上記の表は今年に入って月額最低賃金(中国では月給、時給で最低賃金がそれぞれ分かれている)を引き上げた都市とその額を「中国新聞網」というニュースサイトが編集し、まとめた図表です。この中国新聞網というサイトは定期的にこうやって最低賃金とか住宅価格を見やすい表にまとめてくれるので、前職にいた頃もよく引用させてもらっていました。記事書く側からしたら本当にありがたい。
それでは本題に移りますが、まず中国の最低賃金の前提をいくつか話すと、日本と同じようにこれは各都市や地方の自治体が金額を定めます。そして引き上げは年に1回だけで、時期はちょうど今に当たる、旧正月明けから6月くらいまでの間に行われることが多いです。今年もその例にもれず、上の表を見る限りだと主要都市では大体で揃っていますね。
金額でみると上海市が1620元でやはりというか最高となっております。ちなみに今は「1元=14円」くらいがレートなので、この金額ですと「1620×14=22680」となり、日本円では2万2680円くらいとなります。
日本円で考えるとやや心もとない金額ですが、かつての中国の事情を考えると随分と高騰したなと私には感じられます。折角だから軽く調べてみるとみずほのレポートがきちんとまとめてくれていて、これによると2005年の上海市の最低賃金はなんと690元と書かれており、わずか8年間で2.3倍にも上昇しております。あと確か2005年当時の最低賃金は全国的に500元程度だった気がするのですが、上の表を見てわかる通りにもはや4ケタ(1000元)以上で当たり前という状況で、上海に限らずどこの地方でも8年間で倍増したと言っても過言ではないでしょう。
あと確か深圳市(深圳市は広東省内にありますが、何故か最低賃金は別枠)だったと思いますが、去年にここの最低賃金が全国で初めて1500元を突破したことで少し話題になったものの、今回の引き上げで上海市、広東省、天津市が1500元オーバーの仲間入りを果たしております。なんかこの分だと2000元オーバーもそう遠くないだろうな。
以前の最低賃金と比べた上昇幅で見ると、各都市で2桁(10%以上)超の成長となっているのを見逃せません。特に江西省なんか太字にアンダーバー引いたけど、41.4%上昇ってちょっと急すぎないかと見ているこっちが心配になってきます。それと中国一貧しい地方と言われている貴州省も今回で1000元台に乗っかってきたことから、1000元未満の地方は今年中に確実に消え失せるでしょう。
まとめになりますが、現在もなお中国の最低賃金上昇率は2桁ペースで伸び続けております。2012年の中国のGDP成長率は7.8%だったことから、経済規模の拡大以上に最低賃金が上昇しており、やはり政府としても格差問題の解消が重要課題だと認識しているのではないかと思えます。
中国に進出している日系企業の視点で話すと、従業員として雇う中国人の人件費は上海市などでは2500元以上でなければ誰も集まってこない状態なので、今回の最低賃金引き上げによって短期的に賃金コストが上昇することは短期的にはあまりないでしょう。ただ事務所のスイーパーなどへの賃金額はほぼ最低賃金なので連動して引き上がることとなり、ビル管理とかそういう会社はそこそこダメージがあるかなと思う次第です。
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