日本は失われた10年こと1990年代、幾度も消費刺激策と言っては公共工事などでお金をばらまいたものの、そのお金は大半が預貯金に積み上がり、銀行も預かったお金を振り向ける投資先もなかったことから(郵貯についてはやや別腹)、市場にお金がだぶついて不況に拍車をかける結果となりました。
この時何故日本人はお金を使わなかったのか。結論から言えば、将来への不安ももちろん大きいですが、物に溢れて既に新たに買いたいものなぞなかったためという見方もあり、自分もこの説を支持します。
具体的には冷蔵庫や掃除機などの家電はほぼ全世帯フル装備となっており、テレビに関しても液晶テレビが出るまではブラウン管の技術革新は弱く、特に大型ブラウン管テレビに至っては重量も増すため明確なデメリットも存在しました。やはり消費というのは新規商品が出ないと動かないもので、MDプレイヤーやデジカメ、あとインターネット開始とともにパソコンなんかは90年代においても消費が非常に活況を呈していました。
ここで目線を中国に向けると、中国も00年代ならともかく現在の20年代においては、日本同様に生活家電はほぼフル装備状態であり、冷房のない家の方がもはや珍しい状態です。また冷房がある家でも2台、3台あっても珍しくなく、購入があっても買い替え需要くらいしかなくなっています。
一応、車に関しては今でも書いたがる中国人もいますが、やはりそれも以前と比べると購入意欲は明らかに落ちてきている気がします。若者世代などはそこまで車を欲しがってもおらず、今後雇用状況が悪化するにつれこうした見方はより広がることでしょう。
女性に関して言えば、化粧品やバッグなどの高級品に対する需要はまだ強いものの、家族単位で欲しがられるものとくればほぼ全くなくなっており、敢えて言えば住宅需要はなんだかんだ言いつつ根強いものの、例の住宅市況不安から「今買うべきなのか?むしろこれから下がるんじゃないの?」という意識が広がっており、買い控えがますます広がるでしょう。
また旅行こと観光需要はなくはないですが、それでも10年前と比べるとかなり落ちてきている気がします。10年前はそれこそ初めて海外旅行に行く人ばかりでしたが、現代では海外旅行経験はそれほど珍しくなく、日本人よりはまだ意欲はあるものの、海外旅行のためにお金をためてバーっと使う感覚はもはやないと思います。
もっとも、団体旅行が解禁された日本旅行に関しては、これまで行けなかった思いもあってかつてほどではないものの日本国内での爆買いは一定程度起こると自分は予想します。というのも、「花園さんはいつ日本に行くの?(^ω^)」と、同僚の中国人女性からお土産を期待する打診を既に結構受けているからです。中国でも同じもの買えるらしいですが、日本の方が安いので日本で買ってきてほしいとのことです。
以上のような感じで、もはや中国人もお金があっても使う先がない状態になりつつあることから、中国政府が行おうとしている消費拡大政策は、農村などの貧困地域を除けばそこまで大きな効果を生まない、特に富裕層ほどその傾向が激しくなるとみています。
それでも敢えて逆転打を打とうというのなら、数年前に禁止した予備校ビジネスを再び認めることです。教育費というのはある意味、消費の果てがないというか、使おうと思えばいくらでも使えるけど必ずしも使った分だけ効果があるわけではなく、とは言いながらも使わざるを得ない分野です。お金が余っている層ほど子供の教育に無限にお金を使う可能性があるだけに、教育ビジネスを復活させることで就職先のない大学生の雇用も確保できるし、終わりなき消費分野も作れるわけなだけに、自分だったら「お金は子供の将来に使おう!(*^▽^*)」などと、一度業界潰しておきながらどの口が言うんだというような音頭で業界振興をします。
最後に、自分もあんまり買いたいものがないというか物欲がないので、割とお金はたまる一方です。これはこれで経済にも悪いしということで、以前と比べるとなんか靴とか鞄でやたら高いものを買うことが増えました。まぁゲームやプラモにお金を使い続けるのに比べたら、こっちの消費の方がまだ有意義かと思います。