2011年9月26日月曜日

中国政府と人民解放軍の思惑の違い

 ちょっと古い話ですが、今年に防衛相が出した最新の防衛白書で、「尖閣諸島や南沙諸島などでの近年の中国軍の動きには警戒する必要がある」との記述を盛り込んだところ、こちら中国現地の新聞でもその内容が大きく取り上げられました。ただ断言してもいいですがこうした中国軍こと人民解放軍を警戒する記述が出たことで一番喜んだのは、ほかでもなく人民解放軍自身です。

 前もって言葉の説明だけしておきますが、建前上は中国という国に軍隊はありません。一般に中国軍と呼ばれているのは人民解放軍のことですが、これは中国共産党が保有する軍のことで中国という国家の軍隊ではないという風に解釈されております。ただ実態的には中国軍と言っても変わらないことに中国、そして共産党自身もわかっており、近年は徐々に「中国という国家の軍隊」との解釈の仕方を本人らで広げております。

 それで本題に戻りますが、一体何故人民解放軍は自衛隊が自分たちを警戒すると喜ぶのかですが、理由は単純明快で予算が得られるからです。その理屈というのも、

 自衛隊が警戒している→彼らに対抗せねば→もっと予算が必要アル→政府は拡大予算を組むアル!

 という解釈につながっていくからです。
 こういってはなんですが、自衛隊はそういう存在ではないとはっきり言えるものの、軍隊というのは戦争があってなんぼです。戦争がなければどんどん予算は削減される一方、有事や危機感が高まれば逆に予算はどんどん増え、好き放題に使うことができます。戦前の日本も戦争に突入した一つのきっかけとつしてロンドン海軍軍縮条約に身の程知らずの旧帝国海軍が異を唱えたことが大きな要因となっておりますが、こういったことは多かれ少なかれどこの国にも共通しています。何気に最近のアメリカでも中国脅威論が言われるようになったのは、アメリカ軍が予算獲得のための一つの方便として使うようになったからで、本音では中国の軍隊なんて屁とも思っていないという話も聞きます。

 さてこのような中国軍が予算を獲得したいという仮説ですが、これに対する中国政府の本音はというと、どうも私が見ている限りですと逆に軍隊を削減し軍事予算を減らしたいという思惑が見え隠れします。共産圏の軍隊というと北朝鮮の軍隊がある意味最も身近ですが、同じ共産圏でも中国と北朝鮮での軍隊への見方というのは大きく異なっており、中国では政府はおろか一般国民でさえも軍人を低く見ております。ひどい中国人なんか軍隊なんてクズの行くところだと広言してはばかりませんし、現実に退役した軍人には世間の蔑視があるため再就職もままならないそうです。
 そんな風に見られている人民解放軍ですが、兵員数は北朝鮮と同じく100万人を超えており、世界的にもかなり大規模な軍隊です。た現代の戦争は兵隊の数が戦局に与える影響は少なく、中国もどちらかというと雇用を維持するためにこんな大規模な兵員数を維持しているのが本音で、可能ならば縮減して余ったお金を経済投資に使いたがっているという話を聞きますし、私もこの説を支持します。

 そのため現在の政府と人民解放軍の思惑は、予算を減らしたいのと増やしたいので真っ向からぶつかっており、決して仲のいい関係ではありません。それ故に起こったのが昨年の尖閣諸島沖の漁船衝突事故とも言われ、あの事件で事態を大きく見せることが人民解放軍にとって有利に働くことから裏でいろいろ画策していたのではないかと、あくまで噂の範囲ですが言われております。

 ではこうした中国に対し、日本はどのような態度を取るべきなのか。はっきり言ってバランスの取り具合で非常に難しく、中国を警戒する発言をすればするほど中国で軍事予算が拡大する可能性があり、かといって無警戒だと好き放題にやられた上に国内世論もヒートアップします。一番無難なのははっきりとしたライン、たとえば領海内に艦船などが侵入することがあれば中国限定の輸出規制対象品リストを作るとか、こっちまで来たら徹底的に対抗するという線を作りそれをはっきり見せることじゃないかと思います。どちらにしろ、あやふやな態度が一番問題です。
 もう一つは、中国政府の人間と強固なパイプを作り、縮軍のお膳立てを支援するのもありかもしれません。中国の国民世論ですら人民解放軍への批判が高いのですから、「中国は軍にたくさん予算をかけて経済投資が遅れているので日本は助かっている」などと、誉め殺すような意見を公で発表してみたら、どんなことになるのか想像するだに面白いです。

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