2010年9月28日火曜日

日本は外国人に死刑を行えるか

 どうでもいいですが今、以前に放映していた「ガンダムSEED」というアニメ番組の主題歌を聴いて懐かしんでいますが、この番組を見てた頃の私はボブ・サップにボコボコにされたアケボノの如く打ちひしがれていた時期だっただけにいろいろと胸に去来する物があります。これに限るわけじゃないですが、やっぱり辛い時に聴いていた音楽は良し悪しに関わらず後年も飽きずに聞き続けるものです。

 そういった前置きは置いといて、前回「社会的報復としての死刑の価値」の記事にて外国人犯罪者に対しても死刑は適用されるのかどうかという質問コメントを受けました。私自身も全く見落としていた問題ですが非常に重要な課題なので、本日一つの記事にしてまた私の考えを紹介しようと思います。

 まずこの問題に対して私が言えることは、死刑が下りてもおかしくない外国人による猟奇事件はそう遠くない未来の内に起こっておかしくないということです。ただでさえ人的移動が激しくなっているこの世の中、日本人ですらこのところ通り魔事件を起こす者が増えているのですから今後外国人が起こす事も十分にありえますし、実際にはもう起こっているかもしれません。そしてその際、日本は事件を起こした外国人犯罪者に対して果たして日本人同様に死刑判決を下せるかどうか、やや気が早いという気もしますが起こってから議論してはいろいろと問題なので、そういう意味ではこの課題は今のうちに議論を深めておくべきものかもしれません。

 これまでの記事でも私は何度か死刑を取り上げてきましたが、それらはあくまで日本人に適用すると仮定したものであって外国人に適用するという事は全く論外で話を進めてきております。というのも外国人への死刑適用ともなるとただでさえ西欧諸国や人権派団体などから日本は死刑が未だにあると叩かれているだけに、幕末の生麦事件じゃないですが外交問題に発展する事は必定です。
 実際にお隣の死刑大国中国では去年、中国法で死刑とはっきりと定められている麻薬密売を行っていたとされるイギリス人男性に死刑を執行した際にイギリスから激しい抗議を受け、すわ第三次アヘン戦争に発展するかと思うくらいに外交問題化しました。まぁもちろん戦争にはならなかったけど

 ちなみに中国は今年四月に同じく麻薬密売に関わっていたとして日本人男性数名に対しても死刑を執行しております。この死刑執行前に中国は日本側に事前連絡をした上、受刑者の家族に対して面会を許可するなど一定の配慮を見せましたが、当時の福島瑞穂消費者行政担当相はイギリス同様に執行中止をしてほしいと発言しました。福島氏の場合は政治的スタンスから発言しなきゃ党内支持が落ちるからしたのであって私はあまり気にしませんでしたが、一般世論はどんなものかと報道をチェックしていた限りでは日本人はそれほどこの死刑執行に対して特別な感情を持たなかったような気がします。
 報道によると死刑が執行された日本人男性らは皆日本の暴力団関係者でもあり、なおかつ所有していた麻薬の量も半端な量でなかったことからどちらかといえば冷淡というか、死刑になっても仕方ないのではという意見が多かった気がします。

 と、中国は現在も議論紛糾している日本との漁船衝突事件でも全く譲らず外交問題が何だってんだとばかりに外国人に対しても死刑を執行していますが、これが日本の場合だとどうなるかという事かです。結論を言えば、日本はあまり外交で揉めたがらないので外国人がいくら猟奇殺人事件を起こしたところで、国民から反発が起ころうとも死刑判決を下す事はないと思います。司法権の独立も始めからないし。

 ただ例外というか気になるケースが一つありまして、先に言ってしまうと「東電OL殺人事件」における容疑者の取り扱い方を見ていると、波風の立たない国の外国人に対してはありうるのではないかと見ております。この事件についてはもう大分古いですが佐野眞一氏の著作「東電OL殺人事件」を詳しく読んでもらうのが早いのですが、一体何が問題なのかというと犯人とされた容疑者がネパール人だったことで冤罪の線が極めて強く、事実一身では証拠不十分で無罪判決が下りております。

 通常、一審で無罪判決が下りた容疑者はたとえその後に検察から控訴されたとしても拘置所から身柄を解放されることになっているのですが、「拘置所から出したら国外逃亡する恐れがある」として、このネパール人容疑者はその後も身柄を拘束され続けました。恐らくこのような処置が行われたのは未だかつて彼だけでしょう。
 仮にこの容疑者が中国やアメリカといった強国、というよりかはうるさい国の人間であれば、母国から激しい非難を受けておいそれとこのような法を曲げるような身柄の拘束は行えなかったでしょう。彼が無罪判決を受けたにもかかわらずその後も身柄を拘束され続けたのは、ただ単に彼がネパールという発言力の弱い国出身であったことに限ります。

 この時の例を考えると、強国出身の外国人はいくら猟奇事件を起こしてもせいぜい懲役刑止まりでしょうが、弱小国出身の外国人に対しては日本は死刑を執行する可能性があるんじゃないかと私は思います。もちろんこんなのは最低な差別で、外国人犯罪者に対して死刑をやるならやる、やらないならやらないとはっきりと分けておく方がいいと思います。

 最後に仮に本当に外国人犯罪者が猟奇殺人事件を起こしたらどうするべきかというのであれば、今時治外法権じゃないのだから私は他の日本人と同様に裁くべきだと考えております。ただその前に正当な裁判をきちんと踏んであるという証拠を作るために、取調べの可視化と録画、並びにきちんとした裁判翻訳員の整備をしておくべきだと思います。外国人犯罪者に限る事ではないが。

4 件のコメント:

  1. こんにちは。

    >日本人ですらこのところ通り魔事件を起こす者が増えているのです

    そんな事実はあるのでしょうか。わたしは寡聞にしてしりませんが。社会学を専攻されているなら、是非とも、世間の風評くらいは疑ってかかって欲しいですな。

    ネットでも関連の統計書の一部は見られるのですから。

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  2.  まず何を以って通り魔事件とするかですが、私の中の定義だと、「強盗や特定個人への怨恨目的ではなく、それまで何の関わりのなかった人間に対して行われる傷害、殺人事件」という風に考えています。この定義に基づき、私がこの記事を書くに当たって思い浮かべた事件を並べると下記の通りになります。

      1999年
    ・下関通り魔殺人事件
    ・池袋通り魔殺人事件
      2001年
    ・付属池田小事件
    ・浅草レッサーパンダ男事件
      2003年
    ・名古屋市連続通り魔殺傷事件
    ・世田谷通り魔事件
      2008年
    ・岡山駅突き落とし事件
    ・八王子通り魔事件
    ・大阪駅通り魔事件
    ・土浦連続殺傷事件
      2009年
    ・愛知県蟹江町自転車通り魔事件
    ・愛知女性警官殴打事件
      2010年
    ・マツダ本社工場連続殺傷事件
    ・愛知一宮女子高生通り魔事件

     比較スパンとしては約10年間です。ちなみにさきほどの私の定義だと神戸の酒鬼薔薇事件も通り魔事件の一つと考えております。

     ここで挙げたのは一部を除いて全国的にも大々的に報じられた事件ですが、多くの犯人らは捕縛後に「誰でもいいから」、「死刑になりたかった」と似たような供述をしているのが私個人として懸念しております。これらをレアケースと見るべきか、頻出し始めてきた現象と見るかでいろいろと見方が変わりますが、何かこう、犯罪に対して顔がないというか、動機の薄い人物像の見えない犯罪が増えているように私は感じております。

     社会学は確かに統計を扱いますが、ごくわずかのレアケース群の中から共通項を掬い出して考えるという作業もあるかと思います。私としてはそうした肌感覚で「増えているのでは」という予想から話を組み立てる事が多いのですが、90年代と比べると00年代は件数、被害者共に増え、社会の注目度も上がっていると思います。
     特に秋葉原連続殺傷事件のあった2008年は警察白書での通り魔事件認知件数が1993年以降では過去最高となっています。さすがに私は80年代と00年代を一足飛びに比較はしてませんが。さらについでにかくと、殺人事件件数はここ数年は減っているにもかかわらずです。

     生憎ネットで1990年位から1年スパンで比較する統計データを私は見つけることは出来ませんでした。社会学を専攻こそしておりますが是非とも世間の風評くらい疑ってみたいものなので、もし何かよいサイトなどがございましたらここのコメント欄でご紹介ください。

     あとどうでもいいですが、愛知県はなんでこうも通り魔事件が多いのか、何気に調べてみる価値がある気がします。

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  3. 根拠を示さないで批判だけする(それも上から目線で)コメントには律儀に反論する必要はないのでは?こういう、短絡的なコメントを残す人がたいした意見を持っているとも思えないし。

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  4. >バトー改さん
     そこをきちんと根拠を示して回答してあげるのが、大人の対応かなと思って今回はきちんと答えました。まぁぶっちゃけ、書く記事のネタがなくて時間があったというのが本当の理由なのですが……。
     放置するのも考えましたけど、バトー改さんのように見る人は見てくれるので決して無駄じゃなかったと思います。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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