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2016年4月19日火曜日

日本の電気自動車がテスラに敗北すると思う理由

 最近お金使い過ぎだと思うから節約しなきゃと思ってた矢先でまた衝動買いをしてしまい、輪行用の袋を昨日買ってしまいました。輪行と聞いてもすぐわからないと思いますが要は自転車を丸ごと入れて運ぶための袋で、さりげなく寄ったジャイアントのお店で店頭にある袋を指さして、「これいくら?」と聞いたら1980元(約4万円)といわれ、もっと安いのないかと聞いたらすぐ480元(約1万円)を出されちゃもう買うしかないです。店の親父には、「日本に持って帰るの?」と聞かれましたが、約一ヶ月ぶりに来たのに私が日本人だってことをしっかり覚えてる辺りは見事なもんです。
 ってか、やたら頻繁に来る変な日本人って噂されてるのかも……。

テスラは未来のクルマか?(ITメディア)

 そんなわけで本題入りますが、以前に米国屈指のカリスマ経営者であるイーロン・マスク氏を取り上げた際に彼の起ち上げた電気自動車(EV)メーカーのテスラモーターズも紹介しましたが、やはり話題になっているというか私だけでなくあちこちでもこの会社はよく取り上げられています。上記リンク先の記事もその一つなのですが、見出しを見ればわかる通りにどちらかと言えばテスラの悪い所を突っつくかのような書き方がされてて、元々ITメディアの記事は前から好きじゃないというかライターの質があんまりよくないな(無駄に専門用語を並べ立てようとする癖がある)と思ってはいたものの、この記事も読んでてアホかいなと思うところと思う点がいくつか散見されました
 まず最初に目についたのはテスラの車の問題点として過大な車重を指摘している点です。具体的に引用すると以下の部分がそれに当たります。

「各方面の報道でモデルSの車両重量を調べてみると、その重さは実に2.2トン超えというものだ。リーフは1430kgから1480kg。日産のエンジニアはこういう現実的な車両重量に収めるためにバッテリー容量にタガをかけているわけだ(関連記事)。単純な話、2.2トンもあると立体駐車場の重量制限を超えてしまう。都市部で駐車するなら平場の駐車場を探し回らねばならない。」

 通常、コンパクトカークラスの車重は1000kg弱で、ミドルハイクラスセダンなら1200kg辺りです。1500kgを越えたら「重たい車」と言ってもよく、そういう意味では約2200kgあるテスラのモデルSは確かに「とても重たい車」ですが、EVという特殊な車で高い航続距離を稼ぐために電池を乗せることを考えると別にアリなんじゃないかと私には思います。
 引用した箇所で一番気になったのは「立体駐車場の重量制限を超える」という記述で、なんで気になったのかというと、立体駐車場という存在は日本国内以外にはほとんどないからです。調べりゃすぐわかりますが立体駐車場を作るメーカーというのはIHIとか日立など日本の重機メーカーが世界トップをほぼ占めており、何気に日本国内で一番消費されてたりもします。逆を言えば世界じゃあんまり存在しないのだから、グローバルでの販売に当たって立体駐車場に乗れるか乗れないかを気にするのはナンセンスなわけで、余計な揚げ足取りもいい所でしょう。日本、それも都内でしか売らないってわけじゃないし、都内での販売だけを気にするのもそもそもあれだし。

 またこのコラムの筆者はテスラの車はEVではあるが高馬力なスペックで作られてるため全体的にはエコな乗り物じゃないと踏まえた上で、「テスラが加速性能と航続距離を誇らないモデルを作ったとき。それこそが電気自動車の本当の夜明けになるのではないか。」と述べてますが、だからなんだというのが私の正直な感想です。逆に私の方から言わせてもらうと、多分テスラの連中はエコな乗り物を作ろうっていうのは二の次にしか考えてないと思いますし、逆にエコな乗り物にこだわってて日系EVメーカーは失敗したと私は考えています。

 元々、世界で初めてEVを量産販売したのは日本の三菱自動車で、待望すべきその車種は「i-MiEV(アイミーブ)」です。しかし発売当初でこそ受注に生産が追い付かない売れ行きだったもののその後は伸び悩み、最近に至っては街中で見かけることすらもうほとんどない状態ではないかと思いますし、EVと聞いてアイミーブを思い浮かべる人もほぼいないでしょう。
 続いて量産販売されたのは日産自動車の「リーフ」です。軽自動車のアイミーブに対してリーフはコンパクトカーサイズのEVで、また航続距離もアイミーブより長く現状における知名度や販売台数ではこちらのリーフに軍配が上がるでしょう。しかしそのリーフも最近売れてんのかというと売れてるとは聞かないし、日本の街中ではたまに見かけられますがそれでもプリウスやアクアといったハイブリッド(HV)車の方が断然多いです。

 一体何故日本のEVはそんなに人気とならなかったのか。私に言わせればエコな乗り物でしかないからだと思います。CO2排出量や走行に必要なエネルギー量で上記二車種は確かにHV車を上回る環境性能を持ち合わせていますが、それ以外に何があるかというと何もなく、利便性においてはむしろ充電の手間や短い航続距離、限られた充電スタンドなどといったデメリットの方が多いでしょう。またアイミーブに関しては発売当初、リチウムイオン電池確保の問題で1日30台くらいしか生産できずスタートダッシュに失敗してますが、この点もやっぱしっかり考慮すべきだったでしょう。

 あまり長く書いてもしょうがないので言いたいことを書きますがやはりEVを買おうと思う人たちは、エコな環境性能とか高い燃費能力とかではなく、ほかの車とは違う特別な何かを求めていたし今も求めている気がし、言ってしまえば高級車を買おうとする動機に近いと思います。「EVという特別な車や、どや凄いやろ!」というような、今までのガソリン車とは根本から異なる新規に新しく今までにない特別な車を求めようという期待が一番大きいように思われ、そういう意味で今の時代でEVは「大衆車」ではなく「スペシャリティカー」であることが根本的な価値でしょう。
 このような視点から見てテスラのEVはやっぱりよく出来てると思うのですが、EVがもたらす強力なトルクによって実現する加速力、一目でテスラとわかる目立つアウトデザイン、あらゆる走行設定を車内コンピューターで制御するシステムや豪華な内装など、どれも今までの車にはなかったような特別な試みがあちこちに仕掛けられています。また生産能力が低いことを逆手に取るかのように「特別な超高級車」として売り出したことも会社の状態を考えれば理に適っています。

 先ほどにも述べた通りテスラの開発者たちはそれほどエコな性能にこだわっているようには見えず、むしろ新しい技術をどれだけ自分たちが作る車に詰め込むか、またそれでどれだけうまくビジネスに仕立てて売り出すかをイーロン・マスクを筆頭に考えているように見え、CO2がどうとかこうとか燃費がどれだけお得かなんてほとんど思慮に入ってない気がします。またテスラのEVを購入する層も環境は二の次、むしろ今までにないドキドキとワクワクをテスラに求めてるようにしか見えません。

 それに対して日本のEVは先ほども言った通り泣きたいくらいにエコであることしか特徴がありません。デザインは二車種ともなんだかよくわからないしかっこ悪いデザインで、アイミーブに至っては既存の「i」の流用でした。車載ソフトがどうとか、驚くような加速とか、オートクルーズとかそういう真新しく今までにない物は全くありませんし航続距離の点でもテスラと比べて泣きたいくらい短いです。何故そうなったのか説明するまでもありません。三菱も日産もEVをスペシャリティカーではなく大衆車として売り出そうとして、余計な費用はかけようとせずコストダウンに走りに走って「電池で走る」ことだけに注力した結果でしょう。どうせ生産能力が限られてたんだから、もっと高くてもいいからスペシャリティカーとして作って売ってればよかったと思うのですが。

 環境について意識する人は多いものの、利便性とトレードオフしてまでもという人はやはり限られます。それであれば利便性といくらかの環境性能が両立できるプリウスやアクアが良いように思われ、私でもそっちを迷わず取ります。しかし、もし自由に使えるお金があるのであればやっぱりテスラのEVことモデルSを買うでしょう。なんでかっていうと、普通の車とは全然違うし、早いし、格好いいし、利便性が悪くてもワクワクして面白そうだからです。こういう視点がメーカーはおろか、さっきの記事書いた人にもすっぽり抜けているんだなというのが私個人の独りよがりな見方です。

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