かなり久々の漫画レビューです。今回からアフィリエイト広告も貼っておりますが基本的に自分の読んだものしか貼るつもりがないので、興味がある人はクリックしてくれたら幸いです。そんな今回紹介するのは、自分が日本に帰ってきて真っ先に買った、岡本倫氏が現在ヤングジャンプで連載している「極黒のブリュンヒルデ」というマンガです。
このマンガのあらすじを簡単に話すと、幼い頃に幼馴染の女の子を事故で失った高校生の少年のクラスにある日、幼馴染そっくりの少女が転校してきます。その少女は自らのことを魔女だと称して現実に非科学的な能力を主人公に見せる一方、毎日薬を飲まなければ24時間後に死ぬ体だと明かします。しかも研究所から脱走してきたため薬はあとわずかで切れてしまうと話し、主人公は幼馴染とその少女を重ねつつ、なんとか生き残る道を探る……というのが一巻の主な筋立てです。
これだけ書くとよくありがちなSF漫画の筋書きに見えますが、一番肝心なのはこの漫画を描いているのはほかならぬあの岡本倫氏であるということです。知っている人には早いですがこの人の代表作は「エルフェンリート」という漫画で、アニメ化もされて日本国内よりも海外の方がよく知られています。この作品がどういう意味ですごいかというと一見すると美少女が表紙を飾ってて萌え漫画にしか見えないのですがその実、中身は日本の漫画史上でも屈指のえげつなさを誇り、容赦なく登場人物が次々と死にます。さも重要そうに出てきたキャラクターが次のページでは首が飛んでたりすることが誇張ではなく頻繁にあり、一説では「HUNTER×HUNTER」の作者の冨樫義博氏がこの漫画を読んで影響されたのか、自分の漫画でも首チョンパのシーンを増やしたとまで言われております。
自分はエルフェンリートも読んでいますが、初めて読み終えた時は感動というより一体この作者はなんなんだという恐ろしさの方が大きかったです。岡本氏の次回作である「ノノノノ」はスキージャンプをテーマにした漫画で前作にあったグロテスクさは陰をひそめましたが、相変わらず読者の予想を裏切る展開で個人的に非常に気に入っている作品です。生憎というか途中で打ち切りを食らって連載を終了してしまいましたが……。
話は最新作「極黒のブリュンヒルデ」に戻りますが、作者曰く「エルフェンリートのようなノリを読者は求めていると友人に言われた」と書いており、はっきり言ってその通りというか、あの有り得ない展開の運びと共に遠慮容赦のないグロテスクさが見事復活しております。第一巻からぶっ飛んでるというか、幼馴染が事故で死ぬシーン(ダムの水門から小学生二人が真っ逆さまに落ちる)の情景とか、よくこんな絵を書いて載せてくるなと読んでて冷や汗を感じましたが、一番ビビったのはこの前出たばかりの四巻です。詳しくはネタバレになるのですがある重要なキャラクターが死ぬシーンを見てはっきりと、「この作者は狂ってる」と冗談抜きで思いました。
以上のような内容からこのマンガは大衆受けするものではないと思う一方、単純にストーリーで魅せるマンガというならその異彩ぶりは群を抜いていると言えます。そんなわけで一応広告貼り付けておきますが、グロテスクなのが苦手な人は見ない方がいいでしょう。
それにしても、なんだかんだ言って自分はこの人のマンガをちゃんと全部読んでるなぁ。
ここは日々のニュースや事件に対して、解説なり私の意見を紹介するブログです。主に扱うのは政治ニュースや社会問題などで、私の意見に対して思うことがあれば、コメント欄にそれを残していただければ幸いです。
2013年3月9日土曜日
TPP交渉の先行き予想
日本にいるといろいろ情報が手に取りやすいので時事問題も語りやすいです。そういうわけで今回は国論を見事に二つに分けているTPP交渉の先行きについて私なりの予想を紹介いたしましょう。前もって断っておくと、私はTPP参加賛成派です。
まずTPP交渉に日本が参加するか否かと言ったら、安倍政権は間違いなく交渉参加を決断するでしょう。施政方針演説でも事実上参加するようなことを言ってましたし、この前のオバマ大統領との会談でもこの点について双方がそれぞれ話をしてきたかと思います。またこれが一番重要というか、安倍首相の周りにいわゆる農水族こと国内農業を保護するべきという思想の議員がほとんどいません。強いてあげるとしたら石破茂氏ですが、彼自身は農水族でこの方面の政策に詳しいもののTPP交渉には前向きな姿勢を持っているだけに、JAが期待するような反対行動はとらないと思えます。
では交渉参加となると日本側はどういう風な姿勢で臨むのか。やはり国内のJAを中心とした団体向けに国内農業保護こと農産物への高関税維持の例外を米国に対して求めていくでしょう。
私個人としては日本の農業をダメにしたのはまさにJA自身と旧来の自民党であるために守るに値しないと考えており、輸出できるような高付加価値作物を作っているJAの枠外で活躍する一部の農家の方々はTPP賛成を打ち出していることからこの際気にしないでいいと思います。ただ自民党にとっては票田ですし、一応パフォーマンスとして農業を守る交渉をしていくことが安倍政権に求められるでしょう。
ただ高関税維持を主張するにしても、要求するだけでは相手こと米国は動きません。農業の高関税を維持するために日本側は何を差し出すのか、何を妥協するのかですが、一番可能性があると私がにらんでいるのは米国の自動車関税です。米国の自動車団体は既に日本をTPPに参加させることに対して反対運動を展開しており、米国側の自動車関税を例外として日本は認めるというのであれば米国としてもカッコがつきやすいように思えます。
でもそれでは日本は自動車を米国に売ることが出来ず旨味がないのでは。そう考える人も多いでしょうが実は現時点で米国の自動車輸入関税は極端に低い水準にあり、自動車関税が現状を維持したところで販売面では何も障害がありません。更に大手日系自動車メーカーはほとんどが米国内に工場を持っており、円高は多少は影響するもののそもそも関税が影響することはないのです。唯一というかトラックなど大型商用車に対してはやや高い関税率が設置されているのですが、この点についてはあきらめるしかないでしょう。
以上のような観点からすれば、日本は自動車で妥協し、米国は一部農産物で妥協する、といった交渉に持っていくことが私の考える中でベストです。これだと日本は得する面が多く、国内の世論もまとめやすい気がするのですが、それでも米国としては関税を維持させる代わりに現状からの引き下げを求めてくる可能性が高いです。それをどの辺で落とすか、多分こんな交渉になるんだと思います。
補足
ちょっと前にNHKの昔の映像特集で、日米貿易摩擦時の映像を見ることがありました。その映像ではデトロイトの市民が日本車をストリートファイター2のボーナスステージみたいに、鉄パイプでガンガン叩いて壊したりひっくり返したりしていて、なんていうかこの前の中国の反日デモみたいな映像が流れてました。時代が変われば所も変わるもんだとしみじみ感じます。
まずTPP交渉に日本が参加するか否かと言ったら、安倍政権は間違いなく交渉参加を決断するでしょう。施政方針演説でも事実上参加するようなことを言ってましたし、この前のオバマ大統領との会談でもこの点について双方がそれぞれ話をしてきたかと思います。またこれが一番重要というか、安倍首相の周りにいわゆる農水族こと国内農業を保護するべきという思想の議員がほとんどいません。強いてあげるとしたら石破茂氏ですが、彼自身は農水族でこの方面の政策に詳しいもののTPP交渉には前向きな姿勢を持っているだけに、JAが期待するような反対行動はとらないと思えます。
では交渉参加となると日本側はどういう風な姿勢で臨むのか。やはり国内のJAを中心とした団体向けに国内農業保護こと農産物への高関税維持の例外を米国に対して求めていくでしょう。
私個人としては日本の農業をダメにしたのはまさにJA自身と旧来の自民党であるために守るに値しないと考えており、輸出できるような高付加価値作物を作っているJAの枠外で活躍する一部の農家の方々はTPP賛成を打ち出していることからこの際気にしないでいいと思います。ただ自民党にとっては票田ですし、一応パフォーマンスとして農業を守る交渉をしていくことが安倍政権に求められるでしょう。
ただ高関税維持を主張するにしても、要求するだけでは相手こと米国は動きません。農業の高関税を維持するために日本側は何を差し出すのか、何を妥協するのかですが、一番可能性があると私がにらんでいるのは米国の自動車関税です。米国の自動車団体は既に日本をTPPに参加させることに対して反対運動を展開しており、米国側の自動車関税を例外として日本は認めるというのであれば米国としてもカッコがつきやすいように思えます。
でもそれでは日本は自動車を米国に売ることが出来ず旨味がないのでは。そう考える人も多いでしょうが実は現時点で米国の自動車輸入関税は極端に低い水準にあり、自動車関税が現状を維持したところで販売面では何も障害がありません。更に大手日系自動車メーカーはほとんどが米国内に工場を持っており、円高は多少は影響するもののそもそも関税が影響することはないのです。唯一というかトラックなど大型商用車に対してはやや高い関税率が設置されているのですが、この点についてはあきらめるしかないでしょう。
以上のような観点からすれば、日本は自動車で妥協し、米国は一部農産物で妥協する、といった交渉に持っていくことが私の考える中でベストです。これだと日本は得する面が多く、国内の世論もまとめやすい気がするのですが、それでも米国としては関税を維持させる代わりに現状からの引き下げを求めてくる可能性が高いです。それをどの辺で落とすか、多分こんな交渉になるんだと思います。
補足
ちょっと前にNHKの昔の映像特集で、日米貿易摩擦時の映像を見ることがありました。その映像ではデトロイトの市民が日本車をストリートファイター2のボーナスステージみたいに、鉄パイプでガンガン叩いて壊したりひっくり返したりしていて、なんていうかこの前の中国の反日デモみたいな映像が流れてました。時代が変われば所も変わるもんだとしみじみ感じます。
2013年3月8日金曜日
中国で働くには
大分以前にも同じ内容で記事を書いておりますが、中国での転職を考えている人にとって有益な情報を出せるのではないかと思うので、改めて注意事項などを加えて書くことにします。
まず中国での働き方というか雇用方法は二種類あり、一つは企業に日本で採用されて中国法人に派遣される駐在方式、もう一つは現地の中国法人か中国企業に直接雇用される現地採用方式です。
どっちがいいかと言ったら言うまでもなく駐在方式で、給与は日本水準であるだけでなく会社によっては家賃補助、果てには駐在手当なども手厚く出ます。ただ駐在方式は基本的に「元からいる従業員」に充てられるため、転職してこの方式で中国に送ってもらうには以前に実績でもないとあまり可能性はないでしょう。
一方、我らが現地採用方式では給与は中国水準。私が転職した頃などは初任月給8000元(1元=14円で換算したら12万円)がベースとなっており、これより高いか安いかが交渉材料となっておりましたが、現在もあまり変わってないように思えます。でもって家賃補助、駐在手当なんておいしいものはまずなくて、海外保険も自己負担であるケースが多く、あるとしたら年に一回だけ日本への一時帰国チケットを会社が負担してくれるくらいです。ただ給与が安い分、現地採用方式は募集数が多いので希望の職種が見つけやすいという利点と、単純に中国で仕事してみたいならまず確実に入り込むことが出来ます。言うまでもないですが、私の雇用形態はこの現地採用方式でした。
では具体的に、どうすれば中国での仕事をGETできるのか。駐在方式であれば日本の転職サイトで探すほかありませんが、現地採用方式であれば現地の人材紹介会社に登録するのが近道です。現在、中国各地では既に日系を含む人材紹介会社が多数進出しており、「中国 転職」とでも検索すればたくさんヒットするので、複数の会社に登録すれば何かしら当たるでしょう。たまに別々の人材会社から同じ会社の紹介が来るのが鬱陶しいですが。
紹介を受けた後、面接は基本的に現地で行います。ごく少数ではありますが日本の本社で面接して現地採用として中国に送る会社もありますが、いろんな会社を受けたいというのであれば、あらかじめ面接日程を組んだ上で中国に渡航するといいでしょう。中国に渡航する場合、滞在日数が15日以内であればノービザでOKですが、これ以上となる場合はビザが必要となるので観光ビザを申請・取得する必要があります。
ただこうやって実際に中国での仕事を求めて転職活動をする前に、いくつか確認すべき注意点があります。一つは、言うまでもないですけど具体的なビジョン。もう一つは日本での正社員での勤続年数です。
昔は違ったのですが、中国も増え続ける外国人労働者によって国内の雇用が減少する恐れから労働ビザ(Zビザ)を発行するに当たりいろいろと条件を出すようになってきております。具体的には、
1、中国語の会話能力があるのか
2、四年制大学を卒業しているか
3、特定の仕事を行える技術・知識を有するか
このうち最初の中国語の会話能力はあまり突っ込まれることはありませんが、2番目はビザ申請時に卒業証書の提出がほぼ義務付けられます。そして3番目の点ですがこれが一番重要で、はっきりと書けば日本で正社員として2年間働いた実務経験がないとほぼ突っぱねられます。会社の総務によっては2年間でなくても力技(コネ)で無理矢理にZビザを発給させてのけますが、2年間の経験があるかないかは中国での転職に当たって非常に重要です。そのため過去に実務経験があるなら話は別ですが、中国での留学を終えてそのまま現地で就職みたいな話は現実にはあまりありません。今現在、日本では新卒で正社員となることが難しい時代ですが、だからと言っていきなり中国に行ってもZビザは発給され辛いので気を付ける必要があります。
最後に自分のケースについて少し感傷を入れて話しますが、別に隠してたわけじゃないですが中国に渡った時の年齢は26歳でした。日本での正社員経験は2年半あり、四大を卒業してなおかつ中国での1年の留学経験もあったことからZビザ発給では何も障害はありませんでした。
中国に渡った当初、中には新卒で駐在や出張で来ている人間もいるのだろうし26歳という年齢では出遅れたという劣等感があったのですが、いざ実際に渡ってみると20代で中国で働いている日本人は思ったよりいませんでした。大学の校友会でも最年少の部類に入っていましたし、やはり来ている日本人のメインは40歳前後で30代前半も多いとは言えません。おまけに仕事で取材に赴くと、やっぱり若いことから「どういう経緯で来たの?」と質問される回数も多かった気がします。
周囲から言われている間はそれほど気にしなかったものの自分が上から見下ろす立場というか、同じ会社に26歳の後輩が入ってきてからは「こんな若くて頼りなさそうのに大丈夫なのか(;゚Д゚)」と思うようになり、おいおいお前もその年齢で中国に来たんじゃねぇかと自分でツッコミ入れるようになりました。
ややまとまりのない締め方ですが、これから中国での転職を考える人に言いたいのは「必要以上に焦る必要はない」という一点です。30代になってから来るのであっても決して遅いわけじゃないのですから、自分みたいに色んなものを犠牲にしてくることはないと言いたいです。海外にいた結果、自分も祖母の葬式には行けませんでしたし、両親の死に目に間に合わなかった人もたくさん見ています。あらゆることを考慮した上で、海外転職は考えるべきでしょう。
まず中国での働き方というか雇用方法は二種類あり、一つは企業に日本で採用されて中国法人に派遣される駐在方式、もう一つは現地の中国法人か中国企業に直接雇用される現地採用方式です。
どっちがいいかと言ったら言うまでもなく駐在方式で、給与は日本水準であるだけでなく会社によっては家賃補助、果てには駐在手当なども手厚く出ます。ただ駐在方式は基本的に「元からいる従業員」に充てられるため、転職してこの方式で中国に送ってもらうには以前に実績でもないとあまり可能性はないでしょう。
一方、我らが現地採用方式では給与は中国水準。私が転職した頃などは初任月給8000元(1元=14円で換算したら12万円)がベースとなっており、これより高いか安いかが交渉材料となっておりましたが、現在もあまり変わってないように思えます。でもって家賃補助、駐在手当なんておいしいものはまずなくて、海外保険も自己負担であるケースが多く、あるとしたら年に一回だけ日本への一時帰国チケットを会社が負担してくれるくらいです。ただ給与が安い分、現地採用方式は募集数が多いので希望の職種が見つけやすいという利点と、単純に中国で仕事してみたいならまず確実に入り込むことが出来ます。言うまでもないですが、私の雇用形態はこの現地採用方式でした。
では具体的に、どうすれば中国での仕事をGETできるのか。駐在方式であれば日本の転職サイトで探すほかありませんが、現地採用方式であれば現地の人材紹介会社に登録するのが近道です。現在、中国各地では既に日系を含む人材紹介会社が多数進出しており、「中国 転職」とでも検索すればたくさんヒットするので、複数の会社に登録すれば何かしら当たるでしょう。たまに別々の人材会社から同じ会社の紹介が来るのが鬱陶しいですが。
紹介を受けた後、面接は基本的に現地で行います。ごく少数ではありますが日本の本社で面接して現地採用として中国に送る会社もありますが、いろんな会社を受けたいというのであれば、あらかじめ面接日程を組んだ上で中国に渡航するといいでしょう。中国に渡航する場合、滞在日数が15日以内であればノービザでOKですが、これ以上となる場合はビザが必要となるので観光ビザを申請・取得する必要があります。
ただこうやって実際に中国での仕事を求めて転職活動をする前に、いくつか確認すべき注意点があります。一つは、言うまでもないですけど具体的なビジョン。もう一つは日本での正社員での勤続年数です。
昔は違ったのですが、中国も増え続ける外国人労働者によって国内の雇用が減少する恐れから労働ビザ(Zビザ)を発行するに当たりいろいろと条件を出すようになってきております。具体的には、
1、中国語の会話能力があるのか
2、四年制大学を卒業しているか
3、特定の仕事を行える技術・知識を有するか
このうち最初の中国語の会話能力はあまり突っ込まれることはありませんが、2番目はビザ申請時に卒業証書の提出がほぼ義務付けられます。そして3番目の点ですがこれが一番重要で、はっきりと書けば日本で正社員として2年間働いた実務経験がないとほぼ突っぱねられます。会社の総務によっては2年間でなくても力技(コネ)で無理矢理にZビザを発給させてのけますが、2年間の経験があるかないかは中国での転職に当たって非常に重要です。そのため過去に実務経験があるなら話は別ですが、中国での留学を終えてそのまま現地で就職みたいな話は現実にはあまりありません。今現在、日本では新卒で正社員となることが難しい時代ですが、だからと言っていきなり中国に行ってもZビザは発給され辛いので気を付ける必要があります。
最後に自分のケースについて少し感傷を入れて話しますが、別に隠してたわけじゃないですが中国に渡った時の年齢は26歳でした。日本での正社員経験は2年半あり、四大を卒業してなおかつ中国での1年の留学経験もあったことからZビザ発給では何も障害はありませんでした。
中国に渡った当初、中には新卒で駐在や出張で来ている人間もいるのだろうし26歳という年齢では出遅れたという劣等感があったのですが、いざ実際に渡ってみると20代で中国で働いている日本人は思ったよりいませんでした。大学の校友会でも最年少の部類に入っていましたし、やはり来ている日本人のメインは40歳前後で30代前半も多いとは言えません。おまけに仕事で取材に赴くと、やっぱり若いことから「どういう経緯で来たの?」と質問される回数も多かった気がします。
周囲から言われている間はそれほど気にしなかったものの自分が上から見下ろす立場というか、同じ会社に26歳の後輩が入ってきてからは「こんな若くて頼りなさそうのに大丈夫なのか(;゚Д゚)」と思うようになり、おいおいお前もその年齢で中国に来たんじゃねぇかと自分でツッコミ入れるようになりました。
ややまとまりのない締め方ですが、これから中国での転職を考える人に言いたいのは「必要以上に焦る必要はない」という一点です。30代になってから来るのであっても決して遅いわけじゃないのですから、自分みたいに色んなものを犠牲にしてくることはないと言いたいです。海外にいた結果、自分も祖母の葬式には行けませんでしたし、両親の死に目に間に合わなかった人もたくさん見ています。あらゆることを考慮した上で、海外転職は考えるべきでしょう。
2013年3月7日木曜日
北朝鮮の休戦協定白紙化宣言について
友人から直々にリクエストが来たので本日は北朝鮮が5日に発表した、朝鮮戦争の休戦協定を白紙化するという宣言について自分の意見を紹介します。発表当日の5日から少し時間が経っていますが、元々このブログはワンテンポ遅れてからじっくり解説するのがスタイルですし、そういう意味ではいいタイミングです。
まずこの休戦協定ですが、この場合の北朝鮮のカウンターパートは米国と韓国です。そもそもこの白紙化発言は北朝鮮側の言い分によると、米韓の合同軍事演習に抗議するためだとしており、期日は今月11日以降、つまり今度の月曜日以降となります。
期日に関してはどうして11日を選んだのかはわかりかねますが、休戦協定の白紙化というかなり踏み込んだ行為に出てきたのは米韓の合同軍事演習だけが原因ではないでしょう。そもそも合同軍事演習自体はこれまでも何度も行われているだけに別の何か、具体的にはやはり前回に強行した核実験とそれに伴って国連で採択された制裁強化により態度を硬化したためではないかと思います。
では白紙化されることによってどんなことが起こるかですが、現時点ではまだ何とも言えません。仮説をいくつか挙げると、いつもの様な瀬戸際外交よろしくより危機感を煽って交渉で譲歩を引き出す戦略なのか、続けての核実験を強行するのか、はたまた嫌がらせにまた韓国の領土や艦船に遠距離射撃を実施してくるのか。もちろん、一番いいのは何も起こらないことですが。
それにしても休戦協定の白紙化とは随分と踏み込んだ内容のように思えます。ただ日本としては既に行えるだけの制裁をやり尽くしている感があるだけに特に新たな対策はほぼありません。一方、国連の安保理ではこれまで何度も北朝鮮をかばってきた中国の外務省に当たる外交部がかなり早い段階で制裁決議に同調すると発表しています。
・外交部:朝鲜半岛应以和平机制取代停战机制(北京晨報)
自分のバックグラウンドもあるためやや中国に沿った解説となりますが、やはり今回のこの行動は中国側も相当怒り心頭に来ているように思えます。というのも中国では今週から日本の国会に当たる年に一回の全人代が開催され、習近平体制も今回の国家役職任命を経て正式にスタートするわけです。そんな晴れの舞台、しかもやや緊張した状況下でほぼ間違いなく確信犯で北朝鮮がこんな宣言をしてきたことに対し、中国政府内でも反感が芽生えているのかもしれません。
もっとも、反感という意味では北朝鮮でも同じかもしれません。というのも金正日政権の頃は中国に対して警戒をするものの一定の譲歩というか気遣いはありました。しかし金正恩政権になってからは中国に対する意識はほとんど見られず、まさに傍若無人な行為ばかりが目立つようになってきました。
だからといって中国は北朝鮮に対する軍事制裁に同調するかと言ったら、さすがにそれは望まないでしょう。それは米国、韓国、ひいては日本も同様で、各国の思考としては如何に難民を流出させず資本主義化させるかの一点に尽きます。それにしても、中国が北朝鮮を資本主義化させたいっていうのもなんだか妙な言い方です。
まずこの休戦協定ですが、この場合の北朝鮮のカウンターパートは米国と韓国です。そもそもこの白紙化発言は北朝鮮側の言い分によると、米韓の合同軍事演習に抗議するためだとしており、期日は今月11日以降、つまり今度の月曜日以降となります。
期日に関してはどうして11日を選んだのかはわかりかねますが、休戦協定の白紙化というかなり踏み込んだ行為に出てきたのは米韓の合同軍事演習だけが原因ではないでしょう。そもそも合同軍事演習自体はこれまでも何度も行われているだけに別の何か、具体的にはやはり前回に強行した核実験とそれに伴って国連で採択された制裁強化により態度を硬化したためではないかと思います。
では白紙化されることによってどんなことが起こるかですが、現時点ではまだ何とも言えません。仮説をいくつか挙げると、いつもの様な瀬戸際外交よろしくより危機感を煽って交渉で譲歩を引き出す戦略なのか、続けての核実験を強行するのか、はたまた嫌がらせにまた韓国の領土や艦船に遠距離射撃を実施してくるのか。もちろん、一番いいのは何も起こらないことですが。
それにしても休戦協定の白紙化とは随分と踏み込んだ内容のように思えます。ただ日本としては既に行えるだけの制裁をやり尽くしている感があるだけに特に新たな対策はほぼありません。一方、国連の安保理ではこれまで何度も北朝鮮をかばってきた中国の外務省に当たる外交部がかなり早い段階で制裁決議に同調すると発表しています。
・外交部:朝鲜半岛应以和平机制取代停战机制(北京晨報)
自分のバックグラウンドもあるためやや中国に沿った解説となりますが、やはり今回のこの行動は中国側も相当怒り心頭に来ているように思えます。というのも中国では今週から日本の国会に当たる年に一回の全人代が開催され、習近平体制も今回の国家役職任命を経て正式にスタートするわけです。そんな晴れの舞台、しかもやや緊張した状況下でほぼ間違いなく確信犯で北朝鮮がこんな宣言をしてきたことに対し、中国政府内でも反感が芽生えているのかもしれません。
もっとも、反感という意味では北朝鮮でも同じかもしれません。というのも金正日政権の頃は中国に対して警戒をするものの一定の譲歩というか気遣いはありました。しかし金正恩政権になってからは中国に対する意識はほとんど見られず、まさに傍若無人な行為ばかりが目立つようになってきました。
だからといって中国は北朝鮮に対する軍事制裁に同調するかと言ったら、さすがにそれは望まないでしょう。それは米国、韓国、ひいては日本も同様で、各国の思考としては如何に難民を流出させず資本主義化させるかの一点に尽きます。それにしても、中国が北朝鮮を資本主義化させたいっていうのもなんだか妙な言い方です。
2013年3月6日水曜日
陽月秘話、約2年ぶりの復活!\(^o^)/
昔からの読者の方々、並びにgooブログの陽月秘抄から移って来た方々、この記事を読んでいる方には恐らくこの2種類の方々が大半を占めるかと思いますが、こうしてまたbloggerの陽月秘話を再開することになるとは管理人の自分にとっても意外で、なおかつ感慨深いものがあります。
このブログは2010年の12月から私が中国で働くことになったものの、中国ではbloggerに対するアクセスが禁止されていたため泣く泣く更新を停止いたしました。その後、中国でもアクセスできるgooブログにプラットホームを移して「陽月秘抄」として記事の更新を行うようになったのですが、今年2月に日本に帰国し、アフィリエイトサービスなどを利用するに当たりあまりにも仕様が制限されることからこうしてまたbloggerに舞い戻ることとなりました。
我ながら自分の無計画さに色々呆れてくるのですが、元々このbloggerは他のブログと比べて構造が非常にシンプルで、徹底したシンプルにこそ機能美は宿るというダイハツ・ブーンのキャッチコピーに共感する自分にとってはやっぱり使っていてそこそこ愛着を感じます。
あと地味に、過去記事を右バーにあるツリーで見出しから検索できるのが非常にいいです。何故かほかのブログはこの機能を初めから持っておらず、こんな便利なのにどうして採用しないのかなかなかに不思議です。
それにしても記事入力画面も昔と違ってなんていうかシンプルになっていて、なんか書いてて前と違うなぁとつくづく思います。地味にこの入力画面の構成から入力文字数とか推量するために、恐らくこれからしばらくはやや短めの記事が増えてくことでしょう。むしろ「陽月秘抄」に移ってからは長くダラダラした記事が増えていたから、ここで短めを意識した方が文章が締まってくかもしれません。
そんなわけで心機一転、また陽月秘話を今後ともよろしくお願いします。
このブログは2010年の12月から私が中国で働くことになったものの、中国ではbloggerに対するアクセスが禁止されていたため泣く泣く更新を停止いたしました。その後、中国でもアクセスできるgooブログにプラットホームを移して「陽月秘抄」として記事の更新を行うようになったのですが、今年2月に日本に帰国し、アフィリエイトサービスなどを利用するに当たりあまりにも仕様が制限されることからこうしてまたbloggerに舞い戻ることとなりました。
我ながら自分の無計画さに色々呆れてくるのですが、元々このbloggerは他のブログと比べて構造が非常にシンプルで、徹底したシンプルにこそ機能美は宿るというダイハツ・ブーンのキャッチコピーに共感する自分にとってはやっぱり使っていてそこそこ愛着を感じます。
あと地味に、過去記事を右バーにあるツリーで見出しから検索できるのが非常にいいです。何故かほかのブログはこの機能を初めから持っておらず、こんな便利なのにどうして採用しないのかなかなかに不思議です。
それにしても記事入力画面も昔と違ってなんていうかシンプルになっていて、なんか書いてて前と違うなぁとつくづく思います。地味にこの入力画面の構成から入力文字数とか推量するために、恐らくこれからしばらくはやや短めの記事が増えてくことでしょう。むしろ「陽月秘抄」に移ってからは長くダラダラした記事が増えていたから、ここで短めを意識した方が文章が締まってくかもしれません。
そんなわけで心機一転、また陽月秘話を今後ともよろしくお願いします。
2013年3月5日火曜日
中国の大気汚染と石油会社
あいも変わらず報道が続いている中国の大気汚染のニュースが続いているのでちょっと向こうの石油会社の事情を書いていきます。
中国には半国営の巨大な石油会社が3社あり、片っ端から挙げると中国石油天然気集団公司(中石油、ペトロチャイナ)、中国石油化工集団(中石化、シノペック)、中国海洋石油総公司(中海油、CNOOC)となります。一つ一つちょこっとエピソードを書いていくとペトロチャイナな数年前に株式をB株で公開して有望銘柄として当時に大きく注目され、うちのお袋も確かこの頃に売り抜いてます。あとCNOOCはつい先日にカナダのエネルギー企業、ネクセンを中国企業の海外買収としては確か史上最高額となる151億米ドルで買収しました。シノペックはなんも思い浮かばないな。
これら石油大手3社は中国国内、ひいては海外での石油探査、発掘、精製まで、それこそ川上から川下まで幅広く事業を行っているのですが、彼らが何故大気汚染と関係するのかというと、中国国内で流通する自動車用ガソリンなども作っているからです。
中国の大気汚染は複数の要因があるため一概に何が最大の原因とは言い切れないのですが、都市部においては近年急増している自家用車の排気ガスが少なくない影響を与えております。それもそのはずというべきか中国は昨年も一国の自動車市場として世界最大で、私もレポートを書いておりますが2012年は1930万台もの新車が販売されております。たった一年で1930万台もの車が増えたのですから、いくら国土が広いったって排気ガスの増加量は半端じゃないでしょう。
ただその排気ガス、元々の生成原料は燃料ことガソリンです。このガソリンがなかなかに曲者というべきか、中国で流通しているガソリンは日本のガソリンと比べて鉛や硫黄の含有量が多く、私も報道ベースでしか確認してませんが単位量当たりの汚染物質排出量では日本製をはるかに上回ると言います。それ故に中国の各地方政府は独自に自動車用ガソリン規格を定め、たとえば北京では「京5」などと基準を作り徐々にガソリンの鉛、硫黄含有量の低下を図るほか、燃費効率が悪く汚染物質の排出量の多い旧型車の淘汰(買い替えに補助金を出すなど)を進めております。
それで話は石油会社に戻りますが、率直に言って上記の大手企業はガソリンの品質向上にあまり乗り気ではありません。品質を向上させるためには新たな設備投資が必要ですし、小売先となるガソリンスタンドなどともいろいろ協議する必要があり、大気汚染が悪化しようが日本をはじめとする先進国並みの品質に高めようとする気はほとんど感じられません。そう思う根拠として先日に読んだ中国の記事で、確か中石油だったと思うけど堂々と、「中国のガソリン品質の向上速度は決して遅くない」と言ってのけて、いくら先進国と品質面で差があるとしても、これまでも品質向上にはちゃんと取り組んでいるという主張を展開していました。
経営的な判断からすれば上記のような中石油の主張もわからないでもなく、また日本も東電というとんでもない企業がいるわけだし「これだから中国企業は」などという批判は少しし辛い気がします。ただ先にも書いた通りに中国は今や世界最大の自動車市場です。そうしたことを考えると日本から技術を購入して積極的に導入してはどうだと、あくまで助言するような感じで強く主張してもいいかなとも思います。汚染された空気の直撃を受けるわけだし。
なお汚染空気の話だとハマコーこと浜田幸一氏が生前、「俺の地元の千葉県は東京で汚染された空気を受けているんだから、補助金でもなんでももらって何が悪いんだ」とテレビで言っておりました。この浜田氏の意見は決して間違いではなく、昼間に自動車の排気ガスなどで汚染された空気は風にはこばれ西から東へ、千葉県へちょうど直撃する形で運ばれてきています。環境問題のミソというのはまさにこういうところにあり、加害者と被害者があまり一致しない点にあります。まぁその辺を中国に理解しろというのも、国境をまたぐもんだからなかなか難しいのではありますがね。
中国には半国営の巨大な石油会社が3社あり、片っ端から挙げると中国石油天然気集団公司(中石油、ペトロチャイナ)、中国石油化工集団(中石化、シノペック)、中国海洋石油総公司(中海油、CNOOC)となります。一つ一つちょこっとエピソードを書いていくとペトロチャイナな数年前に株式をB株で公開して有望銘柄として当時に大きく注目され、うちのお袋も確かこの頃に売り抜いてます。あとCNOOCはつい先日にカナダのエネルギー企業、ネクセンを中国企業の海外買収としては確か史上最高額となる151億米ドルで買収しました。シノペックはなんも思い浮かばないな。
これら石油大手3社は中国国内、ひいては海外での石油探査、発掘、精製まで、それこそ川上から川下まで幅広く事業を行っているのですが、彼らが何故大気汚染と関係するのかというと、中国国内で流通する自動車用ガソリンなども作っているからです。
中国の大気汚染は複数の要因があるため一概に何が最大の原因とは言い切れないのですが、都市部においては近年急増している自家用車の排気ガスが少なくない影響を与えております。それもそのはずというべきか中国は昨年も一国の自動車市場として世界最大で、私もレポートを書いておりますが2012年は1930万台もの新車が販売されております。たった一年で1930万台もの車が増えたのですから、いくら国土が広いったって排気ガスの増加量は半端じゃないでしょう。
ただその排気ガス、元々の生成原料は燃料ことガソリンです。このガソリンがなかなかに曲者というべきか、中国で流通しているガソリンは日本のガソリンと比べて鉛や硫黄の含有量が多く、私も報道ベースでしか確認してませんが単位量当たりの汚染物質排出量では日本製をはるかに上回ると言います。それ故に中国の各地方政府は独自に自動車用ガソリン規格を定め、たとえば北京では「京5」などと基準を作り徐々にガソリンの鉛、硫黄含有量の低下を図るほか、燃費効率が悪く汚染物質の排出量の多い旧型車の淘汰(買い替えに補助金を出すなど)を進めております。
それで話は石油会社に戻りますが、率直に言って上記の大手企業はガソリンの品質向上にあまり乗り気ではありません。品質を向上させるためには新たな設備投資が必要ですし、小売先となるガソリンスタンドなどともいろいろ協議する必要があり、大気汚染が悪化しようが日本をはじめとする先進国並みの品質に高めようとする気はほとんど感じられません。そう思う根拠として先日に読んだ中国の記事で、確か中石油だったと思うけど堂々と、「中国のガソリン品質の向上速度は決して遅くない」と言ってのけて、いくら先進国と品質面で差があるとしても、これまでも品質向上にはちゃんと取り組んでいるという主張を展開していました。
経営的な判断からすれば上記のような中石油の主張もわからないでもなく、また日本も東電というとんでもない企業がいるわけだし「これだから中国企業は」などという批判は少しし辛い気がします。ただ先にも書いた通りに中国は今や世界最大の自動車市場です。そうしたことを考えると日本から技術を購入して積極的に導入してはどうだと、あくまで助言するような感じで強く主張してもいいかなとも思います。汚染された空気の直撃を受けるわけだし。
なお汚染空気の話だとハマコーこと浜田幸一氏が生前、「俺の地元の千葉県は東京で汚染された空気を受けているんだから、補助金でもなんでももらって何が悪いんだ」とテレビで言っておりました。この浜田氏の意見は決して間違いではなく、昼間に自動車の排気ガスなどで汚染された空気は風にはこばれ西から東へ、千葉県へちょうど直撃する形で運ばれてきています。環境問題のミソというのはまさにこういうところにあり、加害者と被害者があまり一致しない点にあります。まぁその辺を中国に理解しろというのも、国境をまたぐもんだからなかなか難しいのではありますがね。
2013年3月1日金曜日
千載不決の議
中国史に詳しい方なら一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、世間一般にはあまり知られていないと思うので今日は宋代における「千載不決の議」を解説します。
・千載不決の議(Wikipedia)
この千載不決の議とは10世紀の中国を支配してその後も長期政権を維持した宋の時代における皇帝継承問題というか事件のことを指します。主役は初代の趙匡胤と、その実の弟である趙光義の二人です。
趙匡胤は元々、宋の前身にあたる後唐という軍閥の将軍でした。しかしある日、部下や弟に無理矢理推薦される形、恐らくは非難を免れるために敢えてそういう形を取ったのでしょうが、主君を裏切り自らが軍閥の主にのし上がって皇帝へと即位しました。ただ彼の簒奪はほかの政権とは違って、後唐のラストエンペラーこと恭帝とその一族は殺したりせずにむしろ積極的に保護しております。まあその恭帝自身は7歳の頃に簒奪された後、21歳で若死にしてますが。
また趙匡胤は本人がもともと軍人出身だったにもかかわらず自分が政権を握るや軍部の勢力を徐々に削ぎ落とし、逆に文官の権限を大きく拡充するなど文治政治を展開します。この政治姿勢は徹底されており、後継の皇帝達に対して石刻遺訓という碑文を残し、その碑文中には「言論を理由に士大夫(官僚/知識人)を殺してはならない」と書かれ、自由に議論をさせるようにと伝えています。このような人物だったことから趙匡胤の評価は現代においても高く、私自身も好感が持てる人物であります。
ただそんな趙匡胤は皇帝即位から16年後に死去するのですが、その死因が非常に怪しいというかあからさま過ぎて「千載不決の議」、つまり千年議論をしても結論が出ない死に方となっているのです。
趙匡胤は976年に死去しているのですが、その様子について後代の歴史書はただ「死んだ」とだけしか書かず、具体的な記述がほとんどされておりません。巷間で伝えられている内容では雪の降るロマンチックな夜、趙匡胤は弟の趙光義と共に兄弟水入らずで酒を飲んで夜を明かしたところ、朝になって趙光義が起きたら趙匡胤は既に死んでいたとされています。元々、趙匡胤は大酒のみであったことから深酒による脳溢血ではないかという説もあり、この後に何もなければそういう風に信じられていたと思います。そう、本当に何もなければ……。
もったいぶらずに書くと、初代の趙匡胤の死去後に皇帝に就いたのは既に成人していた彼の息子ではなく、なんと弟の趙光義でした。しかも趙光義は皇帝位に就いた後、ちゃっかり本来跡目を継ぐとみられていた趙匡胤の息子を自殺に追い込んで、自分の後には自分の息子を皇帝にしております。こうした即位形式は以前にも全くなかったというわけではないのですが趙匡胤の曖昧な死に方といい、宋代にあってもおかしな即位の順番だと批評されており、早くから「弟の趙光義は兄を暗殺し、皇帝位を簒奪したのでは?」という噂が出ていたようです。仮に趙匡胤と趙光義が昔から仲が悪かったらほぼ疑いようもなかったでしょうが、一応この兄弟は若いうちから一緒に頑張って来ていたこともあり、またはっきりと暗殺したことを指摘する歴史書もないことから真相は藪の中のままです。
私個人の意見を言わせれば、誰がどう見たってこれは弟がやっぱり暗殺してるでしょう。疑わしきは罰せずとは言いますが、歴史評価においては確かチャーチルが言ってた言葉だと思いますが、「政治の世界に偶然はない」です。
もっとも、こうして2代目皇帝に就いた趙光義こと太宗は若い頃から揉まれていただけあって皇帝としての仕事を着実にこなし、中国の再統一も見事に果たしております。これで施政も悪かったら完全に暴君扱いされたでしょうがやることはやってるだけに、「千載不決の議」ってことになってるのでしょう。
・千載不決の議(Wikipedia)
この千載不決の議とは10世紀の中国を支配してその後も長期政権を維持した宋の時代における皇帝継承問題というか事件のことを指します。主役は初代の趙匡胤と、その実の弟である趙光義の二人です。
趙匡胤は元々、宋の前身にあたる後唐という軍閥の将軍でした。しかしある日、部下や弟に無理矢理推薦される形、恐らくは非難を免れるために敢えてそういう形を取ったのでしょうが、主君を裏切り自らが軍閥の主にのし上がって皇帝へと即位しました。ただ彼の簒奪はほかの政権とは違って、後唐のラストエンペラーこと恭帝とその一族は殺したりせずにむしろ積極的に保護しております。まあその恭帝自身は7歳の頃に簒奪された後、21歳で若死にしてますが。
また趙匡胤は本人がもともと軍人出身だったにもかかわらず自分が政権を握るや軍部の勢力を徐々に削ぎ落とし、逆に文官の権限を大きく拡充するなど文治政治を展開します。この政治姿勢は徹底されており、後継の皇帝達に対して石刻遺訓という碑文を残し、その碑文中には「言論を理由に士大夫(官僚/知識人)を殺してはならない」と書かれ、自由に議論をさせるようにと伝えています。このような人物だったことから趙匡胤の評価は現代においても高く、私自身も好感が持てる人物であります。
ただそんな趙匡胤は皇帝即位から16年後に死去するのですが、その死因が非常に怪しいというかあからさま過ぎて「千載不決の議」、つまり千年議論をしても結論が出ない死に方となっているのです。
趙匡胤は976年に死去しているのですが、その様子について後代の歴史書はただ「死んだ」とだけしか書かず、具体的な記述がほとんどされておりません。巷間で伝えられている内容では雪の降るロマンチックな夜、趙匡胤は弟の趙光義と共に兄弟水入らずで酒を飲んで夜を明かしたところ、朝になって趙光義が起きたら趙匡胤は既に死んでいたとされています。元々、趙匡胤は大酒のみであったことから深酒による脳溢血ではないかという説もあり、この後に何もなければそういう風に信じられていたと思います。そう、本当に何もなければ……。
もったいぶらずに書くと、初代の趙匡胤の死去後に皇帝に就いたのは既に成人していた彼の息子ではなく、なんと弟の趙光義でした。しかも趙光義は皇帝位に就いた後、ちゃっかり本来跡目を継ぐとみられていた趙匡胤の息子を自殺に追い込んで、自分の後には自分の息子を皇帝にしております。こうした即位形式は以前にも全くなかったというわけではないのですが趙匡胤の曖昧な死に方といい、宋代にあってもおかしな即位の順番だと批評されており、早くから「弟の趙光義は兄を暗殺し、皇帝位を簒奪したのでは?」という噂が出ていたようです。仮に趙匡胤と趙光義が昔から仲が悪かったらほぼ疑いようもなかったでしょうが、一応この兄弟は若いうちから一緒に頑張って来ていたこともあり、またはっきりと暗殺したことを指摘する歴史書もないことから真相は藪の中のままです。
私個人の意見を言わせれば、誰がどう見たってこれは弟がやっぱり暗殺してるでしょう。疑わしきは罰せずとは言いますが、歴史評価においては確かチャーチルが言ってた言葉だと思いますが、「政治の世界に偶然はない」です。
もっとも、こうして2代目皇帝に就いた趙光義こと太宗は若い頃から揉まれていただけあって皇帝としての仕事を着実にこなし、中国の再統一も見事に果たしております。これで施政も悪かったら完全に暴君扱いされたでしょうがやることはやってるだけに、「千載不決の議」ってことになってるのでしょう。
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