・中国GDP成長率が失速 4~6月期、7.5%(朝日新聞)
このブログは政治と歴史と中国で成り立っているので、たまには表に出ている中国経済ネタでもやってみようと思います。もっともこの手のネタはある意味、前職における本業でもあったのですが。
既に各所で報じられておりますが、中国の今年第2四半期(4~6月)のGDP成長率は前年同期比0.1ポイント減、前期比では0.2ポイント減の7.5%でした。上半期(1~6月)は昨年同期比0.2ポイント減の7.6%で、数字が微小とはいえ第1四半期(1~3月)に続き下落傾向にあることは間違いないです。
この統計結果について先に私の方から意見を書いていくと、中国政府としても恐らく予想外に低い結果が出てしまったような気がします。というのも今年は習近平が総書記に就任してから第一年目となる年で、出だしくらいは景気のいいスタートを切る最低でも前年を上回る水準、具体的には8.0%以上の成長率を狙ってくるだろうという見方が出ていたのですが、一年の半分が終わった現段階では7.6%と、8.0%にはまだあと0.4ポイント足りません。残り下半期で挽回するにはやや難しい状況だと言わざるを得ません。
では何故、想定以上に低い結果となってしまったのか?先程のNHKのニュースにキヤノングローバル戦略研究所のアナリストが出てきてコメントしていたのですがその内容を引用すると、何よりも輸出の落ち込みが大きいというのが大きな原因と目されております。
中国の今年6月の貿易額は前年同期比で2.0%減少、このうち輸出額単独では3.1%の減少で、春節という特別期間を除くと実にリーマンショック以来3年7か月ぶりにマイナス成長を記録しました。一体どうして輸出がこれほど急減したのかというと日本や欧州といった国・地域の景気が悪く輸出で苦戦していることや、人民元の価値が上がってレート面での輸出競争力が落ち込んできているということもありますが、それ以上に大きいのはつい最近になって明らかとなった、貿易額の水増し問題発覚でしょう。
これは主に香港との間で投機資金を国内に持ち込むため架空の貿易取引が横行していたのを当局が取り締まりに動いたというものですが、この実体のない架空取引額が意外と侮れない金額となっていたため、貿易額全体も大きく落ち込むこととなったわけです。もっとも、これで輸出額が減少に転じていながらも未だに中国は貿易黒字を保ってはいますが。
こっからは中国広播網の記事に出てくるアナリストの引用ですが、工業生産増加額や小売消費高、不動産開発投資額などその他の統計指標はすべてプラスになっている一方、輸出額のみ下落となっているため、間違いなくGDP成長率のブレーキ要因は輸出の落ち込みにあると指摘しています。また現在は景気調整期と捉えるためなら成長率が下落するのはある意味で自然であるものの、去年からずっと停滞傾向が続いているために調整期にしては長すぎるとも述べています。
ただこのアナリストによると今回の下落幅はそれほど大きくなく、第3、第4四半期も劇的に下がることはあまり考えられない一方、逆に劇的に持ち直すということも可能性が低く、今年通年は大きな変動はなく平穏な数値を保つと分析しています。でもって政府の今年の通年目標値である7.5%成長自体は達成することは難しくないと言っています。
私としても上記のアナリスト達の意見と同意見で、今後も下落が続くかもしれないもののそのペースはゆったりで、例の崩壊論者みたいに急にバブル崩壊なんてことはまずないと断言できます。ただ中国が新たな経済成長エンジンがそれほど上手くいっていない、具体的には国内における個人消費の拡大が想定以上にうまくいっていないというのは間違いなく、この辺をどう処理するかが今後の中国政府の実力を諮る上で重要なポイントとなりそうです。
4 件のコメント:
日本、米国、欧州に頑張って頂いてほしいです。貴国の経済が良くなれば、中国の輸出もきっと増加すると思われます。
中国景気ダウンの背景には内需減少があるほかに、外部環境(上記国々)の経済減速もあるだろうと所存です。
ホンマに外部経済の元気に早く回復してほしいですわ。頑張りましょう!
中国の輸出が落ちた落ちたなんて評論家が言っているけど、なんで落ちたかっていうと確かに日本や欧州が景気が悪くて物買わなくなったからなんだよね。去年のクリスマス商戦は義烏でそこそこよかったけど、今年はどうなることやら。
キミはガンガンMade in Chinaの製品を購入すれば、中国の輸出にもプラスとなりますわ(笑)。
こころなしか、中国に行ってから中国産野菜が何も怖くなくなって率先して買っている。慣れって怖いよね。
そうそう、一緒に買ったタブレットPC(ラモス)だけど、買って一年もしないうちにもう液晶が壊れ、画面に線が入るようになった。
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