ページ

2017年8月8日火曜日

ジョジョ3部から4部へのリアルタイムでの移行

「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」70点(100点満点中)(超映画批評)

 上記は「また漫画の実写映画化よ!」と方々で言われている「ジョジョの奇妙な冒険」の映画に対する前田有一氏の批評記事です。「言われているほどひどくはないし見られるところも多い」というのが大まかな内容ですが、個人的に気になったのは末尾近くの以下の箇所です。

「私は週刊少年ジャンプ連載中のジョジョをリアルタイムで第一部から読んでいた、年季の入ったジョジョ読者であるが、ファンには申し訳ないのだが第四部についてそれほど高く評価はしていない。

 あの当時毎週読んでいた人なら同意してくれると思うが、ジョナサンの物語から始まるDIOとの因縁に決着がつく第三部の最終盤の展開のハイテンションたるや、本当にすさまじいものがあったのである。

 それはまさにページをめくる手が震えるような緊張感と衝撃の連続で、とくにヴァニラ・アイス戦以降はもう毎日ジョジョのことしか考えられない、そんな状況であった。

 だからあの、パーフェクトなエンディングのあとにやってきた第四部のテンションの低さには、たとえ吉良戦にいたっても没頭するまでには至らなかったのである。」

 この前田氏の言葉には私も深く同感します。私もちょうど第三部の終盤からジョジョを読み始め、そのまま第四部もリアルタイムで雑誌にて読み続けた世代ですが、第四部を読んでいたころは第三部と比べるとスケールダウンした話という印象を強く持っていました。そう思うほど、恐らく現在でも最も人気が高いであろう第三部のインパクトが強かったのです。

 当時の記憶を遡ると、最後の最後までその姿が影に包まれ現わされなかったラスボスのディオの迫力は凄まじく、またそのディオ戦直前におけるヴァニラ・アイス戦の激しい攻防と打倒される仲間達の姿には子供心に打ち震えるような感動がありました。
 そしてようやくベールが剥がされその姿を見せたディオですが、その圧倒的強さから、「どうやってこんなの勝てるの?」と当時真面目に思いました。案の定というか次々と仲間が倒され、主人公の丈太郎も同じ「時を止める」能力を身につけ抵抗を見せるものの全く歯が立たず、万事休すと誰もが思ったその瞬間にあの「俺が止めた」のセリフに始まる逆転劇は前田氏だけでなく自分も指が震えました。

 そんな激戦を見せられた後、日常、それもエジプトでなく日本の街中を舞台にした第四部はスケールといい戦闘といい、なんていうか物凄い物足りなさを感じました。唯一面白いと思ったのは漫画家の岸部露伴が出てくるところで、現在では当たり前ですが当時としては漫画の中に漫画家のキャラクターが出てくるのが珍しかったのもあって岸部露伴が出てきた辺りから少しは見直すようになりました。
 とはいえ第四部の連載中、ひいては第五部の連載中にあっても私の中では第三部が「至高にして究極のジョジョ」であり続けました。そして現在、第八部まで続くジョジョのエピソードでランクをつけるとしたらトップは第七部になりましたが、第二位はなんと第四部が来るようになっています。

 連載当時でこそ第三部と比較して物足りなさを感じた第四部でしたが、年月が経ち改めて読み直すとオムニバス形式の話が続く中で徐々に「おかしくなっていく日常の真相」が見えていく展開と、岸部露伴に限らずラスボスの吉良吉影をはじめとする各キャラクターがものすごい魅力を持つことに気が付くようになり、最高評価でこそ「ありがとう、ジャイロ」から続く怒涛のラストバトルが展開する第七部となりますが、それを除くとしたらこの第四部が私は一番好きで、特にラストシーン近くのある別れのシーンを見るたびにリアルで泣き出し、今こうして書いている最中も涙腺が緩んできます。
 こういう風に思うだに、自分の加齢によって見方が変わったのかと思うのと、年月を経てから価値が見えてくる作品なのだなとこの第四部については思います。特に吉良吉影の、「植物の心のように穏やかな生活を送りたい」という願望が年とともに深く胸に突き刺さるようになってきました。そう思うと作者の荒木氏は、あの激しい展開の第三部の後によくもこの第四部を描いたものだと改めて驚嘆します。

 最後、蛇足かもしれませんが最近「読者、視聴者が思い通りの展開でないと批判される」というクリエーター側の愚痴が波紋を広げていますが、私に言わせればこれは甘えに過ぎません。どんな展開が評価されるのか一言でいえば、「予想を超えた展開」こそが最も評価されるのであって、ある程度先が読まれる展開になってる時点でそれはもう駄作です。
 そういう意味でジョジョの展開はまさしく読者の予想を遥かに超えた、先が見えない展開が非常に多く、だからこそこの作品評価されているのだと思います。

2 件のコメント:

片倉(焼くとタイプ) さんのコメント...

私が考える4部の魅力とは、ラスボスが普通のサラリーマンという事です。 スタンド能力
は、自分の得意領域に引き込んでしまえば、強い相手であっても倒す事ができます。
もちろん第3部もそうなのですが、第3部に出てくる刺客はディオを頂点とする組織の力で
主人公達に襲い掛かってくるのです。 それに対し、4部は、主人公達の方が社会的立場
が上です。(主人公自体は学生ですが、仲間には承太郎、ジョースターといった名士がいる)
宇宙人でも超生物でもない普通の人間、組織力や大した権力も持たないサラリーマンでも
ラスボスになりうる という点が私の考える4部の魅力です。

最後に4部で一番好きな台詞は「だが断る」です。 この台詞はどうでもいい場面で使っても
何の重みもありません。 自分の進退がかかった場面で言ってこそ、その価値があるのです。
いざという時は、この台詞を言えるようになりたいなと思っています。

花園祐 さんのコメント...

 実際、あの第四部で最大の人気キャラといったらラスボスでしょうね。ジョジョは主役人もさることながらディオをはじめ敵役に魅力があるのがいいです。
 ジョジョのセリフなら自分は「覚悟はいいか?俺はできてる」を一回言ってみたいです。四部に限定するなら、少し長いですが「君は本当に頼もしいヤツだ。この町に来て君と知り合えて本当に良かったと思ってるよ」とか言ってみたいです。さすがに使う機会なさそうですが。