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2012年7月18日水曜日

自宅ネット回線断線(;Д;)

 昨夜メールを書いている最中、突然ネット回線をつなぐルーターが「パシッ」ってリアルな音を発しました。直後、ネット回線はものの見事にダウンし、このブログも更新できずじまいとなってしまいました。
 この文章は別のルートを通じて現在アップしていますが、上記のような理由からしばらく更新を休みます。早ければ金曜日にも復帰できるかもしれませんが、へたすりゃ一週間くらい更新出来ないかもしれません。更新が再開するまで、どうかしばらくお待ちください。

2012年7月15日日曜日

「積み木くずし」について

積み木くずし(Wikipedia)

 ある一定の年齢層以上であれば、「積み木くずし」と聞いて何の事だかすぐわかるでしょう。また比較的若い世代の人も、2005年に特別ドラマが放送されたのでもしかしたら知っているかもしれません。ただ自分が大学生の時は、「うちの家庭は積み木くずしがなんぼやっちゅうもんやった」と言っても、ごく一部の人しかこの比喩がわかりませんでした。

 先にこの積み木くずしがなんなのか説明すると、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出てくるドク博士の日本語吹き替えなどをやっている俳優の、穂積隆信氏の子育てを巡る体験記です。具体的には中学校に進学後に素行が悪くなった穂積氏の一人娘が更生するまでを描いた作品で、1982年に発行されるや大ベストセラーとなり、テレビで放送されたドラマは連続ドラマとしては民放歴代最高視聴率となる45.3%(関東地区)を記録するまでに至りました。
 なお余談ですがこの時のドラマで娘役を好演した高部知子氏は第2の大竹しのぶとまで評されたのですが、人気絶頂の最中に写真週刊誌「FOCUS」に当時15歳でありながら喫煙中の写真が載せられる、いわゆるニャンニャン事件が起こったことでそのキャリアが大きく流転しております。この一連の過程を覚えているかとうちのお袋に聞いたら、欽ちゃんファミリー退団など事細かに覚えていたので、当時としても相当インパクトが強かったものだと伺えます。

 さてそんな積み木くずしを、出版当時に生まれてもいない自分がこうして話題に上げようと思ったのかというと、単純に最近にこの本を読んだからです。なんで今更読もうと思ったのかというと、元々この積み木くずしが家庭崩壊を描いた作品だということは子供の頃から知っていたので、うちの家庭がどれだけ崩壊していたかを比較するたとえとして冗談めかして「積み木崩しなんのその」と以前から友人によく言っていました。もっとも何度も引用しながら実は元ネタは読んでいなかったということもあり、これはなんだかよくないと急に思いついて日本から取り寄せて手に取った次第です。
 実際に積み木くずしを読んだ感想ですが、さすがにここまではうちの家庭もひどくはなかった、っていうかあの時代はこんなことしてもゆるされたんだなぁって隔世の感を覚えました。故人をあれこれ言うのもどうかと思いますが、穂積氏の一人娘である穂積由香里氏は幼い頃から体が弱かったにもかかわらず、13歳にて学校にも行かず朝から晩まで遊び回って暴走族と付き合うわ、シンナー吸うわ、バイクを盗んでくるわ、まだ存命中の父を残して35歳で亡くなっておりますがこれだけ好き放題したんだから満足だったんじゃないのかと正直思いました。

 先程、隔世の感があると書きましたが、さすがに30年以上前の本なのだから当たり前と言えば当たり前ですが、やっぱ今の日本の世界と違うなということを読んでて強く覚えました。例えば自分がまだ小学生から中学生くらいの頃は漫画や小説で不良がシンナーを吸うシーンがありましたが、現代に至ってはそもそもシンナーを吸う行為自体が廃れているというか、実際に吸ってる人がいるかもしれませんけどそんなシーンが文物に出ることはまずありません。また夜中ずっと遊びまわったりパーマをかけたりなど、今やったらなんか痛いなぁという思いしかしません。
 こうしたいわゆる「不良行為」だけでなく、更生手段もいくつか気になる所がありました。作中で穂積氏は少年少女の校正を専門に行っている警察官から助言を受けてあれこれ手段を講じるのですが、私の思い違いかもしれませんが現代ではごく当たり前とされる更生方法に対して穂積氏が、まるで見たことも聞いたこともないような新鮮さを覚えているシーンに違和感を覚えました。恐らく当時としては子供の教育方法としてそういった更生方法が一般化しておらず、なんていうか新しいメソッドのように受け取られたのかと思います。

 と、内容についてあれこれ書いてきましたが、知ってる人には早いですがこの積み木くずしは出版して、ドラマ化して大ヒットしてからがある意味本番でした。というのも極端に知名度が向上してしまったせいで穂積由香里氏はどこ行っても「積み木の娘」と後ろ指さされるようになり、一旦は更生しかけたところ一気に逆バネが効いてしまってその後は覚醒剤にも手を出して逮捕されたりします。また印税をはじめとした大量の収入が入ったところで一緒に娘の更生に手を携えあった穂積隆信氏の妻が会計担当の人物と持ち逃げし、穂積氏は今に至るまで多額の負債を抱え込み続けているそうです。
 この辺の顛末もすべて、「積み木くずし崩壊そして」などの穂積隆信氏の著作に書かれてあります。最後まで書いちゃうと、2001年に持ち逃げした元妻は自殺し、穂積由香里氏は2003年に自室で孤独死し、穂積隆信氏の再婚相手も大病を患っております。この顛末に穂積孝信氏も、積み木くずしが招いた因縁だとして最初の著作を書いたことを後悔しているとはっきり書いております。なお個人的に由香里氏が死去した際に「あんなものを書いてしまったばかりに」と隆信氏が号泣する所をテレビニュースが流した場面が未だに記憶深いです。

 まるで書評の様な記事、というより書評そのものですが、何故ここでこうして書こうかと思ったのかというと実は積み木くずしの最新作こと、今年3月に出版された「積木くずし 最終章」を手に入れたからです。具体的には3日前、暑い時期にもかかわらずうちの両親がまた上海に、親父に至っては5月にも来たのに訪ねてきたので、日本から持ってきてもらったからです。短い内容でもあったので1時間半程度でもう読み終えておりますが、ちょっと気になる点、あと20代の身空ながら子育てについて感じた点などがあったので、そこら辺を書いてみようかと思い立ったというのがきっかけです。その辺の内容についてはまた次回で。


2012年7月14日土曜日

下半期の中国経済の行方

中国GDP 3年ぶり8%割れ(NHK)

 上記リンク先に引用しておりますが、中国はこのほど第2四半期のGDP成長率が7.6%であると発表しました。日本のメディアなんかは「中国の高度経済成長は終わった」、「このまま下り坂一直線!」とばかりに悪しざまに報道するかなと見ておりましたが、3年ぶりに8%を割った事実は報じるものの思ったより落ち着いた報道が多いです。この第2四半期のGDPについてですが、発表前の現地予想などでは第1四半期を下回り7%台に入るということで概ね予想済みで、私としてもそれほど驚きのない数字です。むしろ7%台前半も有り得るかと思っていただけに、思ったより高かったなという気もします。
 このGDPが発表されたからというわけではありませんが、このところこっちで会う人みんなに「下半期の中国経済はどうなる?」という質問をぶつけられるので、ちょうどいい機会なので持ってる材料を一気に吐き出そうかと思うので、下半期予想について今回は書いてくことにします。

 まず結論から言うと、下半期の中国のGDP成長率は反発するとほぼすべての現地メディア、並びに専門家らの間で一致しており、私自身も同じ考えを持っております。

 中国のGDPというとちょっと前まで毎年10%以上という二桁成長が続いていましたが、急速に経済成長が続く一方で富むものと富まないものの格差が拡大しつづけ、大きな社会問題となりつつありました。そういうわけでちょうど昨年あたりから急速な成長にブレーキをかけてでも格差解消を政策として中国政府は掲げ、2011年のGDP成長率は久方ぶりに一桁に落ちましたが、今年に入っても去年同様に安定化路線が続けられております。そのため今年のGDP成長率は政府も7.5%に抑えると掲げており、また市場も8%前後と織り込んでいるため、さすがに5%台だったらいくら何でも急激に鈍化し過ぎで大騒ぎですが、今回発表された第2四半期の7.6%であれば矢神月じゃないですけど「計画通り」といった具合な感じです。
 とはいえ、これまでと同じペースの成長率を期待して設備投資した会社からしたら思った以上に需要が伸びず、実際に赤字になる企業も増加しており進出している日系企業でも先行きに不安を持つ会社も多いです。それこそ今のペースでGDP成長率が鈍化し続けたらどうなるかと、危機感もはっきり言って高いです。

 にもかかわらず何故私が下半期は反発すると強気でいるのかというと、下半期にはまた政府が金融緩和をはじめとした景気刺激策を打ち出す可能性が高い、というより準備が整ってきているからです。先程も書いたように中国では近年、経済成長の裏で格差が拡大して社会問題化してきましたが、その中でも特に大きな問題となっていたのが物価の高騰です。日本も高度経済成長期に給料が2倍になった一方で物価も2倍になりましたが、中国もちょうどそんな感じで去年まで物価が物凄い勢いで高騰し続け、一例をあげると確か豚肉の価格が1年で2倍ぐらいに跳ね上がってもいました。また中国経済崩壊論の代表格でもある住宅バブルに関しても、確かに全国的に高騰一直線でもありました。
 そんな手が付けられない状態だった物価上昇ですが、今年に入ってからは「よくもここまで抑え込んだもんだ」と感心するくらいに落ち着いてきております。これまで前年比5%以上のペースで上昇し続けていた物価上昇率は最新統計の6月だと前年比2.2%上昇に落ち込み、しかも高騰していた豚肉に至っては約15%減とむしろ安くなってきました。住宅に関しても同様で、一部の内陸部都市を除けばほとんどの所で下降線をたどっております。

 この物価上昇率が落ち着いてきたことが何を意味するのかというと、単純に景気刺激策を打てるようになったということです。景気刺激策こと財政支出や金融緩和を行うと、ちょっと専門的になりますが市場に出回る貨幣量が増加して物価が上昇する傾向となります。仮に物価上昇率が高い数字で推移している時期に景気刺激策を打てばさらなる高騰を招きかねないのですが、ある程度落ち着いてきた今の状態であればそれほど社会に悪影響を及ぼさずに景気を引き上げることが可能です。
 また景気刺激策の中身に関しても、こういってはなんですが中国はいくらでもやりようがあります。日本は周知のとおりゼロ金利の上に借金財政であるため、金をばらまこうにも余計に借金するしかないという本末転倒になってしまうところがありますが、中国は歳入は伸び続けているうえに、金利もまだまだ引き下げる余裕もあります。またこれまで物価上昇を防ぐため、住宅購入などに対して様々な景気抑制策を打っておりますが、単純な話、こういった抑制策を解除するだけでも十分に消費を促すことが出来ます。

 もちろん中国経済にも弱点はあり、産業転換が図れない軽工業を中心とした中小輸出メーカーなどはこのまま倒産が相次ぐし、太陽電池製造などの一部ハイテクメーカーも供給過多からこのまま日は上らずに統廃合が進むでしょう。ただそれらを推しても今の日本に比べればまだまだマシな環境にあると言え、なによりも中国政府の経済政策は比較的一貫している上にきちんと目標通りに事を運んでいることは素直に大した実力と認められます。
 前にもちょっと書きましたが日本人は経済を見る上であまりにもマクロ経済指標を無視し過ぎです。中国を例にとってもいろいろわかることもあるので、もうすこしこっちに目を向けてほしいという思いもあって今回はこういう解説をしてみました。

2012年7月12日木曜日

小沢新党の立ち上げについて

 スルーするのもなんなので、一応軽く触れておくことにします。

小沢新党、49人で発足…第3極の結集目指す(読売新聞)

 先の衆議院での消費税増税法案に反対した小沢一郎が、確かこれで3度目となる新党立ち上げを行いました。なんか党是には増税反対とか抜かしているようですが、かつて社会保障税の導入を主張して連立政権を瓦解させたのはどこのどいつだと言いたくなるような党是です。

 ちょうどいい機会なので書いておくと、小沢一郎が何故こうなんども政党を作っては壊し手を繰り返すのかについて、政党助成金の私物化が理由であると以前から指摘されております。かつて陽月秘話時代にも取り上げたことがありますが、一定数の議員を保有する政党には政党助成金といって国から政治活動資金が支給されます。元々これは汚職の絶えなかった時代にスポンサーなしでも政治活動が行えるようにと作られた制度なのですが、かつて小沢一郎が作って自ら壊した新進党、自由党時代に、振り込まれたはずの政党助成金がどちらもすっかりなくなっていたことがありました。長く書くまでもないのでしれっと書いてしまいますが、どうも小沢一郎は解党する際に返還しなければならないこの政党助成金を、まるまんま自分の口座に着服していたようです。この辺に関しては少し古いですが昔の文芸春秋に公開されている口座収支とともに検証がなされていて、文句のない記事がのっけられております。

 もちろんこんなのは税金の横領で、本人の知らないところで口座が一時プール先に使われていた藤井裕久財務大臣はこの件で途中辞任する羽目になったと言われております。ただこの件があまり大事にならない理由としては、発端が文芸春秋という雑誌メディアであったということと、ほかの政党も多かれ少なかれ似たようなことをしているからだと私は睨んでおります。
 ここまで書いた上で私が何を言いたいのかというと、今回作られた新たな新党も1年か2年したら解党し、また政党助成金も横領されるのではないかということです。そもそもこの政党助成金という制度自体が小沢一郎が作ったような制度ですし、裏技のやり方も知ってて当然です。何か政策がある、目標があるとかじゃなく、政党助成金を着服するためにまた新党を作ったとしか私には思えないというのが今日の意見です。

 またしばらく忙しい、というか家を空けることになるので更新が減ります。次かくのは土曜日かな。

2012年7月10日火曜日

大豆国産化計画

大豆が最高値更新=米国供給不安で―シカゴ市場(時事通信)

 本日のニュース記事で上記のニュースを見た際、このところ思索に充てる時間がなくて真面目にネタに困っているのもありますが、今日のブログネタはこれだと心の中で決めました。それにしても、すごいタイトルにしたな我ながら。
 以前にも確か一回触れておりますが、私はかなり真面目に大豆だけは自給率を100%以上、少なくとも70%以上にしなければならないとかねがね主張しております。なんか引用したYahooニュースのコメント欄に日本の大豆自給率は3割ちょっとと書いてる人がいますが、私が記憶している限りだと9割以上を輸入に頼っているような……。

 一体何故私がこれほど大豆にこだわっているのかというと、大豆は白米と並んで日本食に必要不可欠な食材だからです。日本食というのは海外で暮らしてみればわかりますが、実はその味付けのベースはほぼすべて醤油ベースのしょっぱい味が基本となっております。また醤油以外だと味噌の割合も非常に高く、両調味料の原料となる大豆が枯渇した場合は恐らく日本食が9割方作れなくなること間違いなしです。
 たかが料理くらいでという方もおられるかもしれませんが、食事というものは生きてく上でのモチベーションに深くかかわるため、日本食が作れなくなった場合は日本人は一気に堕落する可能性が高いと、決して冗談ではなく私は考えております。というのも過去にイギリスを訪れた際、来る日も来る日も値段が高い割には星一徹みたいにちゃぶ台(イギリスにはないけど)をひっくり返したくなるほどまずい料理を食べていた頃は本気で生きてて嫌になりました。

 料理を作る上では素材も大事ですがそれ以上に調味料の領分というものは非常に高いです。それだけにお梶の方じゃないけど調味料が料理の味をすべて決めると言っても過言ではなく、日本食にとって欠かすことのできない醤油と味噌を確保するためにはたとえどれだけのコストを支払ってでも大豆だけは自給するべきではないのかと言いたいのです。ただどうもあちこちから話を聞いてると大豆は栽培が容易な分、大規模農場でバーッてばらまいて栽培するだけで育ってしまうために日本国内だとどうしても海外製と比べてコストが割高になってしまうそうです。
 かくなる上は多少の醤油価格の値上がりを容赦してでも、市場が成り立つくらいに高い国産大豆価格を受け入れるほかないです。しかし繰り返しになりますが、大豆だけはどんだけ高いコストを支払ってでも日本人は確保するべき農作物です。日本人は普段は怒らない癖に食べ物のことにあるとBSEの時などやけに強気に怒ることがあるだけに、早くから対策を打つべきです。

 なお醤油とくれば私の中ではキッコーマンが地元に近いだけあって挙がってきます。あそこの野田工場は無料で見学させてくれる上に帰りに醤油1瓶くれるから、まだ行ったことのない人は大阪にある日清の「インスタントラーメン発明記念館」に次いで行っとくべき場所です。

外国人が日本人に抱くイメージ

 三日ぶりの更新。というのも昨日と一昨日は休日ながら忙しかったのが原因です。
 そういうどうでもいいことは置いといて本題ですが、日本国内にいるとそれほど意識することはありませんが、やはりどの国にもある程度決まったカラーというかイメージがあって、初対面の外国人はその別の国の人間に対してあらかじめイメージを持って接します。これが日本の場合だと代表格は「侍」や「忍者」で、どことなく寡黙で何考えてるかよくわからず、任務に忠実なイメージを持たれているように私は感じます。

 では今私が住んでいる中国人はどんなもんでしょうか。最近はそうでもないけど以前の日本人の中国人に対するイメージは漫画の「ラーメンマン」に出てくるような辮髪の格闘家という、実際にそんな中国人がいるわけないだろうという気イメージではありましたが、今だと接触することも増えてきているせいか偽物をよく作ったりするようなネガティブなイメージの方が強いでしょう。ただ欧米人からしたら中国人はやはりブルース・リーのイメージが強く、実像はどうあれカンフー格闘家のようなイメージを未だに持っているような気がします。
 これは逆に言えば日本人も同じです。欧米人がイメージ(勘違い?)する日本人のイメージは先ほども言った通りに侍や忍者ですが、前者は黒沢映画で活躍した三船敏郎、後者はハリウッドで活躍したショー・コスギがモデルであると言ってほぼ間違いありません。仮に両者がいなければ日本人はまた別のイメージ、恐らく今よりも悪いイメージを持たれるか無色透明な印象であった可能性もあるだけに、三船敏郎は既に逝去されているので仕方ありませんがショー・コスギに関してはかねてから日本人情報の発信者として国民栄誉賞級だと私は感じています。

 また少し話が変わりますが、国際政治学では軍事力を指すハードパワーに対して、文化を指すソフトパワーという概念があります。ソフトパワーの代表格はハリウッド映画とマクドナルドと言われ、「なんとなくその国(アメリカ)が好きになる」ような文化というかイメージを植え付けることを指しているのですが、さっきの日本や中国の例を考えるだに映画というものは非常にエグい媒体だと思います。最近の日本では映画よりもアニメや漫画を主なソフトパワーの媒体として使っておりますが、時代が変わっているとはいえ、かつての「世界のミフネ」のような人が出てきてくれないものかと時たま考えます。

 最後に蛇足ですが、一時期の日本のソフトパワーの代表格として活躍したものにドラマの「おしん」があります。これは中国を含むアジア各地で大ブレイクして、中年の中国人ならまず間違いなくおしんを知っているでしょう。このおしんですが以前に同僚から聞いた話で、なんかイランでも有り得ないくらいにヒットして、国内で「尊敬する人ランキング」ってのをやったらホメイニ師をぶっちぎりで破っておしんが一位になってしまい、政策担当者が激怒してしまったことがあったらしいです。

派遣社員の待遇は正社員より上?

 この頃同年代の友人と話をしている際によく、「今の時代、派遣の方が正社員より待遇いいんじゃないの?」という会話をよくします。今日はちょっと短めに、この辺の話を一筆打とうかと思います。

 まず前提条件として、日本社会では一般的に正社員の方が派遣社員より待遇はいいとされております。それこそ格差社会議論が盛り上がった2008年位には派遣は差別を受けているとして派遣の原則禁止案まで出てくるほどでしたが、現在においてはこうした議論は少なくとも目に見える範囲では消失したと言っていいでしょう。
 では当時、具体的にどういったところで派遣社員は正社員より待遇で劣っていると主張されたのか、いくつかポイントを上げると以下の様になります。

1、ボーナスがない
2、仕事内容が単純作業でスキルアップにつながらない
3、年金など社会保険が正社員に比べて少ない
4、いつでもクビを切られるため雇用が安定しない
5、望んでもなかなか正社員になれない

 ざっとあげると以上の5点でしょう。特に2008年のサブプライムローン崩壊直後は派遣社員が真っ先に首を斬られたということもあってこの手の議論が大きくなりました。はっきり言って派遣社員のこれらの待遇は以前と今もそれほど変わりはないのですが、比較対象である正社員、それも若年世代の待遇が実はこの数年で大きく変わってきております。

 まず1点目のボーナスがないですが、これはそのまんま正社員もボーナスがなくなりました。あったとしてもどこも大幅に減らしていて、私の感触だと大体どこも夏と冬にそれぞれ月給1ヶ月分くらいじゃないでしょうか。昔は夏冬それぞれ月給3ヶ月分が出たなんて話を聞くと、「何をそんな法螺話を」という気すらしてきます。なおここだけの話、私は正社員1年目のボーナスが一番多かったです。
 次に2点目、スキルアップにつながらないというこの点ですが、これも不況で正社員でもまともな仕事がなくなり、底辺の仕事が増えております。しかも人員構成の関係からただでさえ採用数を絞った若手社員にいろいろ末端の仕事が押し寄せるようになってて、見方によれば派遣の方がいい経験が出来ることすらあります。

 さくさく続いて3点目、これは巷間ではよく言われ日雇い派遣についてはまさにその通りですが、定期派遣の場合は2ヶ月以上雇用する場合は年金加入義務が生まれるため実際にはほぼ差がありません。しかし年金に関してはこの前出た試算では、今の20代は払い続けた額の半分しか将来受給できないと出ており、かえって払わないで済む立場の方が搾取されずに済むんじゃないか、払わなければならない立場の方が苦しくやしないかと密かに考えてます。
 最後に4、5点目ですが、今の時代だと派遣に限らず正社員もクビをよく切られており、恐らく東芝とパナソニックはこれからテレビ事業関連部門の人間を万単位で切ることになると予想されます。さらに言えば若年世代に限れば正社員率は低い一方で正社員退職率は高く、なんていうかもう差はないんじゃないかという気がしてきます。

 以上のように派遣社員よりも正社員の待遇が大きく落ちてきており、さらに言えば基本給もどこも昇給を凍結していることからほとんど差がつかなくなってることによって、両者の待遇は相対的に同じになりつつあるのではというのが私の考えです。

 さらにもう一点、というよりこれが今回の主張で一番大きなポイントですが、自分たちの世代が就職や転職に当たって何を一番恐れているのかというとブラック企業に当たるか当たらないかです。ブラック企業というのは説明する必要はないでしょうが、要するに労働内容が過重だったり職場の人間がイカれてたり、サービス残業がオンパレードな会社を指していますが、仮に正社員でブラック企業に入ってしまうとすぐに抜けたら退職履歴がついて次の転職に影響するし、頑張って残っても体や精神をおかしくしてしまう可能性があってまさに前門の虎に後門の狼。はっきり言って給与や福祉といった待遇は二の次でいいから、過重労働のないまともな会社に入りたいというのが我々の世代の本音だと思います。
 このブラック企業問題が派遣社員とどう関係があるのかというと、派遣の身分だと問題のある会社だとわかっても派遣会社を通すなどして比較的職場を離れやすく、なおかつ勤務時間が契約で定時に定められているため残業も発生しません。最近はあらかじめ月間残業時間を定める契約もありますが天井知らずな働かされ方はまずされない、っていうか制度に守られます。

 私は実際に派遣の身分で働いたことはありませんが、あくまで私自身の見解で客観的に見比べてみると、今の時代は派遣社員の方が制度的に正社員より守られてやしないかと強く感じます。毎日定時で帰っていいんだったら、余った時間で勉強とかブログ書いていたいし、私だって派遣社員になってみようかなという気すら起きます。

 最後に最近友人から聞いたあるブラック企業の実態ですが、その日の業務が終わると社員全員でパチンコ屋に行き、勝った金額を集めてみんなでそのまま飲みに行くという妙な慣習がある会社があるそうです。しかも毎日で、拒否したら「ふざけるな!」となるそうです。そんなにパチンコ好きならもう会社なんてやめちゃって、パチプロ集団としてやってけよという感じです。