつながりを重視する小技が強いチームが確かに現在上位についております。ヤクルトなんか典型的ですし、日ハムやソフトバンクなんか交流戦入ってからも調子がいいままです。逆に巨人、西武、阪神などと去年まで強打で鳴らしたチームは前評判と比べて低い順位に喘いでいます。楽天については岩隈選手、田中選手という球界屈指のエースピッチャー二人がいるのに弱いのは監督のせいのように思えますが。
さらに今日ちょっと個人成績をいくつか見てましたが、やはりホームランバッターが低い打率に苦しんでいる傾向が強いです。意外と言っては可哀想ですが選手層の割には健闘している広島カープも去年の主軸を担った梵選手の打率は未だ二割台前半で、好調を保っているホームランバッターと言ったら巨人のラミレス選手くらいしかいないように思えます。逆に元から安打の多かったヤクルトの青木選手は好調を維持しており、さすがと言うところです。
またこのほかにも、どうも成績が急落する選手はパリーグよりセリーグの方が多いような気がします。パリーグは去年も打っていた選手は今年もよく打ってますし、比較的ボールへの対応を見せております。
その中でも一際目を引くのは今年横浜ベイスターズからソフトバンクホークスに移籍してきた内川選手です。目下打率はパリーグ一の三割後半という恐ろしい成績もさることながら、通常セリーグからパリーグへ移った打者は成績が下降しやすいのに(その逆は上がりやすい)、並みいるエースピッチャーを相手に変わらぬアベレージヒッターぶりを見せています。
前回WBC決勝戦ではイチロー選手の勝ち越し安打がよく取り上げられることが多いですが、私個人的にあの試合の最大の見せ場はレフトに飛んできたボールを内川選手が見事なグラブ捌きでワンバウンドキャッチして返球するシーンで、あの日から内川選手のファンとなりましたが自分が贔屓するソフトバンクで活躍していてうれしい限りです。折角だから統一球になっても比較的成績を保っている村田選手も来年来てくれればいいのに(´∀`*)ウフフ
現在セパ交流戦が開催されていますが例年の如くパリーグのチームがセリーグチームに圧勝している構図は変わらないまでも、どうもニュースを見ていると去年と今年で各チームの試合内容が大きく変化しているように思えます。具体的に何が変化しているのかと言うと投手と打者の成績で、投手防御率はトップは1点台がずらりと並ぶほど好調な一方で打者は打率が3割に達する選手はほとんどおらず、それどころか往年の名打者たちが不振に苦しむことが多くなっております。代表的な選手を挙げると巨人の小笠原選手、阪神の城島選手などで、まだ開幕してそれほど時間が経っていないもののホームランを量産する長距離打者ほど目に見えて成績が下降しているように思えます。
一体何故このようなことになっているのか、結論を言えば私はやはり今年から導入された統一球こと「飛ばないボール」が影響しているように思えます。日本のプロ野球界ではこれまで各球団ごとに反発係数の異なるボールをそれぞれ勝手に使っていたのですが。WBCなど国際対抗戦が増えてきたことを受けて米国でも使用されているボールの仕様に今年から統一することになりました。
その結果これまでより打っても飛ばないボールになり、長距離打者の多い巨人を筆頭に開幕したらどうなることやらとささやかれていましたが、案の定というか開幕前に有力視されていたチームほど苦しみ、逆に注目されてなかったヤクルトが現在セリーグで首位となるなど見事な番狂わせが起こっております。
・飛ばないボール「低反発球」でプロ野球はどう変わる?(週プレニュース)
リンクに貼ったニュースは3月22日のニュース記事ですが、このニュースの中で野球解説者の大塚光二氏のコメントとして以下のような内容が引用されております。
「セなら中日、パなら日本ハムが最も有利でしょうね。言うまでもなく、ともに打線のつながりで勝つスタイルが定着したチーム。また、昨年リーグ最多の148盗塁を記録したソフトバンクも力を発揮するでしょう」
またこのコメントを受けこの記事を書いた記者も、
「また、本塁打が減るということは、「投手有利」ということ。岩隈、田中将の両エースを抱える楽天や、前田健太を有する広島が浮上する一方で、巨人や西武のような大砲揃いのチームが苦戦するかもしれない。その結果、僅差の試合も増え、最終回まで緊張感が持続するだろう。」
開幕前ながら見事なまでの予想というべきか、両者が言うように打線のつながりを重視する小技が強いチームが確かに現在上位についております。ヤクルトなんか典型的ですし、日ハムやソフトバンクなんか交流戦入ってからも調子がいいままです。逆に巨人、西武、阪神などと去年まで強打で鳴らしたチームは前評判と比べて低い順位に喘いでいます。楽天については岩隈選手、田中選手という球界屈指のエースピッチャー二人がいるのに弱いのは監督のせいのように思えますが。
さらに今日ちょっと個人成績をいくつか見てましたが、やはりホームランバッターが低い打率に苦しんでいる傾向が強いです。意外と言っては可哀想ですが選手層の割には健闘している広島カープも去年の主軸を担った梵選手の打率は未だ二割台前半で、好調を保っているホームランバッターと言ったら巨人のラミレス選手くらいしかいないように思えます。逆に元から安打の多かったヤクルトの青木選手は好調を維持しており、さすがと言うところです。
またこのほかにも、どうも成績が急落する選手はパリーグよりセリーグの方が多いような気がします。パリーグは去年も打っていた選手は今年もよく打ってますし、比較的ボールへの対応を見せております。
その中でも一際目を引くのは今年横浜ベイスターズからソフトバンクホークスに移籍してきた内川選手です。目下打率はパリーグ一の三割後半という恐ろしい成績もさることながら、通常セリーグからパリーグへ移った打者は成績が下降しやすいのに(その逆は上がりやすい)、並みいるエースピッチャーを相手に変わらぬアベレージヒッターぶりを見せています。
前回WBC決勝戦ではイチロー選手の勝ち越し安打がよく取り上げられることが多いですが、私個人的にあの試合の最大の見せ場はレフトに飛んできたボールを内川選手が見事なグラブ捌きでワンバウンドキャッチして返球するシーンで、あの日から内川選手のファンとなりましたが自分が贔屓するソフトバンクで活躍していてうれしい限りです。折角だから統一球になっても比較的成績を保っている村田選手も来年来てくれればいいのに(´∀`*)ウフフ
2011年5月28日土曜日
産業ガス販売カルテルと高圧ガス業界
・産業ガス販売でカルテル認定 4社に課徴金141億円(朝日新聞)
このニュース自体は一昨日に出ていて本当なら昨日のうちに片付けてしまいたかったのですが、昨日は私の部屋で突然ネットが仕えなくなってしまってそれも叶いませんでした。部屋の管理業者の人に見てもらって今朝修復したけど、何が理由だったんだろうか。
それでニュースの内容ですが、リンク先を見てもらえばわかるとおりに産業ガスメーカー4社が2007年頃から直接会合を以って価格を調整するカルテルを結んでたことがばれて、公正取引委員会に総額約141億円の課徴金を課されたそうです。この産業ガスメーカーのカルテル自体は実は2009年の段階で取り沙汰されており、当時はリーマンショック後の大引けによる価格下落を防ぐためあちこちの業界で結ばれたのか、景気が悪いのでカルテルを取り締まっても経済に大きく影響しないと当局が判断したのかはわかりませんが世界各国でこのような取締りが相次ぎました。
もともとこのようなカルテル系のニュースは大メディアはスポンサーの関係からあまり取り上げようとしない傾向があるので、以前の陽月秘話では縛りがないのだからと積極的に取り上げていて今でもどのようなカルテルがあったのか多少なら覚えています。ただそうして取り上げた中に、実はこの産業ガスカルテルについては私は知ってて敢えて取り上げませんでした。
理由を話すとなかなか情けない限りなのですが、実は当時日本で私が在籍していた会社というのはここで取り上げられているガスメーカー四社からガスを購入して卸すガスディーラーだったからです。人物が特定されるはずはないだろうし会社にばれてもだからなんだという風には考えていましたが、万一私の行動で当時在籍していた会社が影響を受けることとなってはよくないと考え、大人の事情でこのカルテルについては手を触れませんでした。
内心ではカルテルを結んでいたガスメーカーに対して自分らディーラーに高い値段をふっかけやがってという腹立たしい気持ちがあり取り上げたいのも山々でしたが、その勤めていた会社には本当にお世話になっており、軽はずみな行動で迷惑をかけるようなことはしてはならないと自重する気持ちが勝りました。
すでに何度も書いている通りにお世話になったといいながらも私は去年にその在籍していた会社を辞めて中国へ転職にきましたが、今でもその会社への感謝の気持ちは一日たりとも忘れてはいません。実際に辞めるかどうか当時非常に悩みましたが、こうして海外へ転職できるのも若いうちだけだという年齢の壁と、恩を返すことは未来にも出来ると踏ん切りをつけたのが決め手となりました。
奇しくも私が退職した日は新入社員の頃から、下手すれば面接の時から明らかに私を取り立ててくれた役員の方の退社日と重なりました。私が退職の意思を伝えた際にはその役員の方にもわざわざ引き止めてもらい、今でもその時のことを思うとあの時の決断は正しかったのかと悩むのと同時に非常に心が痛みます。
人間、心ならずも折角知り合った人間と別れなければならない場面が人生には数多くあると思います。その別れる理由も引越しなどの物理的な理由による別れから、喧嘩や考えの相違などといった不和による別れもあるでしょう。ただどの別れにも別れ方というような最低限の礼儀という作法が存在するように思え、過去の事例を引用すれば諸葛亮が尊敬していた楽毅の例でもあるように、別れる際には余計な怨恨などを互いに残さぬようにして別れる必要があると思います。自分はお世話になったその会社へはそのように別れられたのか、未だ納得する結論は出ません。
このニュース自体は一昨日に出ていて本当なら昨日のうちに片付けてしまいたかったのですが、昨日は私の部屋で突然ネットが仕えなくなってしまってそれも叶いませんでした。部屋の管理業者の人に見てもらって今朝修復したけど、何が理由だったんだろうか。
それでニュースの内容ですが、リンク先を見てもらえばわかるとおりに産業ガスメーカー4社が2007年頃から直接会合を以って価格を調整するカルテルを結んでたことがばれて、公正取引委員会に総額約141億円の課徴金を課されたそうです。この産業ガスメーカーのカルテル自体は実は2009年の段階で取り沙汰されており、当時はリーマンショック後の大引けによる価格下落を防ぐためあちこちの業界で結ばれたのか、景気が悪いのでカルテルを取り締まっても経済に大きく影響しないと当局が判断したのかはわかりませんが世界各国でこのような取締りが相次ぎました。
もともとこのようなカルテル系のニュースは大メディアはスポンサーの関係からあまり取り上げようとしない傾向があるので、以前の陽月秘話では縛りがないのだからと積極的に取り上げていて今でもどのようなカルテルがあったのか多少なら覚えています。ただそうして取り上げた中に、実はこの産業ガスカルテルについては私は知ってて敢えて取り上げませんでした。
理由を話すとなかなか情けない限りなのですが、実は当時日本で私が在籍していた会社というのはここで取り上げられているガスメーカー四社からガスを購入して卸すガスディーラーだったからです。人物が特定されるはずはないだろうし会社にばれてもだからなんだという風には考えていましたが、万一私の行動で当時在籍していた会社が影響を受けることとなってはよくないと考え、大人の事情でこのカルテルについては手を触れませんでした。
内心ではカルテルを結んでいたガスメーカーに対して自分らディーラーに高い値段をふっかけやがってという腹立たしい気持ちがあり取り上げたいのも山々でしたが、その勤めていた会社には本当にお世話になっており、軽はずみな行動で迷惑をかけるようなことはしてはならないと自重する気持ちが勝りました。
すでに何度も書いている通りにお世話になったといいながらも私は去年にその在籍していた会社を辞めて中国へ転職にきましたが、今でもその会社への感謝の気持ちは一日たりとも忘れてはいません。実際に辞めるかどうか当時非常に悩みましたが、こうして海外へ転職できるのも若いうちだけだという年齢の壁と、恩を返すことは未来にも出来ると踏ん切りをつけたのが決め手となりました。
奇しくも私が退職した日は新入社員の頃から、下手すれば面接の時から明らかに私を取り立ててくれた役員の方の退社日と重なりました。私が退職の意思を伝えた際にはその役員の方にもわざわざ引き止めてもらい、今でもその時のことを思うとあの時の決断は正しかったのかと悩むのと同時に非常に心が痛みます。
人間、心ならずも折角知り合った人間と別れなければならない場面が人生には数多くあると思います。その別れる理由も引越しなどの物理的な理由による別れから、喧嘩や考えの相違などといった不和による別れもあるでしょう。ただどの別れにも別れ方というような最低限の礼儀という作法が存在するように思え、過去の事例を引用すれば諸葛亮が尊敬していた楽毅の例でもあるように、別れる際には余計な怨恨などを互いに残さぬようにして別れる必要があると思います。自分はお世話になったその会社へはそのように別れられたのか、未だ納得する結論は出ません。
2011年5月26日木曜日
今日のニュースについて
最近社会関係の記事を書こうとしても全くニュースがなくて困っていましたが、今日は気になるニュースが二つもあったので早速取り上げたいと思います。
・新潮社に賠償命令 部数水増し訴訟「真実相当性なし」(産経新聞)
以前の陽月秘話でも取り上げていた新聞社の押紙の問題です。押紙というのは新聞社が新聞を印刷、販売する新聞店に対して実際の講読者数より余計に増刷させて無理矢理買い取らせる慣習のことですが、これのどこが悪いのかと言うとまず新聞店は新聞社に対して売れるはずのない新聞を無理矢理刷らされただけ余計な費用を払わなければなりません。断ればもう印刷させてもらえないし。
これだけでも新聞点側としては小銭が入ってきますが、それ以上に大きいのは広告費の問題です。というのも広告費というのは「どれだけの人間に対して見られているか」というのが価格を決めるため、新聞や雑誌では購読者数や発行部数が大きな指標となります。そのため部数が多ければ多いほど新聞社は広告費を多く取れるため、売られることはなく刷られた後にすぐ捨てられる押紙でも環境を気にせず無駄に刷って部数を大きく見せようとするわけです。
それで今日のこのニュースですが、なんでも週刊新潮でこの押紙を取り上げて、「読売新聞の公称部数約1千万部のうち、30~40%が実際は販売店から読者に販売されず処理されていると指摘」したところ、逆に読売に訴えられて賠償金の支払い命令が新潮社に出されたそうです。実際の週刊新潮の記事を見ていないのではっきりとは言い切れず、新潮は以前にも偽の赤報隊事件犯人を仕立てたこともあるので会社としてあまり信用しておりませんが、きちんと証拠を押さえられなかったんだろうなと私は思いました。
押紙についてははっきり断言しても言いますが確実に存在します。新潮はその量は全発行部数の30~40%と言っているようですが私の感覚でもそのくらいです。というのも昔は本気で50%近くが押紙だったそうでしたが、世間の目が厳しくなったのと新聞店側から猛抗議を受けるなどして徐々に減っていたと聞いており、現状であちこちから話を聞くとやはりこの30~40%という数値を上げる人が多いからです。
何を根拠にそんなことを言い切れるんだと思われるかもしれませんが、これについては私は一切譲るつもりはありません。というのもうちのお袋が実際に新聞店で働いててこの押紙の問題を始めとして新聞拡張員、販売促進費といったブラック企業も真っ青な新聞社の実態について直接見聞きしているからです。多分この辺だったら下手な新聞社員より詳しいと思います。
そういうわけで今回新潮社に言いたいことは、去年朝日新聞が検察の証拠捏造事件を暴いたようにぐぅの音も出せないような証拠を頑張って揃えて記事にしてほしいということです。むしろ新潮にとどまらず、文春から現代まで雑誌メディアはスクラム組んでこの問題をしっかりと追及したほうがいいでしょう。新聞店取材すりゃすぐ出てきそうなんだし。
・「虚偽証言強要」選挙違反事件で有権者 埼玉県警は反論(朝日新聞)
このニュースを見た時の私の最初の感想は、「第二の志布志事件だ」ということでした。
志布志事件を説明するより今回のこの埼玉の事件を説明したほうが早いのでこっちのニュースを先に解説しますが、今年行われた埼玉県深谷市議選にて有権者を飲食にて接待したとして市議二人が公職選挙法違反で埼玉県警に逮捕されたところ、この市議二人から無料にて接待を受けたとした有権者らが「飲食費は払った」と証言して反論していると報じられています。確かに選挙期間中に候補が無料にて飲食を振舞えば公職選挙法違反になりますが、今回反論している有権者が言うようにまともな額の会費をきちんと支払っていれば何も問題ありません。
今回私が問題視しているのは事の真偽以上に警察の捜査の仕方です。志布志事件という悪例がありなおかつ去年には検察が厚生労働省の村木さんの事件で証拠を偽造するという前代未聞の不祥事を起こしていながらも、またも自白を強要する、自白を唯一の証拠として頼る捜査をしていることです。現時点でここまで書くのは急ぎ過ぎな気もしますが、警察のこのような無茶な捜査ぶりと、別の報道では当日の会費支払いを家計簿に記入している有権者もいると報じられていることから、この事件は冤罪の線が高いと見ております。鹿児島で起きた志布志事件と全く構図が似ているのもありますし。
最後に、現在ある大きなニュースが連日連夜報じられておりますが敢えて私は無視して取り上げていません。理由は発端となった記事からして背景に曖昧さを強く感じさせられる内容で、思った通りにその後の報道が二転三転していて結論や構図がはっきりしてから取り上げたほうがいいだろうと考えたからです。
なおその発端となる記事を書いたのは読売ですが、このところの読売の記事はそれに限らず怪しいものばかりです。元々怪しい産経はおいといてこの読売の迷走ぶりは目に余り、今騒がせているニュースが落ち着いたらまとめて書き上げます。
逆に、今私の中で急激に株を上げているのは朝日新聞です。今日取り上げた志布志事件も朝日が大きく取り上げたことで日の目を浴びた事件であり、系列テレビ局の朝日放送はニュース内容が一番まとまってて日本にいた頃は指定チャンネルにしていました。その上、なんといっても凄まじかったのはちょっと太鼓叩き過ぎな気もしますが、これも今日取り上げた去年の検察の証拠偽造事件で、多分裁判を追ってれば誰でも気がついた可能性のある糸口を丹念に調査して一撃で検察を降伏させたのは壮絶そのものでした。高校時代までは一番嫌いな新聞で、悪口言い過ぎて今度名古屋に栄転する親父にまで「もう許したってや」とまで言われたのに人間変わるものだ。
・新潮社に賠償命令 部数水増し訴訟「真実相当性なし」(産経新聞)
以前の陽月秘話でも取り上げていた新聞社の押紙の問題です。押紙というのは新聞社が新聞を印刷、販売する新聞店に対して実際の講読者数より余計に増刷させて無理矢理買い取らせる慣習のことですが、これのどこが悪いのかと言うとまず新聞店は新聞社に対して売れるはずのない新聞を無理矢理刷らされただけ余計な費用を払わなければなりません。断ればもう印刷させてもらえないし。
これだけでも新聞点側としては小銭が入ってきますが、それ以上に大きいのは広告費の問題です。というのも広告費というのは「どれだけの人間に対して見られているか」というのが価格を決めるため、新聞や雑誌では購読者数や発行部数が大きな指標となります。そのため部数が多ければ多いほど新聞社は広告費を多く取れるため、売られることはなく刷られた後にすぐ捨てられる押紙でも環境を気にせず無駄に刷って部数を大きく見せようとするわけです。
それで今日のこのニュースですが、なんでも週刊新潮でこの押紙を取り上げて、「読売新聞の公称部数約1千万部のうち、30~40%が実際は販売店から読者に販売されず処理されていると指摘」したところ、逆に読売に訴えられて賠償金の支払い命令が新潮社に出されたそうです。実際の週刊新潮の記事を見ていないのではっきりとは言い切れず、新潮は以前にも偽の赤報隊事件犯人を仕立てたこともあるので会社としてあまり信用しておりませんが、きちんと証拠を押さえられなかったんだろうなと私は思いました。
押紙についてははっきり断言しても言いますが確実に存在します。新潮はその量は全発行部数の30~40%と言っているようですが私の感覚でもそのくらいです。というのも昔は本気で50%近くが押紙だったそうでしたが、世間の目が厳しくなったのと新聞店側から猛抗議を受けるなどして徐々に減っていたと聞いており、現状であちこちから話を聞くとやはりこの30~40%という数値を上げる人が多いからです。
何を根拠にそんなことを言い切れるんだと思われるかもしれませんが、これについては私は一切譲るつもりはありません。というのもうちのお袋が実際に新聞店で働いててこの押紙の問題を始めとして新聞拡張員、販売促進費といったブラック企業も真っ青な新聞社の実態について直接見聞きしているからです。多分この辺だったら下手な新聞社員より詳しいと思います。
そういうわけで今回新潮社に言いたいことは、去年朝日新聞が検察の証拠捏造事件を暴いたようにぐぅの音も出せないような証拠を頑張って揃えて記事にしてほしいということです。むしろ新潮にとどまらず、文春から現代まで雑誌メディアはスクラム組んでこの問題をしっかりと追及したほうがいいでしょう。新聞店取材すりゃすぐ出てきそうなんだし。
・「虚偽証言強要」選挙違反事件で有権者 埼玉県警は反論(朝日新聞)
このニュースを見た時の私の最初の感想は、「第二の志布志事件だ」ということでした。
志布志事件を説明するより今回のこの埼玉の事件を説明したほうが早いのでこっちのニュースを先に解説しますが、今年行われた埼玉県深谷市議選にて有権者を飲食にて接待したとして市議二人が公職選挙法違反で埼玉県警に逮捕されたところ、この市議二人から無料にて接待を受けたとした有権者らが「飲食費は払った」と証言して反論していると報じられています。確かに選挙期間中に候補が無料にて飲食を振舞えば公職選挙法違反になりますが、今回反論している有権者が言うようにまともな額の会費をきちんと支払っていれば何も問題ありません。
今回私が問題視しているのは事の真偽以上に警察の捜査の仕方です。志布志事件という悪例がありなおかつ去年には検察が厚生労働省の村木さんの事件で証拠を偽造するという前代未聞の不祥事を起こしていながらも、またも自白を強要する、自白を唯一の証拠として頼る捜査をしていることです。現時点でここまで書くのは急ぎ過ぎな気もしますが、警察のこのような無茶な捜査ぶりと、別の報道では当日の会費支払いを家計簿に記入している有権者もいると報じられていることから、この事件は冤罪の線が高いと見ております。鹿児島で起きた志布志事件と全く構図が似ているのもありますし。
最後に、現在ある大きなニュースが連日連夜報じられておりますが敢えて私は無視して取り上げていません。理由は発端となった記事からして背景に曖昧さを強く感じさせられる内容で、思った通りにその後の報道が二転三転していて結論や構図がはっきりしてから取り上げたほうがいいだろうと考えたからです。
なおその発端となる記事を書いたのは読売ですが、このところの読売の記事はそれに限らず怪しいものばかりです。元々怪しい産経はおいといてこの読売の迷走ぶりは目に余り、今騒がせているニュースが落ち着いたらまとめて書き上げます。
逆に、今私の中で急激に株を上げているのは朝日新聞です。今日取り上げた志布志事件も朝日が大きく取り上げたことで日の目を浴びた事件であり、系列テレビ局の朝日放送はニュース内容が一番まとまってて日本にいた頃は指定チャンネルにしていました。その上、なんといっても凄まじかったのはちょっと太鼓叩き過ぎな気もしますが、これも今日取り上げた去年の検察の証拠偽造事件で、多分裁判を追ってれば誰でも気がついた可能性のある糸口を丹念に調査して一撃で検察を降伏させたのは壮絶そのものでした。高校時代までは一番嫌いな新聞で、悪口言い過ぎて今度名古屋に栄転する親父にまで「もう許したってや」とまで言われたのに人間変わるものだ。
2011年5月25日水曜日
ゲームレビュー「428」
最近語尾に「あの地球人のように……」をつけると何でも面白くなることに気がつき、スカイプで話す際に多用するようになりました。元ネタはドラゴンボールですが、同年代の友人はちゃんとわかってくれました。
先日親父が上海に遊びに来た際に、PSPソフトの「428」(チュンソフト)を持ってきてもらいました。このゲームは一部では伝説扱いされている「街」というゲームと同じシステムを持っていることから発売前には話題になり、私の友人も早々に手に入れて遊んでおりました。「428」と「街」はサウンドノベルというジャンルに属するアドベンチャーゲームで、どちらも現代の渋谷を舞台に複数の人間の話を同時並行で進めていくシステムこそ共通しているものの、ストーリー本体には関連はありません。
まず先に「街」について話すと、このゲームについては当時子供だった私も大いにハマって、プレイ当時はリアルに姉と奪い合いになりました。ある日なんかたまたま帰りの電車で鉢合わせちゃって、自転車を漕ぐ速度の差で私が先行を握った程でした。
具体的にこの「街」のどこがよかったのかと言うと、実際にプレイしてみないとわかり辛いのですがアドベンチャーゲームとしては現時点で最高峰とも言える革新的なシステムに加えて盛り込まれたストーリーも趣深く、なおかつゲーム内の登場キャラクターを演じた俳優らがどれもキャラが立っていたことなどが挙げられます。この「街」に出演した俳優らはその後有名になった人間もいくつか出ており、あの窪塚洋介氏もヨースケという古い芸名で脇役ではありますが出演してます。
それで本日の本題の「428」についてですが、現時点ではメインシナリオを終えた段階でサブシナリオはまだ未プレイですが、結論から言うと確かに見事な出来ではあるもののとうとう「街」は超えられなかったというのが私の感想です。「街」の発売年は1998年で、「428」はちょうど十年後の2008年であることからゲームにおける表現技術などは格段に改善されたことを推しても、先にやってた友人が「期待すんなよ」と言ってた通りの結果となりました。
具体的に不満というか気になった点を挙げると、プレイしていて「余計だなぁ」と思う演出がちらほら見られたことがまず挙げられます。なんていうか、しつこいというかやらなくてもいいだろと突っ込みたくなるような画面効果などが多く、年寄りくさいですがアドベンチャーゲームなんだからもっとシンプルに作って欲しかったです。
次に、個人的にこれが一番でかいのですがキャラクターに全く感情移入が出来ませんでした。「街」では八人の主人公がそれぞれ癖があってどれもこれもゲームをしていて応援したくなるようなキャラクターたちばかりだったのに対し、今度の「428」では一応キャラ付けはされてはいるものの、刑事の加納というキャラクターを除いて最後までどれも好きにはなれませんでした。御法川というキャラに至っては最初から最後まで嫌いだったし、脇役も見ていてイライラするのばかりだったし。
とはいえ、メインシナリオとそれを形作る選択肢の内容は秀逸そのものでさすがはチュンソフトと思わせられました。まぁ「街」を越えろといってもあまりの完成度の高さからそうそうできるものじゃないんだし、高望みしてもしょうがないとは思いつつも、やや残念さが残るゲームでした。
さて、今度は「テイルズオブエターニア」に取り掛からないと……。
先日親父が上海に遊びに来た際に、PSPソフトの「428」(チュンソフト)を持ってきてもらいました。このゲームは一部では伝説扱いされている「街」というゲームと同じシステムを持っていることから発売前には話題になり、私の友人も早々に手に入れて遊んでおりました。「428」と「街」はサウンドノベルというジャンルに属するアドベンチャーゲームで、どちらも現代の渋谷を舞台に複数の人間の話を同時並行で進めていくシステムこそ共通しているものの、ストーリー本体には関連はありません。
まず先に「街」について話すと、このゲームについては当時子供だった私も大いにハマって、プレイ当時はリアルに姉と奪い合いになりました。ある日なんかたまたま帰りの電車で鉢合わせちゃって、自転車を漕ぐ速度の差で私が先行を握った程でした。
具体的にこの「街」のどこがよかったのかと言うと、実際にプレイしてみないとわかり辛いのですがアドベンチャーゲームとしては現時点で最高峰とも言える革新的なシステムに加えて盛り込まれたストーリーも趣深く、なおかつゲーム内の登場キャラクターを演じた俳優らがどれもキャラが立っていたことなどが挙げられます。この「街」に出演した俳優らはその後有名になった人間もいくつか出ており、あの窪塚洋介氏もヨースケという古い芸名で脇役ではありますが出演してます。
それで本日の本題の「428」についてですが、現時点ではメインシナリオを終えた段階でサブシナリオはまだ未プレイですが、結論から言うと確かに見事な出来ではあるもののとうとう「街」は超えられなかったというのが私の感想です。「街」の発売年は1998年で、「428」はちょうど十年後の2008年であることからゲームにおける表現技術などは格段に改善されたことを推しても、先にやってた友人が「期待すんなよ」と言ってた通りの結果となりました。
具体的に不満というか気になった点を挙げると、プレイしていて「余計だなぁ」と思う演出がちらほら見られたことがまず挙げられます。なんていうか、しつこいというかやらなくてもいいだろと突っ込みたくなるような画面効果などが多く、年寄りくさいですがアドベンチャーゲームなんだからもっとシンプルに作って欲しかったです。
次に、個人的にこれが一番でかいのですがキャラクターに全く感情移入が出来ませんでした。「街」では八人の主人公がそれぞれ癖があってどれもこれもゲームをしていて応援したくなるようなキャラクターたちばかりだったのに対し、今度の「428」では一応キャラ付けはされてはいるものの、刑事の加納というキャラクターを除いて最後までどれも好きにはなれませんでした。御法川というキャラに至っては最初から最後まで嫌いだったし、脇役も見ていてイライラするのばかりだったし。
とはいえ、メインシナリオとそれを形作る選択肢の内容は秀逸そのものでさすがはチュンソフトと思わせられました。まぁ「街」を越えろといってもあまりの完成度の高さからそうそうできるものじゃないんだし、高望みしてもしょうがないとは思いつつも、やや残念さが残るゲームでした。
さて、今度は「テイルズオブエターニア」に取り掛からないと……。
2011年5月24日火曜日
大国主と天孫降臨について
前回の歴史記事で因幡の白兎を取り上げましたが、今日はその話に出てくる大国主について解説します。
・大国主(Wikipedia)
大国主は出雲神話における主人公ともいえる人物で、出雲大社にて祭られています。大国主がどんな人物かと言うとちょっと一言では言い表し辛く、この辺が神話のいい加減なところなのですが複数の人物を無理やり一人の人物に仕立て上げられているところがあり、古事記と日本書紀ではその立ち位置や経歴が異なってしまいます。
特にはっきりしなくてちょっと私もイライラする点としては、大国主はヤマタノオロチ退治で有名なスサノオノミコトとの関係です。ある史料ではスサノオの子孫とされていますが別の史料ではスサノオの娘婿と書かれており、どちらかと言えば後者のほうが一般的なエピソードとしては幅を利かせております。
さてそんなスサノオ関係者の大国主ですが、彼の大まかな経歴を話すとありがちな話ですが若い頃には苦労したけどその甲斐あって日本(出雲)の国王となります。ただ国王となったのもつかの間、天界とされる高天原にいる天照大神が孫のニニギに地上を治めるように命令し、その露払いとばかりに高天原からはタケミカヅチなどといった神々が大国主の下に送られ、国の統治権を譲るように大国主を脅します。大国主はこの時に素直に国を譲りましたがその息子のタケミナカタは延々と反抗したそうで、あんまりにも粘るもんだから最後は長野県で降伏したとされます。こうして地上が平定されたのを受けてニニギは地上に降りてきて統治を開始し、その子孫が後々に天皇家となるのが古事記の大まかな流れです。
結論をとっとと言ってしまうと、天界こと高天原というのは現在の朝鮮半島でほぼ間違いないと思われます。この大国主の国譲り、そして天孫降臨の過程というのはあまり表立っては言えませんが、元々日本を治めていた豪族に対して朝鮮半島から来た豪族が侵略し、征服した過程を指しているのだろうと考えられています。この話でミソなのは大国主はスサノオの親類縁者という前提が作られていることで、降りて来るニニギの遠い親戚であるために一方的な征服じゃないとフォローを入れている点です。
ただこうしたフォローが入れられている点に加えその他の好意的なエピソードから考えるに、大国主は比較的従順に降伏したのではないかと私は思います。最後まで抵抗してたりすると土蜘蛛とか鬼などといった悪者に描かれて退治されてしまうのが神話の常で、それに比べると大国主の扱いは破格と言ってもいいでしょう。
この朝鮮半島からの侵略については私はほぼ間違いないと私は考えていますが、その侵略ルートとなるとまだ議論の余地があります。資料に書かれた地名通りならば朝鮮から北九州、そして山陰へという侵略ルートですが、遺跡などから考えると山陰などより北九州の方が当時は文明も発達しており国のような集団が存在してそうな気がします。となると資料に書かれている大国主が治めていた国は現在の島根県ではなく北九州のどこかだったのかということになるのですが、となると後の大和朝廷を始めとした政権は何故近畿に本拠地を構えていたのかということになります。
進入口は北九州で間違いはなさそうですが、そのまま山陰へ進撃したのかそれとも最初は九州にとどまったのか、これがどっちかというのはかなりミステリーです。というのも中国の後漢時代には北九州の奴国から使者が来たとはっきりと歴史書にも書かれており、その時に授与された金印は実際に江戸時代に出土(見つけたのは権兵衛)して現在までも伝わっています。この奴国は征服王朝なのか、それとも征服される前の王朝なのかも考えねばなりません。多分私は後者だと思うけど。
・大国主(Wikipedia)
大国主は出雲神話における主人公ともいえる人物で、出雲大社にて祭られています。大国主がどんな人物かと言うとちょっと一言では言い表し辛く、この辺が神話のいい加減なところなのですが複数の人物を無理やり一人の人物に仕立て上げられているところがあり、古事記と日本書紀ではその立ち位置や経歴が異なってしまいます。
特にはっきりしなくてちょっと私もイライラする点としては、大国主はヤマタノオロチ退治で有名なスサノオノミコトとの関係です。ある史料ではスサノオの子孫とされていますが別の史料ではスサノオの娘婿と書かれており、どちらかと言えば後者のほうが一般的なエピソードとしては幅を利かせております。
さてそんなスサノオ関係者の大国主ですが、彼の大まかな経歴を話すとありがちな話ですが若い頃には苦労したけどその甲斐あって日本(出雲)の国王となります。ただ国王となったのもつかの間、天界とされる高天原にいる天照大神が孫のニニギに地上を治めるように命令し、その露払いとばかりに高天原からはタケミカヅチなどといった神々が大国主の下に送られ、国の統治権を譲るように大国主を脅します。大国主はこの時に素直に国を譲りましたがその息子のタケミナカタは延々と反抗したそうで、あんまりにも粘るもんだから最後は長野県で降伏したとされます。こうして地上が平定されたのを受けてニニギは地上に降りてきて統治を開始し、その子孫が後々に天皇家となるのが古事記の大まかな流れです。
結論をとっとと言ってしまうと、天界こと高天原というのは現在の朝鮮半島でほぼ間違いないと思われます。この大国主の国譲り、そして天孫降臨の過程というのはあまり表立っては言えませんが、元々日本を治めていた豪族に対して朝鮮半島から来た豪族が侵略し、征服した過程を指しているのだろうと考えられています。この話でミソなのは大国主はスサノオの親類縁者という前提が作られていることで、降りて来るニニギの遠い親戚であるために一方的な征服じゃないとフォローを入れている点です。
ただこうしたフォローが入れられている点に加えその他の好意的なエピソードから考えるに、大国主は比較的従順に降伏したのではないかと私は思います。最後まで抵抗してたりすると土蜘蛛とか鬼などといった悪者に描かれて退治されてしまうのが神話の常で、それに比べると大国主の扱いは破格と言ってもいいでしょう。
この朝鮮半島からの侵略については私はほぼ間違いないと私は考えていますが、その侵略ルートとなるとまだ議論の余地があります。資料に書かれた地名通りならば朝鮮から北九州、そして山陰へという侵略ルートですが、遺跡などから考えると山陰などより北九州の方が当時は文明も発達しており国のような集団が存在してそうな気がします。となると資料に書かれている大国主が治めていた国は現在の島根県ではなく北九州のどこかだったのかということになるのですが、となると後の大和朝廷を始めとした政権は何故近畿に本拠地を構えていたのかということになります。
進入口は北九州で間違いはなさそうですが、そのまま山陰へ進撃したのかそれとも最初は九州にとどまったのか、これがどっちかというのはかなりミステリーです。というのも中国の後漢時代には北九州の奴国から使者が来たとはっきりと歴史書にも書かれており、その時に授与された金印は実際に江戸時代に出土(見つけたのは権兵衛)して現在までも伝わっています。この奴国は征服王朝なのか、それとも征服される前の王朝なのかも考えねばなりません。多分私は後者だと思うけど。
2011年5月23日月曜日
グッドウィルを振り返る
・グッドウィル(Wikipedia)
当時にも取り上げていますが、ちょっと思うことがあるのでまた取り上げます。
グッドウィルというのはかつて存在した企業グループで、介護人材サービスのさきがけとなったコムスンを含む人材派遣業を中核事業として一時期急成長し、2008年に破産した会社です。今ではすっかり当たり前となった日雇い人材派遣ですが、小渕政権時の規制緩和を受けて2000年ごろから同業のフルキャストともに急拡大し、会長の折口氏は一時は政財界にも顔を出すなど大きな影響力を持つようになりました。
しかし平家も久しからずと言うべきか、2007年に「データ装備費」という、一回の派遣労働につき労働者から200円のマージンを取っていたことが突然槍玉に挙げられ、その後も次々と同社の事業を糾弾する訴訟や摘発が相次いで最初の「データ装備費」の問題が表面化してからたった一年後の2008年には廃業に追い込まれることとなりました。以下に当時問題とされたグッドウィルが行っていた事業内容を列記します。
・「データ装備費」という中間マージンの搾取(二重取り)
・労災隠し
・二重派遣
・製造現場(工場)への派遣
細かいのを洗えばほかにもありますが、代表的なものは以上四つです。ただこれははっきりいいますが、確かにこれらの違法行為はそれ以前から法律で規制されてはいたものの、グッドウィルに限らずどこの派遣会社でもさも当然のようにやられていたことで、これらが違法であるならば日雇い派遣業はすべてが違法だったというくらいに一般化していたものでした。現実に私の周りでも普通に工場へ派遣されて作業をしてた友人もいますし、「データ装備費」についてはフルキャストも同時期に摘発を受けています。
私自身はグッドウィルが摘発される以前からNHKが作って見事に普及させたワーキングプア問題を調べていた関係でこれら日雇い人材派遣会社を比較的激しく批判していた立場でしたが、2007年の突然のルール変更によるグッドウィル叩きに対しては悪いことだとは思わなかったものの、運が悪かったなと気の毒には思いました。
私が何故この話を三年も経った現在に掘り返したかと言うと、当時はまだ景気がよかったことからああいったワーキングプア問題も取りざたされたものの、現在に至っては派遣でも仕事があるだけマシと言うべきか、人材派遣会社への批判がほとんど聞こえなくなったことからでした。もちろんこれらの違法行為が完全に根絶されたから批判が起きないというのであればそれに越したことはないのですが、どうも人から話を聞いていると当時はあれだけ叩かれたのに工場への日雇い派遣はまだ続いているそうですし、誰もケチをつけなくなりましたが二重派遣もまた堂々とまかり通っているからです。
久々にこの言い回しをしますが、勘のいい人ならもう察しがついているでしょうが私が今回この記事を書こうと思ったもうひとつのきっかけは東電の原発作業員です。東電の原発作業員は福島原発の事故が深刻化している現在はもとより以前からも危険な作業ゆえになり手が見つからないため、非常に複雑な経路と幾重ものの仲介業者を経由してホームレスなどといった人を半ばだますような形でつれてきていたと言われております。実際に先日、関西での募集を受けたある男性が当初受けていた説明とは異なり福島原発につれていかれて作業をさせされたというニュースが報じられましたが、これについて男性を雇った仲介業者は「複数からの募集を裁いていて派遣先の割り振りを間違えてしまった」などというコメントをしていましたが、はっきりとは言ってはいないもののこれは普通に二重派遣で問題ないのかとと頭を抱えました。
さらにこれの何が一番怖いのかって言うのは、かつてグッドウィルが摘発された際に散々批判していたメディア達がこの原発作業員らの二重派遣についてはなにも違法性を言及していないことです。もちろん今はそんなこと言ってられる場合じゃないってことはわかりますが、かねてからも指摘されていたように原発での作業は東電本社は一切手につけず、協力会社と呼ばれる企業がさらに人材派遣を雇って実施していたのは周知の事実で、私にはそれが本社と現場の情報疎通の齟齬や本社の危機管理に影響しているのではないかと思うがゆえに放っておくべきではないと考えています。それが何故か、不気味なくらいに大メディアは二重派遣問題については揃い合わせたかのように指摘がありません。
私は何も一部で言われているようにこれだけの問題を起こしたのだから東電社員自らが直接原発に行って作業しろとまでは言いません。ただ非常に重要な作業をやるのだから、下手な派遣業者や協力会社を通すのではなく東電が直接ハローワークなりで募集してマージンを抜かさず作業員に給金を渡すべきなのではないか、というのが本日言いたかったことです。
当時にも取り上げていますが、ちょっと思うことがあるのでまた取り上げます。
グッドウィルというのはかつて存在した企業グループで、介護人材サービスのさきがけとなったコムスンを含む人材派遣業を中核事業として一時期急成長し、2008年に破産した会社です。今ではすっかり当たり前となった日雇い人材派遣ですが、小渕政権時の規制緩和を受けて2000年ごろから同業のフルキャストともに急拡大し、会長の折口氏は一時は政財界にも顔を出すなど大きな影響力を持つようになりました。
しかし平家も久しからずと言うべきか、2007年に「データ装備費」という、一回の派遣労働につき労働者から200円のマージンを取っていたことが突然槍玉に挙げられ、その後も次々と同社の事業を糾弾する訴訟や摘発が相次いで最初の「データ装備費」の問題が表面化してからたった一年後の2008年には廃業に追い込まれることとなりました。以下に当時問題とされたグッドウィルが行っていた事業内容を列記します。
・「データ装備費」という中間マージンの搾取(二重取り)
・労災隠し
・二重派遣
・製造現場(工場)への派遣
細かいのを洗えばほかにもありますが、代表的なものは以上四つです。ただこれははっきりいいますが、確かにこれらの違法行為はそれ以前から法律で規制されてはいたものの、グッドウィルに限らずどこの派遣会社でもさも当然のようにやられていたことで、これらが違法であるならば日雇い派遣業はすべてが違法だったというくらいに一般化していたものでした。現実に私の周りでも普通に工場へ派遣されて作業をしてた友人もいますし、「データ装備費」についてはフルキャストも同時期に摘発を受けています。
私自身はグッドウィルが摘発される以前からNHKが作って見事に普及させたワーキングプア問題を調べていた関係でこれら日雇い人材派遣会社を比較的激しく批判していた立場でしたが、2007年の突然のルール変更によるグッドウィル叩きに対しては悪いことだとは思わなかったものの、運が悪かったなと気の毒には思いました。
私が何故この話を三年も経った現在に掘り返したかと言うと、当時はまだ景気がよかったことからああいったワーキングプア問題も取りざたされたものの、現在に至っては派遣でも仕事があるだけマシと言うべきか、人材派遣会社への批判がほとんど聞こえなくなったことからでした。もちろんこれらの違法行為が完全に根絶されたから批判が起きないというのであればそれに越したことはないのですが、どうも人から話を聞いていると当時はあれだけ叩かれたのに工場への日雇い派遣はまだ続いているそうですし、誰もケチをつけなくなりましたが二重派遣もまた堂々とまかり通っているからです。
久々にこの言い回しをしますが、勘のいい人ならもう察しがついているでしょうが私が今回この記事を書こうと思ったもうひとつのきっかけは東電の原発作業員です。東電の原発作業員は福島原発の事故が深刻化している現在はもとより以前からも危険な作業ゆえになり手が見つからないため、非常に複雑な経路と幾重ものの仲介業者を経由してホームレスなどといった人を半ばだますような形でつれてきていたと言われております。実際に先日、関西での募集を受けたある男性が当初受けていた説明とは異なり福島原発につれていかれて作業をさせされたというニュースが報じられましたが、これについて男性を雇った仲介業者は「複数からの募集を裁いていて派遣先の割り振りを間違えてしまった」などというコメントをしていましたが、はっきりとは言ってはいないもののこれは普通に二重派遣で問題ないのかとと頭を抱えました。
さらにこれの何が一番怖いのかって言うのは、かつてグッドウィルが摘発された際に散々批判していたメディア達がこの原発作業員らの二重派遣についてはなにも違法性を言及していないことです。もちろん今はそんなこと言ってられる場合じゃないってことはわかりますが、かねてからも指摘されていたように原発での作業は東電本社は一切手につけず、協力会社と呼ばれる企業がさらに人材派遣を雇って実施していたのは周知の事実で、私にはそれが本社と現場の情報疎通の齟齬や本社の危機管理に影響しているのではないかと思うがゆえに放っておくべきではないと考えています。それが何故か、不気味なくらいに大メディアは二重派遣問題については揃い合わせたかのように指摘がありません。
私は何も一部で言われているようにこれだけの問題を起こしたのだから東電社員自らが直接原発に行って作業しろとまでは言いません。ただ非常に重要な作業をやるのだから、下手な派遣業者や協力会社を通すのではなく東電が直接ハローワークなりで募集してマージンを抜かさず作業員に給金を渡すべきなのではないか、というのが本日言いたかったことです。
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