ページ

2011年7月8日金曜日

東大の入学時期変更検討について

東大:入学時期を春から秋に 国際化推進で検討開始(毎日新聞)

 ちょっと古いニュースですが、先の二本の記事がかなりきわどい内容なので蓋かぶせとばかりに取り上げておきます。
 上記リンク先のニュース内容は東大が学生の入学時期を日本で一般的な春入学ではなく、国際基準に合わせた秋入学へ変更を検討しているというニュースです。仮に変更する場合でも入試時期は現在のままにしておき、入学までの半年間はボランティアや海外留学の時期として残しておくことが話されているようです。

 このニュースに対する私の意見ですが、何でもかんでも国際基準に合わせようとする日本人の態度ははっきり言って私は大嫌いですが、この東大の入学時期変更については大賛成の立場をとります。

 まず世界各国の大学入学時期についてですが、私が知る限り4月の春入学をしているのは日本と韓国しかありません。中国では9月入学で、大学入試も6月にやります。仮に東大が入学時期を変更するとどうなるかですが、まず海外の留学生が自国の学期に合わせて留学に来やすくなり、東大側もそれを狙っているようです。
 何気に私の経歴もこの件と無関係ではなく、中国が9月入学ということから本音なら三回生になった直後の4月に留学したかったもののわざわざ三回生の前期まで日本の大学で講義を受け、その年の9月から中国へ留学し、一年後に日本の大学へは三回生の後期から復学しました。もっとも、後からわかったことですが私の留学先である北京語言大学ならカリキュラムがしっかりしてるから4月入学でも全く問題はなかったんだけど。

 やはり入学時期を国際基準に合わせてもらえれば留学に来る方も行く方も助かること間違いなしでこの点だけでも支持するに足りますが、それ以上に私がこれに期待しているのは画一的な就職採用時期の打破です。私はかねがね一つの時期にほとんどの日本企業が採用時期を集中させる、また新卒学生に限定するといった行為が日本の経済に悪影響を及ぼしていると考えており、今回の検討内容通りに東大のみが入学時期をずらすことでこの慣例に一定度の衝撃を与えられるのではないかと見ております。もちろん東大一つがずらしたくらいでは効果ないかもしれませんし、これ以外の要因もいろいろあって一概に言えることではないですが、近年の日本はなにかと横並びにしすぎるところがあって、そういった均衡を敢えて崩すことが社会にいい影響を与えると私は考えています。
 といいつつも、日本の過剰な横並びを崩すために国際基準にあわせるというのは、なんだか矛盾しているような気もしますが。

中国高速鉄道についての鉄道部発言

中国の高速鉄道は「海賊版新幹線」ではない、日本の報道に反論―中国鉄道部(レコードチャイナ)

 日本でも多分大々的に報じられているかと思いますが、先日中国ではこれまで上海と杭州や南京などをつなげて運行していた中国版新幹線(高速鉄道)を上海~北京間の路線でも開通させました。開通させるとともにこの新幹線技術を欧米数カ国に特許を出願したことで、車両の原型となったCRH2型を販売したJR東日本&川崎重工が「そんなの、聞いてない(;゚Д゚)」と反応し、元から中国に売るのに反対していたJR東海が先の二社に「どういうことだよ(#・∀・)」と怒っていると聞きます。内心、今回の一件で川崎重工なんかは株価下がるんじゃないかなと思ったけど、そういうことは見てたところありませんでした。

 日本で報道されているから説明は要らないのでぱっぱ話は進めますが、日本の技術を使った新幹線であるのにその技術を自国のものとして特許申請した中国に大して日本側の高まる不満はこちらでも報じられております。それに対して中国鉄道部(中国では日本の「省」を「部」と呼ぶ)の王勇平報道官が回答したのが最初のリンク先です。簡単にまとめると、というより答えは言うまでもなくいつもの通りですが、今走っている高速鉄道は川崎重工に提供してもらったものとは別の中国独自開発の車両で文句を言われる筋合いはないというものです。

 実は何気にこの元記事を私も空いた時間に暇つぶしがてら昨日翻訳していたわけなのですが、気になった箇所をいくつか抜粋すると、

・川崎重工から提供してもらったのはCRH2型
・今走ってるのはそれを改造したCRH380A型
・カタログスペックが日本の新幹線とはまるで違う、全然別物
・日本の新幹線の技術をすでに越えている
・平均運行速度だって、日本みたいにくねくね走らないからこっちのが上
・日本が我々に追い抜かれた
・日本は技術に驕りがあった。だから我々に負けた
・中国人は人のものをパクって自分のものと言い張る民族じゃない、伝統的に

 といった感じで、まぁ見ていて本当にイライラさせられることばかり言っております。特に最後の奴なんか、街宣車出して去年の万博パクリソング(岡本真夜)の曲を流してやろうかと言いたくなって来ます。
 あと今回の特許出願について彼の論理ですが、ちょっと長いですが私なりにまとめると以下のようになります。

「現在の中国の高速鉄道は確かに日本の技術が大きく貢献しているが、技術というものは過去の技術を下地に徐々に向上していくものだ。そういう意味で日本の果たした役割は大きく我々も認めるが、そもそも日本の新幹線だって島秀雄(新幹線の父と呼ばれる人)が欧州を回っている最中に見た車両が元になっているじゃないか。それをいちいち前の人間の技術だ何だといっていたらしょうがない。第一、今回中国が特許を出願するのは優れた技術を世界に後悔するためであって、特許思想の宗旨に叶う。なんだったら、日本が我々の進んだ技術を学びたいというのならいくらでも教えてやるよ。それをいちいち自分の技術だ特許だといって秘匿しようとしたり、我々の出願を阻もうとする日本は本当に器が小さい」

 といった具合です。まぁちょっと悪者っぽく訳しているのもありますが、一応最後にはフォローとしてなのか、「今日(七月七日)は盧溝橋事件の起きた日だが、過去の戦争は過去のものとして、中日両国は前向きに関係を発展するべきだ。過去の戦争の事なんか忘れたほうがいい」とも言ってます。まぁ戦争を一番持ち出すのは中国政府で、なおかつ政府の人間がこういうときはやましいことがきまってあるのですが。

 ただこうやってわざわざ翻訳しておきながらですが、上記の王勇平報道官の発言はあまり真に受けないようにしてください。というのもこれは政府の発言であって、中国全体の発言ではありません。何気にこの高速鉄道に関しては国家プロジェクトとしては異例なくらいに現地紙でもその運用コストや必要性、果てには安全性に対して疑義を呈する声が大きく取り上げられており、また特許出願については多くの中国人は興味がないというか、あまり意識がないのが本当のところだと思います。私としてはこの中国政府の特許出願を見て日本人が、「中国人は汚い」と言うのを一般の中国人が見たり聞いたりして、この件に興味なかった中国人が「なんで日本にこうも言われるんだよ……」と思うようになるのが一番好ましくないです。それゆえ、大雑把に「中国」とするのではなくこの件で批判する対象は「中国鉄道部」と限定してもらいたいのが、この記事で一番言いたいことです。

 また今回の件は、はっきりいってこうなることを予想しなかった川崎重工とかがかなり迂闊だったと私は思います。なんか重役が「中国は大人の対応を……」などと言ったそうですが、川崎重工こそ大人、っていうか最低限の判断力を持つべきではないかという気が少しします。

 あと最後に、このインタビューの最初の方で王勇平報道官は、

「日本からやってきた取材者も、中国の高速鉄道は技術が高くとても早い。内装も完璧で、日本の新幹線にはない……って、TBSの真下淳氏は言ってたよ」

 と、書かれてあります。
 この真下淳という名前の記者の方は知りませんが、ちょっとどういう人なのか興味がわきます。ちなみに私は高速新幹線に上海~杭州間でかなり多く乗った事がありますが、内装は完璧に日本の新幹線そのまんまで、中国人にもそういわれてました。片側三席、反対側二席という作りなどで。直接コメントとかしてくれないかなぁ。

誰かさんの死亡報道について

 昨日、一昨日と二日間更新はおろか来ていたコメントに返信すらしませんでした。理由は単純にネット環境の不備で、私の住んでいるサービスアパートメントの管理事務所が既に半年分のネット代を払っているにもかかわらず、契約期間が完了したと勘違いして勝手に回線を切っていたことが原因でした。これが一回くらいとかならすぐに直してもらえるし笑って許せるのですが、さすがに三回目ともなると結構頭に来るものがあります。しかも昨日の夕方に復旧依頼を出したら部屋で待ってろってロビーの女性に言われるもんだから30分待ったけど音沙汰なしで、どういうことだと言いに行ったら既に担当の職員が帰宅しているから明日(=今日)になると言われる始末。もちろんロビーの女性は最初の連絡時はすぐに対応すると聞いてただけに彼女を責めるのはお門違いなので、「もう勘弁してよ。あと明日は確実に直しといてね」と言って平静を装ってエレベーターに乗りましたが、やはり苛立ちがあったのかエレベーターの中で三回くらい壁を殴りつけ、最後思い切り頭突きしかけたところで収まりました。このブログは毎日更新してるもんだから多分見ている人も行進が少ないと「あれ?」っと思うでしょうが、毎日書いてる自分も二日も放置してると結構違和感感じます。

 そんなフラストレーション満杯状態なので今晩は何本記事が書けるのだろうかと息巻いている状態ですが、早速一本目にはかなりきわどいネタというか、調子に乗って書くと確実に要監視リストに載せられる話題です。
 事の発端は一昨日の晩。実はこの日は送別会があったため宴席に出ていましたが、そこで遅れてやってきたある同僚が、

「実は……○○が亡くなったそうで……」
「えっ、倖田來未が亡くなった!?Σ(゚Д゚;)」

 もちろん二つ目のセリフは聞いた人の聞き間違いで、歌手の倖田來未さんはきちんと元気に存命しております。何故聞き間違えたのかというと、件の人物が「こうだくみ」という発音にかなり近い音の漢字三文字の人だったからです。その人物の名前は恐れ多くてここにはかけない、もとい現在中国国内でその漢字三文字でメールを出すと即刻削除されて受信者に届かないのはおろか後々不利益を被る可能性があるので、ちょっとこの記事では割愛させてもらいます。

 上記の会話を横目に聞いていた私は折角の宴席なのでその話を聞いていなかった人には伝えず、密かに携帯電話を取り出して知り合いの上海人に早速確認を取りました。電話に出た上海人に内容を話すと、

「っていうか、多分この電話盗聴されてるよ」
「マジ?」
「実名出したらまずいよ。んーと、じゃあなんて言おうか?」
「ほんなら、例のおっちゃんはまだ生きとるん?」

 と、突然会話を関西弁に切り替えて会話を続けましたが、その友人からの情報だと真偽ははっきりしないものの解放軍病院に入院しているのは間違いない。肝臓がんだったという噂があるというこの二つでした。

 そして明けて次の日、いろいろと情報を整理しましたが簡単にまとめると、

・第一報は香港メディアが死亡したと報じたことによる。
・その香港メディアを受けて共同通信が情報を配信し、日本人にも伝わった
・昨日(七月七日)時点で中国メディアは黙殺。されどメールと検索ワード規制は実施

 ざっとこんな感じです。
 その後今日になって新華社などが流れている噂はデマであると発表し、第一報を伝えた香港メディアも誤報を流したと発表し親類に謝罪しています。

 私の私見を述べると、何かしら事態が急激に動いたのは間違いないと思います。高い可能性としては脳死かなにかで、今後の活動が再起不能になったのではないかというのが私の周りの意見です。このおっちゃんが再起不能になって起こる影響は産経新聞の記事が一番よくまとまっているので、興味がある人はリンク先をご覧ください。とてもここでは書けない。

 それにしても今回の一件はこっちのネット上では結構噂になっているらしく、中国版ツイッターこと微博(ウェイポー)上でかなり飛び交っているそうです。事態の審議は今後の報道を待たないといけませんが、センセーショナルな内容なだけにぱっと噂が広がるもんだなと妙な関心をしました。
 ただ今回のおっちゃんに対して、毛沢東直後の後継となった華国鋒が昨年死んだ時は反応が小さく、なんか話に聞いたら中国人でも多くが「その人誰だったっけ?」という反応だったそうです。それだから仮に、「林彪、実は生きてた!!(゚∀゚)」なんてデマを流したら意外と広まったりして。

2011年7月5日火曜日

松本復興相の辞任と今後の政局

 昨日記事を書いた今日ですが、宮城県知事らに暴言を吐いた松本氏が復興担当大臣を辞任しました。私は当初、暴言の内容から恐らく辞任か更迭は間違いないと考えていましたがそれでも一週間程度の時間はかかると考えており、一日で辞任されるとはさすがに想定外でした。この辺の民主党は自民党に比べ、切る速度は速いように思えます。
 とはいえ辞めると言っていた肝心の管首相はなおも居座り続けており、報道によると10月の中国訪問の予定を組み出しているとされなかなか腹立たしい態度を続けております。今日の中国の新聞の論説にも「面の皮が厚い」とまで書かれていましたが、今回の騒動を見ている留まれば留まるほど害が大きいことが思い知らされ、これまで擁護的な立場をとって来ましたがもはや庇いきれないというような気がします。

 そもそもの話、今回の騒動のきっかけとなった復興担当大臣は管首相の肝いりで新設されました。しかし新たなポストということもあって果たして機能するのか、従来の組織を円滑に動かした方が対応が良いのではという批判をはねのけるほど管首相は強いこだわりを見せ、そのポストに誰が就任するかにおいても首相兼任が無難という声を黙殺して今回の松本氏を任命しました。
 あくまでこれは結果論ですが、今回の松本氏就任から今日の辞任までの間は何も復興対策がなされず、無駄に時間を空費してしまいました。仮に大臣が松本氏でなければ、そもそもこのようなポストがなければ復興に向けて会議なりを進展させることができたことを考えると、管首相はわざわざ復興の足を引っ張るようなことをしてくれたということになります。

 もちろんこれは結果論です。しかし管首相は震災対応に一定の目処がついたら退陣するといっていますが、今回こんな時間の空費を招いたことを考えると管首相自身が退陣することが最も早い復興対策のような気がします。被災者達は既に4ヶ月も避難所に非難しており、一日でも早く製作や計画を実行しなくてはならないことを考えると、今回の一件は松本氏一人の責任にするには大きすぎます。
 また松本氏についても、あれだけ被災者や報道機関を侮辱する発言はおろか、本来対等な立場である知事に対してあのような態度を取ったことは公権力に対する価値観が異常というよりほかがなく、野党の人らはこの際に松本氏に対して議員辞職するまで糾弾してもいいと思います。私としてもあのような輩が政治家しているというのは我慢なりませんし、なんだか福岡空港についても黒い噂が立っているようですし。

 そういう意味では今が野党にとって最も正念場です。今月中になんとしてでも管首相を引きずり降ろさなければますますフェードアウトするだけですし、これで攻め切れなければいつになったら攻め切れるんだということになります。まぁ個人的には、谷垣総裁でなければ既に首は取れてたでしょうが。

 それにしても松本氏に限らず、民主党の面々は権力に対する価値観がどうもわかっていない人間が多すぎる気がします。私自身理解しているかといえば怪しいものですが、何故人に命令できるのか、どうして相手が従うのかという構造をまるきり無視しているようにしか見えません。今までどういう風に生きてきたのか、本当に気が知れません。

2011年7月4日月曜日

松本復興相の失言について

 なんていうか、探せばまだまだでてくるんだなぁこういった明らかに勘違いしている政治家って、ていうのが最初の感想です。

「書いたら、その社は終わりだから」 松本復興相「脅し」に屈しなかった地元テレビ(J-CASTニュース)

 恐らく今頃日本ではテレビや新聞などでこのニュースが大賑わいとなっていることでしょうから内容の説明はしませんが、同じ党内からも辞めると言った後のこの時期に復興相を設置することに反対の声があったにもかかわらず、管首相は随分とまぁ残念な人物を引っ張り上げて来たものです。ニュースを見る限りですと先週にもこの松本復興相は「民主党も自民党も公明党も嫌い」というイカれた発言をしていたようで、今回の宮城県知事への暴言に伴う辞任はしないと本人は言っているようですが恐らくそんなわけには行かず、一週間以内に更迭されるのではないかと私は思います。逆に更迭しなければ、今度こそ確実に管首相は息の根が止まるでしょう。

 それにしても今回の松本復興相の暴言ですが、応接室でたかだか数分、TBSによれば一分数十秒待たされただけでここまで怒るというのは人としてもかなりどうかと疑わさせられます。この人にチキンラーメン作らせたらどうなるんだろ。どちらにしろ今回の宮城県知事の対応になんらおかしなところはあらず、むしろこんなことでここまで怒ることの出来る人物が政治家としているという現実を憂慮する必要があるでしょう。

2011年7月3日日曜日

韓国経済と韓国民の覚悟

 このところこの手の解説を何度もあちこちでしているのでこのブログでも書こうと思います。意外と日本の情報を見ていてもこのような観点からの解説が少ないので、おこがましさを感じるも周知する意味でも必要かと思いますし。
 私が日本で在籍していた会社の上司は韓国と長く関わっていたことから韓国社会についていろいろ詳しい人物だったのですが、ある日私に対してこんなことを教えてくれました。

「韓国はアジア通貨危機の際に一度国家全体で経済破綻をしており、その後一時的にIMFの管理下に置かれる事となった。このIMF時代に韓国社会は大きな負担を受けそれまでの社会も一変したことから、韓国人というのは二度と経済破綻をしてはならないという強い信念を持っている」

 アジア通貨危機などの解説については他のサイトに譲りますが、IMF時代については私も直接韓国人留学生から話を聞いたことがありますが、その留学生曰く「本当に最悪な時代だった……」そうで、やはりあの時代にだけは戻りたくないとはっきりと言明してました。

 こういった話を聞いた上で韓国の国の形とか経済を見ていると、やはりあの国には「どんなことがあっても二度と経済破綻してはならない」という国民全体における合意というものがあるような気がします。それは言い換えるとたとえどんだけ国民が苦しい思いをしても国の経済だけは支えなければならないという合意であって、これを私は他人に解説する際、「国破れて山河在りと昔は言ったが、韓国については山河を潰してでもなんとしても国を保たせようというところがある気がする」と話しています。
 これはいうなれば国民生活が破綻してでも国を維持しようという考え方で、実際に韓国の国民生活は話を聞くだに悲惨です。あらかじめ言っておきますが韓国を見下しているわけでなく単純に自分が同じ状況だったら辛いだろうと思うということで、特に若者の生活は高い失業李に低い賃金、そして少子高齢化が叫ばれる日本を遥かに下回る出生率。韓国の状況と比べれば日本の若者の生活などまだまだマシな気がしてなりません。

 無論韓国で生活したわけでもなく研究をしているわけでもありませんから実情がどのようであるか誤解している可能性も捨て切れませんが、私は韓国は国民生活を完全に犠牲にしてサムスンやヒュンダイといった国営財閥企業を守り立てて国を成り立たせるように思います。内心ではそれに対して韓国人もいろいろと思う気持ちもあるでしょうが、上記のように一定の覚悟というか合意というものが存在するのではないかと思います。

 現在、というより私が日本を出る前のビジネス本の売れ筋書籍はどれも「サムスンを見習え」と、お手本主義の日本らしくこれまで散々アメリカのMBAを取得した経済家への礼賛を手の平返して羽振りのよい韓国企業へ右へ習えしてました。しかし前にも書いたように現在韓国企業が羽振りがいいのはウォン安による影響がほとんどで、経営方針とか体制とかが極端に日本企業より優れているかといったら私は疑問です。それよりむしろ、わずか三年前まで1ドル=100円前後を想定して予算組みしてた日本企業が1ドル=80円前後になった現在においても経営を維持し続けているという現状の方がずっと凄いように思え、今後もまだ円高する可能性は捨てきれないものの、中長期的な観点では今の日本企業は相当な実力を蓄えてきているように思います。逆を言うとサムスンはウォン安が終わったらどうなるのかが未知数です。

 最後に私が言いたいこととして、サムスンを見習えとか韓国経済を見習えとする書籍の作者らは上記に書いたような、国民生活を犠牲にしてでも経済を成り立たせようとする韓国人のような覚悟があってそのような本を書いているのか、一つ問い質したいです。もちろんそのような考え方が間違っているわけではなくどんな思想を持つのは人それぞれ勝手ですが、私は国というのはその国籍の企業があるかではなく、国土と国民があってこそだと思います。中には国土がなくともかなり元気にやってたユダヤ人もいますが、少なくとも私は日本を国民を犠牲にして成り立つような国にはしたくありません。それゆえに上記のような覚悟を持ってサムスン礼賛本を書いていた作者らとは残念ながら敵対する立場となります。
 ちなみに20世紀、極東のある国では本気で国民と国土をすべて灰燼にしてでも国の形、というよりは省を守ろうとした連中がいました。ああはなってはならないし、ああいう連中は生かしてはおけないというのが私の信条です。

卑弥呼の比定人物

 昨日の記事でも書きましたが、私は現在の日本古代史を研究する学者らは根拠が薄弱にもかかわらず邪馬台国とヤマト王権を結び付けようとする人物が多いような気がします。その結び付けの代表格は今日取り上げる邪馬台国の女王こと卑弥呼で、彼女に関しては実に数多くの古事記、日本書紀中の人物が比定されております。

 まずその代表格というか戦前に強かった説として、神功皇后説があります。この神功皇后というのは女性の身で妊娠したまま朝鮮半島にまで出陣したという如何にも神話に出てきそうな人物で未だに実在したかどうかがはっきりしないものの、日本書紀中で彼女が出てくるシーンに魏志倭人伝からの引用があったことから「卑弥呼ではないか(゚∀゚)」とかなり安直に主張されたそうです。ただ元々も魏志倭人伝には卑弥呼は生涯独身で子供もおらず弟しかいなかったと書かれていることから、明らかに記述が一致しません。もはや取り上げる必要もないかと思いますし、学会もはっきりと否定すべきではないでしょうか。

 次によく槍玉に挙げられ現在最有力候補とされているのは、倭迹迹日百襲媛命(やまとととひももそひめのみこと)です。彼女は孝霊天皇の皇女で資料中の記述は卑弥呼同様に巫女的性質が強い人物として書かれてあり、夫に関しては蛇の神様という点でも確かに比定に足る要素は多いです。それ以上に彼女の墓とされる箸墓古墳の設立年代や卑弥呼の没年、そして魏志倭人伝の墓の規模などが近いということから結構真剣に議論されているようですが、それでも私としてはこれで卑弥呼が倭迹迹日百襲媛命だとするにはまだまだ根拠が少なすぎると思います。
 卑弥呼が誰なのかを特定するのに一番の材料はやはり魏志倭人伝中に書かれている卑弥呼の墓で、その点では箸墓古墳から推定するのは方向性としては間違いではないものの、確たる材料もないにもかかわらず倭迹迹日百襲媛命説がここまで出張るべきかといわれたら私は疑います。むしろそれ以外の可能性、卑弥呼は卑弥呼でヤマト王権の関係者ではないという可能性の方が依然として高いように思えます。無論それをはっきりさせるためには箸墓古墳をより調査するに越したことはないのですが、ここは宮内庁がイデオロギーの関係で仁徳天皇稜同様に全く調査許可を出さず、数年前にちょこっとだけさせてもらえただけなので今後の進展はなかなか難しいでしょう。

 繰り返しになりますが私は現時点において卑弥呼は卑弥呼で、古事記や日本書紀中に出てくる人物で該当する者はいないのではないかと考えております。だからといって歴史的価値が低いわけではなく、古代において中国と接触した人物であることから研究対象としての価値は高く、今後の研究発展を楽しみに待ちたい人物であります。