2016年4月25日月曜日

映画評論家の前田有一氏への感想

「テラフォーマーズ」5点(100点満点中)(超映画批評)

 撮影前からいろいろと不安視する声が多かった人気漫画「テラフォーマーズ」の実写版映画ですが、この映画に対する映画評論家の前田有一氏の評価が上記の5点だったということでやっぱりと思った方も多かったのではないでしょうか。前田氏はこの映画について、

「いずれにせよ、実写版『テラフォーマーズ』は、長年私が指摘してきた邦画の問題点が凝縮されたような映画である。」

 とまでこき下ろしており、なんかここまでこき下ろしていると逆に見に行きたくなるといういわゆる「負のオーラ」すら感じます。ただ前田氏は原作の漫画作品に関してはこのレビューでも絶賛をしていて末尾に至っては、

「真のヒロインことミッシェル・K・デイヴスを魅力的に撮れる映画人が、はたして日本のどこかにいるのかどうか。あきらめずに期待だけは持ち続けていたい。」

 と書き記しており、漫画原作を読んでいて同じくミッシェルさん大好きな自分としても大きく頷かせられる意見です。ってかこだわる所ここかよと思いつつも、「ここだよ!」と納得する自分がいる。

 ここで話はダメ映画から切り替えてこのレビューを書いた映画評論家の前田有一氏について書いてきますが、大体一昨年くらいにこの前田氏のレビューサイト「超映画批評」を知ってからよく訪れてレビューを見てたりします。前田氏と自分は比較的感性が近いのかもしれませんがレビューでおすすめとされている映画は私も大体同じように面白いと感じられ、逆に過去に私が見たクソ映画がレビューで酷評されていると、「そうそう、そうだよ!」と手を叩きたくなるような感じがして、暇な時なんかボーっと眺めていることも少なくありません。

 ただこの前田氏の評論についてはネット上でも議論となることが多く、独善的な意見だと批判する人も少なくありません。こうした点について私個人の立場から意見を言うと、評論家と言っても人間である以上相性というものはどうしても避けられず、万人に対し公平な評論を行える評論家なんてものはそうそういないというかいるはずないでしょう。それならば自分が面白いと思う映画をきちんとピックアップしてくれる相性のいい評論家を見つけることが肝心で、自分と感性が合わないというのなら気にしなくていいのではなんて思います。

 その上で私なりに前田氏の評論の仕方で優れている点をいくつか挙げると、まず評論の文章が警戒でリズム感よく、本人の意見がわかりやすく書かれていてる点が上がってきます。逆に本音に近い思想も見えることから嫌悪感を持つ人もいるのでしょうけど、この辺はトレードオフでしょうし。
 次に、これは私が知る映画評論家の中でも前田氏だけがきちんと実践できている点ですが、映画に詳しくない素人向けをベースにしつつ玄人向けの解説も同時に行っているという点です。いくつかレビューを見ていると、「映画好きにはたまらないけど素人にはお勧めできない作品」などと紹介されているものも少なくなく、その理由についても簡潔にまとまっています。

 案外こういう二極向けのレビューというのは意識してできるものではなく、基本どっちかに偏った評論が世の中では多く氾濫しています。一例をあげると自動車で、よくユーザーレビューを見ているとファミリーカーのレビューにおいてもやたら走りにこだわる人がやれトルク配分がどうだとか高速時のギアチェンジがどうだとか、普通の人が車選びをするに当たって全く不要、というか余計な情報ばかりびっしり書きこんでいるのをよく見ます。前にも書いた「全てのジャンルはマニアが潰す」じゃないですが、よく知ってる人はやはり必要以上にディープな内容を書き込みがちです。

 それに対して前田氏の映画はあくまで映画にそれほど詳しくない私のような素人向けにどういった点を見ればいいのか、出演している俳優や監督のキャリアがどうなのかなどを簡潔に説明した上で、玄人向けにも映像効果の説明を挟んであって実にバランスのいい評論をしているなと見ていて感じます。でもって、親子連れで見た方がいいとか、大人だけで見に行った方がいいなどと映画の見に行き方にも言及されてあって、自分のようなライターからすれば「優しい書き方」をしているようにも見えます。

 ここで一気に話を転回しますが、評論とは必ずしも万人向けとは限らないということです。途中で出した自動車レビューについても、逆に走りや性能にこだわる人からすればディープな解説の方がありがたいわけで、要は自分が求める情報とその評論がマッチしているかということが重要になるだけに自分とマッチする評論家を捜すことが重要だと言いたいわけです。映画然り車然り政治評論然り、その評論家がどこに着眼点を持ってどういう解説を展開するのか、そのマッチ率を考慮せずに自分と合わないからと言って即その評論家を批判するというのはちょっと気が早いのではないかと思うわけです。
 もっとも明らかに事実と異なる根拠や意見を主張したり、ステルスマーケティングをしてたりってんなら話は別ですがね。この辺はいわゆる「独立性」という評価項目に当たるわけですが、これを理解せずに人批判する輩もいるのでたまに鬱陶しいです。

 そんなわけで前田氏の評論がしっくりくるという方は多分感性が私に近い人だと思います。なお歴史解説では半藤一利氏、保坂正康氏のコンビが私と相性がよく、ワイドショーだと「てっちゃん」こと宮崎哲弥氏が聞いててすとんと落ちる部類です。逆に合わないのはテリー伊藤氏、金子勝氏とかかな。

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