ページ

2013年10月28日月曜日

朴槿恵韓国大統領の外交について

 国会も始まり政治関連も動いてきたので、手始めに前から準備していた朴槿恵韓国大統領というか韓国のこのところの外交について私見を述べようと思います。結論から述べると私の目から見て今の韓国は孤立化への道をひた進んでおり、本気で皮肉ではなく隣国ながら見ていて心配になってきます。

 まず朴槿恵大統領の外交方針ですが、厳しい方となりますが韓国が一等でほかの国は韓国のやり方に従うべきだという、やや居丈高な態度に見えます。対日本については言うまでもありませんがこのところ慰安婦問題を盛んに煽ったり、また安倍首相が「いつでも受ける準備をしている」と発言している首脳会談についても徹底して拒否し、アベノミクスに対しても世界経済を悪くする原因だと安倍首相も目の前にいる国際会議の場で批判までしてきてます。
 もちろんこうした対日批判は韓国の大統領だと朴槿恵に始まる訳ではありませんが、私から見ていてこの人は今までの韓国大統領と比べてもかなり本気で、国益よりも自分の感情を優先する人だという風に見えます。もっともそういう性格なのは盧武鉉元大統領も全く同じでしたが。

 私がそう考える根拠としては対日外交以上に対米外交における姿勢で、この前も報じられていましたが参加を促されていた米国のMD(ミサイル防衛)計画への参加を拒否。そして対北朝鮮政策についてもオバマ大統領に直接、日本抜きでやるべきだと言い出すなど、これまで積み上げてきた成果を一気に崩しかねない突拍子な発言が多いからです。
 正直な所、今の米国と日本も決して仲がいい関係というわけではありませんが、六カ国会議で日米露中韓は共同して北朝鮮問題に対応してきたというのに、それを就任早々に否定してくるというのは上から目線の様に米国からは見えたのではないかと思います。このほかにも朴槿恵大統領はこれまたオバマ大統領に直接、日本の軍事化に懸念があるとわめいたそうですが、日本の軍備増強を願っているのはほかならぬ世界各国で軍事再編を進めている米国であり、実際はどうだかわかりませんがこの発言には米国も苛立ったんじゃないかという気がします。

 総じてというか朴槿恵大統領の外交発言は本当に思い付きでぱっと出してきているようにしか見えず、内心では嫌っているけど国益のためにここは我慢しようというような配慮は全く見られずにすべて自分の感情次第です。なんか悪口ばかり書いてて自分でも嫌になってきますが、傍から見ていてこういう外交方針は非常に危ういようにしか見えず、サーチナの記事によると韓国国内でも国際会議で席が隣り合った安倍首相が声をかけてきたにもかかわらずにべにもならない態度を取り続けるのはよくないという批判が出てきているそうです。私の勘ですが、こういう国内からの批判は今後も増えていく気がします。

 そんな日本とも米国ともしっくりこない朴槿恵大統領ですが、何故か中国とはこのところ積極的に接近しております。先日も私の知る限りでは史上初めて中国と韓国が共同で日本の歴史認識を批判しましたし、習近平とも関係の深さをやけにアピールする始末です。
 こうした中国への接近は日本や米国への牽制もあるでしょうが、先程調べてみたところ朴槿恵大統領は子供の頃に三国志にはまって大学時代に中国語を専攻していたらしく、どうも元から中国に対してシンパシーを持っていたようです。逆を言えばこれまた国益よりも個人的な感情で動いてるんじゃないかと勘繰りたくなり、それでいいのかとちょっと気になります。

 何度かこのブログでも書いていますが「敵の敵は味方」という価値観での外交は非常に危険極まりなく、今の韓国の中国への接近はそれに近いものを感じます。ましてや中国は、中国が大好きな自分ですら認めるくらいにこのところ国際社会で孤立化を深めており、その中国とつるむことによって韓国も孤立化を招く恐れもあるように思えます。しかも韓国と中国は漁業権などでよくぶつかっているなど火種も少なくなく、なにかこういう外交問題が起きた時に韓国は慌てる事態になるのではないかと密かに考えてます、余計なお世話だろうけど。

  おまけ
 前に中国人の友人に、「日系メディアや野党議員は日本は周辺国とみんな仲が悪いとよく言うんだよね」と言ったら、「それ言ったら中国は周辺国とみんなケンカしてるよ。日本なんかまだマシじゃん」とケロッと言われました。中国人も自国が国際社会で孤立してきているのを自覚しているようです。

2013年10月27日日曜日

「シドニアの騎士」の11巻について

 かなり以前にも紹介した「シドニアの騎士」という漫画の11巻を本日買ってきました。この漫画は今連載している中で私が最も評価している漫画なのですが、先日の引っ越しで荷物になるため1~10巻を古本屋に売却したため、新刊の11巻は電子書籍で購入しようかと思っていましたが結局実書籍で購入しました。理由はいくつかありますが一番大きいのは値段で、この点についてはまた別の機会にでも電子書籍業界についてまとめます。

 で、今回買ってきた11巻なのですが、ちょっと気になるというかストーリー展開に妙なインパクトを覚えました。この漫画は巨大な宇宙船内にしか残存していない人類が宇宙で意思疎通が全く通じない謎の巨大怪獣と戦うというSFストーリーなのですが、今回の11巻では新たに新キャラが出てきます。
 名前は市ヶ谷テルルというまた面白い語感のキャラクターなのですがこの人物は人間ではなく完全機械のアンドロイドで、戦火を嫌って主人公のいる宇宙船から出てある惑星へ移住しようと植民を試みる集団と共に行動します。この集団はこちらから交戦する意思を見せなければ宇宙怪獣に攻撃されないと主張して植民に打って出ましたが、やっぱりというかあっさり攻撃されて、ほかの仲間が全員死んだ中で唯一生き残り救助を待っていたという筋書きです。

 ふとしたことをきっかけに主人公を含む宇宙船のメンバーはこの全滅したと思われていた植民団の中でこのアンドロイドが生存していたことを知るのですが、 宇宙怪獣がうようよいる危険地帯に取り残されているのと、人間ではなくアンドロイドということからほとんどのメンバーはかろうじて出されている救助要請を無視するべきだと主張します。
 ネタバレをすると主人公の谷風長道(たにかぜながて)がロボット物の主人公らしく救助に向かい、宇宙怪獣の攻撃を受けながら辛くも救助に成功します。しかし救助後、このアンドロイドは人間ではないことから戸籍がなく、また船内に残っていた植民団の旧メンバーも彼女の救助劇がきっかけで交戦する意思がなくても宇宙怪獣が襲ってくることが証明されてしまったことから邪険に扱い、孤立することとなります。

 ありがちと言えばありがちなストーリーなのですが、このアンドロイドが命からがら脱出したにもかかわらず船内で行き場がなく孤立するシーンが妙に印象に残りました。直接的に「帰るところがなくなった」というセリフも出てきましたが、その孤立ぶりと孤独感に強く共感するものがなんかあります。戦争など生き死にが関わる場面から帰ってくると、案外こういう風に思うような気がします。
 この「シドニアの騎士」はアニメ化、多分OVA化の計画が挙がってきているそうですが、果たしてこっちはうまくいくのかわからないけど漫画の方は依然と面白いままです。

2013年10月25日金曜日

出所のわからない食べ物・料理たち

 先日、世界史の強い友人に何かブログのネタないかと尋ねたら、「食べ物についてなんか書いたら」と言われたので書くことにします。どっちかっていうと世界史ネタを何か振ってくれないかと期待してたんだけどね。ちなみにその友人には高校時代、買いはしたもののセンター試験にしか世界史を受けない自分にはマニアック過ぎる問題集をあげたのですが、カバーの裏に「アッハーン、アッバース朝」という落書きをしたためていたのを忘れたまま挙げたので後で詰問されました。

 さて食べ物ネタということですが、以前に呼んだ「日本人の知らない日本語」で少し面白い話が紹介されていました。そのお話というのもパンの「デニッシュ」に関するものなのですが、これはドイツ語圏なのかちょっとはっきりしませんが、一部地域の言葉では「デンマークのパン」という意味らしいです。そんな意味からするとさもデンマーク発祥のパンかと思いきや、当のデンマークでは不思議なことに同じパンが「ウィーンのパン」という名称で通っているそうです。結局のところ、どこの地域で発祥したのかは未だにわかってないというか完全に迷宮入りしてます。

 これと似たようなもので七面鳥、英語で言うと「ターキー」があり、これは音からわかるかもしれませんが英語だと「トルコの」っていう意味になりますが、実際は中米原産の鳥なのでトルコは関係ないそうです。誰が最初に言い出したのかしりませんが適当な奴もいたもんです。
 しかし我らが日本も負けていないというか、原産地が誤って伝えられたまま名称が定着してしまったものに「カボチャ」があります。日本にカボチャが入ってきたのは戦国時代で海外からやってきた宣教師によって伝えられたとされるのですが、どうもその際にカンボジアから運んできたことからカンボジア原産だと間違われてこんな名称になってしまったと言われています。実際には南米原産らしいのですが。

 そんでもって最後の紹介ですが、これも元ネタは「日本人の知らない日本語」からなのですが、これはその事実を知った際に私自身は激しい衝撃を覚えました。それはどんな事実かというと、カステラは長崎発祥の和菓子だということです。
 その名称といい出島のあった長崎の銘菓、そんでもってスペインにカスティリャって地名もあるもんだからてっきりヨーロッパ伝来のお菓子かと思っていたらそうではなく、ポルトガルのあるお菓子が下地になったものの、歴とした日本人の手によって生み出され日本でしか食べられてない和菓子らしいです。知らなかった人は多分私だけじゃないかと思いますが。

 それにしてもこうした食べ物というのは日常に溢れている一方で、その伝来の過程とかは案外、世界各地で誤解されやすいものだという気がします。最近は認知も進んできましたがナポリタンも日本で独自発達した料理ですが、やっぱ名称に影響を受けてこういう誤解が出てくるのかもしれません。
 ちなみに最近気になっていることとして、日本のカレーはインド人から伝来したものと、イギリス海軍から伝来したもののどちらが影響力があったのかが個人的に気になっています。日本は海軍が初めてカレーを標準食としたことから普及が広まったっていうから後者かなと思う一方、まずい料理大国のイギリスから伝来したというのもなんだかなという風に思え、後からボースなどインド人によって伝えられたカレーの方が現代のカレーに対する影響力は強いのかもと勝手にいろいろと推論を重ねております。

2013年10月24日木曜日

「ほこ×たて」のやらせ報道に対する所感

 先程家に帰宅して冷凍しておいた手ごねハンバーグをチンして夕ご飯を食べましたが、食べながらテレビでも見ようとチャンネルを回したものの、結局テレビの電源を切ってしまいました。というのもどのチャンネルも面白くなく、頼みのNHKのクローズアップ現代ですら介護離職がテーマの番組で、大事な問題を取り上げていることはわかるけど見ていてなんか元気なくなってくるから避けました。それにしてもチャンネルはいくつもあるのに見れる番組が一つもないというのはこれ如何にってなもんです。しかもどの番組も、正直に言ってただ横で映っているだけでイライラするというか不快感を催すものばかりで、あくまで私の感覚ではありますが楽しむ以前の番組しかありませんでした。

 こうしたテレビの面白さの下落は今に始まるものじゃありませんが、今日またそれを象徴するような報道が出てきました。

フジテレビ、「ほこ×たて」の放送取りやめ 当面は自粛(デイリースポーツ)

 上記リンク先を含めた一連の報道によると、フジテレビの「ほこ×たて」という、様々な業界の達人なり商品同士が直接対決を行ってどちらが勝つのかを競うこの番組で悪質なやらせが行われていると、なんとこの番組の出演者がブログで明かしました。詳しい内容はその他の報道で見てもらいたいのですがこの出演者自身、何度もこの番組に出ている上、明かされたやらせの内容が妙に生々しいというか真実味があり、いろんな方面で早くも大きな話題となっております。
 こうした反応を受けてか当事者であるフジテレビ側も即反応し、リンク先のニュースによると次回以降の番組放送を取りやめ、自粛すると発表してきました。やらせ自体はまだ認めておらず調査中と主張しているものの、先ほどの出演者の発表内容といい、フジテレビのガチに焦っているこの対応を見る限りだと私はあまり疑う気にはなりませんね。

 そもそもというかこの「ほこ×たて」という番組、以前からきな臭い噂というか疑義の声が絶えない番組でもありました。一番議論されていたのは「ハッカーVSセキュリティソフト」という対決で、たまたまこの回だけは私も見ていてそれなりに面白いとは思っていたのですが、放送後にハッカーの側から放送されなかった場面で不利な条件を突き付けられたとか、突然の対決ルール変更などがあった事実が明かされ、始めからマッチポンプというかシナリオ有りきというか、八百長があったのではないかという噂が流れていました。
 それ以降はこの時ほど大きな話題にならなかったものの演出面で怪しい場面が少なくないなど言う声はちらほら聞かれ、それに合わせて私の周りでも「段々つまらなくなってきた」など番組を見なくなる人も出てきました。

 そうした矢先に今回のやらせ報道と来たもんですから、「やっぱり」という言葉がまず真っ先に浮かんできました。すべての演出を否定する気は毛頭ありませんが今回行われていたというやらせは完全に視聴者をだますものでしかなく、こんなことをやって恥ずかしくないのと番組制作者に直接問いただしてみたいものです。
 かなり昔というか学生時代にテレビ局、ひいては放送倫理・番組向上機構(BPO)にもいた放送関係者の授業を受けたことがありましたが、その講師は放送していい番組か悪い番組かを見分けるためにはたった一つの質問があればいいと言っていました。その質問というのは番組制作者に対するもので、「貴方は自分が作った番組を自分の子供に自信を持って見せられますか?」というものでした。「ほこ×たて」のプロデューサーさんはどう聞くのかなこの質問を。

 今、フジテレビは決して冗談ではなく視聴率で凋落の一途をたどっており、番組制作向け予算額で大幅に少ないテレビ東京にまで背後に迫られて「振り向けばテレ東」とまで言われるほど危機的な状況に陥っています。来年3月には「笑っていいとも」も終わるそうですし、この際だから放送免許もそろそろ返上するなりしたらどうかと、NHKニュースを見ながら思う次第です。

2013年10月23日水曜日

阪急阪神ホテルズのメニュー偽装問題について

「鮮魚」メニュー実は冷凍 阪急阪神ホテルズ異なる表示(朝日新聞)

 既に各所の報道で皆さんも知っておいでかと思いますが、阪急阪神ホールディングス傘下のホテル会社である阪急阪神ホテルズは昨日22日 (経済紙っぽい書き方をするなぁ自分も)、自社が運営するホテルやレストランで提供した食事にメニューと異なる食材を使っていたことを発表しました。阪急阪神ホテルズは会見で謝罪を表明し、料理を提供した顧客に対して全額返金を行う方針も合わせて発表しています。

 昨日にこのニュースを見た時の私の感想はというと、「京都新阪急ホテルも?」という、ちょっと妙な反応の仕方でした。なんでピンポイントにここを思い浮かべたのかというと、ここは京都駅の真正面にあって京都駅に行く度にいつも目の前通って、「一回でいいからここ泊まってみたいなぁ」と何度も考えてた場所だったからです。ちなみに報道というか発表によると、やっぱりここのレストランでも誤表示があったそうです( ´・ω・)y━フゥ

 たった今、「誤表示」と書きましたがこの表現を「偽装」と書くべきか「虚偽記載」と書くべきかでちょっと悩みましたが、温情をこめて「誤表示」を採りました。結論をもうここで書きますが私個人としては今回の阪急阪神ホテルズの発表は批判を受けるのはしょうがないものの全額を返還する対応、そして自ら発表したその姿勢に関しては高く評価しています。

 そもそも阪急阪神ホテルズは何故今回このような発表をしたのかというと、なんでも他社のホテルで似たような誤記載が発覚したのを契機に社内調査をしていたところ、自分たちも同じことをやっていたということに気が付いたそうです。何故誤表示が起こったかという背景に関してはメニュー作成担当者、調理担当者、食材発注担当者、仕入れ業者の間で連絡の不備や認識不足があったためで意図的ではないと説明していますが、さすがにこれはちょっと信じられず、多分この中の単独、複数を問わず誰かが明確な意識を持ってやっていたのがオチだと思います。

 ただそうは言うものの、仮に黙って社内処理さえすれば世に出ることのなかった事実なだけに、本社の管理側は今回のこの行為が行われていたことを知らなかったというのは全額返金という対応を採ったあたりからも真実だと思います。罪を憎んで人を憎まずとも言いますが、こうして自浄作用が働いた上に反省する態度をしっかり示しているのだからその点は評価してあげるべきだし、むしろ率先して発表したことを誉めるべきではないでしょうか。

 というのも、このような異なる食材をメニューに載せる行為は、飲食業界だと日常茶飯事なんじゃないかと思うからです。話に聞く限りですけどスーパーの食材も表示偽装はこの前のイオンだけじゃなく本当に溢れているそうで、牛肉の偽装もハンナンの会長が逮捕されるまで当たり前のように行われていました。まだ味とかでわかりやすい食材ですらそんな状態なのですから、もっとわかり辛い調理後の料理に至っては数多くの飲食店で同じ行為がされているような気がします。
 これは完全に私の勘ですが、今回の阪急阪神ホテルズの発表を契機に今後恐らく、同じような行為が内部告発なりであちこちで明るみに出る気がします。その対応もさることながら今後の展開いのける嚆矢となる発表なだけに、阪急阪神ホテルズは心を入れ替えて頑張ってもらいたいと心からエールを送りたいです。

 こんな記事書いたんだし、京都新阪急ホテルの割引券とかくれないかな……。

  おまけ
 ちょっと趣が異なりますが、このところ出版業界で内部告発をきっかけとした不祥事が二つ明るみに出ています。一つは秋田書店で漫画雑誌でアンケート回答者へ抽選で送る景品を実際に葉送っていなかったという事例で、もう一つはぴあが「ももいろクローバーZ」の特集誌の発行部数を実際より少なく申告していた事例です。

 どちらもあまりにも内容がせこすぎて呆れる限りですが、ぴあの例に至っては理解不能としか言いようがありません。通常、発行部数は広告費を高くするためやや多めに発表するのですが、著作権を持つスターダストプロモーションへ支払う印税をケチるため、わざと少なめに申告したとのことでアホじゃんとしか言いようがありません。
 実は先日、タイムリーなことにぴあを訪れることがあって向こうの会社の人とも会って話しましたが、まぁ感じの悪いの、話しの組立てが下手なので物凄い不快感を存分に味わいました。ぴあ側はほかの書籍や雑誌では同じことはしていないと言ってますが、こんなせこいことを昨日今日で思いついてやるかっていう気もするし、上記のように社内の人の印象が悪かっただけに、ほかにも同じことやってるんじゃないかと個人的に思います。

2013年10月22日火曜日

私立校教師の指導力について

 何度もこのブログで書いているので知っている方も多いでしょうが、私は中学受験をして私立の中高一貫校に通った経歴を持っております。そんな私の個人的な意見として、進学校とされる私立校の教師は世間で見られるほど指導力が高くはないのではないかという気がします。

 私の経験談で話すと確かに通った中学、高校には熱心な教師もいて教え方も上手な人もいましたが、それは必ずしも全員ではなく、教科によってははっきり言って教え方が非常に悪い教師もいました。なんでそんなことが言えるのかというと、同じ学年内でたとえば数学なら数学、理科なら理科でクラス別に指導する教師が異なってて、ある教師のクラスだけが極端に平均点が低く大きな差がついたことがあったり、あと私自身の体験としては進級して指導教師が変わるや途端にその科目の点数が伸びたりすることもありました。まぁこれは相性が良かっただけかもしれませんが。

 はっきり言って私の通った学校は世間一般では進学校として通っておりましたが、ただ教科の進捗スピードが速いだけで教師の教え方が上手いかどうかでみると結構微妙だったと思います。先程の様に一部の教師が極端に教え方が悪いというのもありましたが全体で見ても、「進学校だから教師の指導がいい」とはとても言えない学校でした。
 このように考える根拠としては実にシンプルな理由が二つあり、一つは校内の成績上位者はみんな学外の予備校なりに通っている人間だったことと、勉強について行けず落ちこぼれる生徒は果てしなく成績が落ち込んで行ったからです。かくいう私も中学時代の成績は下から数えればすぐに数えられる水準だったのですが、高校進学後に予備校に通うや一気に成績が跳ね上がって、自分で「学校通う意味あんのかこの結果は?」などと自分でツッコんだくらいです。単純に予備校教師と比べても授業時間数は少ないにもかかわらず理解度は予備校のが勝ってたし、成人して中学校時代の授業を思い出すにつれてなんであんな妙な教え方してたんだあの教師はと思う事すらあります。

 それでここからがミソなのですが、何故教師の指導力がそれほどでもないのにその学校は進学校と呼ばれたのか、結論から言うと選抜試験が難しくて倍率が高く、いい素材というか学力の高い子供が入学してくるからじゃないかと勝手に睨んでいます。

 これは予備校で働いている友人が言ってたことですが、やっぱり子供によって理解力には差があり、理解力が高い子どもの方が教える側としては楽だそうです。私自身も大学時代に後輩を指導した際、その理解度の差というか反応速度の違いは人によってはっきりと感じます。
 思うに、自分の通った中学、高校はそこそこ県下で知名度があって人気だったことから優秀な生徒を集めやすく、その優秀な生徒の上に胡坐をかくというか、教師の教え方が悪くても生徒はきちんと理解して、そこそこいい大学に進学する人間も出てくることから進学校として成立してたんじゃないかという、かなり不届きな考えを持っています。

 敢えて学力を料理にたとえると、生徒自身の理解力なり才能は素材で、教師の指導というのは調理技術に当たります。極論を述べると素材さえよければ調理技術が如何に未熟でもそれなりの料理は出来てしまいます。素材が悪いにもかかわらずまともな料理に仕立て上げる、またはいい素材を存分に活用して上等な料理をこしらえてこそ一流の料理人であって、教師にも同じことが言えるのではないでしょうか。

 なんでこんな愛校心の欠片もない記事を書こうとしたのかというと、前述のある中学校教師の授業中の言葉を何故か突然思い出したからです。そのセリフというのはその教師の担当科目でテストの平均点が悪かった際に、「なんでお前たちは上の学年よりこんなに出来が悪いんだ」というものでした。単純に上の学年より素材が悪くて申し訳ないとしか私としては言えないのですが、さっきのセリフは悪い素材じゃもうお手上げだと言ってるようなもので、わざわざ自分の無能ぶりを棚に上げなくてもという気も今更ながらします。ここまで言えばわかるでしょうが、学力の低い生徒を引っ張り上げてくる教師こそ指導力のある教師だと私は考えているわけです。

2013年10月21日月曜日

書評「夢を売る男」

 またというか百田尚樹氏の小説を紹介するのもこれで三度目ですが、贔屓にしているというわけじゃないもののなんか周りの人がこの人の本を貸してくれるので、ブログの上で感想を伝えるという意味合いもあって毎回書いてます。ちなみに、各本の入手経路は以下の通りです。

・永遠の0:大学の先輩が貸してくれた(in中国)
・海賊と呼ばれた男:親父が貸してくれた
・夢を売る男:高校の同級生が貸してくれた

 まず前回紹介した「海賊と呼ばれた男」については主人公のモデルとなった出光佐三を異常に持ち上げ過ぎで、提灯記事もとい提灯伝記もいいところだとして本屋大賞という賞を受賞するに値しない本だと述べ、自分でもびっくりするくらい厳しく批判しました。なのでこういう書評記事をアップする際にはいつもAmazonの広告リンクを貼りつけていますが、自分が薦められない本の広告なんて貼りつけられないというのと、批判した手前、作者の百田氏に悪いと思ってその記事に関しては何も広告を付けませんでした。
 しかし今回紹介する「夢を売る男」ですが、これに関しては文句なしにお勧めできます。むしろ何故この本を差し置いて「海賊と呼ばれた男」が本屋大賞を受賞したのか、「夢を売る男」がどうして選ばれなかったのか納得いかないくらいです。ま、あの内容では文学賞なんて取れるわけないんですけどね

 早速この作品についてあらすじを簡単に紹介しますが、この本は自費出版を手掛ける出版社を巡るドタバタ劇なストーリーです。主人公はその出版社で働くやり手の編集兼営業課長みたいな人なのですが、自費出版をしたいと原稿を持ち込んでくる人だけでなく、自社で催行した文学賞の応募者などに対して、「我々は本当に良い作品だと思ったのですが敢え無く大賞の選考に漏れてしまいました。しかし貴方の作品は世に埋もれさせるにはあまりにも勿体ないだけに、我々と一緒に自費出版をしませんか」、などというセールストークで以って口説き落とし、次々と自費出版を促していきます。

 一体何故自費出版を促すのかというと、さっきのセリフの様にその作品に価値がある、売れると思うからではなく、執筆者が出版社に支払う編集・出版代行料が大きな収入源となるからです。作中では具体的な数字も書かれてあり、数万部発行するに当たり実際にかかる費用は約20万円程度に対し、出版社がその執筆者に請求する金額は150万~200万円で、本を1点自費出版させることで100万円超も利鞘が出るという計算です。おいしいねぇ。
 この数字なんですが、妙にリアルというかかなり実態に近い数字だと思えます。というのも以前に自費出版について私が調べた際にも1点の自費出版費用は大体200万円前後で上記の数字とピタリと一致するだけに、実際の発行費用も20万~40万円程度が真実なのでしょう。

 あらすじに戻りますが、こんな感じなのでその出版社は作品として売れる、売れないは度外視し、何らかの原稿を持っている、書ける人間に対して自費出版をさせることで売り上げを増やすという事業をやっているわけです。作中ではその出版社に入ったばかりの新人が、売れる可能性のない本をさも売れるかのように持ち上げてお金をかすめ取るなんて詐欺みたいだと抗議する場面もあるのですがそれに対し主人公は、「いいか、これはあくまで社会事業なんだ!」と言って諭すシーンがあります。
 主人公に言わせると、何かしら原稿を数百枚書いたり、毎日ブログを更新したりするような人間はある意味で異常な人間で、表現したという欲求が溜まり切っている状態なんだそうです。そうした人間にこうして自費出版を持ちかけ、実際に出版までこぎつけさせることで彼らのフラストレーションを解消する一助になっており、運が良ければ、万に一つもないんだけど、大ヒットして大いに売れる可能性もあるだけに「俺たちは執筆者に夢を売っているんだ!」という主張が展開されます。

 多分、ここまで読んだ時点で「それってお前やんけ」と、読者の方々は私のことを思い浮かべてるんじゃないかと思います。まぁ実際にほぼ毎日ブログを更新するし、表現欲求が異常に高いことは認めますが、実際にこの本貸してくれた友人も、後から読ませた親父も、「毎日ブログを更新する奴は異常だって書いてるじゃねぇか」って真っ先に突っ込んできやがったし。

 話が少しそれましたが、上記の主人公の主張というのは実に正鵠を得ていると思います。確かに近年の日本ではツイッターやSNSが普及したことから、「もっと俺の書く文章を世の中に知らしめたい」と思う人間が増加しており、そうした人間を食うことに力を入れる、つまり自費出版事業を強化している出版社も増えています。更に作中ではかつて文学賞を受賞したような文豪が評価する、発表する小説なんて今の時代では全く売れず、飯のタネにもならないとどの出版社も理解しているが大手はそのプライドから文芸誌を出し続け、赤字を生む要因になっていると出版業界全体に蔓延する問題も指摘しています。

 ざっとこんな具合なんですが、出版業界のタブーというか問題点に深く切り込んでいる上、あまりにもリアリティに溢れている話が多く、よくこんな逆批判本を出版できたなと感心してやまない次第です。これが冒頭に述べた、文学賞は絶対に取れない本だという根拠です。
 しかし自分もメディア業界に身を置いたことがあるだけに、今の日本の出版業界を取り巻く状況については多少の理解があると自負します。その自分に言わせると、この本は本当に今の出版業界の問題点を鋭くあぶりだしており、なおかつストーリー展開でも同じ自費出版事業を手掛けるライバル社が現れたりと浮き沈みがあって読んでいて次のページを早くみたいという感覚を久々に覚えた作品です。なわけで、今日はちゃんとAmazonの広告を貼り付けますが興味がある方は何もわざわざAmazonで買わなくてもいいので、思い切って手に取ることをお勧めします。