なんかこのところ日にちの感覚が曖昧になっているのでやや確実ではありませんが、確か先週にIMFが日本の財政状況を取り上げて健全化するように勧告を出してたと思います。もっとも日本を批判する前にどうして今までギリシャとかを見逃していたんだといくらでも言い返しますし、こんな世界にした張本人は私はIMFだと思っているのでこの勧告は特段気にする必要がないと思います。
ただこの勧告が出た当初、「この勧告を真に受ける奴が出て円安に動かないものか」とちょっと期待しました。と同時に、単純に円高に持ってくためには景気を悪くするのが一番だと思ったのでその辺の当たり前な考察をまとめます。
まずなんで私がIMFの勧告で円高に動かないものかと思った理由ですが、これは今の日本の景気と財務状況ががいいことから円高になっているからです。テレビでは不況不況といつも念仏のように唱えられているものの、前にも記事で書いたように今年第3四半期に日本はあれだけ震災でやられたにもかかわらずGDPプラス成長を記録しておりますし、失業率も欧米各国、ひいては隣の韓国と比べても遥かに低い状態を保っております。さらに言えば今後も震災からの復興需要が高まることも予想され、確かにリーマンショック前までとはいかないまでも絶望的に景気が悪い状態ではなく、相対的にはいい状態を維持し続けるでしょう。
こんなことはなにも日本に限らずほかの国もわかっており、また日本の財政は借金漬けとはいえ対外債務はほとんどなくてデフォルトの危険性が全くないことから日本円は人気を博し、今の70円台後半という円高につながっているわけですが、じゃあ逆の円安に誘導するためにはどうすればいいかとなると単純に日本の経済と財政に危機感を持たせればいいことになります。
そういう意味で先のIMFの勧告なんかある意味で危機感を煽るのにいい材料じゃないかと思ったわけなのですが、さすがにそうも単純にはいかずに未だに日本円は70円台をさ迷っております。一方、世界的にも危機感が煽られまくって実際にギリシャとかイタリアでシャレにならない事態に陥っている欧州ではユーロ安が進んでおり、ドイツなんかこのおかげかなり羽振りが良くなっていると聞きます。そのかわり周りの反発も買っているようですが……。
こうしてみると景気がいいと通貨が高くなり、悪いと安くなるというある意味では正常な市場原理が働いているようにも見えます。となると「円安に持ってきて景気がいい状態を保つ」というのは今のこの時代だと、なんだか非常に難しい高等技術なような気がしないでもありません。実際に韓国もリーマンショック後にウォン安となってこの世の春を謳歌しましたが、ウォン高になるや急にサムスンが赤字出したりとただ通貨に助けられただけで裏打ちされた経済力でないことが一部露呈しました。といっても、ヒュンダイの車はデザイン面などで下手な日本車よりいいとは思うが。
となるとじゃあどうすればいいかですが、はっきり言って今はあまりいい手があるとは思いません。強いてあげるとしたら内需を高めることでしょうがこれ以上日本の内需を高めろったって、現時点でも異常と言っていいくらいの高水準にあることを考えるとちょっと難しい気がします。それであれば行くとこまで行って一旦悪くなって、そっからまた這い上がるという老荘思想的な態度で臨んでいる方がこの際いいかもしれません。とりあえずまとめとしては、円安にしようったって好景気とはなかなかセットにならないということです。
ここは日々のニュースや事件に対して、解説なり私の意見を紹介するブログです。主に扱うのは政治ニュースや社会問題などで、私の意見に対して思うことがあれば、コメント欄にそれを残していただければ幸いです。
2011年12月5日月曜日
2011年12月3日土曜日
東條英機暗殺計画に関わった二人の柔道家
以前に東條英機の記事を書いた際にウィキペディアを閲覧したのですが、その中に書かれていた「東條英機暗殺計画」にいくらか興味を引く内容が書かれていました。
最近批判のトーンが落ちてきていますが東條英機は特高を非常によく活用して密告者やら自分を批判したメディア関係者をあの手この手で葬るなど、実質的に恐怖政治を敷いておりました。そのため彼が権力の座にある限りは批判はおろか政策提言すらできず、早くに太平洋戦争は負け戦だとわかり降伏、もしくは和議に応じるべきと考える政治家や軍人も少なからずいたものの、東條がいる間はそれらを実行するのはほぼ不可能でした。
最終的に東條はサイパン陥落の責任を取る形で首相職を辞任、とはいっても本人はまた自分の分をわきまえずにえらく抵抗したそうですが、岸信介が事実上の暗殺脅迫にも屈せず造反したことで引き摺り下ろされることとなりました。ただ彼が退陣するまで降伏主導派の中では、東條暗殺を本気で計画する人間も出ており、あの細川護煕元首相の父である細川護貞氏も宮中にいた戦時中の自身の日記にて、「もはや東條を殺すしかない」という考えを木戸幸一に伝えたところ、「滅多な事を言うべきでない」と制止されたという話が載せられています。なおこの時のことについて細川護貞氏は、「制止されて部屋を出たところ、急に恐ろしくなって膝がガクガクと震えだした」と書いています。
そうした数ある東條英機暗殺計画の一つに、ある二人の柔道家が関わった例があります。その柔道家とは牛島辰熊とその弟子である木村政彦のことですが、今の今までこの二人について何の知識も持っていなかったためにこの話を知った時に調べてみたのですが、なかなか興味深い人生をたどった柔道家であることはもとより写真を見ていろいろと非常に凄まじいインパクトを受けました。百聞は一見に如かずなので、ウィキペディアから引っ張ってきた写真を早速載せます。

牛島辰熊

木村政彦
この二人の写真を見た第一印象をありのままに述べると、「こんな奴らに命を狙われて、生き残る自信がねぇ(゚д゚;)」、というものでした。っていうか、恐すぎるだろ二人とも……。
まず件の東條英機暗殺計画についてですが、これは石原莞爾などとも交流のあった牛島辰熊と陸軍少佐の津野田知重が1944年に企図したもので青酸ガス爆弾を投げつけるという計画だったそうで、その鉄砲玉として牛島は愛弟子の木村政彦を使おうと考えていたそうです。ただ計画は実行される前にばれて牛島も津野田も憲兵隊に捕まったために未遂に終わったそうですが、何故だか処分は軽く執行猶予刑で済んでます。
そんな二人の柔道家ですがどちらも全盛期には最強と呼ばれる程の実力者で、特に木村については「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」とまで言われ、現代にいたるまで歴代最強の柔道家という呼び声も高い人物です。ただ二人とも柔道家としては不運な人生をたどっており、牛島は柔道の興隆を目指して国際柔道協会というプロ柔道団体を設立したことから、その功績からすれば最高段位である十段まで登りつめてもおかしくなかったのに九段にとどめられ、木村もこれに参加したためか七段で終わったそうです。
ただ木村は戦後、ある意味で日本初の総合格闘家に転身してブラジルでブラジリアン柔術のエリオ・グレイシーを破ったり、力道山との確執のある試合など多くのエピソードを残しています。人に歴史ありとは言いますが、一つの事件からこうしたいろんなエピソードにつながっていくのを見るたびに歴史に面白味を感じます。
最近批判のトーンが落ちてきていますが東條英機は特高を非常によく活用して密告者やら自分を批判したメディア関係者をあの手この手で葬るなど、実質的に恐怖政治を敷いておりました。そのため彼が権力の座にある限りは批判はおろか政策提言すらできず、早くに太平洋戦争は負け戦だとわかり降伏、もしくは和議に応じるべきと考える政治家や軍人も少なからずいたものの、東條がいる間はそれらを実行するのはほぼ不可能でした。
最終的に東條はサイパン陥落の責任を取る形で首相職を辞任、とはいっても本人はまた自分の分をわきまえずにえらく抵抗したそうですが、岸信介が事実上の暗殺脅迫にも屈せず造反したことで引き摺り下ろされることとなりました。ただ彼が退陣するまで降伏主導派の中では、東條暗殺を本気で計画する人間も出ており、あの細川護煕元首相の父である細川護貞氏も宮中にいた戦時中の自身の日記にて、「もはや東條を殺すしかない」という考えを木戸幸一に伝えたところ、「滅多な事を言うべきでない」と制止されたという話が載せられています。なおこの時のことについて細川護貞氏は、「制止されて部屋を出たところ、急に恐ろしくなって膝がガクガクと震えだした」と書いています。
そうした数ある東條英機暗殺計画の一つに、ある二人の柔道家が関わった例があります。その柔道家とは牛島辰熊とその弟子である木村政彦のことですが、今の今までこの二人について何の知識も持っていなかったためにこの話を知った時に調べてみたのですが、なかなか興味深い人生をたどった柔道家であることはもとより写真を見ていろいろと非常に凄まじいインパクトを受けました。百聞は一見に如かずなので、ウィキペディアから引っ張ってきた写真を早速載せます。

牛島辰熊

木村政彦
この二人の写真を見た第一印象をありのままに述べると、「こんな奴らに命を狙われて、生き残る自信がねぇ(゚д゚;)」、というものでした。っていうか、恐すぎるだろ二人とも……。
まず件の東條英機暗殺計画についてですが、これは石原莞爾などとも交流のあった牛島辰熊と陸軍少佐の津野田知重が1944年に企図したもので青酸ガス爆弾を投げつけるという計画だったそうで、その鉄砲玉として牛島は愛弟子の木村政彦を使おうと考えていたそうです。ただ計画は実行される前にばれて牛島も津野田も憲兵隊に捕まったために未遂に終わったそうですが、何故だか処分は軽く執行猶予刑で済んでます。
そんな二人の柔道家ですがどちらも全盛期には最強と呼ばれる程の実力者で、特に木村については「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」とまで言われ、現代にいたるまで歴代最強の柔道家という呼び声も高い人物です。ただ二人とも柔道家としては不運な人生をたどっており、牛島は柔道の興隆を目指して国際柔道協会というプロ柔道団体を設立したことから、その功績からすれば最高段位である十段まで登りつめてもおかしくなかったのに九段にとどめられ、木村もこれに参加したためか七段で終わったそうです。
ただ木村は戦後、ある意味で日本初の総合格闘家に転身してブラジルでブラジリアン柔術のエリオ・グレイシーを破ったり、力道山との確執のある試合など多くのエピソードを残しています。人に歴史ありとは言いますが、一つの事件からこうしたいろんなエピソードにつながっていくのを見るたびに歴史に面白味を感じます。
2011年11月30日水曜日
日本に影響を残した外国人~シーボルト
シーボルトとくれば例のシーボルト事件で有名ですが、意外にもこの人単体で取り上げられることはあまり多くないような気がします。
・フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(Wikipedia)
まず敢えて先にシーボルト事件についてさらりと説明しますが、この事件は鎖国がされていた江戸時代中期に長崎の出島に来ていたシーボルトが、帰国の際に国防上で重要なことから持出し禁止、というかほとんどの人に対して閲覧禁止となっていた日本地図を持ち出そうとしたことがばれ、当時の幕府天文方・書物奉行の高橋景保らなどが処分され、シーボルト本人も再入国禁止となった事件のことを指しております。
上記の事件の流れからすれば一見シーボルトはオランダ人のように見えますが、何を隠そう彼は生粋のゲルマン民族ことドイツ人です。当時の日本はオランダ以外とは通商をしていなかったためにオランダ人以外が日本に上陸することは本来ありえないことなのですが、なんとシーボルトはドイツ人でありながらオランダの許可を得て、オランダ人のなりすまして日本にやってきていました。
一体何故そこまでして日本に来たかったのかは本人に聞く以外は多分ないでしょうが、こうした特殊ないきさつからシーボルトというのは日本を視察するためにドイツ(地域はヴュルツブルク)から送られてきたスパイだったのではないかという説もあるくらいです。ただシーボルトスパイ説に対して私は、当時神聖ローマ帝国だったドイツが遥か彼方の東洋の一国である日本にまでスパイを送る理由があるとは思えず、ただ単にシーボルト自身が東洋に対して強い興味があったから来ただけなんじゃないかと考えています。
そんな不可解な経緯でもって日本にやってきたシーボルトですが、母国ドイツで大学出の医者だっただけに長崎で大活躍し、高野長英を初めとした後の幕末時代に活躍する蘭学者を数多く育成したほか、現地女性の楠本滝との間に一人娘までもうけました。しかし1828年に帰国する際に高橋景保から贈られた日本地図が見つかり(見つかった経緯については台風による座礁など諸説ある)、処刑こそ免れたものの国外追放処分を受けることとなります。
なおこの時に持ち出そうとした地図ですが、何を隠そうあの伊能忠敬が作った大日本沿海輿地全図の縮図でした。恐らくシーボルト事件の際に渡った縮図は没収されたでしょうが、既にコピーか何かを作っていたのかシーボルトはオランダに帰国してからこの地図をヨーロッパで刊行しており、日本を開国させたマシュー・ペリーにも提供しております。ペリーはそのコピーのコピーともいえる地図を持って日本にやってきたわけですが、実際に一部海岸とその地図を照らし合わせてみると距離などがピタリと一致しており、たかが土民国家とでもなめていたのもあるでしょうがその測量技術の高さに目を見張ったと言われております。
話はシーボルトに戻しますが、帰国後はオランダで働き続けていましたが前述のペリーによって日本が開国されて外国人も出入りできるようになった後、シーボルト事件から実に31年後の1859年に再び日本の地を踏み、日蘭交渉の場などで活躍したとされます。その後はドイツに戻り1866年に70歳で死去しました。
このようにシーボルトは幕末における蘭学者の育成にとどまらず開国に至る過程で重要なキーパーソン役を果たしており、日本に与えた影響は果てしなく大きな人物です。また彼のみならず彼の娘の楠本イネ、またシーボルト事件の後にオランダで設けた長男二男のアレクサンダー・フォン・シーボルトとハインリッヒ・フォン・シーボルトら親族は明治期の日本に外交や研究分野で活躍しており、彼がいたかいないかでは間違いなく日本の歴史は変わっているでしょう。
最後に若き頃のシーボルトのエピソードを紹介しますが、なんか喧嘩っ早い性格だったらしくて、大学在学中になんと33回も決闘をしていたそうです。ガンダムファイターじゃないんだから、そこまでしなくともという気がします。
・フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(Wikipedia)
まず敢えて先にシーボルト事件についてさらりと説明しますが、この事件は鎖国がされていた江戸時代中期に長崎の出島に来ていたシーボルトが、帰国の際に国防上で重要なことから持出し禁止、というかほとんどの人に対して閲覧禁止となっていた日本地図を持ち出そうとしたことがばれ、当時の幕府天文方・書物奉行の高橋景保らなどが処分され、シーボルト本人も再入国禁止となった事件のことを指しております。
上記の事件の流れからすれば一見シーボルトはオランダ人のように見えますが、何を隠そう彼は生粋のゲルマン民族ことドイツ人です。当時の日本はオランダ以外とは通商をしていなかったためにオランダ人以外が日本に上陸することは本来ありえないことなのですが、なんとシーボルトはドイツ人でありながらオランダの許可を得て、オランダ人のなりすまして日本にやってきていました。
一体何故そこまでして日本に来たかったのかは本人に聞く以外は多分ないでしょうが、こうした特殊ないきさつからシーボルトというのは日本を視察するためにドイツ(地域はヴュルツブルク)から送られてきたスパイだったのではないかという説もあるくらいです。ただシーボルトスパイ説に対して私は、当時神聖ローマ帝国だったドイツが遥か彼方の東洋の一国である日本にまでスパイを送る理由があるとは思えず、ただ単にシーボルト自身が東洋に対して強い興味があったから来ただけなんじゃないかと考えています。
そんな不可解な経緯でもって日本にやってきたシーボルトですが、母国ドイツで大学出の医者だっただけに長崎で大活躍し、高野長英を初めとした後の幕末時代に活躍する蘭学者を数多く育成したほか、現地女性の楠本滝との間に一人娘までもうけました。しかし1828年に帰国する際に高橋景保から贈られた日本地図が見つかり(見つかった経緯については台風による座礁など諸説ある)、処刑こそ免れたものの国外追放処分を受けることとなります。
なおこの時に持ち出そうとした地図ですが、何を隠そうあの伊能忠敬が作った大日本沿海輿地全図の縮図でした。恐らくシーボルト事件の際に渡った縮図は没収されたでしょうが、既にコピーか何かを作っていたのかシーボルトはオランダに帰国してからこの地図をヨーロッパで刊行しており、日本を開国させたマシュー・ペリーにも提供しております。ペリーはそのコピーのコピーともいえる地図を持って日本にやってきたわけですが、実際に一部海岸とその地図を照らし合わせてみると距離などがピタリと一致しており、たかが土民国家とでもなめていたのもあるでしょうがその測量技術の高さに目を見張ったと言われております。
話はシーボルトに戻しますが、帰国後はオランダで働き続けていましたが前述のペリーによって日本が開国されて外国人も出入りできるようになった後、シーボルト事件から実に31年後の1859年に再び日本の地を踏み、日蘭交渉の場などで活躍したとされます。その後はドイツに戻り1866年に70歳で死去しました。
このようにシーボルトは幕末における蘭学者の育成にとどまらず開国に至る過程で重要なキーパーソン役を果たしており、日本に与えた影響は果てしなく大きな人物です。また彼のみならず彼の娘の楠本イネ、またシーボルト事件の後にオランダで設けた長男二男のアレクサンダー・フォン・シーボルトとハインリッヒ・フォン・シーボルトら親族は明治期の日本に外交や研究分野で活躍しており、彼がいたかいないかでは間違いなく日本の歴史は変わっているでしょう。
最後に若き頃のシーボルトのエピソードを紹介しますが、なんか喧嘩っ早い性格だったらしくて、大学在学中になんと33回も決闘をしていたそうです。ガンダムファイターじゃないんだから、そこまでしなくともという気がします。
2011年11月29日火曜日
なかなか進まないオリンパス騒動について
またもオリンパス騒動についてです。自分でもしつこいかなと思うのでこれまで見送ってきましたが、今日は香港現地紙が一斉にこの問題をまた取り上げたので自分も取り上げることにしました。
まずいきなりですが、どうもロイターが流したのをみんなが取り上げたそうですが、今回の一件がばれるきっかけとなった企業買収でアドバイザーとして報酬を受け取った、ある意味黒幕ともいえる日本人はどうも香港に潜伏しているそうです。もともとこちらに住居を構えていたようで大まかな住所ももう報じられていますが、記者が訪問しても現在は特に返事がないそうです。
こうした新情報を受けてどの新聞もまたぞろ特集を組んだわけですが、またも登場のサウスチャイナモーニングポストでは大きく紙面を取って「邪悪を見逃す日本」という見出しでなかなか全容が明らかとならない日本の捜査を暗に批判し、「Domestic」と締めくくっております。曰く、ウッドフォード元社長がオリンパスが不正を行っていると発表したにもかかわらず、日本メディアは当初はこれを完全に黙殺し、騒ぐ外国メディアを尻目に発表から四日目になって取り上げたと指摘。また明るみに出てから2カ月が経っているにもかかわらず日本の捜査機関もまだ全容を解明しないなど、どうも社会ぐるみで同族をかばいだてしているようだと批判しています。
しかもこの新聞がなかなか手厳しいのは、かつてのあの朝青龍騒動を引き合いに出していることです。朝青龍が暴行事件を起こした際に日本メディアは一斉に彼を叩いて引退に追い込んだと淡々と書いて、このオリンパス騒動と対比させています。朝青龍が引退することになったのは事件性から言っても私も当然だとは思うものの、あの時の朝青龍批判と今のオリンパス批判とでは熱の差が大きくあることには同意です。
またこれまで敢えて黙っていましたが、今月初旬に各メディアでは「オリンパス、上場維持の公算強まる」という見出しの記事が一斉に流れましたが、率直に言うとこの報道を見て私は非常に腹立たしく感じました。というのもまだ事件の全容がほとんど明らかになっておらず、流出した資金が一体どこをどのように流れたのか、黒社会に流れていないのかもわかっていない段階で一体何を以って上場維持と言い切れるのか。しかも全部わかりきっている癖になかなか捜査に協力せず全容を明らかにしない現オリンパス経営陣を見ておきながら、日系メディアはこんな連中をのさばらしていいと本当に思っているのか、上場を維持させていいと思っているのかと強い憤りを覚えました。
もう言う必要もないかと思いますが、私はオリンパスが上場を維持するのは反対です。仮にすぐにでもオリンパスが捜査に協力した上で経営陣が退陣することをはっきりと言明したのであればともかく、どうもまだしぶとく抵抗しているのを見る限りだとまだ爆弾級の情報を隠しているんじゃないかという気がしてならないからです。それこそ外国メディアで流れているように、ヤクザとかに金を流したとか。
繰り返しになりますがこの件に関する日系メディアの報道、捜査機関の手ぬるさにもイライラしてしょうがないです。いつまでも同じこと報じてもつまらないというのはわかりますが、まだ何もわかってない段階なのだからもっとしつこく追いかけたりはしないのか、多少汚い言葉使ってもいいんだからもっと批判するべきじゃないでしょうか。
自分はメディアというものは別に権力にすり寄ろうが何しようが好きにしたっていいと思います。その権力者が善人であるのであれば。
逆に悪人については権力者であろうとなかろうとすり寄るのは間違いだと思っており、よくマスコミは反権力だ、社会の木鐸だなどと自己主張しますがそういう議論の前に良識を築く努力をしたらと、このオリンパス騒動を見ていてよく思います。
まずいきなりですが、どうもロイターが流したのをみんなが取り上げたそうですが、今回の一件がばれるきっかけとなった企業買収でアドバイザーとして報酬を受け取った、ある意味黒幕ともいえる日本人はどうも香港に潜伏しているそうです。もともとこちらに住居を構えていたようで大まかな住所ももう報じられていますが、記者が訪問しても現在は特に返事がないそうです。
こうした新情報を受けてどの新聞もまたぞろ特集を組んだわけですが、またも登場のサウスチャイナモーニングポストでは大きく紙面を取って「邪悪を見逃す日本」という見出しでなかなか全容が明らかとならない日本の捜査を暗に批判し、「Domestic」と締めくくっております。曰く、ウッドフォード元社長がオリンパスが不正を行っていると発表したにもかかわらず、日本メディアは当初はこれを完全に黙殺し、騒ぐ外国メディアを尻目に発表から四日目になって取り上げたと指摘。また明るみに出てから2カ月が経っているにもかかわらず日本の捜査機関もまだ全容を解明しないなど、どうも社会ぐるみで同族をかばいだてしているようだと批判しています。
しかもこの新聞がなかなか手厳しいのは、かつてのあの朝青龍騒動を引き合いに出していることです。朝青龍が暴行事件を起こした際に日本メディアは一斉に彼を叩いて引退に追い込んだと淡々と書いて、このオリンパス騒動と対比させています。朝青龍が引退することになったのは事件性から言っても私も当然だとは思うものの、あの時の朝青龍批判と今のオリンパス批判とでは熱の差が大きくあることには同意です。
またこれまで敢えて黙っていましたが、今月初旬に各メディアでは「オリンパス、上場維持の公算強まる」という見出しの記事が一斉に流れましたが、率直に言うとこの報道を見て私は非常に腹立たしく感じました。というのもまだ事件の全容がほとんど明らかになっておらず、流出した資金が一体どこをどのように流れたのか、黒社会に流れていないのかもわかっていない段階で一体何を以って上場維持と言い切れるのか。しかも全部わかりきっている癖になかなか捜査に協力せず全容を明らかにしない現オリンパス経営陣を見ておきながら、日系メディアはこんな連中をのさばらしていいと本当に思っているのか、上場を維持させていいと思っているのかと強い憤りを覚えました。
もう言う必要もないかと思いますが、私はオリンパスが上場を維持するのは反対です。仮にすぐにでもオリンパスが捜査に協力した上で経営陣が退陣することをはっきりと言明したのであればともかく、どうもまだしぶとく抵抗しているのを見る限りだとまだ爆弾級の情報を隠しているんじゃないかという気がしてならないからです。それこそ外国メディアで流れているように、ヤクザとかに金を流したとか。
繰り返しになりますがこの件に関する日系メディアの報道、捜査機関の手ぬるさにもイライラしてしょうがないです。いつまでも同じこと報じてもつまらないというのはわかりますが、まだ何もわかってない段階なのだからもっとしつこく追いかけたりはしないのか、多少汚い言葉使ってもいいんだからもっと批判するべきじゃないでしょうか。
自分はメディアというものは別に権力にすり寄ろうが何しようが好きにしたっていいと思います。その権力者が善人であるのであれば。
逆に悪人については権力者であろうとなかろうとすり寄るのは間違いだと思っており、よくマスコミは反権力だ、社会の木鐸だなどと自己主張しますがそういう議論の前に良識を築く努力をしたらと、このオリンパス騒動を見ていてよく思います。
2011年11月27日日曜日
オリンピアンシティのクリスマスイルミネーション
先日、会社で記事を翻訳して書きながら、ちょっと興味を持った場所が出来たので昨日行ってきました。

昨日行ってきたのは西九龍にあるオリンピアンシティというショッピングモールです。一体何故こんなところに買い物するわけでもないのに来ようと思ったのは、上の写真に写っている猫(?)の飾りがすごい気になったからです。
・猫室~Postgal workshop
上の写真の飾りのモチーフとなっているキャラクターは、香港のアニメ会社「猫室」が作ったティントン(ding dong)というキャラです。このキャラクターの特徴を公式サイトに書かれている通りに列記すると、
・自らの耳に絆創膏を貼りたがる猫
・ウエストバッグにゴミばかり集めて詰め込んでいる
・いつも前向き
だそうです。ちなみに登場するほかの人間キャラクターの中にはメガネをかけた気弱そうな少年、っていうか明らかにのび太っぽいキャラクターがいるので、ゴミが入っているウエストバッグといい多かれ少なかれドラえもんの影響を受けたキャラクターでしょう。


そんなティントンが今年、オリンピアンシティのクリスマスイルミネーションに採用された(ほかはトイ・ストーリーとか)という記事をこの前書いていたわけですが、このやる気のなさそうなキャラクターが妙に印象に残ったので、ちょっと見に行こうと思ったわけです。暇だったというのが一番の理由ではありますが。ちなみにその記事を書いている際にこの猫室について予備知識を入れようとネットで「香港 猫室」と検索かけたら、自分のブログ記事がヒットしてちょっとビビりました。





もともと香港は土地柄かクリスマスイルミネーションにはなかなかこだわる場所だそうで、この頃はデパートやショッピングセンターなどで様々な趣向を凝らした取り組みがなされています。その飾り付けのセンスも素人の自分が言うのもはばかりますが、なかなかセンスが良くて見ていてそんなに悪い気がしません。逆に中国本土の北京や上海のこういった飾り付けはもうちょっと真面目にやれよと言いたくなるくらいいい加減なものが多く、店頭に張られるサンタのステッカーも3月くらいまで貼られたままになっていることもざらです。


オリンピアンシティの外には高さ20メートルくらいの上記のツリーも作られていました。多分これもクリスマス終えたら取り壊すんだろうな、ちょっともったいない。
ちなみにこの日、最近すっかり遠ざかっていることから出汁の効いたうどんかそばをやけに食いたがっていたところ、たまたまショッピングセンター内でそれらを扱っている店を見つけました。店はうどんとそばでそれぞれ分かれていて悩んだ挙句にそばのお店に入って食べましたが、そこのお店のそばは確かにうまかったものの絶望的なまでに量が少なく、全然食べたりなかったので店出た直後にうどん屋にはしごしました。やはり日本人は醤油、つゆ系の味が途絶えるとおかしくなるんだなと自覚した一日でした。

昨日行ってきたのは西九龍にあるオリンピアンシティというショッピングモールです。一体何故こんなところに買い物するわけでもないのに来ようと思ったのは、上の写真に写っている猫(?)の飾りがすごい気になったからです。
・猫室~Postgal workshop
上の写真の飾りのモチーフとなっているキャラクターは、香港のアニメ会社「猫室」が作ったティントン(ding dong)というキャラです。このキャラクターの特徴を公式サイトに書かれている通りに列記すると、
・自らの耳に絆創膏を貼りたがる猫
・ウエストバッグにゴミばかり集めて詰め込んでいる
・いつも前向き
だそうです。ちなみに登場するほかの人間キャラクターの中にはメガネをかけた気弱そうな少年、っていうか明らかにのび太っぽいキャラクターがいるので、ゴミが入っているウエストバッグといい多かれ少なかれドラえもんの影響を受けたキャラクターでしょう。


そんなティントンが今年、オリンピアンシティのクリスマスイルミネーションに採用された(ほかはトイ・ストーリーとか)という記事をこの前書いていたわけですが、このやる気のなさそうなキャラクターが妙に印象に残ったので、ちょっと見に行こうと思ったわけです。暇だったというのが一番の理由ではありますが。ちなみにその記事を書いている際にこの猫室について予備知識を入れようとネットで「香港 猫室」と検索かけたら、自分のブログ記事がヒットしてちょっとビビりました。





もともと香港は土地柄かクリスマスイルミネーションにはなかなかこだわる場所だそうで、この頃はデパートやショッピングセンターなどで様々な趣向を凝らした取り組みがなされています。その飾り付けのセンスも素人の自分が言うのもはばかりますが、なかなかセンスが良くて見ていてそんなに悪い気がしません。逆に中国本土の北京や上海のこういった飾り付けはもうちょっと真面目にやれよと言いたくなるくらいいい加減なものが多く、店頭に張られるサンタのステッカーも3月くらいまで貼られたままになっていることもざらです。


オリンピアンシティの外には高さ20メートルくらいの上記のツリーも作られていました。多分これもクリスマス終えたら取り壊すんだろうな、ちょっともったいない。
ちなみにこの日、最近すっかり遠ざかっていることから出汁の効いたうどんかそばをやけに食いたがっていたところ、たまたまショッピングセンター内でそれらを扱っている店を見つけました。店はうどんとそばでそれぞれ分かれていて悩んだ挙句にそばのお店に入って食べましたが、そこのお店のそばは確かにうまかったものの絶望的なまでに量が少なく、全然食べたりなかったので店出た直後にうどん屋にはしごしました。やはり日本人は醤油、つゆ系の味が途絶えるとおかしくなるんだなと自覚した一日でした。

大阪ダブル選の結果について
既にあちこちで報じられているので皆さんも聞いているかと思いますが、本日行われた大阪府知事、市長選挙にて維新の会所属の橋下氏、松井氏が揃って当選しました。この選挙に対する私の感想はというと、ここまで結果が先に見えていた選挙もそうそうないという一言に尽きます。
日本国内の報道を見ていないのであまり詳細な検証をしたわけではないのですが、今回の大阪市長選での橋下氏の主張は府と市で重複している仕事を整理、単一化して無駄を省くということと、それらを統合して法制度化していくいわゆる「大阪都構想」でしたが、対する平松氏の主張は聞いてて私は何も覚えることがありませんでした。はっきり言ってしまえば橋下氏に対して「独裁だ」などといってネガティブキャンペーンをしていただけに過ぎず、これという政策提言が何もなかったことが全く支持を得られなかったのじゃないでしょうか。
ちなみにちょうど一ヶ月くらい前に新聞各社が予備調査を実施していましたが、朝日が「橋下氏がリード」と報じたのに対し、読売は「両者五分五分」と発表していました。読売新聞はかねてから橋下氏に対して批判的な論調にもかかわらず「五分五分」と表現せざるを得なかったことを考えると、一か月前の時点で相当部分で決着がついていたのでしょう。
それにしても平松氏側はこれで本当に選挙を戦っているつもりだったのでしょうか。あまり馬鹿にしすぎるのもなんですがかつての武部幹事長時代の自民党の選挙を彷彿させるくらいに笑っちゃうくらいの稚拙な選挙戦略で、これではただ徒労をかけに行ったようにしか見えません。これは自民党の政治家にも言えますが、昔と今とで選挙のやり方も大分変っているにもかかわらず未だにそれに気づけない人間がやや多すぎます。もっともそれは敵失ことスキャンダルを頼みにする民主党にも同じことが言えますが。
日本国内の報道を見ていないのであまり詳細な検証をしたわけではないのですが、今回の大阪市長選での橋下氏の主張は府と市で重複している仕事を整理、単一化して無駄を省くということと、それらを統合して法制度化していくいわゆる「大阪都構想」でしたが、対する平松氏の主張は聞いてて私は何も覚えることがありませんでした。はっきり言ってしまえば橋下氏に対して「独裁だ」などといってネガティブキャンペーンをしていただけに過ぎず、これという政策提言が何もなかったことが全く支持を得られなかったのじゃないでしょうか。
ちなみにちょうど一ヶ月くらい前に新聞各社が予備調査を実施していましたが、朝日が「橋下氏がリード」と報じたのに対し、読売は「両者五分五分」と発表していました。読売新聞はかねてから橋下氏に対して批判的な論調にもかかわらず「五分五分」と表現せざるを得なかったことを考えると、一か月前の時点で相当部分で決着がついていたのでしょう。
それにしても平松氏側はこれで本当に選挙を戦っているつもりだったのでしょうか。あまり馬鹿にしすぎるのもなんですがかつての武部幹事長時代の自民党の選挙を彷彿させるくらいに笑っちゃうくらいの稚拙な選挙戦略で、これではただ徒労をかけに行ったようにしか見えません。これは自民党の政治家にも言えますが、昔と今とで選挙のやり方も大分変っているにもかかわらず未だにそれに気づけない人間がやや多すぎます。もっともそれは敵失ことスキャンダルを頼みにする民主党にも同じことが言えますが。
2011年11月26日土曜日
中国バブル崩壊を喜んで報じる日系メディア
前回記事で私は、経済記事というのは景気のいい話より悪い話のが書きやすく、読者も記者も少なからず景気の悪い話を追おうとする傾向があるのではと言及しました。その上で私は、それが真実ならまだしも景気がいい状態が続いているにもかかわらず敢えて悪いように報じるメディアがあると指摘し、その代表格として根拠もなく中国経済崩壊論を日系メディアはやたら報じたがる傾向があるのではと主張しました。そこで今回はあちこちで叫ばれている中国経済崩壊論を一つ一つ取り上げて、それが実態からかけ離れた報道であるとあくまで私が感じる根拠を紹介していこうかと思います。
1、上海で住宅価格が下落を始めた→住宅バブル崩壊がとうとう始まった
今現在で一番多い中国バブル崩壊論はこれですが、真面目にこのように書く記者は今からでも遅くはないのだし、もう一回大学に入りなおした方がいいのではないかと私は思います。
まず現況から説明しますが、上海をはじめとして北京、天津といった一級都市では今年8月くらいから確かに新築住宅価格が下がり始めております。また上海市に限れば確か4月くらいから中古住宅価格も下がっております。そういう意味では最初の「住宅価格が下落を始めた」というのは間違いではありませんが、それが即バブル崩壊につながると考えるのは愚の極みとしか言いようがありません。仮にその通りであれば、日本もリーマンショック以降は住宅価格が下がっていることをバブル崩壊と言えるのでしょうか。
この住宅価格下落は何が見極めのポイントなのかというと、これが意図した下落なのか意図していない下落なのかです。結論を言えばこれは意図した下落であって、加熱する景気の引き締めを図るために中国政府は3月の全人代以降、あの手この手で住宅価格の上昇に歯止めをかけようと方策を打っております。一番代表的なのは「保障房」という低所得者向け公営住宅の建築で、具体的な金額は忘れましたが現在中国全土で建築が進められており、不動産業界ではこの住宅の公募価格と購入資格者(年収に上限が定められている)の人口がどれくらいになるのかで新築住宅相場の綱引きが行われております。
このほかの抑制策としては、・特段の理由のない2軒目以上の住宅購入の禁止・外部戸籍者の住宅購入に条件を設ける・購入後、一定期間の転売の禁止などがあちこちで設けられています。
そもそも何故中国政府は住宅価格を下落させようとするのかですが、単純に高所得者が居住目的ではなく投資目的として住宅を購入するケースが増えており、低所得者が居住目的に買おうと思っても買えないという社会問題の発生に加え、実態からかけ離れた価格上昇が続いているからです。言ってしまえばこれを放置して実態から大きくかけ離れたところまで高騰し、後になって抑制をかけようとして急落させての業界も巻き込んで大混乱となったのが日本のバブル崩壊です。そういう意味では中国が今現在に実施している住宅価格の抑制というのは、日本がやるべきだったにもかかわらずやらなかったことをやっているということにほかならず、経済原則からみてもなんらおかしなことではありません。そういう意図をもって下落を誘導しているのであって、やろうと思えばまた上昇に転じさせることなぞ造作もないでしょう。今やっている制限を取っ払えばいいだけの話ですし。
むしろ逆に、住宅価格が高騰し続けることの方が中国経済にとっては危険です。今現在ですら実態需要以上の価格で取引されていることが多く、放置すればそれこそ日本のバブル崩壊の二の枚を演じるだけに気が抜けない状態です。あと最後にもう一つ付け加えておくと、確かに住宅価格は北京や上海では下がっているものの、オフィスビルの賃料は高騰が続いています。これをどう解くかはそれこそ住宅価格だけを挙げつらって「中国経済はもう終わりだヽ(゚∀゚)ノ」と叫ぶ記者に直接聞いてみたいのですが解答を書いてしまうと、購入制限のかかっている住宅では下落に転じたものの、未だに不動産投資の過熱は続いているということです。まぁ外資企業の進出が続いているなど需要が依然高いことも背景にはありますが。
あとさらにもう一つ付け加えると、北京や上海といった1級都市では住宅価格の下落が起こってますが、地方都市ではまだ高騰が続いています。政府もこの点を考慮しており、8月には2級都市でも住宅抑制策が実施され始めるなど対策が急がれています。まだまだ引き締めに気が抜けないってことです。
2、自動車販売台数の伸び幅が落ちてきた→バブル崩壊だ!
これはもう名指しで批判すると、日経新聞です。
今年4月の中国の自動車販売台数は前年同月比0.3%減と約2年ぶりにマイナスに転じたのですが、この情報が出るや日経新聞は「それ見たことか('∀`) 」とばかりに中国経済に陰りが見えてきたなど徹底的にこき下ろす記事を書いてきました。ただ実はこの統計には裏があって、日経新聞内では誰も執筆した記者にそれを教えてあげなかったんだなと社内で同情論が出ていました。
その「統計の裏」というのも、昨年に中国政府が実施していた自動車購入補助策です。日本で実施していたのと同様に、中国でも昨年は低燃費車を対象に一部代金を国が肩代わりする自動車購入補助が実施されて販売台数が爆発的に増加していっていました。ただこの補助策は今年になって打ち切られており、ある意味では減少に転じたのはごく自然な成り行きで、むしろ0.3%の微減にとどまっている事に注目すべきだったでしょう。日本なんてエコカー減税、エコポイントが終わるやすぐに大幅なマイナスに転じ、地デジ切り替え後のテレビの販売台数も急減したのに。
ちなみにその後の自動車販売台数の推移ですが、5月も前年同月比でマイナスとなりましたが6月からはまた増加に転じており、1~10月期では3.2%増となっていて多分今年は年間でもプラスで終わるでしょう。さらに販売台数の内訳をみると、購入補助の対象だったコンパクトカーでは落ち込みが激しいものの中~高級セダンの売り上げは増加が続いております。利幅で言えば後者のが大きいに決まっております。日系メーカーの中ではトヨタ、ホンダのシェアがこのところ落ちていますが、唯一日産だけが伸びが続いております。この背景には中~高級セダンと高級SUVの分野で日産のラインナップが強いからではないかと私は見ています。
3、日本からの建機の輸入が大幅に減ってきた→バブルが終わった!
建機というのはクレーンやシャベルカーといった建設に使う重機のことですが、今年に入って日本から中国への建機輸出が大幅に減ってきております。分析の仕方によってはこれまで北京オリンピック、上海万博といった大型イベントが終わって公共工事が減ってきているのではないかと見ることもできて極端に的外れではないものの、実態的にはこうした見方はやはり間違っているのではないかと私は見ています。では何故減っているのかというと、単純に中国が建機を輸入するまでもなく、自分たちでいくらでも作れるようになったからです。
あまり日系メディアで見ることはありませんが、三一重工や徐工機械といった中国系建機メーカーらはかなり力をつけてきております。精密な動作や特殊な用途に用いられる建機であればまだ日系メーカーにも分がありますが、一般的な建機においては中国メーカー製と比べてもはや技術力にほとんど差がないと言われております。その上で価格を加味すると中国製の方が競争力が高いと外国メディアも報じており、私自身もそう思っております。
ちなみに上記2社ですが、中国にとどまらず南米や中東地域にも旺盛に進出しており、海外工場もびっくりするくらい持ってたりします。あまり日本からは注目されない企業ですが名前を覚えておいても損はない気がします。
そんなわけで建機輸入量が落ちているからと言って中国経済が弱っているわけではないとはっきり言えるのですが、公共工事についてはちょっと暗雲が垂れ込めているのは事実です。というのも先の国家イベントが終わって急激な落ち込みが中国でも予想されていましたが、そのテコ入れとして中国政府は高速鉄道の開発で補おうとしていました。事実今年の前半まではとんでもない額が投入されていたのですが7月に温州で起きた高速鉄道事故以降は一転して開発投資に急ブレーキがかかり、予定していた工事が始められず受注していた建設業者らの間でお金が回らなくなってきていると報じられております。政府としてはこれを機に今まで関東軍のように振る舞っていた鉄道部を叩く算段でしょうから、もうしばらくは混乱が続くとみております。
1、上海で住宅価格が下落を始めた→住宅バブル崩壊がとうとう始まった
今現在で一番多い中国バブル崩壊論はこれですが、真面目にこのように書く記者は今からでも遅くはないのだし、もう一回大学に入りなおした方がいいのではないかと私は思います。
まず現況から説明しますが、上海をはじめとして北京、天津といった一級都市では今年8月くらいから確かに新築住宅価格が下がり始めております。また上海市に限れば確か4月くらいから中古住宅価格も下がっております。そういう意味では最初の「住宅価格が下落を始めた」というのは間違いではありませんが、それが即バブル崩壊につながると考えるのは愚の極みとしか言いようがありません。仮にその通りであれば、日本もリーマンショック以降は住宅価格が下がっていることをバブル崩壊と言えるのでしょうか。
この住宅価格下落は何が見極めのポイントなのかというと、これが意図した下落なのか意図していない下落なのかです。結論を言えばこれは意図した下落であって、加熱する景気の引き締めを図るために中国政府は3月の全人代以降、あの手この手で住宅価格の上昇に歯止めをかけようと方策を打っております。一番代表的なのは「保障房」という低所得者向け公営住宅の建築で、具体的な金額は忘れましたが現在中国全土で建築が進められており、不動産業界ではこの住宅の公募価格と購入資格者(年収に上限が定められている)の人口がどれくらいになるのかで新築住宅相場の綱引きが行われております。
このほかの抑制策としては、・特段の理由のない2軒目以上の住宅購入の禁止・外部戸籍者の住宅購入に条件を設ける・購入後、一定期間の転売の禁止などがあちこちで設けられています。
そもそも何故中国政府は住宅価格を下落させようとするのかですが、単純に高所得者が居住目的ではなく投資目的として住宅を購入するケースが増えており、低所得者が居住目的に買おうと思っても買えないという社会問題の発生に加え、実態からかけ離れた価格上昇が続いているからです。言ってしまえばこれを放置して実態から大きくかけ離れたところまで高騰し、後になって抑制をかけようとして急落させての業界も巻き込んで大混乱となったのが日本のバブル崩壊です。そういう意味では中国が今現在に実施している住宅価格の抑制というのは、日本がやるべきだったにもかかわらずやらなかったことをやっているということにほかならず、経済原則からみてもなんらおかしなことではありません。そういう意図をもって下落を誘導しているのであって、やろうと思えばまた上昇に転じさせることなぞ造作もないでしょう。今やっている制限を取っ払えばいいだけの話ですし。
むしろ逆に、住宅価格が高騰し続けることの方が中国経済にとっては危険です。今現在ですら実態需要以上の価格で取引されていることが多く、放置すればそれこそ日本のバブル崩壊の二の枚を演じるだけに気が抜けない状態です。あと最後にもう一つ付け加えておくと、確かに住宅価格は北京や上海では下がっているものの、オフィスビルの賃料は高騰が続いています。これをどう解くかはそれこそ住宅価格だけを挙げつらって「中国経済はもう終わりだヽ(゚∀゚)ノ」と叫ぶ記者に直接聞いてみたいのですが解答を書いてしまうと、購入制限のかかっている住宅では下落に転じたものの、未だに不動産投資の過熱は続いているということです。まぁ外資企業の進出が続いているなど需要が依然高いことも背景にはありますが。
あとさらにもう一つ付け加えると、北京や上海といった1級都市では住宅価格の下落が起こってますが、地方都市ではまだ高騰が続いています。政府もこの点を考慮しており、8月には2級都市でも住宅抑制策が実施され始めるなど対策が急がれています。まだまだ引き締めに気が抜けないってことです。
2、自動車販売台数の伸び幅が落ちてきた→バブル崩壊だ!
これはもう名指しで批判すると、日経新聞です。
今年4月の中国の自動車販売台数は前年同月比0.3%減と約2年ぶりにマイナスに転じたのですが、この情報が出るや日経新聞は「それ見たことか('∀`) 」とばかりに中国経済に陰りが見えてきたなど徹底的にこき下ろす記事を書いてきました。ただ実はこの統計には裏があって、日経新聞内では誰も執筆した記者にそれを教えてあげなかったんだなと社内で同情論が出ていました。
その「統計の裏」というのも、昨年に中国政府が実施していた自動車購入補助策です。日本で実施していたのと同様に、中国でも昨年は低燃費車を対象に一部代金を国が肩代わりする自動車購入補助が実施されて販売台数が爆発的に増加していっていました。ただこの補助策は今年になって打ち切られており、ある意味では減少に転じたのはごく自然な成り行きで、むしろ0.3%の微減にとどまっている事に注目すべきだったでしょう。日本なんてエコカー減税、エコポイントが終わるやすぐに大幅なマイナスに転じ、地デジ切り替え後のテレビの販売台数も急減したのに。
ちなみにその後の自動車販売台数の推移ですが、5月も前年同月比でマイナスとなりましたが6月からはまた増加に転じており、1~10月期では3.2%増となっていて多分今年は年間でもプラスで終わるでしょう。さらに販売台数の内訳をみると、購入補助の対象だったコンパクトカーでは落ち込みが激しいものの中~高級セダンの売り上げは増加が続いております。利幅で言えば後者のが大きいに決まっております。日系メーカーの中ではトヨタ、ホンダのシェアがこのところ落ちていますが、唯一日産だけが伸びが続いております。この背景には中~高級セダンと高級SUVの分野で日産のラインナップが強いからではないかと私は見ています。
3、日本からの建機の輸入が大幅に減ってきた→バブルが終わった!
建機というのはクレーンやシャベルカーといった建設に使う重機のことですが、今年に入って日本から中国への建機輸出が大幅に減ってきております。分析の仕方によってはこれまで北京オリンピック、上海万博といった大型イベントが終わって公共工事が減ってきているのではないかと見ることもできて極端に的外れではないものの、実態的にはこうした見方はやはり間違っているのではないかと私は見ています。では何故減っているのかというと、単純に中国が建機を輸入するまでもなく、自分たちでいくらでも作れるようになったからです。
あまり日系メディアで見ることはありませんが、三一重工や徐工機械といった中国系建機メーカーらはかなり力をつけてきております。精密な動作や特殊な用途に用いられる建機であればまだ日系メーカーにも分がありますが、一般的な建機においては中国メーカー製と比べてもはや技術力にほとんど差がないと言われております。その上で価格を加味すると中国製の方が競争力が高いと外国メディアも報じており、私自身もそう思っております。
ちなみに上記2社ですが、中国にとどまらず南米や中東地域にも旺盛に進出しており、海外工場もびっくりするくらい持ってたりします。あまり日本からは注目されない企業ですが名前を覚えておいても損はない気がします。
そんなわけで建機輸入量が落ちているからと言って中国経済が弱っているわけではないとはっきり言えるのですが、公共工事についてはちょっと暗雲が垂れ込めているのは事実です。というのも先の国家イベントが終わって急激な落ち込みが中国でも予想されていましたが、そのテコ入れとして中国政府は高速鉄道の開発で補おうとしていました。事実今年の前半まではとんでもない額が投入されていたのですが7月に温州で起きた高速鉄道事故以降は一転して開発投資に急ブレーキがかかり、予定していた工事が始められず受注していた建設業者らの間でお金が回らなくなってきていると報じられております。政府としてはこれを機に今まで関東軍のように振る舞っていた鉄道部を叩く算段でしょうから、もうしばらくは混乱が続くとみております。
登録:
投稿 (Atom)