2011年5月23日月曜日

グッドウィルを振り返る

グッドウィル(Wikipedia)

 当時にも取り上げていますが、ちょっと思うことがあるのでまた取り上げます。
 グッドウィルというのはかつて存在した企業グループで、介護人材サービスのさきがけとなったコムスンを含む人材派遣業を中核事業として一時期急成長し、2008年に破産した会社です。今ではすっかり当たり前となった日雇い人材派遣ですが、小渕政権時の規制緩和を受けて2000年ごろから同業のフルキャストともに急拡大し、会長の折口氏は一時は政財界にも顔を出すなど大きな影響力を持つようになりました。

 しかし平家も久しからずと言うべきか、2007年に「データ装備費」という、一回の派遣労働につき労働者から200円のマージンを取っていたことが突然槍玉に挙げられ、その後も次々と同社の事業を糾弾する訴訟や摘発が相次いで最初の「データ装備費」の問題が表面化してからたった一年後の2008年には廃業に追い込まれることとなりました。以下に当時問題とされたグッドウィルが行っていた事業内容を列記します。

・「データ装備費」という中間マージンの搾取(二重取り)
・労災隠し
・二重派遣
・製造現場(工場)への派遣

 細かいのを洗えばほかにもありますが、代表的なものは以上四つです。ただこれははっきりいいますが、確かにこれらの違法行為はそれ以前から法律で規制されてはいたものの、グッドウィルに限らずどこの派遣会社でもさも当然のようにやられていたことで、これらが違法であるならば日雇い派遣業はすべてが違法だったというくらいに一般化していたものでした。現実に私の周りでも普通に工場へ派遣されて作業をしてた友人もいますし、「データ装備費」についてはフルキャストも同時期に摘発を受けています。
 私自身はグッドウィルが摘発される以前からNHKが作って見事に普及させたワーキングプア問題を調べていた関係でこれら日雇い人材派遣会社を比較的激しく批判していた立場でしたが、2007年の突然のルール変更によるグッドウィル叩きに対しては悪いことだとは思わなかったものの、運が悪かったなと気の毒には思いました。

 私が何故この話を三年も経った現在に掘り返したかと言うと、当時はまだ景気がよかったことからああいったワーキングプア問題も取りざたされたものの、現在に至っては派遣でも仕事があるだけマシと言うべきか、人材派遣会社への批判がほとんど聞こえなくなったことからでした。もちろんこれらの違法行為が完全に根絶されたから批判が起きないというのであればそれに越したことはないのですが、どうも人から話を聞いていると当時はあれだけ叩かれたのに工場への日雇い派遣はまだ続いているそうですし、誰もケチをつけなくなりましたが二重派遣もまた堂々とまかり通っているからです。

 久々にこの言い回しをしますが、勘のいい人ならもう察しがついているでしょうが私が今回この記事を書こうと思ったもうひとつのきっかけは東電の原発作業員です。東電の原発作業員は福島原発の事故が深刻化している現在はもとより以前からも危険な作業ゆえになり手が見つからないため、非常に複雑な経路と幾重ものの仲介業者を経由してホームレスなどといった人を半ばだますような形でつれてきていたと言われております。実際に先日、関西での募集を受けたある男性が当初受けていた説明とは異なり福島原発につれていかれて作業をさせされたというニュースが報じられましたが、これについて男性を雇った仲介業者は「複数からの募集を裁いていて派遣先の割り振りを間違えてしまった」などというコメントをしていましたが、はっきりとは言ってはいないもののこれは普通に二重派遣で問題ないのかとと頭を抱えました。

 さらにこれの何が一番怖いのかって言うのは、かつてグッドウィルが摘発された際に散々批判していたメディア達がこの原発作業員らの二重派遣についてはなにも違法性を言及していないことです。もちろん今はそんなこと言ってられる場合じゃないってことはわかりますが、かねてからも指摘されていたように原発での作業は東電本社は一切手につけず、協力会社と呼ばれる企業がさらに人材派遣を雇って実施していたのは周知の事実で、私にはそれが本社と現場の情報疎通の齟齬や本社の危機管理に影響しているのではないかと思うがゆえに放っておくべきではないと考えています。それが何故か、不気味なくらいに大メディアは二重派遣問題については揃い合わせたかのように指摘がありません。

 私は何も一部で言われているようにこれだけの問題を起こしたのだから東電社員自らが直接原発に行って作業しろとまでは言いません。ただ非常に重要な作業をやるのだから、下手な派遣業者や協力会社を通すのではなく東電が直接ハローワークなりで募集してマージンを抜かさず作業員に給金を渡すべきなのではないか、というのが本日言いたかったことです。

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